W杯予選-マレーシアはUAEに0-4で完敗
新型コロナウィルス感染拡大により中断していたFIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選が再開し、アラブ首長国連邦UAEで集中開催となっている予選G組は2試合が行われ、マレーシアはUAEに0-4で敗れています。
2019年11月19日のW杯予選インドネシア戦以来の公式戦となったマレーシアは、新たに帰化選手2名が代表に加わり期待が持たれていましたが、蓋を開けてみれば完敗でした。国内リーグのMリーグでも調子が上がっていないブラジル出身のFWギリェルメ・デ・パウラ、期限移籍中のオーストラリア1部リーグでは最長でも45分しか出場時間のないコソボ出身のMFリリドン・クラスニキの両帰化選手はいずれも機能しなかった一方で、UAEの帰化選手、MFファビオ・ヴィルジニオ・ジ・リマ (ブラジル)は2得点、後半途中から出場したFWカイオ・カネド(ブラジル)も得点はなかったものの、試合出場と同時にUAEの攻撃陣が一変し、そこから試合終了までの10分間で3ゴールを挙げたUAEの攻撃陣をリードしました。
マレーシアは2019年9月10日にホームのブキジャリル国立競技場で行われたUAE戦で2ゴールを決めたFWアリー・マブフートにこの試合でも先制ゴールを含む2得点を許しており、相手のエース対策不足も露呈しています。
素人目から見ても、マレーシアGKのファリザル・マーリアスのファインセーブやDFジュニオール・エルドストールの献身的な守備で0-4で済んで良かったという試合でした。フィットネスレベル、運動量、戦術とあらゆる面でUAEに対して明らかに劣っていたマレーシアは、前線ではいつもなら集中力を途切れさせないサファウィ・ラシドから試合中何度も笑みがこぼれる場面も見受けられる一方で、中盤の選手がほとんどボールに絡むことがなく、UAE攻撃陣にスペースを与え続けました。本来ならDFラヴェル・コービン=オングとDFマシュー・デイヴィーズの両サイドバックが攻撃を演出するマレーシアの得点パターンも試合当初は機能したものの、途中からは守備の比重が増える形になり、積極的な攻撃参加の機会が減りました。また、この試合の3日前に「秘密兵器」として披露されたDFディオン・コールズと主将のDFアイディル・ザフアンのセンターバックコンビも意思の疎通が不十分なところから先制点を許すなど、次戦となる6月11日のベトナム戦までに修正しなければならない課題が多く残った試合でした。
UAE守備陣の明らかなハンドの反則が見逃されるなどマレーシアにとっては不運な場面もありましたが、この日のような試合では何度対戦してもUAEには歯が立ちそうもない印象が残りました。
なお韓国メディアが「監督日韓戦」と呼んだ予選G組のもう一つの試合ではJリーグでプレーするDFテーラトン・ブンマタン(横浜M)、MFチャナティップ・ソングラシンタイ(札幌)らを欠くタイが、若手主体のインドネシアと2-2と引き分けています。
この結果、マレーシアに勝利したUAE、インドネシアと引き分けたタイ、UAEに敗れたマレーシアの3チームが勝点9で並んだものの、得失差でUAEが2位、タイが3位、マレーシアが4位となり、この日試合がなかったベトナムが勝点11で首位、引き分けで予選初の勝点1を獲得したインドネシアが5位となっています。
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正直、悔いが全く残らないほどの完敗で、むしろ次のベトナム戦には気持ちの切り替えが容易なのではと思いました。このベトナム戦、そして続くタイ戦は同じ東南アジアのライバルとしてプライドもかかる試合です。次戦までの1週間でタン・チェンホー監督とチームが与えられた宿題をどうこなしてくるのかに期待したいです。
FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組
6月3日@ザビールスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
アラブ首長国連邦UAE 4-0 マレーシア
得点者:UAE-アリー・マブフート2(18分、90+1分)、ファビオ・ヴィルジニオ・ジ・リマ(83分、90+2分)
6月3日@アール・マクトゥーム・スタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
タイ 2-2 インドネシア
得点者:タイ-ナルバディン・ウェーラワトノドム(5分)、アディサク・クライソーン(50分)、インドネシア-イ・カデック・アグン・ウィドニャナ(39分)、エヴァン・ディマス(60分)
FIFAワールドカップ2022年大会アジア2次予選
兼AFC選手権アジアカップ2023年大会予選G組順位表(2021年6月4日現在)
Team | P | W | D | L | GF | GA | GD | PTS | |
1 | ベトナム | 5 | 3 | 2 | 0 | 5 | 1 | 4 | 11 |
2 | UAE | 5 | 3 | 0 | 2 | 12 | 4 | 8 | 9 |
3 | タイ | 6 | 2 | 3 | 1 | 8 | 5 | 3 | 9 |
4 | マレーシア | 6 | 3 | 0 | 3 | 8 | 10 | -2 | 9 |
5 | インドネシア | 6 | 0 | 1 | 5 | 5 | 18 | -15 | 1 |
P-試合数、W-勝利、D-引き分け、L-敗戦、GF-得点、GA-失点、GD-得失差、PTS-勝点
予選G組今後の日程(時間は現地時間、試合はいずれも午後8時45分キックオフ)
6月7日(月)
アラブ首長国連邦-タイ@ザビールスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
ベトナム-インドネシア@アール・マクトゥーム・スタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
6月11日(金)
インドネシア-アラブ首長国連邦ザビールスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
マレーシア-ベトナム@アール・マクトゥーム・スタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
6月15日(火)
ベトナム-アラブ首長国連邦ザビールスタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ
タイ-マレーシア@アール・マクトゥーム・スタジアム、アラブ首長国連邦ドバイ