2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ<br>第1節の結果とハイライト映像<br>・待望のリーグ開幕も新規導入のVARが5試合中2試合で機能せず

 5月11日から12日にかけて、今季2024/25シーズンのマレーシアスーパーリーグ(MSL)第1節が開催されています。
 5月10日に予定されていたジョホール・ダルル・タジム(JDT)対スランゴールFCの試合は、その数日前に酸をかけられる事件にあったファイサル・ハリム所属のスランゴールFCが「安全上の理由」で試合の延期を求めたものの、MSLを主催するマレーシアン・フットボール・リーグ(MFL)がこれを拒否。スランゴールFCは結局、試合出場を辞退したためこの試合は中止となり、JDTが3−0での勝利と勝点3を獲得する事態となっています。
 なお今季のMSLは13チームで編成されており、第1節は佐々木匠選手が所属するヌグリスンビランFCの試合はありませんでした。
(試合のハイライト映像は全てMFLの公式YouTubeチャンネルから)

MSL2024/25第1節
2024年5月11日@MBSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 0-1 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️クダ:シャフィク・アフマド(1分)
🟨PDRM(0)、🟨クダ(1)
MOM:シャフィク・アフマド(クダ・ダルル・アマンFC)

 前日のJDT対スランゴールFCが中止となり、図らずとも今季のリーグ開幕戦となったこの試合は、開始1分で先制したクダ・ダルル・アマンFC(クダFC)がその1点を守り切って今季初勝利を挙げています。
 クダFCは、昨季の給料未払い問題の解決が遅れ、今季開幕前に勝点3を剥奪される処分を科せられています。さらに今季の胸スポンサー予定だった企業がスポンサー契約を解除したことで、この試合はプレシーズンユニを着て試合に臨み、さらマレー半島北部にあるクダ州から400kmをバスで移動するなど開幕からいきなり資金不足の様相を呈しています。
 この試合はスタジアムで観戦しましたが、開始30秒(記録上は開始1分)に左サイドのMFソニー・ノルデから出たクロスをFWシャフィク・アフマドがダイレクトでオールへ蹴り込んでクダFCが先制しました。クダFCのリードで前半を折り返すと、試合開始から降り続いていた雨は後半に入ると激しくなり、ピッチ上には水が浮き、ボールが止まってしまう場面も多くなるなど試合展開は停滞し、開始1分のゴールであげた1点でクダFCが逃げ切り、第1節ではやくも勝点を0に戻しています。
 PDRM FCは新加入のイフェダヨ・オモスイと鈴木ブルーノのツートップになかなかボールが繋がらず、後半はシャーレル・フィクリを投入してFW3枚で同点を狙いましたが、劣悪なピッチの状況もあり、チャンスを作ることもほとんどできませんでした。
 PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発してフル出場しています。

MSL2024/25第1節
2024年5月11日@MPTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンFC 1-0 クランタン・ダルル・ナイムFC
⚽️パハン:マヌエル・イダルゴ(64分)
🟨パハン(0)、🟨クランタン(1)
MOM:マヌエル・イダルゴ(クダ・ダルル・アマンFC)

 代表のキム・パンゴン監督が観戦に訪れたことが報じられたこの試合は、本来の本拠地であるダルル・マクモル・スタジアムのピッチ張り替えが決まったことで、本来のホームからおよそ140km離れたMPTスタジアムで開催されています。
 試合はJDTから期限移籍中のマヌエル・イダルゴがゴール正面で得たフリーキックを直接ゴールインさせたスリ・パハンが虎の子の1点を守り切って勝利しています。
 代表のキム・パンゴン監督が観戦に訪れたことが報じられたこの試合は、本来の本拠地であるダルル・マクモル・スタジアムのピッチ張り替えが決まったことで、本来のホームからおよそ140km離れたMPTスタジアムで開催されています。
 試合はJDTから期限移籍中のマヌエル・イダルゴがゴール正面で得たフリーキックを直接ゴールインさせたスリ・パハンが虎の子の1点を守り切って勝利しています。 
 またこの試合は、技術的なトラブルからVARが使用できなかったようで、VAR導入初年度の第1節に聞くには不安なニュースです。

MSL2024/25第1節
2024年5月11日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 3-1 ペラFC
⚽️トレンガヌ:ヌリーロ・トゥクタシノフ(6分)、シヴァン・ピレイ(67分OG)、チュクゥウ・ナブイケ(81分)
⚽️ペラ:ルチアーノ・グアイコチェア(61分PK)
🟨トレンガヌ(2)、🟨ペラ(1)、🟥ペラ(1):ルイス・エンリケ・モッタ
MOM:ヌリーロ・トゥクタシノフ(トレンガヌFC)

 ホームのトレンガヌFCがペラFCに一度は追い付かれたもののを、相手のOGなどもあり今季初勝利を挙げています。
 5月3日に強盗傷害事件で頭を4針縫うケガを負ったアキヤ・ラシド、さらには昨季のチーム得点王イヴァン・マムートなど主力4名を欠いたトレンガヌFCは、昨季は1ゴールのヌリーロ・トゥクタシノフがペナルティーエリアの外がゴールを決めて先制します。
 トレンガヌFCが1点のリードを保って前半を折り返すと、後半の61分にはトレンガヌFCのマヌエル・オットがペラの10番、FWイ・テミンをペナルティエリアで倒してPKを与えてしまいます。これをルチアーノ・グアイコチェアが決めてペラFCは同点に追いつきますが、その6分後にはシヴァン・ピレイのOGで失点、さらに昨季在籍したPDRMのU23チームでは、U23リーグのMFLカップでリーグ2位の16ゴールを挙げているチュクゥウ・ナブイケに3点目のゴールを許して敗れています。

MSL2024/25第1節
2024年5月12日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 0-0 ペナンFC
🟨サバ(1)、🟨ペナン(1)
MOM:ラファエル・ヴィトール(ペナンFC)

 プレシーズンマッチでケガを負い、出場が危ぶまれていたラモン・マチャドとサディル・ラムダニのFWコンビが先発XIに名を連ねたサバFCは、シュート数でもペナンFCno5本(枠内1本)に対して15本(同6本)と優位に試合を進めながら、ホームでスコアレスドローに終わっています。
 なおこの試合も前日のスリ・パハンFC対クランタン・ダルル・ナイムFC同様、「技術的な理由」でVARの使用ができなかったようです。

MSL2024/25第1節
2024年5月12日@KLフットボール・スタジアム
KLシティFC 1~1 クチンシティFC
⚽️KLシティ:パウロ・ジョズエ(12分)
⚽️クチンシティ:ペドロ・エンリケ(19分)
🟨KLシティ(0)、🟨クチンシティ(2)、🟥KLシティ(1):アドリアン・ルドヴィッチ
MOM:ブレンダン・ガン(KLシティFC)

 KLシティFCは、12分に先制ゴールを決めたパウロ・ジョズエが代表でチームメートのファイサル・ハリムの得点後のパフォーマンスを真似てみせるなど、良い雰囲気でスタートします。その直後にはクチンシティFCもゴール前の混戦から谷川由来選手のゴールで追いついたかと思われましたが、VARのチェックが入り、このゴールは認められません。それでも19分にペドロ・エンリケのゴールでクチンシティが同点に追いつきます。
 その後は両チームともゴールを挙げることができず引き分けていますが、KLシティでは新加入の高速ウィング、ジョヴァン・モティカ、クチンシティではチェチェ・キプレ、ジョーダン・ミンターのFWコンビ、そして「未完の大器」ダニエル・アミールが次戦以降に期待を持たせるプレーを見せた試合でした。
 クチンシティFCの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第1節終了)

順位チーム勝点
1JDT13100303
2TRE13100312
3SRP13100101
4KLC110101 10
5KCH11010110
6SAB11010000
7PEN11010000
8KDA*10100101
9NSE00000000
10PDRM1000101-1
11KDN1000101-1
12PRK1000131-2
13SEL1000103-3
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは開幕前に勝点3剥奪処分を受けています。