アンワル首相:ファイサル・ハリムの事件捜査には警察に十分な時間を与えるべき
昨日のこのブログでは、酸をかけられ4度の手術を受けたファイサル・ハリムの記者会見についてのニュースを取り上げましたが、5月5日に起こったこの事件の捜査状況などはほぼ報じられていません。既に事件から1ヶ月以上経過しており、サッカーファンはもとより、一般市民の間でも警察の捜査能力に疑問の声も上がっています。
そんな中、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は連邦直轄地プトラジャで行われた集会で演説し、ファイサル選手への酸による攻撃、そして現在、同様の注目を集めている6歳の自閉症の少年ザイン・レイヤンの虐待死事件など、関心を集めている事件について、警察に徹底的に調査するよう命じていると説明しています。
「私は首相だが、人間でもある。私もなぜこのようなことが起きたのか、どうして子供を虐待し殺害することができるのか知りたい。」
「もし私だけの判断であれば、明日にでも警察に答えを出して欲しいが、調査は適切な手続きを経なければならない。」
「国民が怒っていることも理解している。だからこそ、警察には調査を迅速に進めるよう命じる一方で、適切に行うようにとも伝えている。誤解を避けるためです。誰かが有罪だと感じている人もいるかもしれないが、そのような思い込みや誤解を避けるために慎重な操作が必要だ」と述べたアンワル首相は、警察に時間を与えることを求めています。
*****
またファイサル選手の事件については、多くの政治家が発言していますが、マハティール・モハマド元首相も言及しています。マレーシア語メディアの番組に出演者したマハティール元首相は、ファイサル選手への酸による攻撃について警察は速やかに捜査するよう求めています。これまで起きたことがないようなスポーツへの冒涜だと述べたマハティール元首相は、誰がこの事件の背景にいるのかも徹底的に捜査すべきと述べる一方で、インタビュアーからこの事件がヘイトクライムの可能性を問われると、その可能性も否定できないと述べています。
「残念なことだが(ヘイトクライムは)それほど一般的ではないが、最近、そういった犯罪が起きているのは事実である。また今回の攻撃が卑劣な手段を使って勝利を得ようというものであれば、それは糾弾されなければならない。」ともマハティール首相は述べています。
*****
マハティール元首相がサッカーに興味があるのかどうかはわかりませんが、今回のファイサル選手への攻撃は、元首相クラスが発言を求められるほどの事件であるのは事実です。国内サッカーのファンの大半が人種で言えば、国民の半数以上を占めるマレー人であることも、票欲しさからいっちょ噛みしたい政治家の舌を滑らかにさせているのかも知れません。
FAM:キム監督は2025年末までの契約期間を全うする
マレーシアサッカー協会(FAM)は、キム・パンゴン監督が今後も監督を続けることに全く異議ないことを明らかにしています。なおキム監督は、2026W杯アジア2次予選で敗退した後の記者会見で、まだチームに貢献できるとして、2027AFCアジアカップ3次予選に向けて、今後もマレーシア代表の指揮を取り続けたいと話していました。
第11回FAM総会後に会見したユソフ・マハディFAM副会長は、キム監督との契約がまだ1年残っており、FAM は両当事者間で合意された契約期間を尊重したいと考えていることから、キム氏の代表監督としての地位は依然として保証されていると発表しています。
「これまでのところ、我々(FAM理事会)は代表チーム管理委員会やキム監督本人と監督継続以外の選択について話し合いを行っていない。我々はまずキム監督との契約を来年末まで維持する。」
「言い換えれば、キム監督との契約満了前に行われるあらゆる大会は、キム監督の下で行われることになる」とユソフ・マハディ副会長は述べています。
今後の代表チームは、今年9月のムルデカ大会、同11月の東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」、そして来年3月から始まる2027AFCアジアカップ3次予選が控えています。
FAM:ムルデカ大会ではFIFAランキング上げるためにアジアの格上と対戦
マレーシアサッカー協会(FAM)のノー・アズマン・ラーマン事務局長は、9月に開催を予定しているムルデカ大会について、マレーシアのFIFAランキングを上げるために強豪国を招いて開催したいと述べています。
第11回FAM総会後に記者会見したノー・アズマン事務局長は、先日の2026W杯では2次予選で敗退したマレーシアは、2027AFCアジアカップ3次予選の組み合わせ抽選で現時点ではポット2に入っていることから、ポット1あるいはポット2のチームを招待したいと話しています。なお、マレーシアを含め4チームで争うムルデカ大会に招待するチームは現時点では決定していないと話したノー・アズマン事務局長は、招待状の発送は来月行う予定であるとしています。
現時点でのポット1にはシリア、タジキスタン、タイ、ベトナム、レバノン、インド、またポット2にはマレーシアの他、フィリピン、トルクメニスタン、アフガニスタン、シンガポール、イエメンが入っています。またポット3には香港、台湾、モルジブ、ミャンマー、ネパール、バングラデシュ、ポット4にはブータン、ラオス、パキスタンとプレーオフによる3カ国の枠が割り当てられています。なおこのプレーオフ3枠はカンボジア、スリランカ、マカオ、モンゴル、東ティモール、ブルネイの6カ国の間で争われます。
2027AFCアジアカップ3次予選ではこれらを6組に分けて行われ、各組の1位が2027年1月にサウジアラビアで行われる本戦に出場します。なおこの3次予選は来年3月から再来年2026年3月まで予定されています。
ポット1とポット2に入っているチームでは、昨年2023年10月に行われた前回のムルデカ大会にはタジキスタンとインドが招待されており、この時はマレーシアはインドを破り決勝に進んだものの、タジキスタンに決勝で敗れています。
また同じ記者会見の席上では、ユソフ・マハディ副会長が10月のFIFA国際マッチカレンダーで、上記のポット1あるいはポット2のチームと試合を行う予定であることも明らかにしています。
*****
先日のW杯2次予選の台湾戦後の記者会見で、キム・パンゴン代表監督は2027AFCアジアカップ3次予選の組み合わせ抽選前にポット1に入りたいと話していましたが、それを受けてFIFAランクが上のチームとの対戦し、ポイントを獲得してFIFAランキングを上げることをFAMは計画しているようです。しかしポット1のFIFAランキングが最も低いチームはインドで直近の4月の発表では121位ですが、マレーシアは同138位とまだまだ大きく話されています。今年12月に行われる予定のアジアカップ3次予選までにこの差が果たして詰められるのでしょうか。