隣国インドネシアでは10月1日に、1部リーグのアレマFC対ペルセバヤ・スラバヤが対戦した「東ジャワダービー」の試合終了後、23年ぶりとなるダービー敗戦に不満を持った一部のアレマFCサポーターがピッチに侵入し、警察とインドネシア国軍からなる暴動鎮圧部隊と衝突しました。
ピッチ乱入のサポーターの対処に手を焼いたこの部隊は、ピッチだけでなくスタンドに向けても催涙ガス弾を発砲、4万人以上が足を運んでいたスタジアム内は多くの観衆が出口に殺到しました。この結果、一部の観衆はこの殺到に巻き込まれて下敷きになったり、催涙ガスによる呼吸困難や意識不明となり、現地の英語紙ジャカルタポストによると、警察官2名、子供17名を含む174名が死亡、180名以上が負傷したということです。
その後の報道では、催涙ガスの水平発射が疑われる頭部への負傷などで亡くなった方もいたことや、スタジアム外でも催涙ガス弾が使用されたことが判明、この事態を重く見たインドネシアのジョコ・ウィドド大統領は詳細な調査を命じ、この調査が終了するまではリーグ戦を中断するよう、インドネシアサッカー協会PSSIに命じています。
ボラセパマレーシアJPは、今回の件で身内や友人を亡くされた方に対して、心からお悔やみを申し上げます。
この事故が起こった10月1日、マレーシアではMリーグ1部スーパーリーグ第19節5試合が行われています。KLシティが10月5日に行われるAFCカップ地区プレーオフ決勝に出場するため、先だって9月24日に行われていたペナン対KLシティ戦と合わせて全6試合が行われた結果、ジョホール・ダルル・タジムJDTが4試合を残して今季優勝とリーグ史上初の9連覇を決めています。この日、トレンガヌに敗れたサバは残り試合を全勝しても、勝点でJDTを上回ることができないことが確定しています。
JDTは既にFAカップでも優勝しており、またセカンドチームのJDT IIが2部プレミアリーグでも今季優勝を果たしており、リーグ戦後に行われるマレーシアカップにも優勝すれば、今季の国内タイトルを全て制覇することになります。
2022年9月24日@シティスタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナン 1-0 KLシティ
⚽️ペナン:ルーカス・シルヴァ(79分)
🟨ペナン(1):ルーカス・シルヴァ
🟨KLシティ(0)
MOM:カトゥル・アヌアル(ペナン)
FIFA国際マッチデー期間中に、国内リーグ戦を開催する国はほとんどないと思いますが、そのほとんどない国の一つがマレーシア。KLシティは、10月5日にAFCカップ地区プレーオフ決勝となるPFCソグディアナ・ジザフ(ウズベキスタン)との対戦が控えることから、FIFA国際マッチデー期間中に試合が組まれましたが、結果は最下位のペナンにまさかの0-1で敗れています。
タイのチェンマイで開催されているキングズカップに出場するマレーシア代表に攻守の中心選手、ザフリ・ヤハヤとデクラン・ランバートが召集されたKLシティは当然ながらベストメンバーで試合に臨めませんでした。しかもキングズカップではザフリ・ヤハヤは出場なし、代表初招集となったデクラン・ランバートも途中出場で出場時間が11分と、KLシティのボヤン・ホダック監督が「チェンマイに休暇を過ごしに行って帰ってきただけ」と皮肉混じりでコメントし、試合で使う気がないならそもそも招集するべきでないと代表のキム・パンゴン監督を批判するなど、今後に遺恨を残す敗戦となりました。
一方のペナンは6月22日のトレンガヌ戦以来、9試合ぶりの勝利となりました。
2022年10月日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリンジャヤ)
スランゴール 5-0 マラッカ・ユナイテッド
⚽️スランゴール:ノル・ハキム(16分)、ムカイリ・アジマル(33分)、ブレンダン・ガン2(66分、78分)、カイオン(90分PK)
🟨スランゴール(1):ファズリ・マズラン
🟨マラッカ(0):ファドリ・シャス、アミルル・アフィク
🟥マラッカ(1):ザハルルニザム・ザカリア
MOM:ブレンダン・ガン(スランゴール)
つかみはOK!タン・チェンホー前マレーシア代表監督がシーズン途中ながらスランゴールの監督に就任して初の試合は、相手が6試合勝ちがないマラッカとは言え、スランゴールの各選手がはつらつとプレーしている印象でした。選手の顔ぶれを見ても、現在の8位にいるべきチームではなく、今季を通して不安定だった戦いで失った自信を取り戻せば、リーグ戦後のマレーシアカップでは台風の眼となる可能性があります。
一方のマラッカは…給料未払い問題が期限までに解決できず、Mリーグを運営するMFLからはマレーシアカップの出場権剥奪処分を受けるなど、スランゴールとは逆にモチベーションが上がる要素が全くない状況の中、この日の敗戦で直近5試合は得点0失点17となりました。
2022年10月1日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディンスタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 2-0 サバ
⚽️トレンガヌ:パペ・ディアキテ (7分)、ニック・シャリフ・ハセフィ(30分)
🟨トレンガヌ(1):アリフ・ザカリア
🟨サバ(2):リザル・ガザリ、ゲイリー・スティーヴン・ロバト
🟥サバ(1):リザル・ガザリ(🟨x2)
MOM:パペ・ディアキテ(トレンガヌ)
AFCカップ出場権のかかる2位争いを繰り広げる両チームの戦いは、チームの勢いがそのまま現れた試合でした。リーグ終盤にきてやっと調子を上げてきたトレンガヌは、この試合まで5連勝中。しかもこの5試合では得点13失点1と自慢の攻撃力が遅ればせながら機能してきています。一方、ここにきて失速気味のサバは、この試合まで3試合勝星がありません。
前半の2ゴールを守り切ったホームのトレンガヌに対し、サバは守備の要リザル・ガザリが不必要なファウルで退場となるなど、この試合でもチームの歯車は噛み合わず、気がつけばトレンガヌとヌグリスンビランが勝点差1でそこまで迫っており、残り3試合で2位を死守できるかどうかに注目が集まります。
サバの加賀山泰毅選手は先発して、前半で交代しています。
2022年10月1日@ダルル・アマンスタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ 0-1 PJシティ
⚽️PJシティ:R・ルヴェンティラン(79分)
🟨クダ(1):アクマル・ザヒル、
🟨KLシティ(1):コギレスラワン
MOM:R・ルヴェンティラン(PJシティ)
前節第19節ではJDTを相手に、2度リードされながら追いついたPJシティがこの試合でも上位チームを相手に善戦し、最後はマレーシア代表のR・ルヴェンティランのゴールで引き分けを挟んで2連勝しています。
首の皮一枚で2位争いに残っているクダは、その争いから脱落しないためにも勝利が必要な試合でした。司令塔マフムード・アル=マルディ、正GKシャーリル・サアリの両選手をいずれも累積警告で欠く苦しい布陣では1点が遠く、この痛い敗戦で連勝が3で止まっています。
2022年10月1日@サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
サラワク・ユナイテッド 1-4 スリ・パハン
⚽️サラワク:ザフルル・ニズワン(45+2分)
⚽️スリ・パハン:デヴィッド・ローリー(37分)、スティーヴン・ロドリゲス2(58分、78分)、ズハイリ・アイザット(90+4分)
🟨サラワク(1):ボリス・コック
🟨スリ・パハン(1):ムスリム・アフマド
MOM:スティーヴン・ロドリゲス(スリ・パハン)
リーグ2位の30得点(19試合)を誇るスリ・パハンが連敗を2で止めています。
一方、リーグ最多の49失点(20試合)のサラワクは、7月31日以来、勝利がなく、引き分けを挟んで5連敗となっています。
2022年10月1日@スルタン・イブラヒムスタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジム 5-0 ヌグリスンビラン
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン2(35分、49分)、レアンドロ・ヴェラスケス(38分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ2(61分、88分)
🟨ジョホール(2):アキヤ・ラシド、シャールル・サアド
🟨ヌグリスンビラン(0):オミド・ナズリ、ナマテヴァン・アルナサラム
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ(ペナン)
前2節はスランゴール、PJシティと2試合続けて引き分けるなど、小休止状態だったジョホール。残り4試合を残して、勝点差8で追いすがる3位ヌグリスンビランとの対戦となったこの試合は、若きエース、アリフ・アイマン、そして22ゴール(18試合)でリーグ得点王争いを独走するベルグソン・ダ・シルヴァがそれぞれ2ゴールを挙げるなど活躍し、快勝しています。
またこの日、トレンガヌに敗れた2位のサバは、残り3試合で勝点36となり、勝点46となったJDTが残り試合を全敗し、サバが残り試合を全勝しても、サバは勝点でJDTを上回ることができないことが確定し、JDTの優勝となりました。
ヌグリスンビランは、5月11日の第7節ではJDTを相手にロスタイムに失点して0-1で惜敗しており、この試合も接戦が期待されました。先月、タイで行われたキングズカップでは、いずれもマレーシア代表の主力として活躍したDFクザイミ・ピーとGKシーハン・ハズミを擁し、今季ここまで最多失点が2と、強固なDF陣を中心に勝ってきたチームは、今季チーム最多となるまさかの5失点で大敗しています。
2022年シーズン スーパーリーグ順位表(第19節終了時)
チーム | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 | 差 | 勝点 | |
1 | JDT | 18 | 14 | 4 | 0 | 51 | 10 | 41 | 46 |
2 | SAB | 19 | 11 | 3 | 5 | 30 | 21 | 9 | 36 |
3 | TRE | 19 | 11 | 2 | 6 | 30 | 16 | 14 | 35 |
4 | NSE | 19 | 10 | 5 | 3 | 27 | 16 | 11 | 35 |
5 | KLC | 20 | 8 | 5 | 7 | 29 | 28 | 1 | 29 |
6 | KDA | 18 | 8 | 3 | 7 | 26 | 27 | -1 | 27 |
7 | SRP | 19 | 7 | 3 | 9 | 30 | 29 | 1 | 24 |
8 | SEL | 19 | 6 | 5 | 8 | 36 | 32 | 4 | 23 |
9 | PJC | 19 | 4 | 8 | 7 | 19 | 29 | -10 | 20 |
10 | MEL | 19 | 4 | 6 | 8 | 20 | 36 | -16 | 18 |
11 | SWU | 20 | 4 | 2 | 14 | 18 | 49 | -31 | 14 |
12 | PEN | 19 | 2 | 4 | 13 | 20 | 38 | -18 | 10 |
2022年シーズン スーパーリーグ 得点ランキング(第19節終了時)
ゴール数 | 選手名 | 所属 | |
1 | 24 | ベルグソン・ダ・シルヴァ | JDT |
2 | 14 | カイオン | SEL |
3 | 13 | フェルナンド・フォレスティエリ | JDT |
4 | 11 | ロナルド・ンガ | KDA |
5 | 9 | ダレン・ロック | PJC |