今季のMリーグ1部スーパーリーグを振り返る(2)

  Mリーグ1部スーパーリーグの2021年シーズンの成績を振り返る企画の2回目は7位から12位までのチームの今季を振り返ります。

7位 PJシティFC 6勝6分10敗 得点16(リーグ11位)失点28(リーグ4位)
主な得点者:ダレン・ロック3 、カイリル・ムハイミン3、コギレスワラン・ラジ2
クリーンシート:8(カラムラー・アル=ハフィズ8)
平均得点:0.73/試合 平均失点:1.27/試合
 今季のスーパーリーグで唯一、外国籍選手が1人も在籍しなかったPJシティFCは、開幕前は今季2部降格の最右翼と見られていましたが、前半戦を3勝6分4敗で折り返すと、後半戦は6連覇したものの下位のクラブ相手には取りこぼすことがほとんどなく、外国人選手を擁した昨季と同じ7位でした。
 トレンガヌFCから移籍したエース候補のダレン・ロックが開幕からの3試合で3ゴールを挙げながら、その後はケガによりチームを離脱し、先発に復帰できたのはシーズン終盤の2試合だったこともあり、とにかく得点力不足がシーズンを通しての課題でした。今季6勝の内、5勝が1-0での勝利でそれに貢献したGKのカラムラー・アル=ハフィズが10月の代表合宿に初招集されるなどマレーシア人選手だけで今季を戦った成果もありました。
 マレーシアカップではJDT、サバFC、ケランタンFC(2部プレミアリーグ)と同じD組に入っていますが、JDTの1位突破はほぼ確定しているので、サバFCとの2位争いが焦点になりそうです。

8位 マラッカ・ユナイテッドFC 5勝9分8敗 25得点(リーグ7位)31失点(リーグ7位)
主な得点者:S・クマーラン4、ステファン・ニコリッチ4、アレックス・ゴンサウヴェス3、ソニー・ノルデ3
クリーンシート:5(カイルル・ファーミ・チェ・マット4、ノラジラン・ラザリ1)
 リーグ下位のチームには下位となる理由が当然あるわけですが、マラッカ・ユナイテッドFCは現場ではなく経営陣の不手際というかプロ意識の欠如がその理由です。成績的には勝点で7位のPJシティFCと並ぶものの、得失差により本来は7位となっているべきところを、昨季に続き2季連続となる未払い給料問題より勝点3の剥奪処分を受けた結果、今季のマラッカ・ユナイテッドFCは8位に終わっています。チームは開幕から4試合連続引き分けでスタートしましたが、第4節後に勝点剥奪処分が発表され、積み上げた勝点が4から1となり前半戦を3勝5分5敗の11位で折り返しました。後半戦に入るとトレンガヌFCを破り、スランゴールFCと引き分ける見当を見せ、最終的には8位と昨季より順位を一つ上げています。
 マレーシアカップでは2部プレミアリーグ優勝のヌグリスンビランFCとC組の2位を争うことになりそうですが、C組の初戦となる明日9月27日のヌグリスンビランFC戦で敗れるようなことになれば、グループステージ敗退が見えてきます。
 

9位 サバFC 4勝7分11敗 得点21(リーグ9位)失点38(リーグ10位) 
主な得点者:レヴィ・マディンダ4、アムリ・ヤハヤ4、サディル・ラムダニ3
クリーンシート:3(ロブソン・レンディ・リニン2、ロザイミ・ロヒム1)
 外国籍選手のチーム合流が遅れたサバFCは、全員が先発XIに出揃ったのは今季初勝利を挙げた第5節でした。しかも昨季10位の成績によりインドネシア出身のクルニアワン・ドゥイ・ユリアント監督の解任を発表しながら、開幕前に今季も続けて指揮を取ることが発表されるドタバタもありました。しかもそのクルニアワン監督は後半戦開幕以降、0勝3分4敗の成績を理由にシーズン終了まであと2試合というところで「休養」させられるなど、続投させた経営陣の責任も問われるべきでは、という状況でシーズンを終えています。
 戦力的にはレヴィ・マディンダと並んで40歳のアムリ・ヤハヤがチーム得点王という点も来季以降に不安が残りますが、チーム総得点21の内、マレーシア人選手が得点したのは8点と半分にも満たず、来季も外国籍選手頼りのチーム編成となりそうです。
 マレーシアカップはPJシティFCのところでも書きましたが、グループステージ突破に向けてPJシティFCとの2位争いを繰り広げることになりそうですが、シーズン終盤の監督交代後も連敗して後半戦を0勝3分6敗で終えており、リーグ戦終了後に就任したオン・キムスイ元U23代表監督がどこまでチームを立て直してくるかが注目です。

10位 スリ・パハンFC 4勝6分12敗 得点23(リーグ8位)失点37(リーグ9位)
主な得点者:ケニー・アティウ4、リー・タック他6名が2
クリーンシート:3(ヘルミ・エリザ・エリアス3)
 アメリカ出身でワールドカップ1984年大会と88年大会には代表チームの主将として出場、東南アジアではフィリピン代表監督も務めたトーマス・ドゥーリー監督を招聘したスリ・パハンFCは、開幕戦から2連敗すると、ドゥーリー監督を「休養」させ、昨季監督を務めたドラー・サレー TM(チームマネージャー)を再登板させました。就任時からスリ・パハンFCの練習設備は自身がプレーしたドイツでは5部リーグ並みなどと発言したことなども「休養」の理由とされていますが、それでもあまりに早すぎる「休養」に周りが驚く中、昨季8位の成績を理由に解任されたドラー・サレー監督の再登板にはさらに驚かされました。ドラー監督就任後2試合目となる第4節に今季初勝利を挙げたものの、2勝目まではさらに7試合を要すなど、果たして監督交代に意味があったのかどうかに疑問が残る経営陣の判断でした。前半戦を3勝3分7敗、後半戦は1勝3分5敗で一部サポーターからはどラー監督解任やドゥーリー監督復帰の声も出る中、幸いなことに今季は下位のチームがスリ・パハンFCに輪をかけてひどい状況だったことから、なんとか1部残留を果たしています。
 マレーシアカップではペナンFC、KLシティFC、2部プレミアリーグ準優勝のサラワク・ユナイテッドFCと同じA組に入っていますが、グループステージ突破どころかA組4位でグループステージを終える可能性もあります。

11位 ペラFC 4勝4分14敗 得点20(リーグ10位)失点45(リーグ12位)
主な得点者:ギリェルメ・デ・パウラ4、カレッカ4、セルヒオ・アグエロ2
クリーンシート:5(ハフィズル・ハキム4、アズリ・アブドル・ガニ1)
 一昨年5位、昨年4位と順調に順位を上げてきたペラFCは、2017年から指揮を取るメフメト・ドゥラコビッチ監督が突然辞任しました。コロナ禍で家族と会えないことがその理由と発表されましたが、今振り返ればそれが果たして本当だったのか…。今季はクラブ創設100周年というペラFCは開幕直後から所属選手への給料未払いが明らかになると、それに呼応するようにチームも不振(というか選手のモチベーション不足?)に陥り、前半戦を3勝3分7敗の8位で終えました。
 また給料未払いの影響は大きく、前半戦終了直前のトランスファーウィンドウ期間には外国籍選手4名全員を含む8選手が退団、移籍しましたが、全員が今季開幕戦の先発XIに入っていたこの主力8選手の退団の影響は当然ながら大きく、後半戦は1勝1分7敗とリーグ最低の成績で100周年という記念の年にクラブ史上初の2部降格となりました。

12位 UITM FC 3勝4分15敗 得点16(リーグ11位)失点41(リーグ11位)
主な得点者:クォン・ヨンヒョン4、シーン・ジャネッリ3、ジョエル・ヴィニシウス 2、ナナ・ポク2
クリーンシート:4(ムハマド・アズファル・アリフ1、ザミル・スラマット3)
 大学のクラブとして初めて1部に昇格した昨季は短縮された日程だったもののリーグ6位(5勝2分4敗)と好成績を挙げたUITM FCは、開幕前に昨季在籍した外国籍選手5名中、チームの司令塔ラビ・アタヤや昨季チーム総得点17点中6点を挙げたFWグスタヴォなどを入れ替えましたがこれが大失敗でした。結局、唯一残った主将のヴィクター・ニレノルド以外は、今季途中のトランスファーウィンドウ期間で再び全員が入れ替えられ、チームの今季得点者トップ3全員がこのトランスファーウィンドウ期間に加入した選手たちであることからも明らかなように、前半戦は0勝2分11敗、またこの間は得点4失点30と、とにかく点が取れませんでした。外国籍選手が入れ替わった後半は3勝2分4敗と持ち直し、最終節まで1部残留の可能性が残りましたが前半戦の勝点がわずか2ではやはり残留は無理でした。
 1部スーパーリーグからマレーシアカップに出場できるのは11位までなので、12位のUITM FCは今季のマレーシアカップには出場できずに来季は2部に降格します。