12月15日のニュース:2021年のACLとAFCカップの割り当て決定、MFLは各クラブへ放映権料支給を取り止め、スランゴールFA監督がシーゲームズの結果についてコメント

2021年のACLとAFCカップの割り当て決定
 アジアサッカー連盟AFCが主催するアジアのクラブ王者決定戦AFCチャンピオンズカップACLは、2021年からは現行の32チームから40チームへと本戦出場チーム数が拡大しますが、これに伴いACLの各国割り当て枠が変更になり、マレーシアはこれまでの1+1(本戦出場枠1つと予選プレーオフ出場枠1つ)から1+0(本戦出場枠1つと予選プレーオフ出場枠0)へと、実質的には出場枠減になっています。
 なお来季2020年は、マレーシア国内最上位リーグとなるマレーシアフットボールリーグMFL1部優勝チームのジョホール・ダルル・タジムJDTがACL本戦に出場、全国レベルの国内カップとなるマレーシアFAカップ優勝のクダFAがACL予選プレーオフに出場となっています。
 なお今回の変更により東南アジアの各国は、AFC東地区でAFC加盟協会(MA-Member Association)ランキングが4位のタイが2+2、6位のフィリピンは1+1、8位のベトナム、9位のマレーシア、10位のシンガポールはいずれも1+0、12位のミャンマーは0+1の出場枠を割り当てられています。
 また今回のACLの出場枠割り当て変更に伴い、2021年AFCカップへの出場条件も変更になり、本選出場枠、予選プレーオフ出場枠を問わずACL出場枠が1つ以下のAFC加盟協会にはAFCカップの出場枠が与えられることになりました。この結果、マレーシアは本戦出場枠が2枠となり、来季2020年MFL1部2位のチームとマレーシアFAカップ優勝チームに出場権が与えられます。
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 ACL予選プレーオフ枠は減ったものの、AFCカップ出場枠が2つ増えたことで、より多くのクラブが東南アジアで、さらにはアジアで力試しをする機会を得ることになりました。ACLとAFCカップに出場するクラブは、結果を出し続けてACLの出場枠を従来の1+1に引き戻すことを目指して欲しいです。

MFLは各クラブへ放映権料支給を取り止め
 マレーシアフットボールリーグMFLは、ホームページで所属各クラブへ分配予定だった放映権料の残りの支給を行わないことを正式に発表しています。
 緊急臨時総会を開いたMFLのダト・ハミディン・アミン会長は、MFLが抱える不安定な経営状況を回復させる必要があることから今回の決定に至ったと説明する一方で、今年2019年7月にはその不安定な経営状況下で各クラブに約束していた放映権料の半額を支払ったことへの理解を求めています。今年7月の時点では、MFL1部クラブには150万リンギ(およそ3970万円)が、MFL2部クラブには50万リンギ(およそ1320万円)が支給されています。
 また来季2020年分の放映権料については、MFLが得る放映権料と商業利益が総額が1800万リンギ(およそ4億7600万円)以下の場合には従来のMFL1部300万リンギ、MFL2部100万リンギから見直しを行うこと、そして2021年以降は放映権料分配は年末に行うことも併せて発表しています。
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 このブログでも取り上げたマレーシアのマルチメディア企業テレコムマレーシアTMとMFLの間で2018年1月に締結された8年間で4億8000万リンギ(およそ127億円)という放映権料を含む巨大なスポンサー契約が今年2月に打ち切られたことにより、MFLには期待していた放映権そのものが全く入らない中、各クラブに約束していた金額の半分を支給した(噂では、資金源はジョホール州皇太子で前MFL会長のトゥンク・イスマイル殿下のポケットマネー)のが7月でした。残りは8月、11月と支給予定日を先送りしてきましたが、結局、無い袖は振れぬ、ということでした。

スランゴールFA監督がシーゲームズの結果についてコメント
 2019年東南アジア競技大会通称シーゲームズのサッカー男子に出場したU22代表は、大会前は準決勝出場間違いなし、そこから何色のメダルが取れるか、と言われていましたが、結果は予選グループで敗退し、準決勝に進出することができませんでした。
 シーズン末の大会であったことから疲労の蓄積、あるいは参加した選手の意欲の欠如など、様々な理由がメディアを賑わせましたが、スランゴールFAのバスカラン・サティアナタン監督は、この大会に臨んだ選手たちの姿勢が問題ではないかと指摘しています。FIFAワールドカップ2022年大会アジア二次予選に出場しているフル代表のメンバー7名を含むU22代表のメンバーは近年でも最高のメンバーであるとする一方、代表チームでプレーするということはサッカー選手にとって最高の栄誉であることを理解していない選手がいたのではないかと述べています。
 今大会で優勝したベトナムにもフル代表でプレーする選手が含まれていたことからシーズン末の大会であることや疲労は理由にならないだろうとし、マレーシアが初戦のミャンマー戦の引き分け以降、低下していったことを指摘、選手たちが準決勝進出を諦めてしまったように感じたと述べています。
 またその一方で、ファンやサッカー関係者、メディアの何が何でもシーゲームズでは金メダル、という姿勢も変えるべきだとしています。金メダルを目指すこと自体は間違えていないが、時にはことの全体像を捉え、各大会ごとの目標を正しく設定すルことが重要とも指摘しています。サティアナタン監督は個人的な意見であると前置きした上で、(東南アジアのチームのみが参加する)シーゲームズの結果を選手やチーム評価基準として使うことには反対で、むしろ(アジアのチームが参加する)AFC主催の各大会を評価基準とするべきとし、例えば今回で言えば、U22代表ではなくU19代表をシーゲームズに出場させる、という考え方があっても良かったのではないかとも話しています。U19の選手にとって上の年代の選手との対戦は良い経験になるだけでなく、予選を突破したAFC U19選手権の準備にもなっただろうと述べていますが、同時に現在のファンやサッカー関係者、メディアの姿勢ではそのような方針は決して許されることはないだろうとも述べています。
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 マレーシアサッカーがその域まで達しているかどうかは別として、例えば昨年2018年のアジア競技大会はU23代表が出場する大会でしたが、日本はU21代表を派遣しています。また、今回U22代表のオン・キムスイ監督はU19代表でプレーする17歳のルクマン・ハキムとウマル・ハキームの2選手を招集するなど、現場レベルでは、サティアナタン監督の考えが理解されているようですが、マレーシアサッカー協会幹部や、メダルの数が気になるマレーシアオリンピック協会(シーゲームズはオリンピック協会が統括)幹部がこの考えを理解できるかどうかは、マレーシアサッカーに対してどのくらい先まで見越した方針を持てるかどうかによりそうです。