2023マレーシアスーパーリーグ
第11節結果とハイライト映像

カンボジアで開催されていた東南アジア競技大会通称シーゲームズにU22代表が出場するため中断していたスーパーリーグがほぼ3週間ぶりに再開し、5月18日から20日にかけて第11節の7試合が開催されています。
 今季のスーパーリーグは、大規模なリーグ改編にともない1部スーパーリーグと2部プレミアリーグが合併していますが、このリーグ改編の恩恵を受けて昇格した「旧プレミアリーグ組」5チームと、昨季からスーパーリーグでプレーする「旧スーパーリーグ組」9チームの差がリーグ中断前の第10節辺りから開き始め、今節ではついに勝点で4差が着くほどになりました。今節も「旧スーパーリーグ組」対「旧プレミアリーグ組」というマッチアップになった試合が5試合ありましたが、その結果はいずれも「旧スーパーリーグ組」の勝利で、5試合の総ゴール数は「旧スーパーリーグ組」が18、「旧プレミアリーグ組」が2となっています。
 その「旧プレミアリーグ組」の中には、第11節を終えてクチンシティとクランタンがいずれも1勝、クランタン・ユナイテッドは今季未勝利となっていますが、幸いなことに今季と来季は暫定的に2部プレミアリーグが開催されないため、今季スーパーリーグで最下位となっても降格の心配はありません。
 (試合のハイライト映像はMFLの公式YouTubeチャンネルより)

2023年5月18日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
観衆:153人
PDRM 1-2 ヌグリスンビラン
⚽️PDRM:アミルル・ワイー(90分)
⚽️ヌグリスンビラン:シャーレル・フィクリ(41分)、A・セルヴァン(90+4分)
🟨PDRM:ウチェ・アグバ
🟨ヌグリスンビラン:アルーン・クマル、カサグランデ
MOM:A・セルヴァン(ヌグリスンビラン)

 今季スーパーリーグ最小観客数となる153名が観戦した試合は、ロスタイムのゴールでヌグリスンビランが接戦を制しています。
 エラルド・グロンが「深刻な健康状態悪化」により、今季残り試合の出場が絶望となることが発表されたヌグリスンビラン。これまで攻守共にチームの核となってきたグロン選手の離脱で明らかな戦力ダウンとなる中、4日前にはザクワン・アドハ、サフワン・バハルディンがいずれも今季初ゴールを決めるなど、日替わりヒーローの活躍でKLシティに逆転勝ちしています。
 しかしこの日の試合は、サフワン・バハルディンはベンチ外、キャプテンのザクワン・アドハも27分で交代と、先日のヒーローがピッチ上から消えてしまいましたが、この日の日替わりヒーローは77分から出場して、試合終了直前に逆転ゴールを決めたA・セルヴァランでした。今季3試合目の先発となったシャーレル・フィクリのゴールで先制しながら、90分にPDRMに追いつかれ、引き分けムード濃厚だった中での決勝ゴールで、ヌグリスンビランは9位から6位に順位を上げています。
 一方のPDRMは、あと残り数分を守り切れば4試合ぶりの勝点獲得という土壇場で逆転ゴールを許し、順位は10位と変わらなかったものの、9位とは勝点差4となりました。
 PDRMの鈴木ブルーノ選手は、先発してフル出場しています。

2023年5月19日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
観衆:12,096人
サバ 2-2 トレンガヌ
⚽️サバ:テルモ・カスタニェラ(28分)、ダレン・ロック(37分PK)
⚽️トレンガヌ:ソニー・ノルデ2(45+1分、90+4分)
🟨サバ:テルモ・カスタニェラ、ラウィルソン・バトゥイル、ゲリー・スティーヴン・ロバトドミニク・タン、カイルル・ファーミ
🟨トレンガヌ:ハビブ・ハルーン、シャフィク・イスマイル
MOM:ソニー・ノルデ(トレンガヌ)

 トレンガヌがソニー・ノルデのフリーキック2発で引き分けに持ち込んでいます。
 リーグ中断まで2連勝中だったサバは、この試合でも28分にテルモ・カスタニェラがヘディングで、そして37分にはダレン・ロックのPKがそれぞれ決まって2-0とリードします。しかし前半終了間際のロスタイムに、相手ゴール正面でフリーキックを得たトレンガヌは、これをソニー・ノルデが決めて、1点差と詰め寄って前半を終了します。
 後半はトレンガヌに対して防戦一方だったサバは、そのまま逃げ切るかと思われた後半ロスタイムに再びフリーキックをトレンガヌに与えてしまいます。再びノルデ選手が蹴った右サイドからのフリーキックは、1発目同様、サバGKのカイルル・ファーミが触れることもできずそのままゴールへ。この土壇場の同点ゴールでトレンガヌが執念の引き分けに持ち込んでいます。
 開幕からホームで5連勝中だったサバは、リードを守り切れず順位を一つ下げて5位となっています。またリーグ中断まで2連敗中だったトレンガヌは3試合ぶりの勝点を挙げたものの、こちらも順位を一つ下げて9位となっています。

2023年5月19日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
観衆:3,320人
クダ・ダルル・アマン 5-0 クランタン
⚽️クダ:マヌエル・オット、リー・タック、マヌエル・イダルゴ、ウィリアン・リラ、ジョナタン・バロッテリ
🟨クダ:カミル・アクマル
🟨クランタン:カイルル・ヘルミ、ユスリ・ユハスマディ
MOM:マヌエル・オット(クダ・ダルル・アマン)

 今季はここまで1勝1分10敗でリーグ13位に低迷するクランタンFCのオーナー、ノリザム・トゥキマン氏は、チームが求めるKPI(重要業績評価指標)を選手が達成していないとして、選手への給料の50パーセントが未払いであることを認めた上で、未払い給料を受け取るためには、チームがあと2勝しなければならないと、自身のSNSに投稿し物議を醸し出しましたが、そのクランタンがリーグ5位のクダ・ダルル・アマンとアウェイで対戦し、0-5と大敗しています。
 キャプテンのマヌエル・オットのゴールで16分に先制したクダは、前半2ゴール、後半には昨季はJリーグ甲府でプレーしたウィリアン・リラが得点王争いで3位となる今季6ゴール目を決めるなど3ゴールで危なげなく勝利しています。この勝利でクダは順位を一つ上げて4位に浮上しています。
 この試合の5失点で、今季11試合での失点が39(同得点12)とリーグでダントツの失点を喫しているクランタンですが、リーグ中断を挟んでも連敗が止まらず、ついに6連敗とな離、出口の見えないトンネルはまだ続きそうです、

2023年5月19日@サラワク州立スタジアム(クダ州アロー・スター)
観衆:7,690人
クチンシティ 0-4 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール:フェルナンド・フォレスティエリ2(4分、36分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(70分)、フアン・ムニス(73分)
🟨クチンシティ:アイルトン・フェレイラ、ディエゴ・バッジオ
🟨ジョホール:エンドリック・ドス・サントス
MOM:フェルナンド・フォレスティエリ(クダ・ダルル・アマン)

 連敗が始まってからはホームでの観客が500名に満たなかったクチンシティですが、この試合はジョホール人気もあってか今季観客数2位の7,690名が観戦に訪れています。そのクチンシティは開幕戦での勝利以来1分9敗と低迷し、開幕から10連勝中のジョホールとの対戦は、容易ではないことは予想されました。
 開始3分にペナルティエリア内でクチンシティDFをかわしたフェルナンド・フォレスティエリにシュートを決められると、直近の5試合ではわずか2ゴールのクチンシティはこれ以上の失点は避けたいところでしたが、フォレスティエリ選手が緩慢な動きのクチンシティDFやGKをかわして2点目を挙げると、試合の大勢は決まってしまいました。
 後はジョホールが何点を挙げるかだけに興味が移った試合は、後半に入るとベルグソン・ダ・シルヴァがDFに競り勝って70分にゴールを決めると、その3分後にはクチンシティGKシャイフル・ワジジが前に出ているのを見たフアン・ムニスがペナルティエリアの外から美しいループシュートを決めてダメ押し。ジョホールは開幕11連勝、また4連敗となったクチンシティは10試合続けて勝ち星がありません。
 クチンシティの谷川由来選手は先発して、フル出場しています。

2023年5月20日@スルタン・ムハマドスタジアム(ペラ州イポー)
観衆:224人
クランタン・ユナイテッド 1-3 KLシティ
⚽️クランタン:デヴィッド・シルヴァ(34分PK)
⚽️KLシティ:T・サラヴァナン(17分)、シャーン・ジャネッリ(23分)、パウロ・ジョズエ(90+5分)
🟨クランタン:ファウザン・ファウジ、カイル・アズラン、
🟨KLシティ:ザフリ・ヤハヤ、ロメル・モラレス、マットコ・ジルダム、アズリ・ガニ、ケニー・パッラジ
MOM:カマル・アジジ(KLシティ)

 今季未勝利のクランタン・ユナイテッドがホームにKLシティを迎えた試合は、クランタン・ユナイテッドが一時は1点差まで詰め寄ったものの、自力に勝るKLシティが逃げ切っています。
 KLシティは、クランタン・ユナイテッド相手とあってかここまで全試合先発フル出場のジャンカルロ・ガリフオコがベンチ外、またやはり全試合出場のパウロ・ジョズエや、主力のセバスチャン・アヴァンジーニがベンチスタートとなる一方で、クロアチア出身のマットコ・ジルダムが今季初出場するなど大幅に布陣を入れ替えてこの試合に臨みました。
 試合は今季3試合目の先発となったT・サラヴァナンが17分にゴールを決めると、23分にはこの試合が先発4試合目のショーン・ジャネッリがゴールを決めてKLシティが2-0とリードします。しかし、34分にクランタン・ユナイテッドがPKで1点を返して前半を終了します。
 後半に入るとKLシティはパウロ・ジョズエやセバスチャン・アヴァンジーニを投入しますが、決定機を逃すなど追加点が奪えなかったものの、ロスタイムにカイオンが倒されていたPKをジョズエ選手がゴールし、KLシティが逃げ切っています。
 クランタン・ユナイテッドは試合終了間際にもヤン・ヴィクトールがPKを止められるなど、後期がありながらそれを生かせず、追加点を奪えなかったのが敗因でした。

2023年5月20日@ペラスタジアム(ペラ州イポー)
観衆:6,391人
ペラ 0-4 スランゴール
⚽️スランゴール:エイロン・デル・ヴァイエ2(41分、70分)、ファイサル・ハリム(45+1分)、ムカイリ・アジマル(51分)
🟨ペラ:ワン・ザック・ハイカル、ハディ・ファイヤッド、
🟨スランゴール:なし
MOM:ムカイリ・アジマル(スランゴール)

 スランゴールが快勝でリーグ2位を堅持しています。
 首位のジョホールにはこれ以上話されないためには、下位チーム相手の取りこぼしが禁物ですが、スランゴールは11位のペラを試合開始から圧倒して、危なげなく勝点を上げています。
 試合中にはスタンドでペラのサポーターとスランゴールのサポーター小競り合いを起こす場面もあったようですが、機動隊の介入で大事には至らなかったようです。前節のクランタン戦で2勝目を挙げたことでペラサポーターの期待が高まっていたかもしれませんが、その次戦が今季既に3度目となる4失点となったことでサポーターの失望と不満が現れてしまったのかも知れません。

2023年5月20日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:3,196人
スリ・パハン 1-0 ペナン
⚽️パハン:クパー・シャーマン(48分PK)
🟨パハン:バキユディン・シャムスディン、ファドリ・シャス
🟨ペナン:ウスマン・ファネ、ニック・アキフ
MOM:ファドリ・シャス(スリ・パハン)

 スランゴールとともにジョホールを追うスリ・パハンは辛勝も、今季開幕からの無敗記録は継続しています。
 試合開始からペナンが積極的に攻めたものの、ホームのパハンがそれに耐えると、そこからは逆にパハンのペースで試合が進みます。しかし、その後は試合は中盤での蹴り合いとなり、好調状態のまま前半は0-0で終了します。
 後半に入ると、エースのクパー・シャーマンが自身で獲得したPKを決めて、パハンが先制すると、そのまま逃げ切り、開幕からの無敗記録を11試合に伸ばしています。

2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第11節終了時)

順位チーム勝点
1JDT1111004714633
2SEL1181227111625
3SRP117401871125
4KDA117132215722
5SAB1163226161021
6KLC115331815318
7NSE114431519-416
8TRE114251515014
9PEN114251617-114
10PDRM11317817-910
11PRK11236823-159
12KCH11119524-194
13KEL11119123974
14KLU11029624-182
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC

2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第11節終了時-記録はMFL公式サイトを参照)

順位選手名(所属チーム)シュート枠内Sアシスト
1フェルナンド・フォレスティエリ(JDT)124324611
2エイロン・デル・ヴァイエ(SEL)92116111
3ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)7261117
4ウィリアン・リラ(KDA)6299211
クパー・シャーマン(SRP)6178211
6アリフ・アイマン(JDT)5199811
フアン・ムニス(JDT)5201209
ステファノ・ブルンド(SRP)5209010
パク・テス(SAB)5147010
スーニー・サアド(PEN)53116010
ファイサル・ハリム(SEL)51714411
パウロ・ジョズエ(KLC)52715211
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC