ワールドカップ1次予選は断食月明け直後に
2022年FIFAワールドカップのアジア1次予選の日程が発表になり、1次予選から出場するマレーシア代表は、6月6日に初戦をホームで戦い、6月11日にアウェイで第2戦を行うことが、マレーシアサッカー協会FAMのホームページで告知されています。
実はこの日は断食明けの祝日の2日目と重なっています。イスラム教徒が人口の8割近くを占めるマレーシアでは、イスラム教に課せられる5つの義務の一つ断食は大事な宗教上の行為です。日没から日の入りまで水も含めて飲食物を断つ断食は約一ヶ月続きますが、それが明けるとハリラヤあるいはハリラヤ・アイディルフィトゥリ呼ばれる祝日がマレー半島部では2日間続きます。実際には断食月が明ける数日前からバレッ・カンプンと呼ばれる大規模な帰省ラッシュが始まり、断食月最後の日と断食月明けの祝日は自分の故郷で両親や兄弟姉妹と迎えることがマレーシアのマレー人にとっては一般的で、ちょうど日本で言えば年末年始の雰囲気です。
そんな時期の代表戦に果たして観客は来るのか、そもそもこの事態を回避するために開催したエアマリンカップでは、数千人の観衆しか集められなかったことを考えると、マレーシア代表のワールドカップ予選は静かなスタートとなるかも知れません。
なお、4月17日に実施される組み合わせ抽選でマレーシアの相手となる可能性があるのは、バングラディシュ、グアム・ブルネイ、東ティムール、パキスタン、スリランカのいずれかと、集客的にも魅力がない相手です。
ケランタンFAの「掃除」は続く
最大のスポンサー企業マイインスピレーション社との関係決裂以降、深刻な財政危機を抱えるケランタンFAは、マイインスピレーション社がその給料を負担していた監督のマルコ・クラリエヴィッチを休養させ、その後、暫定監督としてテクニカルダイレクターのホルヘ・ピーター・スタインブラナーがチームを指導していましたが、このスタインブレーナ暫定監督とも契約解消で合意したとマレー語紙ブリタ・ハリアンのオンライン版が伝えています。このスタインブレナー暫定監督は初采配となったPDRM FCでケランタンFAの役員がベンチ外から選手に指示を出して、采配を妨害していたと発言していただけに、それも理由かと思われます。
またコーチ陣だけでなく、ケランタンFAは自チームの外国人選手フラヴィオ・ベック・ジュニアや、カシオ・デゼズスについても契約の早期解消を交渉中とのことです。
実はこの状況は2018年と非常に似ています。2018年の2月から4月にかけてケランタンFAは、やはり経済的な理由から外国人選手を含め10名を超える大量の選手を解雇し、そのやり方に対してプロ選手協会から激しく抗議を受けました。その中には、2012年のリーグ、FAカップ、マレーシアカップ全てチャンピンとなったトレブルの際のメンバーだったGKカイルル・ファミ・チェ・マットやMFモハメド・バドリ・モハマド・ラジといったトレブルの主役たちもいましたが、容赦なく契約期間を前倒しして契約を解消しました。それから1年経っても進歩しないどころか、退化しているケランタンFA。当時の会長は現在もその地位に就いたまま、数日前も給料未払い問題の結果、FIFAの指導で勝点3点をはく奪されるなど、チームは揺れていおり、そんなチームに在籍する選手やコーチ陣が不憫です。(下はユスリ監督の復帰を伝えるケランタンFAのホームページのポスト)