8月30日のニュース・サッカー協会会長-前ベトナム代表監督のパク氏も代表監督の候補者・いまさら何を?キム前代表監督の突然の辞任をサッカー協会会長が批判・W杯予選を「中立地」マレーシアで行うパレスチナ代表が合宿入り・マレーシア代表の医療チームに元バルサのチームドクターと理学療法士が加わる

サッカー協会会長-前ベトナム代表監督のパク氏も代表監督の候補者

マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、前ベトナム代表監督のパク・ハンソ氏が、現在空席となっているマレーシア代表の監督候補の1人であると述べています。

FAMの本部で行われた記者会見の席上で、1年5ヶ月の契約期間を残しながら先月7月に辞任したキム・パンゴン前代表監督の後任として、メディアなどでも報じれていたパク前ベトナム代表監督も候補者の1人であると、メディアの質問に答える形で認めています。

来月9月4日に開幕するムルデカ大会では、マレーシア代表はパウ・パルディ代表チームコーチを監督代行に大会に臨みますが、ハミディン会長は「キム前監督に勝る」後任を探すために全力を注いでいる最中だと説明し、その中で出てきたのがパク前ベトナム代表監督の名前でした。

ハミディン会長は、FAMが代表監督に求めるものとして代表選手の「質」を理解していることに加え、マレーシア代表がW杯予選やアジアカップ予選で対戦する東南アジアを含むアジア各国の対戦相手の「質」も正しく理解していることであると話しています。

その上でFAMは複数の候補者の中から、現在絞り込みを行なっている最中だと説明しています。

いまさら何を?キム前代表監督の突然の辞任をサッカー協会会長が批判

マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長は、先月、突然辞任し、その後は蔚山HDの監督に就任したキム・パンゴン前代表監督の姿勢を「プロフェッショナルでない」とFAM本部で開かれた記者会見という公の場で批判しています。

マレーシア代表サッカーチームが出場しないにもかかわらず、パリオリンピックに出場したマレーシア選手団の団長を務めていたハミディン氏は、ほぼ1ヶ月近くマレーシアを離れていました。オリンピックも終わりひと段落といったとこのなのか、いまさらになってキム前監督の話を蒸し返し、その辞任の状況を明らかにしています。

ハミディン会長は、キム前監督が辞任する数日前まで、家族の問題を理由に代表チームを離れたいと何度も主張していたとのことです。しかし、その一方でハミディン会長が知らぬ間に、キム前監督は韓国の蔚山HD FCと交渉し、監督就任に合意していたことが明らかになりました。

「私が失望したのは、キム前監督が記者会見を開き、様々な辞任理由の一つとして、代表選手の招集が自身の望むようにできなかったことを挙げたことだ。私はキム前監督がそれを辞任する好機と捉えたのではないかと考えている。結果的に蔚山HD FCと交渉していたわけで、私はこの行為にはプロ意識が欠落していると感じている。」

「FAMはキム前監督の辞任による被害者である。キム前監督は(蔚山HDから)良いオファーを受けたことにより代表監督を辞任したにもかかわらず、、事実とは異なる辞任理由を述べた。FAMはキム前監督の要望にできる限り応じていたため、そういった(辞任理由として挙げた)非難には当たらない。」と述べて、ハミディンFAM会長はキム前監督を批判をしています。

その一方でさらにコメントを求められたハミディン会長は、FAMがキム前監督に対して法的措置を取らなかったのは、在任中の代表チームへの貢献を評価してのことだと説明しました。

「我々は彼の貢献を評価しており、(残りの契約期間の)1年半分の補償を求めることができたが、それはあえて行わなかった。私が唯一失望しているのは、彼が真実を明かさなかったことだ、そこは正直に話して欲しかったと思っている。と述べた、ハミディン会長は、わずか数ヶ月前まではキム前監督が監督としての契約を2025年末まで守ると誓っていたことも明らかにしています。

先月、キム前監督は個人的な理由を挙げて、マレーシア代表監督を2年4ヶ月務めた後に辞任し、その後わずか2週間足らずで、蔚山HD FCの監督に就任しました。

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パリオリンピック選手団の団長となったことで、本当にキム前監督の動向を把握できていたのか、と正直、疑問が残ります。キム前監督への蔚山HDからの監督オファーは、前任者の洪明甫氏が韓国代表監督に就任したことで監督不在となったことによるもので、そういった事態はハミディン会長がFAMのトップとしてサッカーのことだけを考えていれば、何か手を打てたのではないかと思ってしまいます。サッカーがパリオリンピックに出場しないにもかかわらずハミディン会長に選手団団長就任を要請したマレーシアオリンピック協会もなんですが、それを受けたハミディン会長に対しても、それが自身のやるべき仕事だったのかと感じてしまいます。

W杯予選を「中立地」マレーシアで行うパレスチナ代表が合宿入り

「パレスチナ代表を受け入れてくれたマレーシアに心から感謝している。」

2026年W杯アジア3次予選に残っているパレスチナ代表は、第1節では韓国代表とアウェイで、そして続く第2節ではホームでヨルダン代表と対戦します。パレスチナとイスラエルとの紛争が続く中で、現在、パレスチナ代表は韓国戦に向けての合宿をマレーシアで行っています。第2節のヨルダン代表戦を中立地のマレーシアで行うこともあり、マレーシアが合宿地に選ばれたわけですが、冒頭の言葉は、マレーシアでの合宿に参加しているパレスチナ代表のMFモハメド・バシム・アハメド・ラシド(インドネシア1部プルセバヤ・スラバヤ)によるものです。

W杯初出場を目指すパレスチナ代表は、8月27日からKLフットボールスタジアムを使用した合宿を行っていますが、9月5日にソウルのW杯スタジアムで行われる韓国代表戦後には、マレーシアに戻って9月10日にヨルダン代表とこのKLフットボールスタジアムで対戦します。

イスラム教徒が多いマレーシアはパレスチナ支援の姿勢を表明し、アンワル・イブラヒム首相は先月末にイスラエルにより訪問先のイランのテヘランで暗殺されたイスラム組織ハマスのハニヤ最高指導者とも会談しています。また国内ではイスラエルを支援しているとされる欧米企業に対する不買運動も起こっており、その影響を受けたケンタッキーフライドチキン(KFC)は100店舗以上を一時的に閉鎖、また数日前にはスターバックスのフランチャイズを運営する企業が今年6月までの通年決済では9000万リンギ(およそ30億円)の赤字に転落したことを発表、さらにマレーシア政府は対イスラエル直接投資を全会一致で閣議決定するなど徹底しています。

そういった親パレスチナの姿勢からFAMはパレスチナ代表に合宿に必要な施設の提供を申し出ていました。

マレーシアの隣国インドネシアのリーグでプレーする代表戦46試合出場経験があるモハメド・バシム選手は、マレーシア国内でパレスチナの人々との連帯を示す姿勢をこれまで何度も見てきたと話し、マレーシアは単なる「中立地」ではなく、多くのマレーシア人がパレスチナを支援していることから、マレーシアを「ホーム」としてW杯3次予選に臨みたいと、ニューストレイツタイムズの取材に対して話しています。

さらに29歳のモハメド・バシム選手は、チームとして初となるW杯アジア最終予選出場については様々な制約がある中でも周りを驚かせるような結果を出したいとも話しています。

パレスチナは、韓国、ヨルダン、イラク、オマーン、クウェートと同じ予選B組に入っています。今回の予選ではA組からC組までの上位2チームがアメリカ、カナダ、メキシコが共同開催する2026年W杯の出場権を獲得し、各組3位と4地のチームは残る2枠をかけて4次予選で対戦します。

マレーシア代表の医療チームに元バルサのチームドクターと理学療法士が加わる

マレーシア代表の医療チームに元FCバルセロナのスタッフが加わったことをマレーシアの通信社ブルナマが報じています。

今日のニュースでも取り上げたように、先月7月にキム・パンゴン代表監督が辞任し、その後任にはパウ・マルティ コーチが監督代行に就任し、来月9月4日に開幕するムルデカ大会では指揮を取ることになっています。

そんな中、かつてはFCバルセロナのU18のコーチでもあったマルティ監督代行との縁があったのかも知れませんが、マレーシアサッカー協会(FAM)は、バルセロナのトップチームで豊富な経験を持つザビエル・バジェ医師と、エドゥ・マルティネス理学療法士が医療チームに参加することを発表しています。

2021/22シーズンから昨季2023/24シーズンまでバルセロナのトップチームの医師を務めたバジェ氏は、マレーシア代表のコンサルティングドクターとして、代表チームの医療スタッフと密接に協力し、専門知識や指導を提供するということです。。

また、バルセロナででは過去12年間にわたり理学療法士として勤務し、2022年12月から2024年6月までトップチームの理学療法士を務めたマルティネスも既にマレーシア入りしており、代表チームでの仕事に取り掛かっているということです。