FIFA国際マッチカレンダーで中断していたマレーシアスーパーリーグが再開し、第6節の7試合が3月31日と4月1日に開催されています。今節の注目は何と言ってもジョホール・ダルル・タジム対サバの首位攻防戦でしたが、終わってみればあっけない結果でした。(試合のハイライト映像はいずれもMFLの公式YouTubeチャンネルより)
2023年3月31日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
観衆:4,204人
KLシティ 1-3 スランゴール
⚽️KLシティ:チェチェ・キプレ(24分)
⚽️スランゴール:エイロン・デル・ヴァイエ2(32分PK、53分)、ファイサル・ハリム(40分PK)
🟨KLシティ:パウロ・ジョズエ
🟨スランゴール:アレクサンダー・アギャルカワ、ブレンダン・ガン、クェンティン・チェン
MOM:エイロン・デル・ヴァイエ(スランゴール)
マレーシア連邦直轄地クアラ・ルンプールとそれを取り囲むスランゴール州を通って流れるクラン川にちなんでクランバリー(クラン渓谷)ダービーと呼ばれるこのカードは、昨季も試合終了後にサポーター同士が衝突したことから、この日はスタジアム内外に警官だけでなく暴動鎮圧部隊が配置される物々しい雰囲気の中で開催されました。
試合は開幕から5試合で未勝利のKLシティが24分にチェチェ・キプレのゴールで先制しましたが、前節では首位のジョホールに0-4と大敗し、首位からこれ以上離されるわけにはいかないスランゴールが、その8分後にエイロン・デル・ヴァイエのPKで同点に追いつきます。さらに40分にはこのエイロン選手がペナルティエリアで倒されてPKを得ると、このPKをファイサル・ハリムが決めて逆転に成功します。代表戦2試合にいずれも先発したファイサル選手のスランゴール移籍後初ゴールでスランゴールが2-1として前半を終えました。
後半に入るとこの日は絶好調のエイロン選手が今季4ゴール目となる3点目のゴールを決め手スランゴールがKLシティを突き放し、今季4勝目を挙げて順位は変わらず4位となっています。一方、ここまでの5試合で7失点の守護神ケヴィン・メンドーザがケガ、そしてやはりここまでの全試合にフル出場してきたMFセバスチャン・アヴァンジーニが警告累積で出場停止と今季のキーマンを欠いたKLシティは、またも今季初勝利を逃し、順位を1つ下げて12位となっています。
2023年3月31日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
観衆:19,836人
ジョホール・ダルル・タジム 4-0 サバ
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン(20分)、フアン・ムニョス(39分)、シャーミ・サファリ(81分)、フェルナンド・フォレスティエリ(89分)
🟨ジョホール:マシュー・デイヴィーズ
🟨サバ:パク・テス
MOM:フェルナンド・フォレスティエリ(ジョホール・ダルル・タジム)
開幕から5連勝中の首位ジョホールと、それを4勝1分で追う2位サバの対戦は今節の最大注目カード。前節ではやはり開幕から無敗だったスランゴールを一蹴したジョホールは、今節でサバを敗れば、2位との勝点差が5と開き、早くも首位を独走する可能性があります。
代表戦で2ゴールを挙げるなど活躍したアキヤ・ラシドやラヴェル・コービン=オングがベンチスタートとなる一方で、代表合宿に招集されながら、「ケガ」を理由に途中離脱したアリフ・アイマンとエンドリック・ドス・サントスは、休養も十分でこの大事な試合では揃って元気に先発XIに名前を連ねています。
試合は20分にアリフ・アイマンがサバDFを振り切る素晴らしい切り返しのドリブルを見せた後にシュート!休養十分、ケガしていたことが嘘のようなアリフ選手のゴールでジョホールが先制しました。さらに39分にはフアン・ムニョスがペナルティエリアの外から放ったカーブをかけた美しいシュートが決まり2-0、終盤には代表戦ではほとんど出番がなかったシャーミ・サファリが81分に、そして現在、リーグ得点王のフェルナンド・フォレスティエリが89分にそれぞれゴールを決めるなど、終わってみれば首位攻防戦はジョホールの圧勝に終わり、っています。
2023年3月31日@シティスタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
観衆:3,540人
ペナン 3-1 ペラ
⚽️ペナン:ハサン・サアド(6分)、ニック・アキフ・シャヒラン(37分)、ジオヴァネ・ゴメス(84分)
⚽️ペラ:ソ・ソンウン(71分)
🟨ペナン:なし
🟨ペラ:ハフィザル・モハマド
MOM:ニック・アキフ・シャヒラン(ペナン)
第5節を終えて未勝利だったペナンが今季初勝利を挙げています。
ここまで監督代行として指揮を取ってきたチョン・イーファット コーチが健康上の問題を訴えたことからマンズール・アズウィラ監督が正式に就任したペナンは、外国籍選手の活躍で今季初勝利を挙げ、順位を13位から一気に9位まで上げています。
一方のペラは、ソ・ソンウンが今季3ゴール目を決めましたが、経験不足の若い選手中心のチームに外国籍選手が先発XIに2名ではペナンに太刀打ちできませんでした。
2023年3月31日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:4,250人
トレンガヌ 2-1 クランタン・ユナイテッド
⚽️トレンガヌ:リリドン・クラスニキ(6分)、ジョーダン・ミンター(28分)
⚽️クランタン:ホセ・エルメル・ポルテリア(76分)
🟨トレンガヌ:サルドール・クルマトフ、ジョーダン・ミンター
🟨クランタン:シャーヴィン・セルヴァクマラン、アリフ・アル=ラシド、カイル・アズリン・カザリ
MOM:リリドン・クラスニキ(トレンガヌ)
開幕からの5試合でわずか2得点と深刻な得点力不足に悩むトレンガヌのトミスラフ・スタインブリュックナー監督は、今季唯一の勝利を挙げているPDRM戦と同じジョーダン・ミンター、アディサク・クライソーンのツートップを再び採用し、今季2勝目を目指しました。帰化選手でコソボ出身のリリドン・クラスニキの今季初ゴールで先制したトレンガヌでしたが、クランタン・ユナイテッドの猛攻に遭う中、自身も今季2度目の先発となったジョーダン・ミンターがヘディングシュートを決めて、トレンガヌが2-0とリードを広げ、結局、これが決勝点となったトレンガヌが今季2勝目を挙げています。
一方のクランタン・ユナイテッドは好機を作るものの、勝利には至らず、これで開幕から1分6敗と勝利がなく最下位に沈んだままです。
2023年4月1日@サラワク州立スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
観衆:292人
クチンシティ 0-1 PDRM
⚽️PDRM:鈴木ブルーノ(73分)
🟨クチンシティ:ズラズラン・イブラヒム、アミルル・シャフィク
🟨PDRM:サフィー・アフマド、ノルフィクリ・タイブ、アリフ・シャアアニ、ウィルフレッド・ジャブン
MOM:ジェイムズ・オクゥオサ(PDRM)
リーグ改編により昨季の2部プレミアリーグからは5チームが1部スーパーリーグに昇格していますが、各チームとも1部の壁にぶち当たっています。第6節を終えて5チーム中、今季未勝利が1チーム、1勝が3チームという中で、PDRMはこの日の勝利で3勝目を挙げています。今季1勝目のクダ・ダルル・アマン戦、そしてこの日のクチンシティ戦はいずれも1-0の辛勝でしたが、その両試合で決勝ゴールを挙げているのが、今季からMリーグに復帰した鈴木ブルーノ選手です。この試合でも相手DFのミスからボールを奪いゴールを決め、チームトップの2ゴールでPDRMを勝利へと導いています。
敗れたクチンシティは開幕戦で1勝を挙げたものの、そこから5連敗。しかも直近3試合ではいずれも完封負けです。昨季の2部得点王だったアブ・カマラが2得点では、今季6試合でわずか3得点なのもわかりますが、そんな得点力がないチームが、GKに外国籍選手を使わざるを得ないところが今のチームの苦境を表しています。
PDRMの鈴木ブルーノ選手は先発して1ゴール挙げる活躍で、フル出場しています。
クチンシティの谷川由来選手も先発して、フル出場しています。
2023年4月1日@ダルル・マクモルスタジアム(パハン州クアンタン)
観衆:7,296人
スリ・パハン 1-1 クダ・ダルル・アマン
⚽️パハン:ステファノ・ブルンド(62分PK)
⚽️クダ:ジョナサン・バロテッリ(90+2分)
🟨パハン:なし
🟨クダ:アリフ・ファルハン、マヌエル・イダルゴ
MOM:ステファノ・ブルンド(スリ・パハン)
まさかの同点弾で引き分け。
チームトップの4ゴール目となるステファノ・ブルンドのPKで先制したホームのパハンが終始、指導権を握り続けた試合でしたが、そのパハンにとって痛かったのは86分に得たPKを失敗したこと。今季のパハンのPKはここまで全てステファン・ブルンドが蹴っていましたが、今季初めてPKを蹴ったルーカス・シルヴァがクロスバーの上に外して、追加点を奪えなかったことから、ロスタイムの同点ゴールを許し、今季6試合で4度目の引き分けとなっています。
最後までゴールへの執念を見せたクダはこの引き分けでサバ、スランゴールと勝点13で並んだものの、得失差で今季最高位の2位となっています。
2023年4月1日@トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
観衆:1,885人
ヌグリスンビラン 4-2 クランタン
⚽️ヌグリスンビラン:マハリ・ジャスリ(16分)、エラルド・グロン(38分)、シャーレル・フィクリ(76分)、カサグランデ(89分)
⚽️クランタン:イスマヒル・アキネード2(36分PK、54分)
🟨ヌグリスンビラン:サフワン・バハルディン、トミー・マワト
🟨クランタン:なし
MOM:カサグランデ(ヌグリスンビラン)
2020年シーズンには短縮されたリーグながら11試合で10ゴールとマレーシア人最多得点を挙げ、鳴り物入りでスランゴールへ移籍したシャーレル・フィクリは、そのスランゴールではケガなどもあり、在籍した2シーズンでわずか2ゴールと期待外れに終わり、今季はヌグリスンビランに移籍しました。そのシャーレル選手が移籍初ゴールを決め、そのお膳立てをしたカサグランデ自身もゴールを決めるなど、粘るクランタンを突き放したヌグリスンビランが順位を8位から7位へ上げています。
クランタンはイスマヒル・アキネードのゴールでヌグリスンビランに2度追いつきながら、勝利には至りませんでした。
2023マレーシアスーパーリーグ順位表(第6節終了時)
| 順位 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 |
| 1 | JDT | 6 | 6 | 0 | 0 | 25 | 1 | 24 | 18 |
| 2 | KDA | 6 | 4 | 1 | 1 | 12 | 5 | 7 | 13 |
| 3 | SAB | 6 | 4 | 1 | 1 | 15 | 9 | 6 | 13 |
| 4 | SEL | 6 | 4 | 1 | 1 | 12 | 7 | 5 | 13 |
| 5 | SRP | 6 | 2 | 4 | 0 | 11 | 5 | 6 | 10 |
| 6 | PDRM | 6 | 2 | 1 | 2 | 4 | 5 | -1 | 10 |
| 7 | NSE | 5 | 2 | 2 | 1 | 7 | 11 | -4 | 8 |
| 8 | TRE | 6 | 2 | 1 | 3 | 4 | 6 | -2 | 7 |
| 9 | PEN | 6 | 1 | 2 | 3 | 8 | 12 | -4 | 5 |
| 10 | PRK | 6 | 1 | 2 | 3 | 4 | 10 | -6 | 5 |
| 11 | KEL | 6 | 1 | 1 | 4 | 9 | 17 | -8 | 4 |
| 12 | KLC | 5 | 0 | 3 | 2 | 5 | 10 | -5 | 3 |
| 13 | KCH | 6 | 1 | 0 | 5 | 3 | 14 | -11 | 3 |
| 14 | KLU | 6 | 0 | 1 | 5 | 4 | 11 | -7 | 1 |
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC
2023マレーシアスーパーリーグ 得点ランキング(第6節終了時-記録はMFL公式サイトを参照)
| 順位 | 選手名(所属チーム) | 得 | シュート | 枠内S | アシスト | 試 |
| 1 | フェルナンド・フォレスティエリ(JDT) | 6 | 23 | 13 | 4 | 6 |
| 2 | パク・テス(SAB) | 4 | 10 | 6 | 0 | 6 |
| アリフ・アイマン(JDT) | 4 | 10 | 6 | 3 | 6 |
| ステファン・ブルーノ(SRP) | 4 | 11 | 5 | 0 | 6 |
| エイロン・デル・ヴァイエ(SEL) | 4 | 9 | 7 | 0 | 6 |
| フアン・ムニス(JDT) | 4 | 16 | 10 | 0 | 6 |
| 6 | ジオゴ(JDT) | 3 | 9 | 5 | 2 | 4 |
| エンドリック・ドス・サントス(JDT) | 3 | 6 | 5 | 0 | 5 |
| サディル・ラムダニ(SAB) | 3 | 7 | 6 | 2 | 6 |
| ノー・アル=ラワブデ(SEL) | 3 | 3 | 3 | 0 | 6 |
| ソ・ソンウン(PRK) | 3 | 14 | 6 | 0 | 6 |
| クパー・シャーマン(SRP) | 3 | 9 | 4 | 2 | 6 |
| カサグランデ(NSE) | 3 | 16 | 6 | 1 | 5 |
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジム、TRE-トレンガヌFC、SAB-サバFC、NSE-ヌグリスンビランFC、SEL-スランゴールFC、KLC-KLシティFC、SRP-スリ・パハンFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC、KEL-クランタンFC、KCH-クチンシティFC、KLU-クランタン・ユナイテッドFC、PDRM-PDRM FC、PRK-ペラFC