7月3日のニュース・9月のムルデカ大会出場国が発表:連覇を狙うタジキスタンやアジア杯準優勝のレバノンも・U17代表チームマネージャー「アジアカップに出場できなければ辞任する」・酸攻撃の治療で療養中のファイサル・ハリムの回復状況は95パーセント・スランゴールの19歳MFがFC大阪と契約間近か

9月のムルデカ大会出場国が発表:大会連覇を狙うタジキスタンやアジア杯準優勝のレバノンも出場

マレーシアサッカー協会(FAM)は公式サイト上で、今年9月のFiFA国際マッチカレンダー期間に開催するムルデカ大会の出場4チームを発表しています。

マレーシアの前身マラヤ連邦が1957年に英国から独立したことを記念して始まったムルデカ大会(ムルデカとはマレーシア語で「独立」の意味)は、今回が第43回大会で、9月2日から10日にかけてクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催されます。

今大会に出場するのは、直近のFIFAランキングで135位の大会ホスト、マレーシアの他、昨年の第42回大会優勝のタジキスタン(同102位)、今年1月のアジアカップ2023ではイラク、タジキスタン、韓国を次々と破り、まさかの決勝進出を果たしたレバノン(同117位)、そして東南アジアではFIFAランキングではマレーシアに次ぐフィリピン(同147位)の4ヶ国です。

大会はこの4チームが2組に分かれて準決勝を行い、勝ったチームは決勝へ、敗れたチームは3位/4位決定戦に回ります。

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1974年のミュンヘン、1980年のモスクワとオリンピック2大会連続で出場権を得るほどマレーシアが強かった頃のムルデカ大会は、日本や韓国も代表チームを参加させるアジアでも屈指の国際大会でしたが、マレーシアが弱体化するにつれてアジアの上位国が参加しなくなり、2000年代に入ってからは東南アジアのチーム同士の対戦が中心となり、2013年の41年大会を最後に開催されなくなっていました。

そして10年ぶりに開催されたのが昨年の第42回大会でした。当初はマレーシア、インド、パレスチナ・レバノンが参加予定でしたが、ムルデカ大会出場国が発表になった後に行われたW杯アジア2次予選の組み合わせ抽選でパレスチナとレバノンが同組になると、アジア予選前の対戦を嫌ったレバノンが大会出場を辞退し、代わりにタジキスタンが急遽、出場することになりました。さらに、この年の10月7日にパレスチナの武装組織ハマスがイスラエルに対して行った奇襲攻撃に端を発したイスラエルとハマスの武力衝突により、パレスチナ代表が大会に向けて出国できない事態となり、大会3日前に参加を取り止めています。これにより準決勝でインドを4−2で破ったマレーシアは、パレスチナの不参加による不戦勝で勝ち上がったタジキスタンと決勝で対決し、この時は、マレーシアが0−2で敗れています。

なおこの時期のマレーシアは8月31日のマラヤ連邦(現在の半島部マレーシア)の独立記念日、そしてマレーシア成立を記念する9月16日のマレーシアデーと独立に関する祝日に挟まれており、文字通り「ムルデカ」を祝うムードに包まれます。

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ムルデカ大会参加国発表後に、隣国タイで10月に開催される同様の招待大会「キングズカップ」の出場国も発表されました。そちらは大会ホストのタイ(FIFAランキング100位)、シリア(同97位)に加え、ムルデカ大会にも出場するタジキスタンとフィリピンが参加するようです。

U17代表チームマネージャー「アジアカップに出場できなければ辞任する」

現在、インドネシアで開催中の東南アジアサッカー連盟(AFF)U17選手権は準決勝が終わり、オーストラリアとタイが決勝に進出しています。マレーシアはというと、この両国と同じC組に入ったグループステージで敗退しています。

初戦の東ティモール戦では5-0で勝利し、好スタートを切ったマレーシアでしたが、オーストラリアに0−2と敗れ、タイ相手にはには開始4分で先制しながらも、レッドカードによる退場者を出すと、74分から立て続けに3失点し、1−3で敗れています。

C組首位として準決勝に進出したオーストラリアは、インドネシアを5-3で、また最も成績の良かった2位チームとして準決勝に進出したタイはベトナムを2−1で下して、それぞれ決勝に進出しています。

一方、インドネシアから帰国したU16代表のチームマネージャーを務めたクリストファー・ラジ氏は、帰国後の会見で、今年10月に開催されるAFC U17アジアカップ予選でマレーシアが敗退することがあれば辞任すると発言しています。

「前回2023年のAFC U17アジアカップにはマレーシアU17代表は出場を果たしており、今回のU17代表に同じことができないとは思えない。」と述べたクリストファー氏はは、10月19日から26日かけてラオスで開催されるAFC U17アジアカップ予選で、マレーシアが敗退するようなことがあれば、その責任をとって辞任すると述べています。なお、予選でH組に入ったマレーシアは、ラオスの他、アラブ首長国連邦、レバノンと同組となっています。なお来年4月に開催されるAFC U17アジアカップには、予選10組の1位10チームと、2位のうち成績上位の5チーム、そして開催国のサウジアラビアの16ヶ国が出場します。

酸攻撃の治療で療養中のファイサル・ハリムの回復状況は95パーセント

マレーシアの通信社ブルナマは、5月5日に酸をかけられ、数回の皮膚移植手術などを経て、現在は療養中のファイサル・ハリムについて、現在もフィジオセラピーを受けながらも、軽い運動を始めているという父親アブドル・ハリム氏の話を報じています。

アブドル・ハリム氏によると、回復状況は既に95%ほどで、スランゴールFCをはじめ、多くの支援により順調に回復していると述べています。

「スランゴールFCがチームをあげて、全力で支援してくれていることに感謝したい。(ファイサル選手の)精神状態は良く、現在はピッチに戻ることしか考えていない。」とアブドル・ハリム氏は話しています。また家族の間でも起こってしまったことについては深く考えないようにし、アブドル・ハリム氏自身も息子に起こった事実だけを受け入れるように務めているとも話しています。

スランゴールの19歳MFがFC大阪と契約間近か

マレーシア国内の複数のサッカー専門メディアによると、スランゴールFCの19歳MFムハマド・アブ・カリルがJ3のFC大阪と契約間近であると伝えています。アブ・カリリ選手は現在、FC大阪の練習に参加中で、その際にFC大阪の首脳陣から高い評価を受けた結果、契約が近いうちにオファーされるということです。

昨年1月に国内エリートアカデミーのモクタル・ダハリ・アカデミーからスランゴールFCに加入したムハマド選手は、昨年はスランゴールFCのU23チーム、スランゴールFCIIに所属し、U23リーグのMFLカップではチームの全19試合中16試合に出場し(先発15試合)し、トップチームのスランゴールFCでも1試合(出場5分未満)に出場しています。また今季は5月に開幕したMFLカップの第1節クチンシティFC戦に先発して、フル出場しています。

飛び級でU23代表でもプレーするムハマド選手は、今年4月にカタールで行われたAFC U23アジアカップにもマレーシア代表として出場し、グループリーグ3試合の内、初戦のウズベキスタン戦は後半から出場し、2戦目のベトナム戦は先発するなど2試合に出場しています。

J3には、、Y.S.C.C.横浜にFWルクマン・ハキムも在籍しており、U23代表でもチームメートでもあるマレーシア選手同士がJリーグで対峙する場面が見られるかも知れません。