アセアンU19選手権-マレーシアはブルネイに大勝で好発進
東南アジアサッカー連盟(AFF)U19選手権がインドネシアのスラバヤで開幕し、前回2022年大会優勝のマレーシアU19代表は初戦でブルネイU19代表を11−0で破り、連覇へ好スタートを切っています。
フアン・トーレス・ガリド監督率いるマレーシアU19代表は、開始2分でG・パヴィトラン(ジョホール・ダルル・タジムFC II、JDT II)のゴールで先制すると、 その後は17歳のアビド・サファラズ・ロザイディ(JDT IV)の2ゴールやダニシュ・ハキミ・サハルディン(JDT II)、ハイカル・ダニシュ・ハイゾン(スランゴールFC II)などのゴールで前半を6−0で折り返すと、後半にもイザット・ムハマド・シャヒルやザミルル・ハキム(いずれもスランゴールFC III)やアミル・ファルハン(スランゴールFC II)名護のゴールで11点を挙げて大勝しています。
2018年のこの大会でもボヤン・ホダック監督(現インドネシア1部プルシブ・バンドン監督)のもとで初優勝をはたしているマレーシアU19代表は、本日7月22日に所属するC組第2節で、初戦でタイU19代表に1−2で敗れているシンガポールU19代表と対戦し、7月25日にはグループステージ最終節第3節でタイU19代表と対戦します。
連邦直轄地相-クアラ・ルンプール市役所にはKLシティFCへ運営資金提供の義務なし
クアラ・ルンプール市役所(DBKL)は、クアラ・ルンプールサッカー協会(KLFA)及びKLシティFCに対して、運営資金を提供する義務を負うものではないと、連邦直轄地省のザリハ・ムスタファ大臣が明言しています。
クアラ・ルンプールは他の州とは異なり、プトラ・ジャヤ、ラブアンとともにマレーシアの連邦直轄地で、政府の連邦直轄地省の管轄となっています。クアラ・ルンプール市役所もこの連邦直轄地省傘下に入っており、市長は選挙ではなく政府が任命します。(なお、マレーシアではクアラ・ルンプール以外でも首長選挙は行われず、州議会や市議会の最大会派から選ばれます。)
DBKLを管轄する連邦直轄地省のザリハ大臣は、KLFA、KLシティFCともにどちらも独立した組織であり、DBKLと公式な繋がりは一切ないという声明を発表しています。
「DBKLの収入の大半は固定資産税と住民税であり、その収入を正しく使うことはDBKLが負う責任であり、社会保障や医療、教育といったものや、クアラ・ルンプール市民の生活の質や幸福度を高めるために使われるべきである。」
自身も元連邦直轄地大臣でもあり、今年3月までKLFAの会長を務めたカリド・サマド氏はDBKLの年間収入26.8億リンギ(およそ901億円)の0.5%をKLFAとKLシティFCの運営に当てて欲しいと述べていましたが、ザリハ連邦直轄地相はこのカリド氏の要望に応える形で発表されたものです。
ザリハ連邦直轄地相は、DBKLはこれまでKLFAとKLシティFCが行ってきたクアラ・ルンプールのサッカーの発展への寄与について感謝するとともに、KLシティFCが残してきた素晴らしい結果から、クラブが今後さらに発展していく可能性があるだろうとも述べています。
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マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)がFIFAの指導を受けて進めてきたクラブの民営化は、それまでは上記のクアラ・ルンプール市役所(DBKL)や各州政府からの公金による資金提供を受けて運営されてきた国内プロクラブを、民間企業のスポンサーからの資金によって運営しようという大改革でしたが、ここまでは、ジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下が自身の財産を注ぎ込んで運営しているジョホール・ダルル・タジムFC以外は民営化できているとは言い難い状況です。給料未払いが起こっていないクラブも、州政府からの公金投入はなくとも、州政府が運営する会社をスポンサーにつけるなど、全く独立しているとは言い難い状況です。KLシティFCも、DBKLからの直接的な支援はなくとも、今季の胸スポンサーは、2024年にDBKLが進めている「低炭素排出共同体プログラム」のロゴをつけていることから数百万リンギ(1リンギはおよそ33円)がDBKLからKLシティFCにスポンサー料として支払われているのは明らかです。
サッカー協会事務局長-政府からの1億7000万円の割り当ては代表チーム強化が目的
今年1月にアンワル・イブラヒム首相が政府予算からマレーシアサッカー協会(FAM)に割り当てると述べた500万リンギ(およそ1億6500万円)について、この割り当ては代表チームを対象とした割り当てであり、他の目的には使用しないと、FAMのノー・アズマン・ラーマン事務局長が述べています。
ノー・アズマンFAM事務局長の発言は、今年3月までクアラ・ルンプールサッカー協会(KLFA)の会長を務めた、カリド・サマド氏が給料未払い問題に苦しむKLシティFCに対して、この500万リンギの一部を割り当てて欲しいという要求に対しての回答として述べられたものです。
カリド氏は、今年1月にカタールのドーハで行われたアジアカップに出場したマレーシア代表に6名の選手が選出されたKLシティFCの窮状に対して、FAMの支援がないことに失望すると発言し、政府割り当て金の一部を使って支援を求めています。
ノー・アズマンFAM事務局長は、FAMとマレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、KLシティFC以外に複数のクラブでも発生している給料未払い問題の解決するための支援方法を検討中だとした上で、給料未払い問題は、まずは当事者のクラブ自身が解決のために行動を起こす必要があると述べています。
第一審機関がKLシティのクラブライセンス再検討に着手-シーズン途中での剥奪の可能性も
7ヶ月に及ぶ給料未払いが起こっているKLシティFCに、新たな問題が見つかっています。英字紙スターによると、KLシティFCは昨年2023年2月以降、従業員積立基金(EPF)の納付を行なっていなかったことが明らかになりました。このEPFは、従業員側が給料の11%を、雇用者側が同12%または13%を納付し、55歳以降には積立額プラス運用益を引き出すことができる積み立て年金制度です。
マレーシア国民にはEPF納付の義務がある(外国人労働者は納付義務はないが納付を選択することも可能)ことから、昨年2月からEPFが納付されていないことは労働法に違反しているにもかかわらず、国内クラブライセンスを交付する第一審機関(FIB)は2024年シーズンの国内クラブライセンスがKLシティFCに交付しています。
クアラ・ルンプールサッカー協会(KLFA)のサイド・ヤジド副会長は、給料未払いに加え、EPF未納付という事実があるにもかかわらず、マレーシアサッカー協会から委託されてクラブライセンス審査を行なっているマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の第一審機関(FIB)が、どのようにしてKLシティFCに今季のスーパーリーグに出場が可能となる国内クラブライセンスを交付したのかについての回答を求めています。
「未払い給料問題を抱え、不安定なクラブが、審査をどのようにパスし、国内クラブライセンスを交付されたのかの説明をFIBに求めたい。EPFは昨年2月から未納付で、総額が71万9000リンギ(およそ2420万円)という巨額が未納付となっていることを知って驚いた。」
KLシティFCを運営するKLユナイテッドFC社の理事でもあるサイド・ヤジドKLFA副会長は、FIBがどの書類を審査し、国内クラブライセンス交付に至ったのかの説明を求めるとしています。さらにEPFの未納付については、選手の誰一人として不満も述べず、マレーシアプロサッカー選手会(PFAM)に訴え出ることもしていないことから、選手の姿勢にも疑問を持っていると話しています。
昨年シーズンオフにはEPF未納付を理由にクランタンFCが今季のクラブライセンスが交付されず、また今季開幕前にはそのクランタンFCに代わりスーパーリーグ昇格の候補となっていたプルリス・ユナイテッドも同様の理由でクラブライセンスを交付されませんでした。
一方、FIBは声明を発表し、KLシティFCへの国内クラブライセンス交付は、提出された書類を審査した結果であると説明しています。FIBのシーク・モハマド・ナシル議長は、EPFの未納付がないことを証明する文書もKLシティFCから受け取っており、EPFからも未納付がないことを示す文書を受け取っているとし、FIBは正規の手続きに則り、厳格な審査を行った結果、KLシティFCにクラブライセンスを交付したと説明しています。 その上で、FIBはクラブライセンス交付に関わる重要な問題だとして、直ちに再調査に取り掛かるとしています。
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これまでメディアに登場していなかったKLFAのサイド・ヤジド副会長は、今月初旬にKLシティFCの給料未払い問題が7ヶ月に及ぶことは知らなかったと発言しています。KLシティFCの運営会社、KLユナイテッドFC社にはかつては理事が3名いましたが、現在はこのサイド・ヤジド氏ひとりですが、スタンリー・バーナードCEOからは未払い給料が7ヶ月にも及ぶ話は聞いたことがなく、KLFAの理事会でもそんな説明は受けていなと話しており、逆にサイド・ヤジド氏は、KLユナイテッドFC社やKLFAで何をしていたのかが気になります。
ジョホールがACLEに向けてRマドリー出身のスペイン系帰化選手獲得か
レアル・マドリードの下部組織出身のGKディエゴ・アルトゥーべが、現在マレーシアスーパーリーグ10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)へ加入する噂があると、複数のサッカー専門サイトが伝えています。
24歳のアルトゥーべ選手はスペイン2部のアルバセテ・バロンピエとの契約が終了しており、移籍への障害はないということです。
188cmのアルトゥーべ選手はマドリード出身で、レアル・マドリードの下部組織を経て2020/21シーズンはレアル・マドリード・カスティージャでプレーすると、2021/22シーズンはCFフエンラブラダに期限付き移籍し、22/23シーズンからはアルバセテ・バロンピエでプレーしていました。
Transfermarktでは現在無所属となっているアルトゥーべ選手は、母方にマレーシア人がいることから既にマレーシアのパスポートを入手済みということで、8月26日から9月22日まで開く今年2度目のトランスファーウィンドウでJDTに加入すれば、外国籍選手枠とは無関係にプレーできるだけでなく、そのまま代表入りも考えられます。