6月25日のニュース
クランタンに今季3人目の監督が就任
上位チームに連勝中のPDRMがアズミ・アジズ監督を「休養」に
M3リーグ-BRM FCがシーズン半ばでリーグ

今日6月25日はマレーシアFAカップ準決勝、ジョホール・ダルル・タジム対スランゴール、トレンガヌ対KLシティの2試合が予定されています。特に注目はリーグ9連覇中の王者ジョホールと、このジョホールが台頭するまでは王者としてリーグに君臨してきたスランゴールとの一戦です。近年はジョホールが圧倒的な力を見せ、今季もリーグ戦ではジョホールがスランゴールを4-0と一蹴してはいるものの、両チームの選手はもちろん、お互いのサポーターもプライドを賭けた激しい試合になることが予想されています。
 またもう1試合のトレンガヌ対KLシティはトレンガヌのホームであるスルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアムで開催されますが、トレンガヌ州警察はこの試合に400名の警官を動員して不測の事態に備えると発表しています。

クランタンに今季3人目の監督が就任

今季ここまで1勝1分12敗で最下位となっているクランタンが、アルゼンチン出身のアンヘル・アルフレッド・ベラ新監督の就任をチーム公式SNSで発表しています。ベラ新監督はインドネシアリーグの現役時代はインドネシアリーグでもプレーし、引退後はインドネシアの複数のクラブで監督を務め、昨季は1部リーグのペルシタ・タンゲランを指揮して9位(18チーム中)の成績を収めています。

プルシプラ・ジャヤプラやペルスバヤ・スラバヤなどでの監督経験もあるベラ監督は、元大分で韓国出身のチェ・ムンシク、元マレーシアU23代表監督でドイツ出身のフランク・バーンハート両氏の解任を受けて、クランタンの今季3人目の監督に就任しました。

上位チームに連勝中のPDRMがアズミ・アジズ監督を「休養」に

最下位に沈むクランタンの監督交代は理解できますが、こちらは全く理解不可能な監督人事が行われています。リーグ前半戦はスランゴール、クダ、サバのリーグ上位チームを破り、リーグの台風の目となっているPDRMが6勝1分7敗の成績を収めたアジズ・アズミ監督を休養させています。なお、英字紙ニューストレイトタイムズによると、アジズ氏自身もその理由を説明されないまま、突然「休養」を言い渡されたということです。なお後任にはコーチのエディ・ガピルが監督代行として指名されています。

昨季は2部プレミアリーグで6位だったPDRMはマレーシア王立警察を母体とするチームで、今季のリーグ改編に伴い1部スーパーリーグへ昇格しています。鈴木ブルーノ選手がチームトップの4ゴールを挙げているPDRMですが、これまでの6勝には現在2位のスランゴール、4位のクダ・ダルル・アマン、5位のサバといった上位チーム相手の勝利も含まれており、この成績を残している監督「休養」については全く疑問ですが、同じ時期にマレーシア王立警察の警察庁長官も交代していることから、これと関連する監督交代などもSNS上では指摘されていますが、真偽は全く不明です。

M3リーグ-BRM FCがシーズン半ばでリーグ脱退

マレーシアリーグ(Mリーグ)3部に当たるM3リーグを運営するアマチュアフットボールリーグ(AFL)はリーグ公式Facebookで、BRM FCがM3リーグへの残り試合について出場を辞退したことを発表しています。

AFLはユソフ・マハディ会長名でおこなれた投稿で、6月19日にから出場辞退する旨を伝える連絡を書面で受け取った一方で、事態を思いとどまるようチームと交渉を重ねたものの、チームの意思は変わらなかったことから、これを了承したと説明しています。またこの結果、BRM FCと他のチームとの対戦成績は勝点、得失点など全て無効とし、残るチームでM3リーグを続けることも発表しています。

一方、BRM FCもチーム公式Facebookで声明を発表しています。ペラ州の都市クアラ・カンサーにホームを持つBRM FCは、ガファール・ナシルCEO名で投稿された声明で、契約したチームスポンサーから契約内容通りの資金提供がなかったことから、チームの運営に支障をきたしたことが出場辞退の理由であると説明し、選手や監督、コーチに対して未払いとなっている給料については全額を保証する一方で、分割して支払う予定であることも明らかにしています。

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今季は9試合を終えて2勝7敗で12位に低迷していたBRM FCは、開幕前にもリーグ出場辞退を発表するなどトラブル続きのクラブでした。ユニフォームの胸スポンサーとして契約した企業が電子タバコ販売の企業でしたが、タバコ会社がスポンサーとなることを認めていないAFLが問題視したことから、このメインスポンサーとの契約を解除したことで、BRM FCは一旦は今季のM3リーグ参加辞退を発表しましたが、その後は新たな胸スポンサーとして名乗りをあげたイスラム教の教育機関Raudhah Islamic Schoolと契約していました。

2023マレーシアスーパーリーグ
第15節結果とハイライト映像(1)-監督休養のPDRMは4連勝で7位浮上、クランタンは今季5度目の5失点大敗

 FIFA国際マッチデーが終了し、中断していたマレーシアスーパーリーグが再開し、6月24日には第15節の2試合が行われています。今週末はマレーシアFAカップ準決勝も開催されるため、この準決勝に出場するジョホール・ダルル・タジム、スランゴール、トレンガヌ、KLシティについては第15節の試合は来週7月3日に順延されています。
 (試合にハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年6月23日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
観衆:1,313人
ペラ 1-2 PDRM
⚽️ペラ:ジェームズ・オクウォサ(73分OG)
⚽️PDRM:ウチェ・アグバ(49分)、ナビル・ラトピ(56分)
🟨ペラ:アリフ・シャキリン・スハイミ、カイルル・アシュラフ・ラムリ
🟨PDRM:アミル・サイフル、ナビル・ラトピ
MOM:ウチェ・アグバ(PDRM)

 リーグ戦上位のスランゴール、サバを破って3連勝中だったにも関わらず、アズミ・アジズ監督が突然「休養」となったPDRMは、やはり監督を交代したペラを2-1で破って連勝を4に伸ばしています。一方、敗れたペラは5連敗となり、ユスリ・チェ・ラー監督代行は就任以来3試合未勝利のままとなっています。
 両チームが拮抗しながら進んだ試合は、PDRMが徐々にペースを掴むものの、FW陣が決定機を決めきれず、またペラGKのT・シャーイスワランの好セーブもあり前半は0-0で折り返します。後半に入ってもPDRMは好機を作るものの、その前にシャーイスワランが立ちはだかりますが、49分にウチェ・アグバのゴールで先制すると、56分にはコーナーキックからのこぼれ球をナビル・ラトピが押し込んでリードを2点に広げます。72分にはジェームズ・オクウォサがクリアミスからOGとするも、ペラの反撃をこの1点に抑えてPDRMが4連勝を飾っています。
 PDRMの鈴木ブルーノ選手は84分から出場し、最後まで出場しています。

2023年6月23日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
観衆:3,528人
クランタン 0-5 スリ・パハン
⚽️パハン:エゼキエル・アグエロ(7分)、ファドリ・シャス2(48分、61分)、クパー・シャーマン2(58分、86分)
🟨クランタン:アリプ・アミルディン
🟨パハン:ヌル・シャミー・イスズハン、ケヴィン・イングレッソ、アズワン・アリピン
MOM:ファドリ・シャス(スリ・パハン)

 前半戦では1-4で敗れているスリ・パハンをホームに迎えたクランタンはここまで8連敗中ですが、この日は先発に外国籍選手が1人もいない上、今季初出場となった若手選手4名を含む布陣で臨んでいます。そんなクランタンに対してスリ・パハンは容赦なく、ケガから3試合ぶりに先発に復帰したエゼキセル・アグエロが試合開始7分にゴールを決めて先制します。クランタンも数少ないながらも好機を作りますが、シュートの精度が低く得点に至らず、前半はスリ・パハンが1-0とリードして折り返します。
 後半に入ると48分にファドリ・シャスが、さらに58分にはクパー・シャーマンがそれぞれゴールを決めてリードを広げたスリ・パハンが、その後もファドリ、シャーマン両選手がそれぞれこの試合2得点目となるゴールを決めて、終わってみれば5-0で大勝しています。スリ・パハンはこの勝利で勝ち点31となり2位のスランゴールと並びましたが、勝点差で3位となっています。
 一方のクランタンはこの日の大敗で1勝1分12敗、得点14失点52と、リーグ最下位から抜け出せそうな気配がありません。クランタンは今季開幕時に監督を務めた元大分のチェ・ムンシク監督を1勝1分4敗となったところで解任し、さらにその後任として起用した元マレーシアU23代表監督のフランク・バーンハート監督も就任後7試合を全敗すると、この試合前にはアルゼンチン出身でインドネシアリーグでの監督経験もあるアンヘル・アルフレッド・ベラ新監督の就任を発表しています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第15節途中)

順位チーム勝点
1JDT1414005425242
2SEL14101337152231
3SRP1594228141431
4KDA1491429181128
5SAB1473430201024
6KLC146532218423
7PDRM157171619-322
8TRE146262018220
9NSE144642227-518
10PEN1443717210-415
11PRK1523101034-249
12KLU1413101435-216
13KCH13139726-196
14KEL1411121452-384
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第15節途中-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)155628714
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)133224314
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)94218110
クパー・シャーマン(SRP)92816315
4ウィリアン・リラ(KDA)83611214
ステファノ・ブルンド(SRP)82914014
6ファイサル・ハリム(SEL)72217614
8パク・テス(SAB)6188013
パウロ・ジョズエ(KLC)63318314
チェチェ・キプレ(KLC)6167113
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC