リーグ再開に向けて練習試合が活発化
8月26日のMリーグ1部と2部の再開に向けて、各クラブが練習試合を活発に行っていますが、そんな中、Mリーグ1部スランゴールFCのMFブレンダン・ガンは、この練習試合はいわば「一石二鳥」になっていると話しています。
英字紙スター電子版によると、ガン選手はこの練習試合はリーグ中断後の自宅練習から、6月に解禁された身体接触を含まない練習、そして7月末に解禁になった実戦練習を経たチームがどの位仕上がっているかを知る機会であると同時に、リーグ再開後に適用される標準作業手順SOPを習慣化する機会でもあると話しています。
Mリーグ再開後に適用されるSOPには、ピッチ上での握手の禁止、ベンチ内での社会的距離(ソーシャルディスタンス)の維持、タオルや水の入ったボトルの共用の禁止、ピッチ上で唾を吐いたり、鼻をかんだりすることの禁止などが含まれています。
ガン選手は「練習試合は無観客試合で行われているものの、チーム全員がSOPの遵守するように言われている。試合前、試合中、試合後とそれぞれのSOPについては詳しく説明されておりが、もう数試合をこなせば、チーム全員がピッチ上での「ニューノーマル」にも慣れるだろう。」と話しています。
またこの日、スランゴールFCと練習試合を行ったMリーグ2部ペナンFAのアズミ・ムスリム主将は、今季のMリーグを終えられるかどうかは各クラブがSOPを遵守することができるかかどうかに関わっていると話し、それが例え、不自由に感じることであるとしても、新型コロナウィルスの新たな感染者が出ている状況下では、SOP遵守は欠かせないことは理解している、と話しています。
クラブの民営化は州FAの体質を変えるか
このブログでも何度か取り上げたMリーグクラブの民営化問題について、英字紙ニューストレイトタイムズ電子版が「クラブの民営化によって州FAの首脳部は交代するか」という長文の記事を掲載しています。
マレーシアサッカー協会FAMは、9月30日を期限としてMリーグクラブを運営している各州サッカー協会(州FA)に対して、運営するクラブの民営化を完了することを求めていますが、この記事ではこの措置により、州FAの首脳の顔ぶれが大きく変わってくるのではないかと予想しています。
経営難に苦しんでいる州FAはいくつもあり、その内の複数の州FAは新型コロナウィルスの影響により今季たまたま経営難に陥ったような言い方をしていますが、実際にはその前から州政府からの公金補填がなければクラブが運営できていなかった州FAがいくつもあります。そういった州FAはリーグ中断により入場料収入が無くなった上、新型コロナウィルス感染拡大により州政府内での予算配分変更が原因で運営資金不足に陥り、選手やスタッフに給料が支払えなくなった可能性があります。
その結果、州FAのトップは公約を果たせなくなったり、サポーターから退陣を迫る声が上がっていますが、その例の一つがこのブログでも何度も取り上げているケランタンFAです。
FAM主導で行われている民営化により、各Mリーグクラブは州FAを通じた州政府への過度な依存体質から脱却し、クラブ運営がより合理的に行われるようになることが期待されています。
プロ化から26年経つMリーグですが、単なる名誉職を求める政治家をトップに据えた州FAから独立したクラブで構成され、そのクラブがより若く活気があふれるリーダーによって運営されることで、リーグ自体の質が高まることが期待されています。
給料の額では東南アジア内でもトップクラスの額が支給されているとされるMリーグですが、皮肉なことに昨年だけで報告されている未払い給料は262件、総額は640万リンギ(およそ1億6200万円)となっています。
*****
一部報道では、ある州の皇太子が州民の支持があることを条件に、その州のFAの会長になる意思を表明しているとされており、その皇太子はジョホール州皇太子トゥンク・イスマイル殿下がオーナーを務め、既に民営化クラブとして来季のクラブライセンス獲得が決まっているるジョホール・ダルル・タジムJDTを手本にしたいと話しているなど、就任に向けて本気のコメントも出されています。
参考までに、上はニューストレイトタイムズ電子版に掲載されていた各州FAの現在の会長のリストです。この内、スランゴール州FA、ヌグリスンビラン州FA、パハン州FAは皇族が会長を務め、クダ州FA、ペラ州FA、マラッカ州FA、トレンガヌ州FAは州首相(日本で言えば都知事や県知事などの「知事」)が州FA会長を兼任している他、ペナン州FAやクアラルンプールFA、サバ州FAの会長も国会や州議会議員など政治家が就任しています。