2月23日のニュース
UITMは資金調達成功で今季リーグ参加へ
ペラは年代別チームがリーグ出場を取り止め-クラブライセンス交付規定抵触の可能性も

昨日2月22日は今季1度目のトランスファーウィンドウ最終日。ここを逃すと次はMリーグ前半戦終了後の5月28日の2度目のトランスファーウィンドウが開くまで選手の入れ替えはできません。この最終日に選手の加入が大量に発表されており、ここ数日掲載してきた1部スーパーリーグチーム紹介にも選手の追加がありますので、そちらも是非、ご覧ください。

UITMは資金調達成功で今季リーグ参加へ

昨季は1部スーパーリーグで最下位となり降格し、今季は2部プレミアリーグに所属するUITM FCは、運営する国立大学のマラ工科大学UITMがチーム予算を50%以上も削減し、今季のリーグ参加が危ぶまれていましたが、Mリーグの今季1度目のトランスファーウィンドウ最終日だった昨日に資金調達に成功し、今季リーグ参加が決まったことを、マレーシア語紙ハリアンメトロが報じています。

ハリアンメトロによれば、総額370万リンギ(およそ1億200万円)の資金が調達できたことで、UITM FCは選手登録最終日となった昨日に選手登録を終えたということです。なおUITM FCは、当初は資金不足から大学生の選手を主体としたチームで今季をスタートし、資金を調達したのちの2度目のトランスファーウィンドウ期間にさらに選手を獲得することを予定していました。ただしこの370万リンギだけではシーズンを通してクラブを運営するには不十分だとして、引き続きスポンサーを探していくということです。

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なおこの資金370万リンギはマレーシア政府高等教育省から得た、という報道もあり、もしこれが事実であれば、プロサッカークラブの資金を政府が支援、言い換えれば税金が投入されることについての議論が巻き起こる可能性があります。またUITM FCからは昨季所属した選手の半数以上が既に退団、移籍し、多くのコーチ陣もチームを去っていることから、チームは存続したものの2部プレミアリーグでも苦戦を強いられそうです。

ペラは年代別チームがリーグ出場を取り止め-クラブライセンス交付規定抵触の可能性も

上のUITM FCと共に1部から降格し、今季は2部プレミアリーグに所属するペラFCは、170万リンギ(およそ4670万円)におよぶ未解決の給料未払い問題を抱えていることから、今回のトランスファーウィンドウ期間中の新規選手登録禁止処分を受けていました。さらに契約済みの選手数がMリーグが下限として規定する20名以下だったことから、リーグ出場辞退の可能性が取り沙汰されていました。しかしペラはU21やU19といった下部組織から選手を昇格させて、この問題を解決し、リーグ出場に漕ぎ着けましたが、その影響についてハリアンメトロが報じています。

トップチームに選手が昇格したことで、ペラFCはU21チームが参加するプレジデントカップ、そしてU19チームが参加するユースカップに出場できるだけの選手数を揃えることができず、この年代別リーグへの今季出場を辞退しています。過去2年間は新型コロナの影響により開催されなかった両リーグですが、最後に開催された2019年のリーグではペラはプレジデントカップでは準優勝、ユースカップではベスト4に進むなど好成績を上げており、今季の両リーグでも優勝候補の一角とされていました。

なお、ペラの両リーグ出場辞退について、マレーシアサッカー協会FAM競技委員会のフィルダウス・モハマド委員長は、ペラは出場辞退したのではなく、FIFAによる処分に基づき「出場取り消し」となったと説明しています。また既に発表されているリーグの試合日程については、変更が予定されているとし、ペラの対戦相手が不戦勝とはならないことも発表しています。

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U21とU19チームから選手を昇格させてトップチームの人数を補充したペラですが、SNS上ではこの方法によりU21とU19が消滅してしまったことが、Mリーグのクラブライセンス規定に抵触しているとの指摘もあります。Mリーグは1部スーパーリーグと2部プレミアリーグのクラブライセンス交付の条件として年代別チームを複数持つことを義務付けていますが、ペラがU21とU19チームを「取り消した」ことがこの規定に抵触するとの指摘です。クラブのMリーグ存続のために年代別チームを犠牲にするのか、年代別チームを生かすためにMリーグの出場を辞退するのか、どの観点から見るかで判断が分かれますが、いずれにしてもFAMとMリーグを運営するMFLはこの状況についての見解を発表する必要があります。

2022年シーズン開幕直前!
Mリーグ1部スーパーリーグクラブ紹介第6回
ヌグリスンビランFC & サラワク・ユナイテッドFC

Mリーグ2022年シーズンは2月26日のピアラ・スンバンシー(チャリティーカップ)で開幕しますが、今季開幕前に今季のMリーグ1部スーパーリーグの12クラブを紹介する最終回は、いずれも今季スーパーリーグに昇格する昨季Mリーグ2部プレミアリーグ1位のヌグリスンビランFCとプレミアリーグ2位のサラワク・ユナイテッドFCです。この2クラブは昨季は2部プレミアリーグに所属していたため、ボラセパマレーシアJPが情報不足なところもありますので、内容はこれまでの5回に比べると薄くなっている点をご容赦ください。

ヌグリスンビランFC(2021年シーズンプレミアリーグ1位)

本拠地:トゥンク・アブドル・ラーマンスタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
2021年シーズン成績:2部プレミアリーグ1位(12勝5分3敗)得点33(リーグ4位)失点16(同2位)
過去5シーズンの成績:2017年2部5位-2018年12位-2019年2部6位-2020年2部11位-2021年2部1位
監督:K・ディヴァン(マレーシア)
外国籍選手:
 *DFエラルド・グロン(フランス)
 *FWマテウス・アウヴェス(ブラジル)
 *FWコッシ・アデトゥ(トーゴ)
 *MFデヴィッド・マウーター(タジキスタン/ガーナ-AFC枠)
 *MFオミド・ナザリ(フィリピン/イラン-アセアン枠)

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 *GKシャイハン・ハズミ(PJシティより加入)
 DFザムリ・ピン・アムリ
 DFナスルラー・ハニフ・ジョハン
 *DFアフマド・クザイミ・ピー(UITMより加入)
 *DFチェ・ラシド・チェ・ハリム(マラッカ・ユナイテッドより加入)
 *DFカイル・ジョーンズ(サラワク・ユナイテッドより加入)
 MF K・サルクナン
 MFシーン・セルヴァラジ
 MFサイフル・リズワン
 FWザクアン・アドハ

チーム紹介:
4年振りに1部スーパーリーグに復帰するヌグリスンビランFC(以下ヌグリスンビラン)。外国籍選手を全て入れ替え、マレーシア人選手も昨季のメンバーからは、5ゴールを挙げたMFのR・バラトクマル、その弟のDFのR・アルーン・クマル(いずれもPJシティに移籍)、正GKとして16試合に出場したGKダミアン・リム(サバに移籍)らが退団と、昨季からはメンバーが大きく変わっています。その一方で、新加入のマレーシア人選手はクザイミ・ピー、チェ・ラシドなど実績ある選手を獲得しているだけに、戦力面ではむしろ昨季からはアップしていそうです。となれば外国籍選手の活躍が1部での成績に直結しそうです。

昨季は失点を抑えて勝つというチームカラーからヌグリスンビランですが、同じことが1部スーパーリーグでもできるのか。そして昨季のチーム総得点33点中、退団した選手たちが挙げた21点分の穴をどのように埋めていくのか。この二つの問いの正解が見つけられれば、1部残留、見つけられなければ1シーズンで2部に降格もあり得る、というのが今季のヌグリスンビランです。

ボラセパマレーシアJP的注目選手
・ザクアン・アドハ
昨季は17試合に出場し、マレーシア選手としてはチーム1位の7ゴールを挙げたザフアン・アドハは、主将としてもチームを牽引しました。今年35歳になるベテランは、自身にとっては2季ぶりとなる1部スーパーリーグでも同じような活躍を見せらられるのかに注目です。

・マテウス・アウヴェス
2017年シーズンにパハンに加入すると、リーグ2位となる18ゴール(21試合)を挙げたマテウス・アウヴェスが5季ぶりにMリーグに戻って来ます。パハン退団後は水原FC(韓国2部)、チョンブリーFC、PTプラチュワップFC、ポリス・テロFC(いずれもタイ1部)そして昨季は忠南牙山FC(韓国2部)と渡り歩いて経験を積んだマテウスは28歳となり、5年前はなかった円熟味も加味されていれば、今季の得点王争いに絡んでくる可能性大の選手です。またそうなれば、チーム自体も1部初年度ながら躍進が期待できます。

サラワク・ユナイテッドFC(2021年シーズンプレミアリーグ2位)

本拠地:サラワク州立スタジアム(サラワク州クチン)
2021年シーズン成績:2部プレミアリーグ2位(11勝5分4敗)得点37(リーグ2位タイ)失点14(同1位)
過去5シーズンの成績:2017年3部6位-2018年3部2位-2019年2部9位-2020年2部10位-2021年2部2位
監督:E・エラヴァラサン(マレーシア)
外国籍選手:
 FWウチェ・アグバ(ナイジェリア)
 *FWフランシス・コネ(トーゴ)
 DFゴンサロ・ソト(アルゼンチン)(2/22追加)
 DFリー・チャンフン(韓国-AFC)
 DFボリス・コック(カンボジア-アセアン枠)

主なマレーシア人選手(*は新加入選手、#は2021年にマレーシア代表に招集された選手):
 GKシャルビニー・アラウィー
 *DFカライハラサン・レチュマナン(PDRM FCより加入)
 DFカイル・ジョーンズ
 DFアメル・サイディン
 *DFアミルル・アシュラフ(ペラFCより加入)
 MFラヒム・ラザク
 MFシャミー・イスズアン
 MFクリスティ・ジャヤシーラン
 MFスチュアート・ウォーク
 *MFカイルル・アヌアル(PJシティFCより加入)
 FWスピアー・チャントゥル
 FWゴピ・リズキ

チーム紹介(2/22一部追記しました):
2月22日のトランスファーウィンドウ最終日にフランシス・コネ、ゴンサロ・ソト、そしてボリス・コックとの契約を発表したサラワクユナイテッドFC(以下サラワク)。Mリーグでプレー経験のあるコネ選手はKL(2020年)、ヌグリスンビラン(2021年)に続いてこのサラワクが3クラブ目で、ソト選手は2016年と2017年の両シーズンにPKNS FC(現スランゴール2)でエラヴァラサン監督の元でのプレー経験もあります。(ちなみにボリス・コックはウィキペディアでは代表キャップ数2となっており、Mリーグではアセアン枠で獲得する選手に『最低キャップ数』といった条件がないことを初めて知りました。)

2部では得点リーグ2位タイ、失点はリーグ1位と圧倒的な強さを見せたサラワクですが、昨季はシーズン中に給料未払い問題が明らかになり、しかもオーナーが未払いではなく遅配であると言い張るなど、運営が不安定なチームという印象が強く、ボラセパマレーシアJP的には今季2部降格の最有力候補です。

ボラセパマレーシアJP的注目選手
・ウチェ・アグバ
昨季はリーグ戦とカップ戦を合わせたチームの全試合26試合に出場し、総得点46点中、19点を挙げたチームの大黒柱。Mリーグでは4季目を迎え、2020年はマラッカでプレーするなど1部スーパーリーグでもプレー経験があるエースですが、1部では当然マークも厳しくなり、昨季同様の活躍は期待できないかも知れません。昨季のチーム2位の得点を挙げたのは退団したサンドロとラヒム・ラザクの5点ですので、アグバ選手が封じられると、チーム全体の得点力も大きく下がりそうです。