4月10日のニュース:M4のクラブが財務状況を公開、FAMはクラブと選手がFIFAが発表した指針に従うことを求める

M4のクラブが財務状況を公開
 マレーシアフットボールリーグMFL4部にあたるM4リーグに所属するクルテーFCがクラブの公式Facebookで2019年の財務状況を公開しています。
 マレー半島東海岸にあるトレンガヌ州のクルテーを本拠地にするクルテーFCは、トレンガヌ州アマチュアリーグの2019年チャンピオンで、MFLのアマチュアリーグであるM4リーグに所属し、今季2020年シーズンのFAカップでは1回戦から登場し、MFL3部のM3リーグのノーザンライオンズFC-マーサに惜しくも敗れています。
 クラブの公式Facebookに掲載されたインフォグラフィックでは、収入の内訳はビジネス(収入全体の62%)、スポンサーからの支援(同35%)、投資(同3%)が三本柱で、さらにビジネス収入の内訳は石油とガス(ビジネス収入全体の53%)、サッカースクール(同18%)、広告(同11%)、リーグ(同11%)、グッズ売り上げ(同4%)、ライブストリーミング(同3%)となっています。
 クルテーは石油とガス供給を行う企業としてはマレーシア最大の国営企業ペトロナスのトレンガヌ州での事業拠点であり、クルテーFCの「石油とガス」関連の収入もペトロナス関連の人材供給と機材のレンタルから。また「ライブストリーミング」はトレンガヌ州のアマチュアリーグの試合の中継などから得られる収入としています。
 またクルテーFCの支出の内訳は給料及び手当(支出全体の24%)、石油とガス(同22%)、リーグ(同18%)、メディアおよび販促(同8%)、育成プログラム(6%)、トレーニング器具(4%)、その他(同18%)となっています。
 クルテーFCはトレンガヌ州のアマチュアリーグに初めて参加したのは昨季2019年シーズンからで、アマチュアリーグ参加によりクラブの支出は前年2018年と比較する2019年シーズンは164%増加したそうですが、同時期の収入も232.8%と大幅に増加し、利益率は24.1%だったことも公表しています。
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 公開されている情報では、収支の具体的な金額は公表されていませんが、支出の内、手当と給料が占める割合が24%(MFL1部と2部のプロクラブの平均は80%以上)となっている点や、大型スポンサー1社に頼らず、複数の収入源をもつ点などはMFL1部や2部のプロクラブも見習う必要がありそうです。
(以下のインフォグラフィックはクルテーFCのFacebookより)

FAMはクラブと選手がFIFAが発表した指針に従うことを求める
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイト上で、国内リーグの利害関係者全員に対し、国際サッカー連盟FIFAが発表した新型コロナウイルスの感染拡大によって生じうる選手との契約に対処するための指針に従うことを求めています。
 FIFAは4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大によって生じうる、選手との契約や移籍全般に関する問題に対処するためのガイドラインを公式HPで発表し、感染拡大が世界各国のクラブの財政にも大きな影響を与えていることから、選手の給与減額に関しても、中断期間中にクラブと選手が解決策を見つけることを強く推奨しています。
 FIFAの指針が出たことで、FAMは強気になったのか、活動制限令が発令されている期間中に以下のことを求めています。
1)契約内容の見直し:契約内容の見直しが必要な場合、適切な労働協約を締結するためにクラブは選手やコーチ、監督と直接、交渉を行わなければならない。また新たな労働協約は4月22日までに合意されなければならない。
2)国内リーグを運営するマレーシアフットボールリーグMFLと、マレーシアプロサッカー選手会PFAMは、4月22日までに合意できるよう関係者全員が同意できる臨時の給与体系について直ちに協議を行うことを求める。
3)選手とクラブの間で円満に解決することができない場合には、FAMに判断を委ねることができる。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、FIFAの指針は現在の膠着状態を解決する助けになると話し、MFLのクラブに対しては透明性の高い方法で選手やコーチ、監督およびスタッフと交渉を行うことも併せて求めています。
 またラマリンガム事務局長は、FIFAの指針は、クラブと選手は活動制限令中の契約内容を見直すために交渉の席につくべきとした、FAMとMFLが共同で発表した3月26日の提言と一致していると述べています。
 しかしその翌日3月27日には、PFAMがクラブは選手との給料など契約内容を遵守することを求める声明を発表しており、これについてラマリンガム事務局長はPFAMの強硬な姿勢は誰の利益にもならず、円満解決に必要となる貴重な時間を無駄にしていると非難し、今後は関係者全員がFIFAの指針に従うべきとしています。
 また選手やコーチ、監督やスタッフが現行の契約通りの給料を受け取る一方で、クラブが経営不安定となり、その結果として経営破綻を起こし・多くの人間が仕事を失う様なことは避けなければならないと話し、FAMの決定はリーグ、クラブ、選手ら全員の複利を考えてのものであると理解を求めています。
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 FAMの宣言を受け、今後各クラブが選手と積極的に交渉を始める可能性がありますが、本日予定されているマレーシア政府からの発表次第ではあるものの、活動制限令MCOがいるまで延長されるかわからない現状で、FAMが4月22日という期限を設ける理由も不明です。
(下はFAM公式サイトより『FAMは関係者全員がFIFAの提案に従うことを求める」というタイトルがつけられた告知