マレーシアカップ
準々決勝セカンドレグ結果とハイライト映像(1)-ジョホールがベスト4進出を決める

ACLとAFCカップによるリーグ中断期間が終わり、マレーシアでは今週末にかけてマレーシアカップ準々決勝セカンドレグが行われています。このブログでも何度か書いていますが、元は各州代表チームの対抗戦という形で始まったマレーシアサッカーの歴史を反映して、リーグ戦以上にマレーシア国内が盛り上がるのがこのマレーシアカップです。昨年はジョホール・ダルル・タジムが優勝していますが、マレーシアカップは2013年、2014年に優勝したパハンFA(現スリ・パハンFC)以来、連覇するチームが出ておらず、ジョホールが連覇するかどうかにも注目が集まる中、そのジョホールは順当に準決勝進出を決めています。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグMFLの公式YouTubeチャンネルより)

マレーシアカップ2023準々決勝セカンドレグ
2023年9月23日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:10,561人
ジョホール・ダルル・タジム 4-1 ヌグリスンビラン
(通算成績:ジョホール・ダルル・タジム 7-1 ヌグリスンビラン)
⚽️ジョホール:ベルグソン・ダ・シルヴァ2(6分、11分)、フアン・ムニス(29分)、フェルナンド・フォレスティエリ(90+1分)
⚽️ヌグリスンビラン:ザムリ・ピン(39分)
🟨ジョホール(0)
🟨ヌグリスンビラン(2):ザムリ・ピン、ハリズ・カマルディン
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ジョホール・ダルル・タジム)

今季は既にFAカップに優勝し、リーグ戦も次節には優勝が決定する可能性があるジョホールが、マレーシアカップでも準決勝進出を決めて、2季連続の国内三冠に近づいています。

ACLの川崎フロンターレ戦から中3日となったこの試合は、その川崎戦の先発XIからはFWベルグソン・ダ・シルヴァ、MFフアン・ムニスとホン・ワン以外の8名を入れ替える大幅なローテーションを行なったエステバン・ソラリ監督。しかし、結果を出したのはベルグソン、ムニスの両選手でした。

ファーストレグを終えて通算成績では既に3-0とリードしているジョホールですが、ACLでの敗戦の鬱憤を晴らすかのように試合開始から積極に攻め、早くも6分には右サイドのフアン・ムニスからのクロスにベルグソン・ダ・シルヴァがダイビングヘッドで合わせてゴール!ベルグソン選手にとっては2021年3月21日のUITM FC戦でゴールを決めて以来、ジョホールでの通算100得点目となるゴールでこの試合もジョホールが先制します。

さらにその5分後にも、右サイドからのムニス選手のフリーキックに再びベルグソン選手が頭で合わせて通算101点目のゴールを決めると、29分にはムニス選手がペナルティエリアの正面から直接フリーキックを決めて、ジョホールは開始30分で3-0とします。その後もジョホールは攻撃の手を緩めず狭続けるものの得点には至らず、一方のヌグリスンビランは39分にザムリ・ピンのゴールで1点を返しますが、前半は3-1とジョホールがリードして終了します。

前半を終えて通算成績を6-1としたジョホールのソラリ監督は、ハットトリックの期待もかかったベルグソン選手に代えてジオゴを、さらにムニス選手に代えてフェルナンド・フォレスティエリを起用します。ケガのためベンチ外が続いていたフォレスティエリ選手にとっては7月14日以来およそ2ヶ月ぶりとなる試合出場でしたが、後半終了間際のロスタイムにはジオゴ選手からのパスを受けたフォレスティエリ選手がゴールを決めて、完全復帰を印象付けています。

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この試合の2ゴールで、ジョホールでの通算101ゴールを挙げたベルグソン選手は、通算92試合出場で1試合1ゴール以上を挙げている計算になりますが、101ゴールの内訳はリーグ戦で67ゴール、マレーシアカップで22ゴール、FAカップで6ゴールそしてACLでも6ゴールとなっています。

この試合のハイライト映像。MFLの公式YouTubeチャンネルより。

9月24日のニュース
最新のFIFAランキング発表-マレーシアは2つ順位を上げて134位
U23代表のエラヴァラサン監督が辞任
U23代表新監督候補にキム・ドンジン傑志FC TDらの名前が浮上
サウジアラビア遠征中の女子代表は2試合連続スコアレスドロー

最新のFIFAランキング発表-マレーシアは2つ順位を上げて134位

最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回7月20日発表時の136位から2つ順位を上げて134位となっています。この134位というランキングは、2015年に123位となって以来、近年の最高位です。

マレーシアは今月のFIFA国際マッチカレンダーではいずれも格上のランキング93位のシリアとは2-2、80位の中国とは1-1といずれも引き分けており、通算獲得ポイントが前回発表時の1091.57から3.33ポイント増えた1094.9となっています。(ランキングはいずれも対戦時)

マレーシアの134位というランキングはアジアサッカー連盟AFC内では24位で、AFCの1位は日本(全体19位)で、以下2位イラン(同21位)、3位韓国(同26位)と続いていいます。また、東南アジアサッカー連盟内ではベトナム(95位-前回95位)、タイ(112位-同113位)、フィリピン(132位-同135位)に続く4位となっています。

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マレーシアサッカー協会FAMはマレーシア代表のFIFAランキングトップ100入りを目指していますが、今回発表されたランキング100位のカザフスタンの獲得ポイントは1206.94で、マレーシアとは112.04の差があります。前述のように今月のFIFAデイズでランキング上位の2チームとの引き分けて3.33ポイントを獲得したマレーシアですが、112.04ポイントを獲得するためには、単純計算でもランキング上位チームと34試合の引き分けが必要です。現状では東南アジアの2強、ベトナムとタイの壁を超えることにすら苦しんでいるマレーシアにとっては100位以内への道のりはまだまだ遠そうです。

U23代表のエラヴァラサン監督が辞任

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、U23代表監督を務めていたE・エラヴァラサン氏がその職を辞任し、A代表のコーチに専念することを発表しています。それれまでU23代表監督を務めていたブラッド・マロニー氏(現オーストラリアU17代表監督)が12試合で4勝3分7敗の成績を残して任期満了で退任すると、A代表とU23代表の連携を考慮したFAMが、A代表キム・パンゴン監督のもとでコーチを務めていたエラヴァラサン氏を2022年9月1日にA代表コーチと兼任でU23代表監督に任命しました。

今年61歳のエラヴァラサン氏が監督就任後のU23代表(就任時はU22代表)は、今年3月にシンガポールで開催された4カ国出場のマーラインオンカップでカンボジアU22、そして香港U22代表を破って優勝しましたが、5月の東南アジア競技大会通称シーゲームズではベトナム、タイと同組となったグループステージを突破できずに敗退、さらに6月の東南アジアサッカー連盟AFF選手権では準決勝に進出したものの、そこでベトナムに1-4と大敗しています。また今月にタイで行われたAFC U23アジアカップ予選ではグループステージでタイに敗れてグループ1位での予選突破は逃したものの、各組2位の上位4チームが出場権を得られる中で4番目のチームとしてアジアカップ出場権を獲得しています。

FAMの発表によると、このU23アジアカップ予選終了後にエラヴァラサン氏とFAMのハミディン・アミン会長の間で今後のU23代表の強化方針について話し合いが持たれた際に、エラヴァラサン氏からはA代表コーチの職に専念したい希望が出された他、来年2024年にカタールで開催されるU23アジアカップに向けては自分以外の人物を監督に起用して欲しい旨の発言があったということです。

なおFAMによるとエラヴァラサン氏の後任については、これから人選が行われるということです。

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このブログでもAFC U23アジアカップ予選後に、多くのファンからエラヴァラサン氏に批判が集まっただけでなく、解任要求も出ていることは紹介しましたが、FAMもその声に対してエラヴァラサン氏を守る声明を発表することもなく、監督交代はFAMの既定路線でもあるように見えました。U23代表強化には時間がかかることを繰り返して述べていたエラヴァラサン氏ですが、好成績を収めているA代表に執着し、各年代代表の強化を疎かにしているようにも見えるFAMにエラヴァラサン氏が嫌気をさした、とも思える辞任劇です。

U23代表新監督候補にキム・ドンジン傑志FC TDらの名前が浮上

上の記事でも取り上げたように、AFC U23アジアカップの出場権を獲得しながら、国内ファンからは指導力に疑問の声が上がるなどした結果、E・エラヴァラサン氏がU23代表監督を辞任しましたが、空席となったU23代表監督候補に複数の名前が上がっていると英字紙スターが報じています。

この記事によると、U23代表監督後任の有力候補の1人が現在は香港1部リーグの傑志FCでテクニカルディレクター(TD)兼コーチを務めている韓国出身のキム・ドンジン氏ということです。キム・ドンジン氏は、マレーシア代表のキム・パンゴン監督が2008年から2017年まで香港1部のサウスチャイナFCや香港U23代表、そして香港代表の監督などを歴任していた際にを務めていた際にキム・パンゴン監督のもとでコーチを務めていたことがあることから、キム・ドンジン氏を有力候補としています。

この他には、かつてはMリーグのフェルダ・ユナイテッドFC(現在は解散)で監督を務めていたスランゴールFCのニザム・ジャミル コーチ、クダFCのナフジ・ザイン監督、そしてU23代表のトーレス・ガリド コーチらの名前も記事の中では挙げられています。

サウジアラビア遠征中の女子代表は2試合連続スコアレスドロー

サウジアラビアのタイフで開催中のサウジアラビアサッカー協会SAFF主催の国際大会に出場中のマレーシア女子代表は、パキスタン女子代表と対戦し、0-0で引き分けています。グループステージ二試合目となったこの試合では、FIFAランキング89位のマレーシア女子代表は同157位のパキスタンと引き分けており、初戦となった同172位のサウジアラビアとの0-0に続いて、2試合連続でスコアレスドローとなっています。

試合後にメディアの取材に答えたソリーン・アル=ズウビ監督は、チームの状態は初戦のサウジアラビア戦よりは改善され、試合では主導権を握っていたと話す一方で、FWを中心に得点につながる攻撃力が不十分だとして、これを改善点に上げています。

ラオス(FIFAランキング87位)、レバノン(FIFA同137位)、ブータン(同169位)も出場しているこの大会は、3チームずつに分かれたグループステージの勝者が準決勝に進みますが、マレーシアが入っているA組は、マレーシアが2分、パキスタンとサウジアラビアが1分となっており、今日9月24日行われるパキスタン対サウジアラビアの結果によって、マレーシアが準決勝に進出できるかどうかが決まります。