今季2024/25シーズンが終了し、各クラブの補強に関する様々な情報がSNSに流れています。噂レベルのものもあれば、ほぼ確定というものもありますが、そんな中で今季は13チーム中12位に終わったヌグリスンビランFCに関するニュースが目立ちます。今季から加入した佐々木匠選手にシーズン半ばで早々と契約延長オファーを出すなど積極的に動いたクラブは、前スランゴールFC監督のニザム・ジャミル氏の就任が秒読みとされている他、佐々木選手に続く日本人選手獲得にも動いているとされており、今オフシーズンの注目のクラブとなりそうです。
アリフ・アイマンが前人未到の4季連続MVP獲得-Mリーグアウォーズ
4月23日に2024/25シーズンのナショナルフットボールアウォーズ(マレーシア語ではABK)表彰式が行われ、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のMFアリフ・アイマンが前人未到の4季連続となるMVPを受賞しています。23歳のアリフ選手は今季はリーグ戦の出場21試合全てに先発し7ゴール、7アシスト、カップ戦も含めると12ゴール、13アシストを記録しています。
4季連続のMVP受賞は、これまでやはりJDTでもプレーしたノーシャルル・イドラン・タラハがクランタンFA(当時)時代に2010年から2012年の3季連続MVP受賞を更新する新記録となっています。
またアリフ選手は、MVPの他、最優秀MF(初受賞、ただし過去3季は最優秀FWを3年連続受賞)、最優秀ゴール、そしてサポーターが選ぶベストイレブンも受賞しています。
他の主な受賞者は、アリフ選手のチームメートでもあり、今季リーグ戦で32ゴールを挙げているベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)がリーグ得点王(外国籍選手部門)と最優秀外国籍選手を、最優秀GKはシーハン・ハズミ(3季連続3回目)、最優秀DFはフェロズ・バハルディン(初受賞)と例年同様、JDTとその選手が全17部門中8部門で受賞と他を圧倒する中、ベルグソン選手に次ぐ17ゴールを挙げた帰化選手のパウロ・ジョズエがマレーシア人選手として最優秀FWとリーグ得点王(マレーシア人選手部門)をいずれも初受賞しています。またジョズエ選手のチームメートで、今オフにJDT移籍が濃厚とされているハキミ・アジムがベストヤングプレーヤー賞を受賞しています。
最優秀監督賞は、リーグ優勝クラブJDTのエクトル・ビドリオ、リーグ2位スランゴールFCの喜熨斗勝史両氏を抑えて、昨季13位のクチンシティFCを4位へと大躍進させたシンガポール出身のアイディル・シャリン監督が初受賞しています。かつてはクダ・ダルル・アマンFCでも指揮を取ったアイディル氏は、2019年、2020年、2021年とこの最優秀監督賞の候補となっていましたが、監督就任2季目のクチンシティFCで嬉しい初受賞となりました。
2024/25Mリーグアウォーズ各賞受賞者
最優秀選手:アリフ・アイマン(JDT)
最優秀GK:シーハン・ハズミ(JDT)
最優秀DF:フェロズ・バハルディン(JDT)
最優秀MF:アリフ・アイマン(JDT)
最優秀FW:パウロ・ジョズエ(クアラルンプールシティFC)
最優秀監督:アイディル・シャリン(クチンシティFC)
最優秀外国籍選手:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
最優秀若手選手:ハキミ・アジム(クアラルンプールシティFC)
最優秀選手(MFLカップ-U23リーグ):ガブリエル・ニステルローイ(JDT II)
最優秀チーム:JDT
フェアプレー賞:トレンガヌFC
得点王(外国籍選手部門):ベルグソン・ダ・シルヴァ(32ゴール)
得点王(マレーシア人選手):パウロ・ジョズエ(17ゴール)
得点王(MFLカップ):ガブリエル・ニステルローイ(24ゴール)
ベストサポーター:ボーイズオブストレイツ (JDT)
サポーターが選ぶベストXI(オンライン投票による)
監督:アイディル・シャリン(クチンシティ)
GK:シーハン・ハズミ(JDT)
DF:フェロズ・バハルディン、パク・ジュンヒョン(以上JDT)、ジミー・レイモンド(クチンシティFC)
MF:ノーア・ライネ(スランゴールFC)、フアン・ムニス(JDT)、ダニアル・アミル、ナンド・ウェルター(以上クチンシティFC)
FW:ファイサル・ハリム(スランゴールFC)、ベルグソン・ダ・シルヴァ、アリフ・アイマン(以上JDT)
マンU対アセアンオールスターズ戦をマレーシア代表2選手が辞退
5月28日にクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催されるマンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズの試合に出場が発表されていたDFドミニク・タン(サバFC)とMFエセキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)がいずれも出場を辞退したことをマレーシアサッカー協会(FAM)が発表しています。
ジョハリ・アユブFAM会長は、両選手が6月10日に行われる2027アジア杯3次予選のベトナム戦に臨むマレーシア代表に招集される可能性があるとして、アセアン(東南アジア)サッカー連盟(AFF)からの出場要請を拒否せざるを得なかったと説明しています。なおジョハリ会長はAFFからはこの両選手とGKハジク・ナズリ(スリ・パハンFC)の3名のマレーシア選手出場が要請されていたと説明し、FAMは辞退する2選手に代わる選手として5名の代表経験者をリストアップし、AFFにそのリストを提出済みだとしています。なおハジク選手は、そのままマンUとの試合の出場メンバーに残るということです。
ベトナム代表のキム・サンシク監督が率いることが発表されているアセアンオールスターズにはアセアン諸国から既に17名の選手の参加が決まっており、6月10日にマレーシアと2027アジア杯予選で対戦するベトナム代表からは、MFグエン・クアン・ハイ(1部ハノイ公安FC)、DFドー・ズイ・マイン(1部ハノイFC)、MFグエン・ホアン・ドゥック(2部フードン・ニンビン)のいずれもベトナム代表3選手が出場します。
今週末のマレーシアカップ決勝はチケット売り上げが60%まで上昇
今週末4月27日に開催されるマレーシアカップの決勝は今季の最後の公式戦です。リーグ戦、FAカップで優勝を果たしているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が前人未到の3季連続国内三冠を達成するかどうかに注目が集まっていますが、今季国内無敗のJDTの決勝の相手は、今季リーグ8位で7勝8分9敗のスリ・パハンFCです。2018年のFAカップ優勝以来の国内タイトル獲得を目指すスリ・パハンですが、アルゼンチン出身で今季18試合出場の司令塔マヌエル・イダルゴはJDTからのローン移籍中で、いわゆる「紳士協定」により決勝には出場できず。また同じく今季18試合出場で8ゴールを挙げているエースのクパー・シャーマンは警告累積により決勝出場停止となっており、この試合はJDTに有利な条件しか揃っていません。
今大会が第98回大会となるマレーシアカップは、天皇杯と並んでアジア最古とされるカップ戦で、決勝は85,500人収容のブキ・ジャリル国立競技場で開催されますが、今回の対戦カード、そして特にJDTの国内無双ぶりもあってか、両クラブのサポーターに割り当てられた33,600枚のチケットを大きく下回る25,000枚ほどのチケットしか売り上げていないことが先週末には報じられていました。
しかし今週に入ると、リーグ戦やこのマレーシアカップを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は公式サイト上で、チケット売り上げが全体の60%に上っていることを発表しています。なおMFLはのシャズリ・シャリクCEO代行は最終的には80%までチケット売り上げを目指したいとして、オンラインでのチケット購入者を対象として、オートバイや電動スクーター、その他電気製品が当たるラッキードローを開催することも明らかにしています。
クラモフスキー監督はアジア杯前1ヶ月間のシーズンオフに懸念
今週末のマレーシアカップ決勝が今季2024/25シーズンの最後の公式戦となるマレーシアリーグ。決勝に進出しているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)とスリ・パハンFC以外のクラブは既にシーズンオフに入っていますが、6月10日の2027年アジア杯予選のベトナム戦を控えるマレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督は、試合までの1ヶ月以上に及ぶこのオフシーズンが代表選に与える影響を懸念していると、英字紙ニューストレイツタイムズの取材で話しています。
マレーシアはキム・パンゴン前監督(現蔚山HD監督)の下、開催国枠で出場した2007年大会以来16年ぶり(予選突破での出場は1980年以来43年ぶり)の出場となった2023年アジア杯では、国内リーグを中断して大会に臨んだものの2敗1分の成績でグループステージで敗退しています。
クラモフスキー監督は、東南アジア選手権王者でもあるベトナム戦を前に代表合宿を行い、練習試合を少なくとも2試合は行い、予選突破のキーとなる試合に向けてチームの状態を上げていきたいと話しています。
直近の5試合だけを見てもベトナム相手に全敗しているマレーシアですが、今年1月から指揮を取るクラモフスキー監督は、今オフシーズンは12ヶ月と長期に渡って続いた今季のマレーシアリーグでの疲れやケガから回復するために重要な期間であることを理解した上で、ベトナム戦には最新の注意を払って準備を行いたいとしています。
「長いオフシーズンを考えると困難な試合であることは認めるが、試合に向けた準備を行うことは不可能だとは考えていない。ベトナム戦前に選手が試合感を取り戻せるよう練習試合も少なくとも2試合は行いたい。」と述べたクラモフスキー監督は、練習試合の詳細などは近々発表されるだろうと話しています。
2027年AFCアジア杯予選でF組のマレーシアは、初戦でネパール3−0と下していますが、ベトナムはやはり初戦でラオスを5-0で破り、第1節を終えて得失差でベトナム1位、マレーシア2位となっています。