マレーシア国内での高給が日本移籍の妨げに?
マレーシアフットボールリーグMFLには給料未払い問題を抱えるクラブがある一方で、外国人、マレーシア人を問わず高額の給料を支給しているクラブがありますがそういったクラブでプレーするマレーシア人選手が日本へ移籍しようとする場合、その高給が障害になっている、という記事をマレー語紙ハリアン・メトロ電子版が伝えています。
この記事の中では、Jリーグでプレーするタイ出身のMFチャナティプ・ソンクラシン(北海道コンサドーレ札幌)、DFティーラトン・ブンマタン(横浜F・マリノス)、MFティティパン・プアンチャン(大分トリニータ)、そしてJ3のFC東京U23でプレーするナッタウット・スクムらを挙げ、同じ東南アジア出身の彼らが活躍する一方で、J2やJ3も含めてなぜマレーシア人選手がハディ・ファイヤッド(ファジアーオ岡山)一人であるのかの謎を解き明かしています。
ハリアン・メトロがJリーグ関係者に話を聞いたところ、「Jリーグ提携国」枠が適用されるタイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、カタール出身の選手は、各チームに認められている5名の外国籍選手枠に該当しないため、これらの国の選手の獲得に積極的なクラブがある一方で、マレーシアに関して言えば国内リーグで選手が得ている給料が高いため、Jリーグのクラブからの契約オファーが出しにくいという回答が返ってきたと記事では述べられています。
「高い」とは言え、それがどのくらい高いのかが気になりますが、実は昨年2018年2月にクダFAの選手の給料がソーシャルメディアに流出するという事件が起こりました。それによるとマレーシア人選手で最高級取りはキャプテンのバドロル・バクティアル(31)で月給約7万7000リンギ(およそ195万円)、外国人ではリリドン・クラシニキ(現在はマラッカ・ユナイテッド)とサンドロ・ダ・シルバ(現在はスランゴールFA)が月給約12万9000リンギ(およそ325万円) と公表されてしまいましたが、クダFAは決して裕福なクラブではないので、この金額が他のクラブと比べて突出して高いというわけではないでしょう。
ちなみにこのバドロル選手の給料を年俸に直して、こちらに掲載されている2019年Jリーガー年俸ランキングに当てはめてみると222位となります。この順位は現在のJ1は18チームですのでレギュラー(18チームx11名=198名)には届かないものの、J1でもトップの控え選手並みの年俸ということになります。マレーシア代表として通算キャップ数55のバドロル選手ですが、このクラスの選手でもJ1ですぐにベンチ入りできるとは考えられず、その実力にあった年俸となるとマレーシア国内で得ている年俸より低い額が提示されることになるでしょう。となると給料が下がってもJリーグでプレーしたい、と言う選手が現れない限り、今後もマレーシアからJリーガーが出る可能性は低そうです。
日本のクラブはスポンサーのおかげで安定している
同じハリアン・メトロ電子版では、ハディ・ファイヤッドが感じている日本のクラブとマレーシアのクラブの違いを取り上げています。
今シーズンからJ2のファジアーノ岡山でプレーするハディ選手は、マレーシアで起こっている給料未払い問題が日本では起こりにくいのは、Jリーグクラブのスポンサーが州政府や政府係機関ではなく、企業スポンサーであるからではないかと述べています。
クラブの経営が安定し、さらに成功するクラブとなるためにはスポンサーの果たす役割が大きく、日本では各クラブが複数の企業とスポンサー契約を結んでいることが、日本では給料未払い問題について聞いたことがない理由ではないかと述べるハディ選手は、マレーシアのクラブも複数企業をスポンサーとする日本を真似ても良いのではないかと、ハリアン・メトロの取材に答えています。
自分が日本で良い扱いを受けている一方で、マレーシアでの給料未払い問題について聞くことは悲しいことだとして、ハディ選手は速やかな問題解決を望んでいると記事は締めくくっています。
一つ目の記事と含めて考えると、一人当たりGDPが日本の約4分の1のマレーシアで、トップクラスのサッカー選手に日本の中堅レギュラー選手並みの給料を支払うこと、しかもそれを州政府や政府系機関が負担している現状にそもそも無理があるのかも知れません。