8月11日のニュース・マレーシア代表ウルトラスがムルデカ大会のボイコットを表明・W杯アジア最終予選のパレスチナ対ヨルダン戦は中立地のクアラ・ルンプールで開催

マレーシア代表ウルトラスがムルデカ大会の応援ボイコットを表明

ムルデカ大会は、1957年にマレーシアの前身であるマラヤ連邦が英国から独立したことを記念して始まった国際招待大会です。今年開催される第43回大会には、開催国のマレーシアの他、レバノン、タジキスタン、フィリピンが参加し、来月9月4日に準決勝2試合が、また9月8日には決勝と3位決定戦がクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で予定されています。

このムルデカ大会まであと1ヶ月と迫り、チケット販売も始まる中、マレーシアの通信社ブルナマは、マレーシア代表の複数のウルトラス団体がムルデカ大会をボイコットすることを表明し、これがSNS上でさまざまな反応を引き起こしていると報じています。

大会ボイコットを表明したのはヌグリスンビラン州、パハン州、ペナン州そしてクアラ・ルンプールのウルトラス団体で、いずれの団体もその理由としてマレーシアサッカー協会(FAM)への不満を挙げています。

また各州のウルトラス団体とは別に、最大のウルトラス団体「ウルトラス・マラヤ」も「現在、病んでいるFAMは今後も病み続けるだろう。治療は不要だ。スタジアムを空にせよ。ムルデカ大会のクルヴァ(Curva)を閉鎖せよ。」というメッセージを#ResetBolasepakMalaysia「マレーシアサッカーをリセット」という内容のハッシュタグともにSNSに投稿しています。

またペナン州のウルトラス「ウルトラス・パンサーズ」は、先月7月に突然辞任したキム・パンゴン前代表監督の問題や、酸攻撃を受けたファイサル・ハリム選手ら一連の代表選手襲撃事件のいずれについてもFAMの対応に共感が得られないことから、ムルデカ大会での応援ボイコットという結論にたどり着いたこと説明しています。

またクアラ・ルンプール・ウルトラスも、FAMによる運営のせいてマレーシア国内のサッカーに様々な問題起こっていることを明らかにしたいとして、ボイコットを表明しています。

ブルナマの記事では、実際にボイコットが実施されれば、昨年、優勝を逃し、王者奪還を目指すマレーシア代表にとっては大きな痛手になるだろうとしている他、キム前監督辞任を受け、ムルデカ大会で指揮を取るポー・マルティ監督代行もサポーターにスタジアムを満員にして欲しいと懇願していると報じています。

一方、マレーシアサッカー協会(FAM)のノー・アズマン・ラーマン事務局長は、マレーシア代表のサポーター団体ウルトラスが来月開催予定のムルデカ大会のボイコットを表明していることに対して、再考を求めたいと述べています。

代表チームを応援するウルトラスの存在は欠かせないと話したノー・アズマン事務局長は、今回のムルデカ大会はマレーシア代表のFIFAランキングポイントを獲得するために欠かせない大会であることも踏まえ、全てのサポーターの応援が必要であると説明しています。

W杯アジア最終予選のパレスチナ対ヨルダン戦は中立地のクアラ・ルンプールで開催

マレーシアサッカー協会(FAM)は、9月10日に2026年W杯アジア3次予選のパレスチナ対ヨルダン戦がKLフットボールスタジアムで開催されることを発表しています。

パレスチナサッカー協会(PFA)は、昨年10月以来続いている紛争により、国内で2026年W杯アジア3次予選のB組の第2節、ホームのヨルダン戦の開催が難しいとして、この試合をを開催する中立地を探していたということです。そこでFIFA評議会メンバーでもあるマレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン会長がマレーシアで中立会場を提供し、今回、FAMとPFAの間で合意に達したということです。

2026年W杯アジア3次予選に進出したでパレスチナは、ヨルダンの他、韓国、イラク、オマーン、クウェートとともにB組に入っています。

なおマレーシアはこれまでも、2018年W杯予選プレーオフで中立地となり、2017年10月5日にマラッカのハン・ジェバ・スタジアムでシリア対オーストラリア戦の第1戦を開催したことがあります。

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マレーシアは親パレスチナ、反イスラエルを明確に打ち出している国で、今月8月4日にもクアラ・ルンプールで、パレスチナのイスラム組織ハマスのハニヤ最高指導者暗殺を非難し、パレスチナへの連帯を示す政府主催の大規模集会が開かれたばかりでした。またこの集会では、5月に訪問先のカタールでハニヤ氏と会談したことを明らかにしていたアンワル・イブラヒム首相は1万人以上の参加者を前に「マレーシアはパレスチナの闘いを支援するため最善を尽くす」と述べ、協力を惜しまない考えを強調していました。

イスラム教徒が多数派のマレーシアではハマスへの同情論が強く、イスラエルを支援していると見なされた米欧企業の製品の不買運動も起きています。