マレーシアスーパーリーグ(MSL)の第6節が7月25日から27日にかけて開催されています。
なお今季のMSLは13チームで編成されており、第6節は鈴木ブルーノ選手が所属するPDRM FCの試合はありません。また次節第7節は間髪開けず、7月30日(火)から8月1日(木)に予定されています。
*試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式YouTubeより。
サバがヌグリスンビランを破り3位に浮上
MSL2024/25 第6節
2024年7月25日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 2-0 ヌグリスンビランFC
⚽️サバ:ダニエル・ティン(14分)、ジャフリ・フィルダウス・チュウ(81分PK)
🟨サバ(4)、🟨ヌグリスンビラン(1)、🟥ヌグリスンビラン(1):ノーフィクリ・アブドル・タリブ
MOM:ミゲル・シフエンテス(サバFC)
サバが最下位のヌグリスンビランに快勝しています。ダニエル・ティンのゴールで先制すると、終盤にはジャフリ・フィルダウス・チュウがPKを決めて勝利しています。
ヌグリスンビランは65分にノーフィクリ・アブドル・タリブが一発レッドで退場になると、この数的不利が最後まで響き、今季初の連勝とはなりませんでした。ヌグリスンビランの佐々木匠選手は先発してフル出場しています。
快勝したサバですが、この試合で気になったのは前インドネシア代表のAMFサディル・ラムダニがベンチ外だったことです。ケガなども報じられていない中、先週は昨季のチーム得点王ラモン・マチャド(アゼルバイジャン1部アラズ・ナシュシュヴァンPFKへ移籍)と契約を解除するなど、給料未払い問題があるとされるサバから新たに主力が流出する可能性もあります。
2021年からプレーする25歳のラムダニ選手は、サバで70試合に出場し16ゴール28アシストを記録していますが、インドネシアのサッカーメディアでは、昨季のインドネシア王者、プルシブ・バンドン移籍の噂があるとしており、今年2度目のトランスファーウィンドウが8月29日に開くのを前に退団の可能性もあります。
ジョホールが開幕5連勝、トレンガヌは今季初黒星
MSL2024/25 第6節
2024年7月26日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州クチン)
ジョホール・ダルル・タジムFC 4-0 トレンガヌFC
⚽️ジョホール:ヘベルチ・フェルナンデス(7分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ3(32分PK、64分、90+2分)
🟨ジョホール(2)、🟨トレンガヌ(3)、🟥トレンガヌ(1):ウバイドゥラー・シャムスル
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジムFC)
ジョホール・ダルル・タジム(JDT)がリーグ得点トップとなるベルグソン・ダ・シルヴァのハットトリックなどで大量得点し、開幕から無傷の6連勝を飾った一方、やはりここまで開幕から無敗だったトレンガヌには今季初黒星がついています。
この試合前まで2勝2分1敗のトレンガヌは、ここまでの全試合に先発しそれぞれ2ゴールと1ゴールを挙げているFWサファウィ・ラシドとFWアキヤ・ラシド、そしてここまで3試合に出場しているDFサフワン・マズランの3選手がいずれもJDTからのローン移籍中のため、この試合はベンチ外でした。この主力3名を欠くトレンガヌは、さらに昨年のチーム得点王イヴァン・マムートもプレシーズンでのケガの回復が遅れており、JDTと対戦するには厳しいメンバーでした。このため守備的な布陣で臨んこの試合でしたが、U23代表でプレーする20歳のCBウバイドラー・シャムスルが「疑惑の判定」で31分と早い時間帯に一発レッドで退場となり、数的にも不利になったトレンガヌにとっては厳しい試合でした。
この疑惑の判定は、31分にウバイドラー選手がJDTのベルグソン選手を自陣ペナルティーエリア内で倒した判定され、フィトリ・マスコン主審がVARによるチェックの後でウバイドラー選手にはレッドカードを出したものです。しかし実際のプレーは触れたか触れていないかがわからないほどの接触だったことから、トレンガヌサポーターだけでなく、JDTのサポーターもは、この判定に疑問の声を挙げました。さらにマレーシアサッカー協会(FAM)の審判委員会元委員長でFIFA国際審判でもあったスブヒディン・モハマド・サレー氏が、ウバイドラー選手がベルグソン選手を押したと言う明らかな証拠が見られない上、選手ではなくボールに対する通常のプレーであり、レッドカードには値せず、せいぜいイエローカードとPKなのではとコメントするなど、この判定に対しては否定的な意見があちらこちらから出ています。とは言え一度出された判定が変わることはなく、主力を欠くトレンガヌにとっては、数的不利にもなって万事休すでした。
開幕から6連勝と快調なJDTですが、代表でもプレーする左SBのラヴェル・コービン=オングの出場機会が激減しています。今季のJDTは左SBにオスカル・アリバスが主に起用されており、リーグ戦とカップ戦を合わせてここまで6試合に先発しています。それ以外では今季加入したムリロ・エンリケが5試合に起用されており、コービン=オング選手は今季はリーグ戦2試合出場、カップ戦出場なしと言う状況です。次の代表戦は9月のムルデカ大会までありませんが、それでもコービン=オング選手の出場機会が少ないままだと、ゲームフィットネス不足など、代表でのパフォーマンスにも影響が出そうです。
ロスタイムにPKを与えたクダはクチンシティと引き分ける
MSL2024/25 第6節
2024年7月26日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 1-1 クチンシティFC
⚽️クダ:ハスブラー・アブ・バカル(61分)
⚽️クチンシティ:ジョーダン・ミンター(90+2分)
🟨クダ(2)、🟨クチンシティ(2)
MOM:ソニー・ノルデ(クダ・ダルル・アマンFC)
DFリザル・ガザリとMFシュクロフ・ヌルラエフの両主力をいずれもケガで欠きながらも、終始試合を支配したクダでしたが、ロスタイムのPKによりクチンシティと引き分け、連勝が2でストップ。一方のクチシティは3試合連続負けなしとなっています。
前半を0-0で終えた試合は、後半の60分にハビブ・ハルンからのパスをクチンシティDFに競り勝ったハスブラー・アブ・バカルが頭で合わせて先制ゴールを決め、クダがリードを奪います。
しかしリードを奪われたクチンシティは後半にペースを上げ、クダのゴールをねらいます。そしてロスタイムに入るとクチンシティはチェチェ・キプレがクダDFイルファン・ザカリアにペナルティエリア内で倒されます。ザムザイディ・カティミン出身はノーファウルとしますが、VARのチェックにより、クチンシティにPKが与えられます。これをジョーダン・ミンターが決めて同点とし、クチンシティはアウェイで貴重な勝点1を挙げています。クチンシティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。
ペラはクランタンを破り今季2勝目
MSL2024/25 第6節
2024年7月26日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ダルル・ナイムFC 1-3 ペラFC
⚽️クランタン:シャヒール・アブドル・ラシド(87分)
⚽️ペラ:フィルダウス・サイヤディ(44分)、ルチアーノ・グアイコチェア2(57分PK、79分)
🟨クランタン(1)、🟨ペラ(1)、🟥ペラ(1):ルチアーノ・グアイコチェア(🟨x2)
MOM:ラマダン・ハミド(ペラFC)
スランゴールがペナンを破りホーム無敗を守る
MSL2024/25 第6節
2024年7月27日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
スランゴールFC 4-1 ペナンFC
⚽️スランゴール:ムカイリ・アジマル(3分)、ヨハンドリ・オロスコ(70分PK)、アルヴィン・フォルテス(89分)、クエンティン・チェン(90+9分)
⚽️ペナン:ラファエル・ヴィトール(64分PK)
🟨スランゴール(1)、🟨ペナン(2)
MOM:アルヴィン・フォルテス(スランゴールFC)
前節ではKLシティとの「クラン渓谷ダービー」でまさかの敗戦を喫したスランゴールでしたが、今節はペナンに快勝して今季のホーム連勝記録を4に伸ばしています。
開始3分で簡単に先制したスランゴールでしたが、その後は好機は作るもののゴールには至らず、前半はこのまま1−0で終了します。
首位を独走するジョホールを追撃するためには、1敗もできないスランゴールは焦りからなのか、その後も追加点を奪えず、後半の64分には逆にペナンにPKを決められて1-1と追いつかれ、嫌な雰囲気が漂いはじめます。それでも69分にヨハンドリ・オロスコがゴールを決めて2-1と再びリードを奪うと、試合終了間際に2点を追加し、終わってみれば3点差の勝利となりました。この試合はスタンドから観戦しましたが、点差ほどの圧勝には感じられず、また、この試合の中盤のようなこう着状態を打開する選手が現在のスランゴールにはおらず、今後、上位チームとの対戦には不安が残る試合という印象でした。
KLシティはスリ・パハンと分ける-パウロ・ジョズエはクラブ最多得点記録更新ならず
MSL2024/25 第6節
2024年7月27日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 0-0 スリ・パハンFC
🟨KLシティ(0)、🟨スリ・パハン(3)
MOM:アズファル・アリー(スリ・パハンFC)
2017年からKLシティでプレーするパウロ・ジョズエはこの試合の前までで通算66ゴールを挙げており、クラブ最多ゴール記録タイとなる67ゴールまであと1ゴールとせまっています。そしてその最多ゴール記録を持つのが、この試合の相手スリ・パハンFCの監督で、シンガポールサッカーのレジェンド、ファンディ・アフマドです。ファンディ氏は1986年から1990年までの5シーズンをKLシティの前身であるKLFAでプレーし、この67ゴールを挙げています。(ちなみのこの5年間にKLFAはマレーシアカップ優勝3度、リーグ優勝2度という成績を残しています。)
このファンデイ氏の前でジョズエ選手によるタイ記録、そして新記録達成が期待されましたが、試合は0-0に終わっています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第6節終了)
順位 | チーム | 試 | 勝点 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 |
1 | JDT | 6 | 18 | 6 | 0 | 0 | 21 | 3 | 18 |
2 | SEL | 6 | 12 | 4 | 0 | 2 | 11 | 6 | 5 |
3 | SAB | 5 | 9 | 3 | 1 | 1 | 8 | 6 | 2 |
4 | TRE | 5 | 8 | 2 | 2 | 1 | 7 | 6 | 1 |
5 | KLC | 5 | 8 | 2 | 2 | 1 | 6 | 6 | 0 |
6 | KCH | 6 | 7 | 1 | 4 | 1 | 8 | 7 | 1 |
7 | *KDA | 6 | 6 | 3 | 1 | 2 | 6 | 4 | 2 |
8 | PRK | 6 | 6 | 2 | 0 | 4 | 9 | 11 | -2 |
9 | PEN | 6 | 6 | 1 | 3 | 2 | 4 | 6 | -2 |
10 | SRP | 5 | 5 | 1 | 2 | 2 | 3 | 7 | -4 |
11 | PDRM | 5 | 4 | 1 | 1 | 3 | 4 | 7 | -3 |
12 | KDN | 6 | 3 | 1 | 0 | 4 | 4 | 10 | -6 |
13 | NSE | 5 | 3 | 1 | 0 | 4 | 3 | 12 | -9 |
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは開幕前に勝点3剥奪処分を受けています。