8月23日のニュース・東南アジアクラブ選手権2024/25開幕:トレンガヌはカンボジア王者に苦杯・KLシティはフィリピン王者に辛勝・ジョホール州がFAカップ決勝翌日を州の祝日とすることを発表

東南アジアクラブ選手権2024/25開幕:トレンガヌはカンボジア王者に苦杯、KLシティはフィリピン王者に辛勝

2005年以来19年ぶりに再開されるアセアン東南アジアクラブ選手権(ACC)は、東南アジア最大のECサイトがスポンサーとなり「ショッピーカップ」とし第3回大会が開催されています。マレーシアからは昨季のマレーシアカップ準優勝チームのトレンガヌFCとFAカップ準優勝チームのKLシティFCが参加します。トレンガヌはグループステージのA組、KLシティはB組に入り、今週から始まった大会に臨んでいます。(試合のハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより)

トレンガヌはカンボジア王者に苦杯

2024年8月21日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 2-3 プリヤ・カーン・リーチ・スヴァイ・リエンFC
⚽️トレンガヌ:マヌエル・オット(55分)、サファウィ・ラシド(90+1分PK)
⚽️スヴァイ・リエン:ガブリエル・シルヴァ(12分)、パブロ(16分)、ミン・ラタナック(86分)
🟨トレンガヌ(2)、🟨スヴァイ・リエン(3)

開幕戦で昨季のカンボジア1部リーグチャンピオンをホームに迎えたトレンガヌは、開始16分で立て続けにゴールを決められてリードを許すと、そのまま一度も追いつくことなく敗れています。

小田原貴、藤井亮の2名の日本人選手が先発したPKRスヴァイ・リエンは、12分にガブリエル・シルヴァのゴールで先制すると、その4分後には、FC琉球やカターレ富山でのプレー経験があるパブロがゴールを決めて、前半を2-0とリードして折り返します。

後半の55分にはマヌエル・オットのゴールでトレンガヌが1点差まで迫りますが、終了間際に失点して再び点差を広げられると、ロスタイムにサファウィ・ラシドのPKで1点を返すも時すでに遅く、トレンガヌが2−3で敗れています。
PKRスヴァイ・リエンの小田原貴選手はフル出場し、藤井亮選手は64分に交代しています。

A組の他の試合結果は、トレンガヌが次節第2節で対戦するタインホアFC(ベトナム)が3−1でシャン・ユナイテッド(ミャンマー)に勝利し、PSMマカッサル(インドネシア)対BGパトゥム・ユナイテッド(タイ)はスコアレスドローに終わっています。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

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なお、この試合前にはトレンガヌのトミスラフ・シュタインブリュックナー監督がマレーシアの通信社ブルナマの取材に応え、自身が必要とされていないのであればチームをさる用意があると発言しています。

これまでトレンガヌがマレーシアスーパーリーグのトップチームの一つでいるために全力で関わってきたと話したシュタインブリュックナー監督は、他のプロクラブの監督同様、必要とされていなければ、いつでもチームを去ると話しています。

2022年にチームのテクニカルディレクターから転身し、今季が監督2シーズン目となるシュタインブリュックナー監督について、ジョホール・ダルル・タジムFCからローンで代表選手のサファウィ・ラシドやアキヤ・ラシドを獲得するなどチーム力が上がっていると考えられていることから、SNSを中心に不安定な戦いぶりを見せているチームの責任を問う声がトレンガヌサポーターから上がっており、FAカップ準決勝敗退に続き、このショッピーカップの敗戦で、その声はさらに大きくなりそうです。


東南アジアクラブ選手権2024/25開幕:KLシティはフィリピン王者に辛勝

2024年8月22日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 1-0 カヤFCイロイロ
⚽️KLシティ:ハキミ・アジム(12分)
🟨KLシティ(1)、🟨カヤFC(3)

カップ戦に強いKLシティが前半に挙げた1点を守り切り、3名の日本人選手を擁する昨季のフィリピン王者を破って開幕戦での勝利を挙げています。

来週のFIFA国際マッチカレンダーで開催されるムルデカ大会に出場するマレーシア代表にはチーム最年少の21歳で招集されているFWハキミ・アジムがこの試合でも躍動し、12分には左サイドを上がったパウロ・ジョズエからのクロスをファーサイドで受けるとこれを落ち着いて決めると、これがこの試合唯一のゴールとなりました。

日本人の星出悠監督が指揮を取るカヤFCイロイロは、先月7月14日に終了したフィリピン1部リーグを制して2連覇を果たした強豪ということで、マレーシアスーパーリーグでは中堅のKLシティに対してどのような試合を見せてくれるのかを楽しみに現地観戦しました。

左ウィングに駒木秀人、MFには東南アジアでのプレー経験が豊富な山崎海秀、そして最終ラインの要に斎藤彰人の日本人3選手を要するカヤFCイロイロは、この試合ではボールの保持率は高かったもの、試合前から降り続く雨で滑りやすくなったピッチのせいもあったのか、決定機を作ることがほとんどありませんでした。

いわゆるボックストゥボックスタイプのMF山崎選手の運動量は素晴らしかったですが、昨季のフィリピンリーグでは11試合で10ゴール8アシストという記録を残した駒木選手も自陣に戻って守備をする機会も多く、ウィング的な活躍の機会がほとんどありませんでした。素人目では、KLシティ守備陣が戦術的に崩される場面がほとんどなく、ゴール前などでつまらないミスをしない限りは失点しそうな気配も正直ありませんでした。もしかしたらカヤFC色々にとっては、シーズン終了後の疲労が溜まっていた時期のいわば「罰ゲーム」的な大会になってしまっていたのかもしれません。
カヤFCイロイロの駒木秀人、山崎海舟、斎藤彰人の3選手はこの試合でフル出場しています。

B組の他の試合は、ハノイ公安FC(ベトナム)が対1部リーグ3連覇中のブリーラム・ユナイテッドに2-1と勝利し、KLシティが来月9月の第2節に対戦するボルネオFCサマリンダ(インドネシア)がライオン・シティ・セイラーズ(シンガポール)に3-0と圧勝しています。なおグループステージでは各組の上位2チームが来年4月にホームアンドアウェイ方式で行われる準決勝に進出します。

しかし、ACLエリートにも出場するブリーラム・ユナイテッドがこの大会にも出場しているのはちょっと驚きです。

ジョホール州がFAカップ決勝翌日を州の祝日とすることを発表

明日8月24日には今季の初タイトルマッチとなるFAカップ決勝が開催され、大会3連覇を目指すジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と、最後に優勝した2009年以来の決勝進出を果たしたスランゴールFCが対戦します。このFAカップ決勝を前に、ジョホール州のオン・ハフィズ・ガジ州首相は、決勝翌日の8月25日を州の祝日とすることを発表しています。

8月25日を祝日とする理由として、FAカップ決勝に進出を果たしたJDTを応援するジョホール州民に対する感謝の気持ちの表明であると説明したオン・ハフィズ州首相は、今回の州祝日は、父君のスルタン・イブラヒム殿下がマレーシア国王を務めている間はジョホール州摂政となっているトゥンク・イスマイル殿下の了承を得た上での発表であるとしています。なお、トゥンク・イスマイル殿下はJDTのオーナーでもあります。

オン・ハフィズ州首相は、ジョホール州民に向けて400km以上離れたクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催されるマレーシアFAカップ決勝に足を運んで「12番目の選手」としてJDTを応援して欲しいと話しています。

2012年2月16日にジョホール州サッカー協会の会長にトゥンク・イスマイル殿下が就任して以来、ジョホール州のサッカーは成功へ向かって大きな変革を進めているとし、2013年のJDT創設がこの変革の中心になっていると説明しています。さらに現在のリーグ10連覇を含めたこれ以降のJDTの素晴らしい成績はジョホール州民の誇りであるとも述べています。

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日本に例えれば、ヴィッセル神戸が天皇杯決勝に進出するので、兵庫県知事が急遽、天皇杯決勝翌日を県民の日に制定するので、兵庫県民に国立競技場まで応援に行ってください!と言っているような内容です。まぁこれが罷り通るのがマレーシアだとも言えますが、これはJDTがFAカップ決勝でスランゴールを破るだろうという自信の表れでもあると言えます。実際に過去8シーズンはリーグ戦、カップ戦問わずスランゴールはJDTを破った経験がなく、この自身は根拠がないものではありませんが、今回は「ファイサル・ハリム」という要素がスランゴールのモチベーションにどのくらい火をつけるかで、この根拠すらひっくり返す可能性もあります。