5月2日のニュース:FAMが給料削減についての指針を発表、活動制限令解除後のM3リーグ再開を希望しないクラブも

 マレーシアサッカー協会FAMは4月22日を期限として選手、監督、コーチと給料削減についての合意を求めていましたが、合意に至らなかったクラブに対して適用されるFAMとしての指針を公式サイト上で発表しています。
 スチュアート・ラマリンガム事務局長名で出された発表の中でFAMは、新型コロナウィルスによるリーグ中断によって各クラブが受ける影響は大きいことは理解しているとする一方で、選手及びスタッフの福利についてもこれを守らなければならいとして、マレーシアのサッカー活動を統括する組織として、今回の指針を発表するに至ったと説明しています。
 さらに4月9日から22日までの交渉期間を第1段階とし、国内リーグを運営するマレーシアフットボールMFLとマレーシアプロサッカー選手会PFAMによる交渉を第2段階、そして第3段階として、今回の指針をMリーグのクラブに適用するとしています。
 以下が発表内容です。
I 今回の指針が適用されるクラブについて
1)4月22日までににクラブと選手及びスタッフと給料削減についての合意に達しているクラブには今回の指針は適用されない。
2)今年2020年3月の時点で未払い給料問題を抱えていたクラブは給料削減を選手に求めることはできない(ただし、クラブと選手及びスタッフとの間で事前合意がある場合は除く)
3)選手及びスタッフに対して今季、給料削減を行わないクラブはこの指針に従う必要はない。
注)例えば既に一律10%の給料削減で選手及びスタッフとの間で合意しているクラブは、今回の指針発表後に給料削減額を変更することはできない。
注2)また例えば既に一律40%の給料削減で選手及びスタッフとの間で合意をしているクラブは、今回の指針発表後に給料削減額を変更することはできない。
いずれも4月9日から22日の間に合意されている場合には、その内容を変更することは認められない。

II 給料削減の限度と期間
1)選手及びスタッフの給料額に基づき、削減は最大30%までとする。
2)削減の割合は給料額によって以下の通りとする。
カテゴリー1:4999リンギ(およそ12万4000円)以下−10%
カテゴリー2:5000リンギから9999リンギまで(およそ24万8000円)−15%
カテゴリー3:10000リンギから14999リンギまで(およそ37万2000円)−20%
カテゴリー4:15000リンギ以上−30%
3)30%を超える削減を行う場合は、クラブと選手およびスタッフ双方の同意が必要とする。
4)給料削減を行う期間は2020年4月より今季2020年シーズンのMリーグが再開された月までとする。例えばMリーグが8月に再開になった場合、給料削減は8月まで行えるものとする。
5)カテゴリー4の選手については、4月の削減は25%とし、5月から30%とする。

III その他
1)指針で示された給料削減の割合については、FAMはクラブの経営状況など必要に応じて変更する場合がある。
2)今季2020年シーズンの開催時期が延長される場合には、それに伴って選手及びスタッフとの契約も速やかに延長されるものとする。
 この他、今回の指針発表にあたり、FAMは法務部門、クラブライセンス部門、競技部門、スポーツ科学部門の職員からなるプロジェクトチームを作って、各クラブ、選手及びスタッフに対応するとしており、この発表の最後では、クラブ経営陣、選手、スタッフ及びサポーターが、これらの指針の受け入れを望んでいるとしています。

活動制限令解除後のM3リーグ再開を希望しないクラブも
 マレーシア全土に発令中の活動制限令は5月4日より、飲食店での食事が可能になるなど緩和されることが昨日5月1日に発表されました。しかし3月18日から続く活動制限令下では多くの経済活動が制限され、その影響から上の記事でも取り上げた各クラブが選手及びスタッフの給料を削減せざるを得ない状況となっています。
 この状況はMリーグ1部スーパーリーグや2部プレミアリーグのクラブはもとより、3部M3リーグでも同様で、特に小規模のクラブには大きな影響を及ぼしていると、マレー語紙ブリタハリアンが報じています。
 同紙が取り上げているのは、今季から高山龍選手も所属するM3リーグのランカウィシティFCですが、クラブのマネージャーを務めるモハマド・ノー・モハマド・アミンは、現在の状況はクラブにとって厳しいものになっていると述べています。
 「新型コロナウィルス感染は予期できないものではあるが、M3リーグのクラブは大半が小規模クラブであり経営危機に直面していることから、選手及びスタッフの給料支払いに悪影響が出ている」と話すモハマド・ノー氏は、「多くのM3クラブは企業スポンサーに依存しているが、その企業の多くが活動制限例により経営難に陥っている。」とも述べ、活動制限令が解除となった場合でも、今季のM3リーグは中止とするべきだと話しています。
 この他、FAMと国内リーグMリーグを統括するマレーシアフットボールMFLが提案している9月のMリーグ再開については、政府がこれを認めたとしても、ランカウィシティFCのような小規模クラブは綿密な運営計画が必要になるとし、事前に再開に向けた準備をせざるを得ないとしています。
 モハマド・ノー氏はFAMとMFLが6月に発表するとしているM3リーグ再開の可否については、M3リーグに関わる全員にとって最善のものであることを期待していると話しています。