4月7日のニュース:クチンFAは削減した給料を新型コロナウィルス基金に寄付、FIFAは6月に予定されていた全試合の中止決定 、活動制限令違反でサッカー選手を逮捕、MFLは活動制限令延長の場合の対応を準備

クチンFAは削減した給料を新型コロナウィルス基金に寄付
 東マレーシアのマレー語紙ウトゥサンボルネオ電子版によると、マレーシアフットボールリーグMFL2部プレミアリーグのクチンFAは、選手が4月分の給料を5パーセント削減することに同意したことに加えて、その削減分を新型コロナウィルスのための基金に寄付すると発表しています。
 クチン地区サッカー協会KDFAのファズルディン・アブドル・ラーマン会長は、選手とスタッフの給料削減分は活動制限令によって影響を受けている家庭を支援するための基金へ寄付されることになっており、クラブとして全ての選手とスタッフの協力に感謝していると話しています。 
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 クラブの経費節約のために給料削減に応じるのではなく、新型コロナウィルス感染拡大による影響で苦しむ人を助ける目的で給料削減を行うのは、単なる給料削減とは全く意味が違います。FAMやMFLも単にクラブと選手の間での給料削減交渉を促すのではなく、クラブを助けるのではなく、より苦しんでいる人を助けることを目的とすべき、といったその使い道にまで言及することで、社会の中でのプロサッカーの存在意義が高められると思うのですが、そういうことは考えないのでしょうか。 

FIFAは6月に予定されていた全試合の中止決定
 フランスの通信社AFPは、国際サッカー連盟FIFAが6月に予定されていた全ての試合の中止を決定したと伝えています。
 新型コロナウィルスの影響に関する専門調査委員会の初会合の席上で決定したということです。ビデオ会議で行われたこの委員会は、現在延期となっているFIFAワールドカップ2022年大会予選の新たな日程を決めることも求めています。
 この他、東京オリンピックの1年延期を受けて、サッカー競技の選手出場資格を「1997年1月1日以前に生まれた者とする」とした現行の資格を維持することもこの委員会で提案されています。

活動制限令違反でサッカー選手を逮捕
 現在、マレーシア全土に発令中の活動制限令MCO下では、不要不急の外出を避けるように求められていますが、屋外で練習していたプロサッカー選手が逮捕され、有罪判決を受けたとマレー語紙シナルハリアンが報じています。
 自宅のあるクアラルンプール市内のコンドミニアム敷地内で練習をしていたアーマド・ルトゥフィ・アジズル・ラーマンは、自宅に戻ることを命じた警察官の2度に渡るに従わず、さらに反抗的な行動をしたとしてMCO違反および公務執行妨害で逮捕され、アンパン下級裁判所で罰金800リンギ(およそ2万円)あるいは禁固1ヶ月の判決を受けたとしています。22歳のルトゥフィ選手は罪を認めています。
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 なお記事の中では、このルトゥフィ選手が所属するクラブ名が書かれていませんが、マレーシアフットボールリーグMFL1部スーパーリーグと2部プレミアリーグの登録選手リストには名前がありませんので、MFL3部のM3リーグ以下のリーグでプレーする選手ということなのかもしれません。

MFLは活動制限令延長の場合の対応を準備
 マレーシアフットボールリーグMFLは公式サイトで、4月14日に解除予定の活動制限令MCOが延長された場合、国内リーグを再開するにあたっての選択肢を複数用意していることを発表しています。
 MFLのアブ・ガニ・ハサンCEOは、国内リーグやカップ戦再開そのものが、MCOがいつ解除になるか、また解除後のマレーシア政府の保健省のアドバイスの内容次第としたています。(筆者注:なお、ここで言われている国内リーグやカップ戦とはMFL1部から3部、FAカップ、マレーシアカップ、チャレンジカップを指します。)
 またアブ・ガニ・ハサンCEOは、JDT、クチンFA、UKM FCに倣って、他のクラブも契約内容の見直しを行うように提言している他、マレーシア最大のマルチメディア企業テレコムマレーシア、、マレーシア第2の金融グループCIMB、オンライン通販大手のショッピーShopeeの各社は契約通りの支援を続けることも発表しています。
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 このブログで何度も取り上げたように、所属選手は給料削減を了承していないと公言しているUKM FCを例にして、活動制限令MCOが延長になった場合に限って職員の給料削減を行うとするMFLのCEOが、MCOの延長が決定されてない現段階でクラブと選手に契約内容の見直しを提言する姿勢はどれだけ選手たちの指示を得られるのかが、甚だ疑問です。JDTやクチンFAに倣うのは、クラブではなくむしろFAMやMFLでは無いのかと思ったりもしてしまいます。

4月6日のニュース:FAMが職員及び役員の給料削減を発表、MFLも職員の給料削減を発表、マラッカUの連敗は給料未払いが原因か

FAMがやっと職員および役員の給料削減を発表
 マレーシアサッカー協会FAMは公式サイトで職員の一時的な給料削減を発表していますが、ただしその条件は現在発令中の活動制限令MCOが4月14日以降も継続となった場合に限るようです。
 FAMのスチュアート・ラマリンガム事務局長は、「政府期間からの要望により」運営管理および現場担当の全職員について、給料に基づいて10から20パーセントの給料削減となると発表しています。
 「FAMの財政安定を確保し、現在起こっている未曾有の事態を切り抜けるために様々な費用削減の手段を実施する中で、MCOが4月14日移行も継続された場合には全職員の給料を削減する」としており、この他FAM会長など選出された役員もその具体的な内容は伝えられていませんが報酬削減が行われるとしています。

MFLも遅れて職員の給料削減を発表
 国内リーグを統括するマレーシアフットボールリーグMFLもアブドル・ガニ・ハサンCEOの名前で、職員の給料を10から20パーセント削減すると発表しています。ただし、こちらもFAM同様、活動制限令MCOが4月14日移行も延長した場合に実施され、CEO発令中に限る措置であるとしています。
 FAMのハミディン・アミン会長はMFLの会長も兼任しているため、FAMが職員の給料削減を4月3日に発表されたことから、MFLでも同様の措置が取られることは予想されていましたが、ビデオコンファレンスで行われた取締役会を経て1日遅れの4月4日に発表になっています。
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 これら2つの記事で目を引くのは、いずれの給料削減措置も現在発令中の活動制限令MCOが4月14日以降も延長になった場合を条件にしていることです。リーグの各クラブにはそれ以前から選手と給料削減について交渉することを奨励しながら、自らは4月14日に予定されているMCOが解除になった場合に給料削減を行うというのは、共に痛みを分かち合う、という発想が全く欠如しているように感じます。

マラッカUの連敗は給料未払いが原因か
 今季のMFL開幕から2連勝と好スタートを切ったマラッカ・ユナイテッドは、第3節のフェルダ・ユナイテッド戦、第4節のパハンFA戦と連敗し、2勝2敗の成績でリーグ中断期間に入りましたが、マラッカ・ユナイテッドを運営するマラッカ州サッカー協会MUSAの副会長はこの連敗の原因が給料未払いによる可能性があると語っています。
 スポーツ専門サイトのスタジアムアストロは、2月から支払われていない未払い給料が選手のパフォーマンスに影響を与えているのではないかとするユソフ・マハディMUSA副会長の発言を取り上げています。
 またユソフ・マハディMUSA副会長は、連勝ストップとなった第3節のフェルダ・ユナイテッド戦では、給料未払いにより一部選手が試合を放棄したこと、過去3ヶ月間の給料支払いが遅れていることも認めています。
 今年3月に起こった政変により各州の州議会でも多数派を占めていた与党が議席を失い、マラッカ州でも州知事が交代しています。マレーシアの多くの州と同様にマラッカ州サッカー協会MUSAの会長は州知事が兼任することから、MUSAの新会長にもたダト・スライマン・モハマド・アリ氏が就任していますが、給料未払い問題については新たな展開は無いようです。
 またマレー語紙ブリタハリアン電子版では、MUSAのファルハン・イブラヒム事務局長の話として、遅配となっている今季の給料ではなく、昨季の未払い給料の支払いを優先するとしており、リーグが再開されたとしても、給料の遅配が続けばマラッカ・ユナイテッドの選手たちのモチベーションが影響を受けることもありそうです。
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 マラッカ・ユナイテッドは、支払いが遅れている2月以降の給料の他に、昨季分の140万リンギ(およそ3490万円)の未払い給料がありますが、選手との間で同意していた期限までに支払いができなかったことから、MFLにより勝点3の剥奪処分を受けてており、こちらの未払い給料については4月30日までに支払いが完了しない場合、さらに勝点6が剥奪されることになっています。