3月17日のニュース 今月のトルクメニスタン戦と香港戦に向けた代表合宿メンバー27名発表

今日3月17日はスーパーリーグ序盤の注目カード、スランゴールFC対ジョホール・ダルル・タジムが開催されます。この試合にジョホールが勝ち、次節のサバFCでも勝利するようなことがあれば、今季もジョホールの独走の可能性が高まり、今季のスーパーリーグの関心は早くも2位争いとなり兼ねません。4試合でリーグ1位となる17得点を挙げているジョホールの攻撃陣を、同じく4試合でリーグ2位の2失点のスランゴールの守備陣がどう抑えるかがカギになりそうです。

今月のトルクメニスタン戦と香港戦に向けた代表合宿メンバー27名発表

マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトで、3月20日から28日までのFIFA国際マッチカレンダー期間中に開催する国際親善試合に向けたマレーシア代表合宿参加メンバー27名を発表しています。 

代表合宿は通常、スランゴール州にあるFAM本部敷地内の施設で行われ、代表戦はクアラルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で行われますが、現在ブキ・ジャリル国立競技場はピッチ張り替えなどを含めた改修工事中のため、今回の代表合宿は3月18日からJDTの施設を使って行い、3月23日のトルクメニスタン代表、また3月28日の香港代表はいずれもJDTのホームであるスルタン・イブラヒムスタジアムで開催されます。

キム・パンゴン監督は、開幕から4連勝中のジョホール・ダルル・タジム(JDT)から11名、2位のサバFCから5名、3位のスランゴールFCから4名を選ぶなど、上位チームの選手がおよそ4分の3を占めています。

昨年末から今年年始にかけて行われた東南アジアサッカー連盟AFF選手権三菱電機カップ2022に出場したマレーシア代表は、準決勝でタイ代表に通算成績1-3で敗れていますが、このときのメンバー23名からは、今回は9名が招集されています。なお、この三菱電機カップ2022は、FIFA国際マッチカレンダー期間外であったことから、JDTの選手11名を含む13名が代表選出を辞退してることも付け加えておきます。

今回代表初招集となったのは、今年に入ってマレーシア国籍を取得したばかりの帰化選手2名を含む8名です。いずれもブラジル出身のエンドリック・ドス・サントス(JDT)とパウロ・ジョズエ(KLシティFC)はいずれもリーグ屈指のMFで、代表にとっては大きな戦力アップになりそうです。このほかの初招集組では、GKシーク・イズハン・ナズレル(ヌグリスンビラン-スランゴールから期限付き移籍中)、DFフェロズ・バハルディン(JDT)、MFノーラ・レイン(アイスランド1部セイナヨエン・ヤルカパッロケルホ)はいずれもU23代表候補ながら、飛び級でのA代表招集となっています。

また今回選ばれた27名中、マレーシア国外で生まれ育った選手が12名と過去最高となっていることにも注目です。前述のエンドリック・ドス・サントスとパウロ・ジョズエの両帰化選手に加え、父母、あるいは祖父母がマレーシア人であるものの、マレーシア国外で生まれ育った選手が、後にマレーシア国籍を取得したいわゆる「ハイブリッドマレーシア人選手」が10名います。

それでは今回のメンバーをポジションごとに顔ぶれを見ながら、ボラセパマレーシア的視点でコメントしていきます。ポジションはFAMーCMSに登録されているポジションに沿っています。また*は代表初招集、#はAFF選手権三菱電機カップ2022出場選手です。

ゴールキーパー(4名)
  氏名年齢所属今季出場時間/試合数
#シーハン・ハズミ27JDT360分/4試合
*ダミエン・リム26SAB180分/2試合
#カラムラー・アル=ハフィズ28KDA360分/4試合
* シーク・イズハン・ナズレル21NSE223分/3試合
JDT-ジョホール・ダルル・タジム、SAB-サバFC
KDA-クダ・ダルル・アマンFC、NSE-ヌグリスンビランFC

 今季、ここまでJDTでは4試合にフル出場しているシーハン・ハズミは、チームメートでもあるファリザル・マーリアスから代表正GKの座も奪いつつあります。三菱電機カップに続き代表に選出されたカラムラー・アル=ハフィズとともにこの2人がアジアカップまで代表のゴールを守ることになりそうです。
 初選出コンビのダミエン・リムとシーク・イズハン・ナズレルについては、あくまでも代表チームを経験するといった目的での招集だと思われ、3月の代表戦には出番はないでしょう。

ディフェンダー(10名)
氏名年齢所属今季出場時間/試合数
DF シャールル・サアド30JDT32分/2試合
DF ラヴェル・コービン=オング32JDT157分/4試合
DF マシュー・デイヴィーズ28JDT343分/4試合
DF シャーミ・サファリ25JDT0分/0試合
DF*フェロズ・バハルディン23JDT255分/3試合
DF#ドミニク・タン26SAB360分/4試合
DF*ダニエル・ティン31SAB323分/4試合
DF#クェンティン・チェン24SEL38分/2試合
DF#クザイミ・ピー30SEL90分/1試合
DFディオン・コールズ27BRU708分/8試合
SEL-スランゴールFC、BRU-ブリーラム・ユナイテッド(タイ)

 JDTの選手が代表に加わらなかった三菱電機カップは参考にならないので、JDTの選手も加わっていた昨年6月のAFC選手権アジアカップ最終予選、そして9月にタイで開催されたキングズカップのメンバーから考えると、両サイドバックのラヴェル・コービン=オングとマシュー・デイヴィーズ、センターバックで昨季のリーグ最優秀DF受賞のシャールル・サアドのJDTトリオは順当な選出です。またタイ1部リーグで首位を快走するブリーラム・ユナイテッドでレギュラーのディオン・コールズはキム・パンゴン監督の信頼も厚く、こちらも当然の選出です。
 三菱電機カップで代表選出を辞退したこの4選手に代わって出場した選手の内、ドミニク・タン、クザイミ・ピー、クエンティン・チェンは今回再び招集されていますが、クザイミ、チェンの両選手は所属するスランゴールでは今季は他の選手にポジションを奪われており、出場時間が激減しています。一方、シャルル・ナジームとファズリ・マズランは所属チームでは試合に出ているものの、予備の交代要員に回っています。
 そんな中、今回のDF陣で注目なのは昨季終盤からJDTでレギュラーとなったフェロズ・バハルディンとダニエル・ティンです。フェロズ選手は昨季後半、オーストラリア出身でアジア枠外国籍選手のシェーン・ローリーが肘の骨折で長期間離脱となった中、リーグ戦終盤からマレーシアカップでは主力として先発し、今季もここまで4試合中3試合に先発しています。今回の初招集でいきなり先発として起用されるのかどうかが注目です。またJDTからサバへ期限付き移籍しているティン選手も、これまであまりポジションが脅かされることがなかったラヴェル・コービン=オングのライバルになりうる選手です。
 この他、今季まだ1試合も出場していないシャーミ・サファリが選出されたことがSNSでは話題になっていますが、キム監督の真意は不明です。

ミッドフィルダー(10名) 
氏名年齢所属今季出場時間/試合数
アリフ・アイマン21JDT360分/4試合
 アキヤ・ラシド24JDT51分/2試合
シャフィク・アフマド28JDT10分/1試合
シャマー・クティ・アッバ26JDT38分/2試合
*エンドリック・ドス・サントス28JDT192分/3試合
#スチュアート・ウィルキン25SAB146分/4試合
#ブレンダン・ガン35SEL338分/4試合
アザム・アジー28SRP311分/4試合
*パウロ・ジョズエ34KLC270分/3試合
*ノーア・レイン21SJK
SRPースリ・パハンFC、KLC-KLシティFC、SJK-セイナヨエン・ヤルカパッロケルホ(アイスランド)

マレーシア国籍を取得した帰化選手では、三菱電機カップで英国出身のリー・タックとアルゼンチン出身のエゼキエル・アグエロが揃ってデビューし、ゴールも決めていますが、今回、この両選手は予備の交代要員となり、代わって招集されたのいずれもブラジル出身のパウロ・ジョズエとエンドリック・ドス・サントスです。今季からマレーシア人選手として登録されている両選手は開幕から絶好調で、エンドリック選手はここまで3試合出場で3ゴールを、ジョズエ選手も3試合出場で今季チームの全得点に当たる2ゴールを挙げており、初招集発先発となる可能性も大です。
 また三菱電機カップでは本来の攻撃的なポジションからボランチ的に起用され、それに見事に対応して新たな可能性を見せたブレンダン・ガン、そして同じ三菱電機カップで代表初招集ながら2ゴールを決めるなど一皮剥けた感のあるスチュアート・ウィルキン、さらにはシーズン後半を棒に振った膝前十字靱帯断裂の大ケガから先日8ヶ月ぶりに復帰したキム監督の秘蔵っ子シャマー・クティ・アッバ、そしてスリ・パハンの司令塔アザム・アジーと、セントラルミッドフィルダーも先発争いが熾烈です。
 となると立場が微妙なのがシャフィク・アフマドとアキヤ・ラシドの2人です。所属するJDTの選手層の厚さから、シャフィク選手はここまで1試合(出場10分)、アキヤ選手は2試合(出場51分)と試合感に不安が残り、そもそもなぜこの2人が選ばれているのかに疑問が残ります。それでも代表には少ない、ドリブルでの突破力が自慢のアキヤ選手はスーパーサブ的な起用法も考えられますが、シャフィク選手に関しては、DFのシャーミ・サファリ同様、キム監督がどのように起用するかが不明です。

フォワード(3名)
氏名年齢所属今季出場時間/試合数
#ダレン・ロック33SAB319分/4試合
#ファイサル・ハリム25SEL285分/4試合
*ファイヤド・ズルキフリ25KDA236分/4
KDA-クダ・ダルル・アマン

 東南アジアの他のリーグ同様、フォワードに外国籍選手を起用することが多いマレーシアリーグは、このポジションでは人材難で苦しんでいます。マレーシア人選手として昨季最多の10ゴールを挙げたダレン・ロックでもリーグ全体では6位、ロック選手に次ぐ6ゴールを挙げたファイサル・ハリムはリーグ全体では12位タイとなっています。
 キム監督就任以来、ロック選手はこれまでもセンターフォワードで起用されており、ここは確定していそうですが、その左右にファイサル選手と、MFアリフ・アイマンがウイングとして入るアジアカップ予選のような形になるのか、ファイサル選手がトップ下、エンドリックあるいはパウロ・ジョズエと、アリフ・アイマンがその左右にサイドハーフ的に入る三菱電機カップのような形になるのか。キム監督がどのような前線のフォーメーションを選ぶのかが気になります。

 また上記の27名からケガ人等が出た際の交代要員として、以下の13名も選ばれています。
 選手層が厚いJDTの中で、昨季のリーグ最優秀MF賞を受賞したアフィク・ファザイルが出場時間を減らす中、今季から就任したエステバン・ソラリ監督が起用し続けているのがホンワンの愛称で呼ばれているナサニエル・シオです。英国生まれのシオ選手は英国1部ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズU21の出身で、JDT移籍前にはリザーブリーグに当たるプレミアリーグ2で20試合に出場するなど将来が嘱望されていましたが、母親がマレーシア人であることからJDTに移籍し、マレーシア国籍を取得しています。2022年のキム監督就任直後の行われたシンガポールでの3カ国対抗では代表候補合宿には呼ばれたものの、最終メンバーには残れませんでした。今回も交代要員なっていますが、代表で見てみたい選手の1人です。
 その一方で、タイに新天地を求めたサファウィ・ラシドとジュニオール・エルドストール(エルドストール選手は正確にはタイリーグ「復帰」ですが)は、交代要員止まりとなっています。同じ大リーグでプレーするディオン・コールズが王者ブリーラム・ユナイテッドで主力として活躍している一方で、サファウィ選手は試合には出て入るものの、レギュラー定着とは言い難く、エルドストール選手に至っては今季はまだベンチ入りすらしていません。
 

氏名年齢所属出場時間/試合数
MF ナサニエル・シオ・ホンワン23JDT332分/4試合
MFナズミ・ファイズ29JDT33分/1試合
MFアフィク・ファザイル29JDT119分/3試合
MFモハマドゥ・スマレ29JDT0分/0試合
DF#シャルル・ナジーム24SEL270分/3試合
DF#ファズリ・マズラン30SEL360分/4試合
MF#エゼキエル・アグエロ29SRP193分/3試合
MF バキウディン・シャムスディン29SRP272分/4試合
FW#サファウィ・ラシド26RAT
DFジュニオール・エルドストル32PRA0分/0試合
MFリー・タック35KDA360分/4試合
MFシャフィク・イスマイル23TRE173分/3試合
MF A・セルヴァン23NSE14分/1試合
TREートレンガヌFC、RAT-ラーチャブリーFC(タイ)、PRA-PTプラチュワップFC(タイ)