7月5日と6日にマレーシアFAカップ準々決勝の2ndレグ4試合が行われ、ジョホール・ダルル・タジムFC、クダ・ダルル・アマンFC、トレンガヌFC、そしてスランゴールFCがベスト4進出を決めています。ホームアンドアウェイ方式で行われるFAカップ準決勝は、7月20日と21日に1stレグが、8月3日と4日2ndレグが予定されています。なお決勝は8月24日となっています。
*試合のハイライト映像は、マレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式YouTubeより。
ジョホールが大学生チームを相手に容赦なしの13ゴールで連覇に近づく
マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝2ndレグ
2024年7月5日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 8-0 マレーシア大学FT
(通算成績:ジョホール 13-0 マレーシア大学)
⚽️ジョホール:フアン・ムニス(20分)、ヘベルチ・フェルナンデス(27分PK、30分)、フェロズ・バハルディン(35分)、フランシスコ・ジェラルデス(61分)、ロメル・モラレス2(73分、90+1分)ベルグソン・ダ・シルヴァ(78分)
🟨ジョホール(0)、🟨マレーシア大学(2)
MOM:ロメル・モラレス(ジョホール・ダルル・タジムFC)
連覇を狙うジョホールが、唯一残っていた3部のセミプロA1リーグでプレーするマレーシア大学FTを圧倒して準決勝進出を決めています。
5-0と勝利したものの1軍半のメンバーで臨んだ1stレグとは違い、この試合はベストメンバーを揃えたジョホールは、前半だけで4ゴールを挙げ、力の差を見せつけています。エクトル・ビドリオ監督も、リーグが再開する今週末の試合にすでに目を向けていたことを認め、リーグ戦に向けてポジショニングなどの確認のために、主力を起用したと話すなど余裕を見せていました。
クダが1stレグで挙げた1点を守って準決勝進出
マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝2ndレグ
2024年7月5日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 0-0 ペナンFC
(通算成績:クダ 1-0 ペナン)
🟨クダ(2)、🟨ペナン(2)
MOM:カラムラー・アル=ハフィズ(クダ・ダルル・アマンFC)
リーグ戦も含めると2週間で3度目の顔合わせとなったこのカードは「北部ダービー」として知られていますが、この試合は両チームとも決め手を欠き、引き分けに終わっています。しかし1stレグを1−0で勝利していたクダが通算成績1−0でペナンを破り、昨年のFAカップでは1回戦で対戦して敗れていた雪辱を果たし、ベスト4に進出しています。
ペナンは、FAカップ1回戦では同じスーパーリーグのスリ・パハンと1−1と引き分けもPK戦で勝ち上がりましたが、その得点力不足は深刻です。FAカップはここまでの3試合で2得点(2失点)、リーグ戦は4試合で1得点(2失点)と苦しんでおり、来週末から再開するスーパーリーグでも苦しい試合を強いられそうです。
トレンガヌが2試合連続のクリーンシートでサバに勝利で2年連続の4強を決める
マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝2ndレグ
2024年7月6日@リカス・タジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 3-0 トレンガヌFC
(通算成績:トレンガヌ 7-0 サバ)
⚽️トレンガヌ:サファウィ・ラシド(10分)、アキヤ・ラシド(43分)、マリン・ピルジ(88分)
🟨トレンガヌ(3)、🟨サバ(1)
MOM:サイド・ナスルルハク(トレンガヌFC)
1stレグではホームで4−0と解消していたトレンガヌ。その1stレグでは新型コロナ感染により指揮を取れなかったトミスラフ・スタインブリュックナー監督が戻ったこの試合では、サファウィ・ラシドが先制ゴールを10分に決めて、反撃したいサバの出鼻をくじきます。さらに前半終了間際にはアキヤ・ラシドのゴールで、トレンガヌがさらにリードを広げます。
後半はより積極的なプレーを見せたサバは、「家庭の事情」によりこの試合を最後に退団し、ブラジルに帰国するFWラモン・マチャドにボールを集めるも、この試合のMOMにも選ばれたトレンガヌGKサイド・ナスルルハクがたびたび好守を見せて、サバに得点を許しません。逆にトレンガヌはマリン・ピルジが駄目押しの3点目を決め、守っては’サイド・ナスルルハクが2試合連続のクリーンシートで快勝しています。
3時間を超える死闘を制したスランゴールがベスト4進出
マレーシアFAカップ2024/25 準々決勝2ndレグ
2024年7月6日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 3-2 クチンシティFC
(通算成績:スランゴール 4-4 クチンシティ、PK:スランゴール5-3クチンシティ)
⚽️スランゴール:ジクリ・カリリ(27分)、アルヴィン・フォルテス2( 39分、90+25分)
⚽️クチンシティ:ヌル・シャミー・イズワン(15分)、アリフ・ハサン(90+26分)
🟨スランゴール(1)、🟨クチンシティ(4)、🟥スランゴール(2):ヨハンドリ・オロスコ、レジク・バニ・ハニ
MOM:アルヴィン・フォルテス(スランゴールFC)
敵地での1stレグを1-2と落としているスランゴールはこの試合では最低でも2点が必要。しかし先制したのはクチンシティでした。15分にジョーダン・ミンターのパスを受けたヌル・シャミー・イズワンが押し込んで、クチンシティが通算成績を3-1とすると、スタジアムの雰囲気が一気に消沈するのが感じられました。しかし27分にジクリ・カリリがゴールを決めて1-1とすると、ホームチームを後押しする1万人を超えるサポーターの声は再び大きくなります。さらに39分に決まったアルヴィン・フォルテスのゴールで、スランゴールは通算成績を3-3として前半を折り返します。
後半に入っても、前半の勢いのままスランゴールが攻め込みますが、63分に照明の一部が消え、さらにVARにも不具合が見つかり試合は20分ほど中断したことで、クチンシティは守備陣を立て直し、スランゴールの猛攻に耐え続けます。
中断もあり20分と長くとられたロスタイムも終わりに近づき、延長戦の雰囲気が漂い始めた90+23分に、チームの司令塔、ヨハンドリ・オロスコがクチンのディエゴ・バッジオ(!)に肘打ちを喰らわせてしまいます。VARのチェックが入った結果、オロスコ選手は一発レッドとなり、スランゴールは10人となってしまいます。このまま延長戦突入かと思われた90+25分、スランゴールは右サイドで粘ったアルヴィン・フォルテスがクチンシティDFをかわしてゴール!スランゴールがついに通算成績を4-3とリードします。
しかし、試合はここで終わりませんでした。クチンシティは左サイドのヌル・シャミー・イズワンからのクロスがゴール前へ。スランゴールGKサミュエル・サマービルは自分の前に落ちそうなボールを体いっぱいに伸ばしてパンチングしますが、このボールがゴール前に詰めていたアリフ・ハサンの足元へ。シュートというよりも自身足に当たったボールはそのまま跳ね返ってゴールに吸い込まれ、90+26分という文字通り土壇場でクチンシティが追いつきます。
延長に入った103分には、スランゴールから再び退場者が出てしまいます。この試合は途中から出場しながらも左サイドでクチンシティDFをたびたび脅かしていたヨルダンU23代表のレジク・バニ・ハニがハイキックで一発退場となり、スランゴールは9人となってしまいます。しかしこの数的有利を生かすことができなかったクチンシティも追加点を奪うことができず、延長戦は0-0で終了し、ついにPK戦に突入します。
スランゴールの先攻で始まったPK戦は、両チーム共に3人目まではゴールを決めたものの、クチンシティは4人目の谷川由来選手の蹴ったボールはゴールポストに当たって失敗に終わると、スランゴールは5人目のハリス・ハイカルが落ち着いて右隅に蹴り込んで、9人のスランゴールがPK戦を5-3で制して準決勝進出を決めています。
この試合はクチンシティサポーターの横、ゴール裏で観戦しました。本拠地のサラワク州クチンからは1000km以上離れたスランゴールのホームで行われたこの試合では、試合前にはサラワク州の州歌を歌ってチームを鼓舞するなど、数は少ないながらも熱いサポーターが印象的でした。クチンシティは今季ここまでのリーグ戦では0勝3分1敗ですが、この試合を見た限りでは、今季リーグ戦初勝利は時間の問題でしょう。なおクチンシティの谷川由来選手は、この試合は先発して、フル出場しています。
一方のスランゴールは、最後は9人で耐えたこの厳しい試合で勝利したことで、特にジクリ・カリリ、ハリス・ハイカルといった若い選手が今後はより自信を持ってプレーできるのではないかと思います。レジク・バニ・ハニもケガから復帰し、ファイサル・ハリム不在ながらも、やはり今季のジョホール追撃の一番手となりそうです。