サバFCは給料未払いの噂を公式に否定
昨日のこのブログではサバFCの選手や首脳陣が練習をボイコットし、複数ヶ月分の給料が未払い我流だという噂を取り上げましたが、サバFCは公式声明を発表し、この噂を否定しています。
サバFCのカイルル・フィルダウス・アクバルCEOは、給料の遅配はあることは認めた一方で、1ヶ月を超える未払いはこれまで一度もなかったこと、さらにその遅配も既に解決済みであるとクラブの公式Facebookで述べています。
また前日の練習が早目に切り上げられたことについては、翌日にペナンへの移動が控えていたこともあり、休養を取れるようにという配慮だったとしています。
さらに公式声明の最後には、選手と経営陣との意思の疎通は十分に行われているとして、今後はこのような問題が起こらないと確信しているとまとめています。
今年はマレーシアカップ100周年の記念大会
1921年にマラヤカップの名称で第1回大会が開催されたマレーシアカップは今年で100周年を迎えます。マレーシアカップを運営するマレーシアンフットボールリーグMFLは今年の記念大会を例年とは比べられないほど盛大に行う計画があるということです。
MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOがマレーシアの通信社ブルナマに語ったところによると、試合会場はもとより、学校やショッピングモール、またオンライン上でも様々な記念イベントが企画されているということです。
「大会でプレーしたマレーシアサッカー界のレジェンドなども含め、MFLはマレーシアカップの歴史的価値を再考する機会を社会と共有したい。」と述べるアブドル・ガニCEOは、新型コロナウィルスの感染状況との兼ね合いもあるとしながらも、例年はMFLのスポンサー企業やメディアを通じて行ってきたマレーシアカップの宣伝を、今年はより大規模かつ様々な方法でより広く告知していきたいとしています。
<マレーシアカップメモ>
1921年
当時の英領マラヤに寄港した英国海軍軍艦HMSマラヤの艦長から寄贈されたカップを争う大会としてスタート。ペナン、ペラ、スランゴール、ヌグリスンビラン、マラッカ、シンガポールの6チームが出場し、決勝ではシンガポールがスランゴールを破り初代チャンピオンとなる。
ちなみに日本の天皇杯サッカー選手権大会も1921年に第1回が開催されている。マラヤカップは決勝が同年10月1日、天皇杯の決勝は11月だった。
1942年〜1947年
日本軍による英領マラヤ占領とその影響で大会は中止。
1948年
第二次大戦後の初開催となった大会はヌグリスンビランがスランゴールを破り優勝。
1957年
この年のマラヤ連邦の英国からの独立に合わせて建設されたムルデカスタジアムで初めて決勝戦が開催される。決勝戦ではペラガスランゴールを破り優勝。またこの大会より、パハン、ケランタン、トレンガヌ、プルリスの各州も大会に初参加。
1967年
HMSマラヤより寄贈されたカップに代わり新たなカップが授与され、大会名称もマレーシアカップとなる。この年の決勝はペラがシンガポール破り優勝。
1979年
連邦直轄地(現クアラルンプール)とサバ、サラワクそしてブルネイがこの年から大会参加。またこの年から国内リーグ戦が始まるが、当時はマレーシアカップの予選という位置付けだった。
1982年
国内リーグとマレーシアカップがそれぞれ独立した大会となるが、マレーシアカップは国内リーグ終了後に開催されるようになり、リーグ成績上位チームのみが出場可能となる。
1994年
この年のMリーグで優勝したシンガポールが決勝でパハンを破り2冠を達成するも、入場料収入の分配でマレーシアサッカー協会FAMとシンガポールサッカー協会FASが対立し、シンガポールはこの年を最後にMリーグとマレーシアカップへの参加を中止。1998年
この年開場したブキジャリル国立競技場で初の決勝戦が開催され、ペラがトレンガヌを破り優勝。
1999年
いずれも初めて決勝に進出したブルネイとサラワクが対戦しブルネイが初優勝。
2003年
MPPJ FC(2008年に解散)が決勝でサバを破り、州サッカー協会運営クラブ以外で初の優勝チームになる。
2007年
クダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)が決勝でペラを破って優勝し、Mリーグ優勝、FAカップ優勝と合わせて三冠達成。
2008年
クダFA決勝でスランゴールを破って優勝し、2年連続で三冠達成。
2012年
ケランタンFA(現ケランタンFC)が決勝でATM(現国軍FC)を破って優勝し、Mリーグ優勝、FAカップ優勝と合わせて三冠達成。また、シンガポールがU23代表を中心としたライオンズXIIを結成し、Mリーグに復帰(ただし2015年に再び撤退)。
<マレーシアカップ通算成績>
優勝回数 1位スランゴール33回
2位シンガポール24回
3位ペラ8回
4位クダ5回
5位ペナン・パハン各4回
MFLはサラリーキャップ制導入に否定的
選手への給料未払い問題が明らかになると毎度議論が再燃するサラリーキャップ制導入について、MFLのアブドル・ガニ・ハサンCEOは個人的な見解としながらもその導入には否定的な意見を持っていることをブルナマに明らかにしています。
アブドル・ガニCEOは、Mリーグは自由競争に基づいて運営されており、サラリーキャップ制導入を導入すれば、外国籍選手はもとより、マレーシア人選手もより良い年棒を求めて国外リーグへ移籍してしまうだろうと話し、競争力のあるプロリーグであることを対外的に示すためにも、導入はするべきでないとしています。
アブドル・ガニCEOの発言は、給料未払いとされるクダ・ダルル・アマンFCのスポンサーでもあるクダ州政府のモハマド・サヌシ・モハマド・ノー州首相がサッカー選手の年棒高騰は国内No.1スポーツでもあるサッカー界を圧迫しているとして、マレーシアサッカー協会FAMとMFLに対して対策を講じることを求める発言をしたことを受けたものです。
給料未払い問題を抱えるクラブが複数あることは承知していると話すアブドル・ガニCEOは、各クラブの規模に沿った予算内での経営を目指すべきと述べ、その予算を超えるような年棒を提供することが未払い給料問題の原因であると話しています。
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Mリーグ内での競争を抑えて、各クラブの力を均一化するためにはサラリーキャップ制導入は有効です。この制度を導入しているアメリカンNO.1スポーツのアメリカンフットボールのNFLで、連覇をするチームが出にくくなったのもそれが理由とされています。
しかしNFLが世界のトップであるアメリカンフットボールと違い、サッカーはマレーシアで言えば国内リーグの上にAFCチャンピオンズリーグやAFCカップ、さらに代表が出場するW杯をはじめとする大会があり、サラリーキャップ制導入によるMリーグクラブの実力の均一化は、一歩マレーシアから踏み出せば、Mリーグクラブは他国のリーグのクラブに歯が立たないという状況に陥る可能性もあります。リーグ7連覇のJDT1強も問題ですが、FIFAランキングにかかわる国外の試合でマレーシアが不利になるようであれば、MFLのCEOの指摘も間違ってはいないでしょう。
「休養」中のパハン前監督とコーチはU21チームの指導へ
開幕からわずか2試合で「休養」となったMリーグ1部スーパーリーグ、スリ・パハンFCのアメリカ人監督トーマス・ドゥリーとイタリア人コーチのクリストファ・ガメルの両氏はクラブから解雇されていないようですが、その代わりにクラブのU21チームを指導者に任命されたと、マレーシア語紙ハリアンメトロ電子版が報じています。
スリ・パハンFCのモハメド・スフィアン・アワンCEOはドゥーリー氏はU21チームのアドバイザーに、またガメル氏はU21チームの監督に任命されたことを明らかにしています。またドゥーリー氏の「休養」後に監督代行とししてチームの指揮を取ってきたドラー・サレー チームマネージャーが正式に監督に就任したことも同時に発表しています。
今季開幕から2連敗するとスリ・パハンFCはドゥーリー、ガメルの両氏を「休養」させ、昨季は監督を務めながら4勝2分5敗でリーグ順位8位という成績不振から監督を解雇され、今季はチームマネージャーとなっていたドラー氏を担ぎ出して監督代行としていました。
ドラー監督代行となった後は1勝2分2敗という成績となっています。