1月31日のニュース(2)
MFLが2024/25シーズンの変更点を発表
当初の予定より1週間遅れて今季は5月10日に開幕
外国籍選手枠は1増で4+1+1と6人同時にピッチ上でプレーが可能に
19年ぶり復活のアセアンクラブチャンピオンシップは昨季リーグ3位のサバと4位のクダに出場権

マレーシアスーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、春秋制から秋春制への移行第1段階となる2024/25シーズンについて、新たな変更点を公式サイト上で発表しています。

今季の開幕が当初の予定より1週間遅れて5月10日に

今季からスーパーリーグにいよいよビデオ・アシスタント・レフリー(VAR)が導入されることは既に発表されていましたが、2月に国際サッカー連盟(FIFA)が予定していたVARシステムの査察日が、2ヶ月遅れて4月16日から21日に変更されたことを受け、MFLは今季の開幕第1節を5月3日〜5日から1週間遅い5月10日〜12日とすると発表しています。

今回の発表によると、2024年4月22日〜5月5日まで開催されるマレーシアスーパーリーグのクラブが参加する一連のVARテストマッチは、マレーシアサッカー協会(FAM)がFIFAによる査察後に承認を得た後、実施されるということです。

「今季のマレーシアリーグで使用されるVARシステムはVARカーのコンセプトに基づいており、一連のテストマッチはMFLにとってVARカーの安定性、堅牢性、耐久性をテストするために重要である。」

「さらに試合会場までのVARカーの移動、放送管理、関係者やチームへの周知、さらには試合会場設備の準備レベルをテストするためにも重要である。」

またMFLは現在、一連のVARテストマッチに関して各クラブと協議を行っており、詳細が決まり次第発表されるとしています。

外国籍枠は1枠増えて4+1+1と6人同時にピッチ上でプレーが可能に

AFCは2024/25シーズンから主催するACLなどクラブ大会で外国人選手枠を撤廃することを発表していますが、MFLはAFCの外国籍選手枠完全撤廃には追従しないことを発表しています。その代わりとして、MFLは昨季同様、各クラブに最大で9名の外国籍選手の登録を認め、ACLエリート、ACL2のAFCクラブ大会および東南アジアサッカー連盟AFFのアセアンクラブチャンピオンシップに出場するクラブにのみ、さらに追加で1名の外国籍選手の登録を許可することも発表しています。

さらに国内リーグやカップ戦の出場選手枠について「いくつかのMFLクラブからの要請を受け、他のMFLクラブからの承認を得た結果」、今季は同時にピッチ上に立つことができる外国籍選手を6名(国籍を問わない外国籍選手4+アジア枠1+東南アジア枠1)とし、さらに外国籍選手もう1名がベンチ入り可能になることも明らかにしています 。

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資金力のあるクラブはより多くの外国籍選手と契約できる今回の変更で、クラブ間格差がより広がり、マレーシア人選手の出場機会がより少なくなるのは明らかですが、さらにより多くのクラブが「ハイブリッド帰化選手」(マレーシア国外で生まれ育ちながら、祖父母や父母がマレーシア人であることからマレーシア国籍を取得する帰化選手)の獲得により積極的に動く可能性もあり、マレーシアで生まれ育った選手にとって今季はこれまで以上に出場機会を得るのが難しくなりそうです。

また身の丈に合わない経営で外国籍選手を補強して給料未払い問題を起こしたクランタンFCの様なクラブが今季こそは出ないことを祈りたいです。

FAカップは準々決勝と準決勝のみホームアンドアウェイで開催

今季は5月開幕、来年4月閉幕と試合可能な期間が延びたことにより、MFLは国内カップ戦の一つ、FAカップについてベスト16は1発勝負、準々決勝と準決勝はホームアンドアウェイ、そして決勝は従来通り一発勝負とすることも発表しています。

注)なおMFLは、今季のFAカップについてスーパーリーグのクラブと3部にあたるM3リーグの2チームが出場すると発表していますが、給料未払い問題が未解決であることからクランタンFCは今季のスーパーリーグ出場資格を失っており、現在、スーパーリーグは13チームとなっています。スーパーリーグの14番目のチームをM3リーグのクラブの中から審査のみで昇格させる話は出ていますが、今のところ具体的な進展はありません。

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カップ戦の醍醐味は何といっても「ジャイキリ」。国内で無敵を誇るジョホールでも、一発勝負なら足元を救われる可能性があります。観客動員や入場料収入を考えればホームアンドアウェイ方式を採用したいのも理解はできますが、ここは本家のFAカップ同様に完全一発勝負方式にして盛り上げれば良いのになぁ。またかつては4部のクラブにも門戸が開かれていましたが、コロナ禍を理由にスタジアムを持たないクラブの参加ができなくなったFAカップですが、こちらも本家同様、国内のクラブに全てに大会を開放し、MFLクラブだけでなく、M3リーグが所属するアマチュアフットボールリーグAFLのクラブにも門戸を開いて欲しかった。

U23チームによるMFLカップは1リーグ方式に変更

2部プレミアリーグを改変する形で昨季から始まったU23チームのリーグ戦、MFLカップは、昨季の2リーグ方式から、1リーグ方式に変更することもMFLは発表しています。この変更は、選手により多くの出場機会を提供し、U23やそれ以下の年代の選手のトップリーグへの準備と露出を増やすというクラブの要望にMFLが応えたものだとしています。

さらにMFLカップの競争力と強度を高めるため、オーバーエイジ選手と外国人選手の出場枠も変更され、外国人選手は最大3名まで出場可能となる他、同時にピッチ上に2人のオーバーエイジ選手の出場が可能になるということです。

19年ぶり復活のアセアンクラブチャンピオンシップは昨季リーグ3位のサバと4位のクダに出場権

シンガポールのタンピネス・ローヴァーズFCとパハンFA(当時、現スリ・パハンFC)による決勝戦が行われた第2回大会となった2005年大会を最後に開催されていなかったAFFアセアンクラブチャンピオンシップは、2022年、翌2023年と開催の話が上がったものの実現していませんでした。なお、MFLはサバFCとクダ・ダルル・アマンFCに出場権を与えることをAFFに通知済みということですが、AFFからはまだ回答を受け取っていないということです。

またMFLは、2005年以来の19年ぶりに開催される東南アジアサッカー連盟AFFアセアンクラブチャンピオンシップの出場権を、昨季3位のサバFCと4位のクダ・ダルル・アマンFCに与えることも発表しています。

1月31日のニュース
3月のW杯予選でマレーシアと対戦するオマーンが監督解任
元U16代表監督-帰化プログラムは終了するべき
インドネシア代表落選のサディル・ラムダニがイメチェンしてサバFCのトレーニングに復帰
代表監督の采配を批判した女子代表選手を協会が事情聴取

昨日のアジアカップ2023ベスト16では、東南アジアのチームとして最後まで残っていたタイがウズベキスタンに敗れて、東南アジア勢はベスト8へコマを進めることができませんでした。マレーシアのナズミ・ナサルディン氏が主審を務めたこの試合は、石井正忠監督率いるタイが先制を許すものの一時はスパチョーク・サラチャートの素晴らしいゴールで追いつきますが、再び逆転を許して敗れています。

また日本人監督といえば、シンガポール代表の西ケ谷隆之監督の解任をシンガポールサッカー協会(FAS)が1月29日に発表しました。同じ日本人の吉田達磨監督(現Jリーグ徳島監督)を引き継ぐ形で2022年4月に就任した西ケ谷監督は、8勝5分8敗の成績を残していますが、韓国、中国、タイと同組のFIFAワールドカップ2026年大会予選では、韓国に0-5、タイに1-3と敗れています。FASは解任の理由として「代表チームの最近のパフォーマンスと結果は期待を下回っている」ことを挙げています。突然とも家のこの時期の発表で宇賀、自国が0-5で敗れた韓国が、シンガポールのライバルであるマレーシアと3-3で引き分けたことも影響しているかも知れません。

3月のW杯予選でマレーシアと対戦するオマーンが監督解任

AFCアジアカップ2023ではサウジアラビア、タイ、キルギスと同じF組に入り3位となったものの、ベスト16入りを逃したオマーン。これを受けてオマーンサッカー連盟がクロアチア出身のブランコ・イワンコヴィッチ監督を解任することを公式SNSで発表しています。

2020年1月に4年契約を結んでいた69歳のイワンコヴィッチ監督は、中国1部の山東泰山やイラン1部ペルセポリスFC、サウジアラビア1部のアル・アハリFCなどの監督を歴任、またイラン代表監督の経験もある他、オマーン代表監督としては昨年2023年に開催されたガルフカップで2大会ぶりにチームを決勝に導いています。この解任を報じたオマーンの英語メディアであるタイムズオブオマーンによるとイワンコヴィッチ監督はオマーン監督としての戦績は、46試合で22勝10分14敗ということです。

今回のアジアカップでは、オマーンはタイとは0-0、キルギスとは1-1でそれぞれ引き分け、サウジアラビアには1-2と敗れ、ベスト16に進めませんでした。特に最終第3節ではFIFAランキング74位のオマーンは同98位のキルギスに勝てば自力でのベスト16進出を決めることができるチャンスがあったにもかかわらず80分に同点とされ、そのまま引き分けています。

マレーシアは3月に再開されるFIFAワールドカップ2026大会アジア2次予選で、3月21日にはアウェイで、また3月26日にはホームでオマーンと対戦しますが、この監督交代が

元U16代表監督-帰化プログラムは終了するべき

マレーシア代表のアジアカップ2023最終戦となった韓国戦では、パウロ・ジョズエからのパスを受けたロメル・モラレスが同点ゴールを決めて引き分けに持ち込む活躍を見せました。いずれもKLシティFCでプレーするジョズエ選手はブラジル出身、モラレス選手はコロンビア出身で、ともにマレーシアリーグで5年連続でプレーしたことにより、マレーシア国籍を取得して代表入りした選手です。

しかし国家サッカー選手育成プログラム(NFDP)の元テクニカルディレクターで、元U16代表監督も務めたリム・テオンキム氏は、帰化選手プログラムを中止するべきと主張しています。

スポーツ専門サイトのアストロ・アリーナとのインタビューで、リム氏は、このプログラムによってマレーシア人選手が国際舞台で活躍する機会が失われていると述べています。「マレーシアサッカーにとってこのプログラムは良い方策とは思えない。」と述べて、ドイツやイタリアなど欧州各国代表チームの状況を見ればそれが一目瞭然だとしています。

「ドイツ代表は現在、欧州の代表チームの中で低迷している。かつてはワールドカップで優勝しているのに、なぜこの様な深刻な問題に直面しているのか。」バイエルン・ミュンヘンのユースチームのコーチを10年以上務めたリム氏によれば、その理由はドイツサッカー界でプレーする地元選手の不足が原因だとしています。

一方、マレーシア代表として180試合に出場、78ゴールを挙げているマレーシアサッカー界のレジェンド、ザイナル・アビディン・ハッサン氏は、外国籍選手に依存するのではなく、育成プログラムにより力を入れる時期だと述べています。

「今回のアジアカップでは、帰化選手とマレーシア人選手の融合が成果をもたらしたのは事実だが、今後も質の高い帰化選手を獲得できるかどうかは分からない。」と述べ、今こそが草の根からの育成プログラムを強化して、より多くのマレーシア人選手を育てる時期だと主張しています。

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このブログでも何度か取り上げましたが、今回のアジアカップに出場したマレーシア代表26名中、ジョズエ、モラレス両選手の他にも同様の帰化選手としてブラジル出身のMFエンドリック・ドス・サントス(ジョホール)、ガンビア出身のMFモハマドゥ・スマレ(ジョホール)がおり、いわゆる「ルーツを持たない」帰化選手は全員で4名となっています。また国外で生まれ育ちながらマレーシア人の親や祖父母を持つことからマレーシア国籍を得た「ルーツを持つ」選手(マレーシア国内ではハイブリッド帰化選手あるいはレガシー帰化選手と呼ばれています)も10名おり。初戦のヨルダン戦では幾何選手とハイブリッド帰化選手合わせて7名が、2戦目のバーレーン戦では6名が、そして最終戦となった韓国戦では7名が先発XIに名を連ねており、今やマレーシア代表は帰化選手なしでは成り立たない状況になっています。

インドネシア代表落選のサディル・ラムダニがイメチェンしてサバFCのトレーニングに復帰

アジアカップでは、チーム史上初となるベスト16進出を果たしたものの、オーストラリアに0-4で敗れたインドネシア代表。その大会直前に代表落ちしたサディル・ラムダニが所属するマレーシアスーパーリーグのサバFCの練習に復帰したと、スポーツ専門サイトのスタジアム・アストロが伝えています。

銀髪に染めて短く刈り込んだ新しい髪型で現れたサディル選手は、2月13日にAFCカップ東南アジア地区準決勝でオーストラリアのマッカーサーFCとの対戦を控えたサバFCのトレーニングのため、サバ州のコタ・キナバルに戻っています。(左が昨シーズン、右が現在のサディル選手)

サディル選手はアジアカップ直前に行われたシリアやイランとの練習試合のも出場していましたが、大会直前で代表から外れただけでなく、代わりに召集されたのが昨年は代表戦出場がなかった選手だったこともあり物議を醸していました。さらにその後、インドネシア代表のシン・テヨン監督がパフォーマンス、態度、規律の側面を重視した結果、サディル選手が落選した、と代表チームのマネジャーが発言していました。

代表監督の采配を批判した女子代表選手を協会が事情聴取

マレーシアサッカー協会(FAM)は女子代表でプレーするインタン・サラー選手(写真下)の事情聴取を行うと、マレーシア語紙ブリタ・ハリアンが報じています。

インタン選手はアジアカップ2023のグループステージE組第3節の韓国対マレーシア戦で、キム・パンゴン監督が後半28分にダレン・ロックに代えてパウロ・ジョズエを起用した際と、ロスタイムにブレンダン・ガンに代えてロメル・モラレスを投入した際にそれぞれ「馬鹿げた選手起用だ」「再び馬鹿げた後退だ。サファウィ・ラシドを出すべきだ」などと選手交代を非難する内容を自身のSNSに投稿しましたが、それが拡散した結果、批判を受けていました。

FAMのノー・アズマン・ラーマン事務局長は、女子マレーシア代表選手としてその様な投稿をSNSに行うべきではなかったとして、本人から事情を聞いた上で、場合によっては処分が下される可能性があることを明らかにしています。

北米のアマチュアリーグ、女子プレミアサッカーリーグのニューヨークダッチライオンズFCでプレーする23歳のインタン選手は、昨年の東南アジア競技大会通称シーゲームズにマレーシア女子代表として出場し、ミャンマー戦ではゴールを決めています。

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インタン選手が批判したジョズエ選手からモラレス選手へパスが渡って同点ゴールを決めると、今度は「キム監督は賢い。だから自分は代表監督でないんだ。」と手のひらを返す様な投稿をした結果、炎上に油を注ぐ様な形になり、それらの投稿は現在は削除されています。

さらにインタン選手は、アジアカップから代表チームとともにマレーシアに戻ったキム監督に詫びるためにクアラルンプール国際空港へ足を運び、直接キム監督に謝罪し、キム監督とのツーショットを自身のSNSにもアップしています。