4月24日のニュース<br>・アリフ・アイマンが前人未到の4季連続MVP獲得-Mリーグアウォーズ<br>・今週末のマレーシアカップ決勝はチケット売り上げが60%まで上昇<br>・マンU対アセアンオールスターズ戦をマレーシア代表2選手が辞退<br>・クラモフスキー監督はアジア杯前1ヶ月間のシーズンオフに懸念

今季2024/25シーズンが終了し、各クラブの補強に関する様々な情報がSNSに流れています。噂レベルのものもあれば、ほぼ確定というものもありますが、そんな中で今季は13チーム中12位に終わったヌグリスンビランFCに関するニュースが目立ちます。今季から加入した佐々木匠選手にシーズン半ばで早々と契約延長オファーを出すなど積極的に動いたクラブは、前スランゴールFC監督のニザム・ジャミル氏の就任が秒読みとされている他、佐々木選手に続く日本人選手獲得にも動いているとされており、今オフシーズンの注目のクラブとなりそうです。

アリフ・アイマンが前人未到の4季連続MVP獲得-Mリーグアウォーズ

4月23日に2024/25シーズンのナショナルフットボールアウォーズ(マレーシア語ではABK)表彰式が行われ、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のMFアリフ・アイマンが前人未到の4季連続となるMVPを受賞しています。23歳のアリフ選手は今季はリーグ戦の出場21試合全てに先発し7ゴール、7アシスト、カップ戦も含めると12ゴール、13アシストを記録しています。

4季連続のMVP受賞は、これまでやはりJDTでもプレーしたノーシャルル・イドラン・タラハがクランタンFA(当時)時代に2010年から2012年の3季連続MVP受賞を更新する新記録となっています。

またアリフ選手は、MVPの他、最優秀MF(初受賞、ただし過去3季は最優秀FWを3年連続受賞)、最優秀ゴール、そしてサポーターが選ぶベストイレブンも受賞しています。

他の主な受賞者は、アリフ選手のチームメートでもあり、今季リーグ戦で32ゴールを挙げているベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)がリーグ得点王(外国籍選手部門)と最優秀外国籍選手を、最優秀GKはシーハン・ハズミ(3季連続3回目)、最優秀DFはフェロズ・バハルディン(初受賞)と例年同様、JDTとその選手が全17部門中8部門で受賞と他を圧倒する中、ベルグソン選手に次ぐ17ゴールを挙げた帰化選手のパウロ・ジョズエがマレーシア人選手として最優秀FWとリーグ得点王(マレーシア人選手部門)をいずれも初受賞しています。またジョズエ選手のチームメートで、今オフにJDT移籍が濃厚とされているハキミ・アジムがベストヤングプレーヤー賞を受賞しています。

最優秀監督賞は、リーグ優勝クラブJDTのエクトル・ビドリオ、リーグ2位スランゴールFCの喜熨斗勝史両氏を抑えて、昨季13位のクチンシティFCを4位へと大躍進させたシンガポール出身のアイディル・シャリン監督が初受賞しています。かつてはクダ・ダルル・アマンFCでも指揮を取ったアイディル氏は、2019年、2020年、2021年とこの最優秀監督賞の候補となっていましたが、監督就任2季目のクチンシティFCで嬉しい初受賞となりました。

2024/25Mリーグアウォーズ各賞受賞者
最優秀選手:アリフ・アイマン(JDT)
最優秀GK:シーハン・ハズミ(JDT)
最優秀DF:フェロズ・バハルディン(JDT)
最優秀MF:アリフ・アイマン(JDT)
最優秀FW:パウロ・ジョズエ(クアラルンプールシティFC)
最優秀監督:アイディル・シャリン(クチンシティFC)
最優秀外国籍選手:ベルグソン・ダ・シルヴァ(JDT)
最優秀若手選手:ハキミ・アジム(クアラルンプールシティFC)
最優秀選手(MFLカップ-U23リーグ):ガブリエル・ニステルローイ(JDT II)
最優秀チーム:JDT
フェアプレー賞:トレンガヌFC
得点王(外国籍選手部門):ベルグソン・ダ・シルヴァ(32ゴール)
得点王(マレーシア人選手):パウロ・ジョズエ(17ゴール)
得点王(MFLカップ):ガブリエル・ニステルローイ(24ゴール)
ベストサポーター:ボーイズオブストレイツ (JDT)

サポーターが選ぶベストXI(オンライン投票による)
監督:アイディル・シャリン(クチンシティ)
GK:シーハン・ハズミ(JDT)
DF:フェロズ・バハルディン、パク・ジュンヒョン(以上JDT)、ジミー・レイモンド(クチンシティFC)
MF:ノーア・ライネ(スランゴールFC)、フアン・ムニス(JDT)、ダニアル・アミル、ナンド・ウェルター(以上クチンシティFC)
FW:ファイサル・ハリム(スランゴールFC)、ベルグソン・ダ・シルヴァ、アリフ・アイマン(以上JDT)

マンU対アセアンオールスターズ戦をマレーシア代表2選手が辞退

5月28日にクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催されるマンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズの試合に出場が発表されていたDFドミニク・タン(サバFC)とMFエセキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)がいずれも出場を辞退したことをマレーシアサッカー協会(FAM)が発表しています。

ジョハリ・アユブFAM会長は、両選手が6月10日に行われる2027アジア杯3次予選のベトナム戦に臨むマレーシア代表に招集される可能性があるとして、アセアン(東南アジア)サッカー連盟(AFF)からの出場要請を拒否せざるを得なかったと説明しています。なおジョハリ会長はAFFからはこの両選手とGKハジク・ナズリ(スリ・パハンFC)の3名のマレーシア選手出場が要請されていたと説明し、FAMは辞退する2選手に代わる選手として5名の代表経験者をリストアップし、AFFにそのリストを提出済みだとしています。なおハジク選手は、そのままマンUとの試合の出場メンバーに残るということです。

ベトナム代表のキム・サンシク監督が率いることが発表されているアセアンオールスターズにはアセアン諸国から既に17名の選手の参加が決まっており、6月10日にマレーシアと2027アジア杯予選で対戦するベトナム代表からは、MFグエン・クアン・ハイ(1部ハノイ公安FC)、DFドー・ズイ・マイン(1部ハノイFC)、MFグエン・ホアン・ドゥック(2部フードン・ニンビン)のいずれもベトナム代表3選手が出場します。

今週末のマレーシアカップ決勝はチケット売り上げが60%まで上昇

今週末4月27日に開催されるマレーシアカップの決勝は今季の最後の公式戦です。リーグ戦、FAカップで優勝を果たしているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が前人未到の3季連続国内三冠を達成するかどうかに注目が集まっていますが、今季国内無敗のJDTの決勝の相手は、今季リーグ8位で7勝8分9敗のスリ・パハンFCです。2018年のFAカップ優勝以来の国内タイトル獲得を目指すスリ・パハンですが、アルゼンチン出身で今季18試合出場の司令塔マヌエル・イダルゴはJDTからのローン移籍中で、いわゆる「紳士協定」により決勝には出場できず。また同じく今季18試合出場で8ゴールを挙げているエースのクパー・シャーマンは警告累積により決勝出場停止となっており、この試合はJDTに有利な条件しか揃っていません。

今大会が第98回大会となるマレーシアカップは、天皇杯と並んでアジア最古とされるカップ戦で、決勝は85,500人収容のブキ・ジャリル国立競技場で開催されますが、今回の対戦カード、そして特にJDTの国内無双ぶりもあってか、両クラブのサポーターに割り当てられた33,600枚のチケットを大きく下回る25,000枚ほどのチケットしか売り上げていないことが先週末には報じられていました。

しかし今週に入ると、リーグ戦やこのマレーシアカップを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は公式サイト上で、チケット売り上げが全体の60%に上っていることを発表しています。なおMFLはのシャズリ・シャリクCEO代行は最終的には80%までチケット売り上げを目指したいとして、オンラインでのチケット購入者を対象として、オートバイや電動スクーター、その他電気製品が当たるラッキードローを開催することも明らかにしています。

クラモフスキー監督はアジア杯前1ヶ月間のシーズンオフに懸念


今週末のマレーシアカップ決勝が今季2024/25シーズンの最後の公式戦となるマレーシアリーグ。決勝に進出しているジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)とスリ・パハンFC以外のクラブは既にシーズンオフに入っていますが、6月10日の2027年アジア杯予選のベトナム戦を控えるマレーシア代表のピーター・クラモフスキー監督は、試合までの1ヶ月以上に及ぶこのオフシーズンが代表選に与える影響を懸念していると、英字紙ニューストレイツタイムズの取材で話しています。

マレーシアはキム・パンゴン前監督(現蔚山HD監督)の下、開催国枠で出場した2007年大会以来16年ぶり(予選突破での出場は1980年以来43年ぶり)の出場となった2023年アジア杯では、国内リーグを中断して大会に臨んだものの2敗1分の成績でグループステージで敗退しています。

クラモフスキー監督は、東南アジア選手権王者でもあるベトナム戦を前に代表合宿を行い、練習試合を少なくとも2試合は行い、予選突破のキーとなる試合に向けてチームの状態を上げていきたいと話しています。

直近の5試合だけを見てもベトナム相手に全敗しているマレーシアですが、今年1月から指揮を取るクラモフスキー監督は、今オフシーズンは12ヶ月と長期に渡って続いた今季のマレーシアリーグでの疲れやケガから回復するために重要な期間であることを理解した上で、ベトナム戦には最新の注意を払って準備を行いたいとしています。

「長いオフシーズンを考えると困難な試合であることは認めるが、試合に向けた準備を行うことは不可能だとは考えていない。ベトナム戦前に選手が試合感を取り戻せるよう練習試合も少なくとも2試合は行いたい。」と述べたクラモフスキー監督は、練習試合の詳細などは近々発表されるだろうと話しています。

2027年AFCアジア杯予選でF組のマレーシアは、初戦でネパール3−0と下していますが、ベトナムはやはり初戦でラオスを5-0で破り、第1節を終えて得失差でベトナム1位、マレーシア2位となっています。

4月23日のニュース<br>・6月のベトナム戦はブキ・ジャリル国立競技場で開催<br>・AFC主催大会出場に必要なクラブライセンスを交付されたのは4クラブのみ<br>・ブルネイが17シーズンぶりにマレーシアリーグに復帰濃厚

2024/25シーズンが終了したマレーシアリーグ。オフシーズンに入るとパウロ・ジョズエ(KLシティFC)のベトナムリーグ移籍、スチュアート・ウィルキン、ドミニク・タン(いずれもサバFC)のタイリーグ移籍など、マレーシア代表選手の国外移籍の噂が飛び交っています。多くのチームで給料未払い問題が報じられる中でプロとしての成果を求めたい選手たちにとっては、自分を評価してくれるところへ移るというこの流れは加速する可能性もあります。

6月のベトナム戦はブキ・ジャリル国立競技場で開催

6月10日に予定されている2027年アジア杯3次予選ベトナム戦はクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催されることが発表されています。初戦となった先月3月25日に行われたネパール戦は、マレー半島最南端のジョホール州にあるジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで行われ、マレーシアが2−0で勝利しています。

この発表は、マレーシア代表のロブ・フレンドCEO名で、マレーシア代表の公式SNS、Malaysia NTに投稿されています。

ネパール戦へ向けての準備は国内トップの設備を持つJDTの練習施設を使用し、ネパール戦は国内No. 1のピッチとされるスルタン・イブラヒム・スタジアムで行われたことから、ピーター・クラモフスキー代表監督は、今予選で最も重要なベトナム戦を初戦と同じスルタン・イブラヒム・スタジアムで行うことも検討していると述べていましたが、結局、マレーシア代表のホームでもあるブキ・ジャリル国立競技場での開催となったようです。なお3月25日のネパール戦の観衆は8,000人を切っており、これはブキ・ジャリル国立競技場で行われた昨年末の東南アジア選手権三菱電機カップのシンガポール戦の30,000人超えを大きく下回っていました。


このニュースとは直接、関係はありませんが、今年1月1日付けて就任したピーター・クラモフスキー監督は、コーチ陣を同郷のオーストラリア人で固めていましたが、今月4月10日にそのうちの1人で元オーストラリア代表キャプテンのマーク・ミリガン氏が退陣しています。オーストラリア1部のアデレード・ユナイテッドのコーチ職を辞して、今年1月にマレーシア代表のコーチ陣に加わったばかりでしたが、コーチ就任からわずか3ヶ月でチームを去っています。なお40歳のミリガン氏はオーストラリア1部で監督を解任したニューカッスル・ジェッツの新監督候補に名前が上がっているということです。

AFC主催大会出場に必要なクラブライセンスを交付されたのは4クラブのみ

2024/25シーズンのAFCクラブライセンスについて、マレーシアの第一審機関(FIB)が詳細を発表し、申請を行った6クラブ中、ライセンスを交付されたのは4クラブだったことを明らかにしています。なおこの2024/25シーズンのAFCクラブライセンスは、来季2025/26シーズンのACLエリートやACL2などAFC主催大会に必要となるライセンスです。

国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)の公式ホームページでは、今回AFCクラブライセンス交付を申請したのは、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)、スランゴールFC、サバFC、トレンガヌFC、クダ・ダルル・アマンFC、ペナンFCの6クラブで、この内、JDT、スランゴールFC、サバFC、ペナンFCの4クラブにAFCクラブライセンスが交付されたことが明らかになっています。

JDTのAFC大会での活躍もあり、2025/26シーズンはACLエリート本戦出場枠1、ACL2本戦出場枠1がマレーシアに与えられており、リーグ11連覇の王者JDTはACLエリートに、リーグ2位のスランゴールFCはACL2に、いずれも今季2024/25シーズンに続いて出場することが決まっています。


MFLの発表後、トレンガヌFCが声明を発表し、2024/25年シーズンのAFCクラブライセンスの取得について、「失敗した」のではなく、「申請を継続する意向がなかった」と説明しています。

「トレンガヌFCは、AFCライセンス取得申請を締切前に継続しない旨をMFLに正式に通達した。これは、AFC主催大会にマレーシアから出場する2つの枠が、今季スーパーリーグが終了した4月20日前に、JDTとセランゴールFCの2クラブに既に確定してからである。」

「そのため、クラブはAFCライセンス取得に必要な準備をこの期間内に進めないという決定を下した。なお、AFCライセンスの保持が必要ない東南アジアクラブ選手権「ショッピーカップ」への出場に関しては、何の問題もない。」

と自身の名で公式SNSに投稿したトレンガヌFCのモハド・サブリ・アバスCEOは、この説明により、サポーターは状況をより正確に理解し、クラブに対する否定的な憶測を避けることを願ってる、としています。

ブルネイが17シーズンぶりにマレーシアリーグに復帰濃厚

英字紙ニューストレイツタイムズは、今季はシンガポール1部リーグでプレーしているブルネイのクラブ、ブルネイDPMM FCの来季のマレーシアリーグ入りが濃厚となったと報じています。なおブルネイDPMMは9チームで編成されているシンガポール1部リーグで現在7位につけています。

ブルネイDPMMは、ホームを首都のバンダル・スリ・ブガワンにあるハサナル・ボルキア国立競技場とするとされていますが、ブルネイで試合をする際にはアウェイチームの移動費と宿泊費を負担する用意があるとも報じられています。

ブルネイDPMMの参入についてニューストレイツタイムズがリーグを運営するMFLに問い合わせたところ、今月末までとなっている来季2025/26シーズンの国内クラブライセンス交付申請の結果を待つように、という回答を受け取ったいうことです。


ブルネイDPMMがマレーシアリーグでプレーするのはこれが初めてではなく、2002年から2004年までブルネイ国内リーグで連覇を果たした後、2005/06シーズンにはマレーシア2部(当時)のプレミアリーグに参入しています。そしてこのシーズン3位となって1部スーパーリーグ昇格を果たすと、昇格初年度の2006/07年シーズンには3位、翌年は10位となった後、ブルネイサッカー協会内の問題によりマレーシアリーグを離脱し、翌2009年からはシンガポールリーグに移籍しています。

シンガポールリーグでも、参入初年度にリーグカップで優勝するなど好成績を挙げましたが、ブルネイ政府によるブルネイサッカー協会への介入を理由に、FIFAがブルネイサッカー協会の資格を停止。この結果、この2009年シーズンは5試合を残してリーグ離脱を余儀なくされています。そしてFIFAの資格停止処分が解除された2012年シーズンから、再びシンガポールリーグに復帰すると、2015年にはリーグ優勝を果たしています。

ブルネイDPMMは、2017年には再びマレーシアリーグ復帰の意思を表明しましたが、MFLの前身で当時のマレーシアリーグを運営したフットボール・マレーシアLLPが、1)ホームマッチをマレーシア国内で行うこと、2)ブルネイ国籍の選手は外国籍選手扱いとし、他のクラブ同様マレーシア人を中心としたとチーム編成とすることなどをリーグ参入の条件としたことからこの計画は頓挫し、その後もインドネシアリーグやタイリーグ参入を目指す報道などがあったものの、結局、シンガポール1部リーグに残留し、2019年シーズンにはリーグ優勝を果たしています。

2020年シーズンは新型コロナの影響でシンガポールリーグの開幕が遅れ、さらにブルネイとシンガポール間の移動が制限されたこともあり、結局、前年の覇者がリーグ不参加という事態となりました。さらに翌2021年シーズンもブルネイ政府による国外への移動制限措置が続いたことで、シンガポールリーグ不参加となりました。

2021年そして続く2022年シーズンはブルネイ国内リーグでプレーしたブルネイDPMMは、2023年シーズンにAFCの承認を経て、シンガポールリーグ復帰を果たし、現在に至っています。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ最終節第26節の結果とハイライト映像<br>・ジョホールは11連覇でしかも3季連続国内無敗、クチンシティ13位から4位へと大躍進

試合結果の投稿は1ヶ月ぶりとなってしまいましたが、4月19日から20日にかけてマレーシアスーパーリーグの今季2024/25シーズン最終節となる第26節が行われています。今節は試合がなかったジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が、国内3シーズン連続無敗を含めたリーグ11連覇を既に決めており、2位スランゴール、3位サバまでは既に順位が確定するなど、最終節での大きな順位変動はなく、強いて言えば、アセアンクラブ選手権出場枠がかかる4位争いが最終節では注目でした。
 また今季のスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第26節はJDTの試合がありません。
*試合のハイライト映像はアストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

2位確定のスランゴールは最終戦勝利

既に今季の2位を確定させていたスランゴールはPDRMとのもう一つの「クラン渓谷ダービー」で対戦し、2-0で勝利しています。

今季で退団も噂されている元代表GKサミュエル・サマーヴィルが、喜熨斗勝史監督就任以来初先発した試合は、21分にペナルティエリア内での相手のハンドでスランゴールがPKを得ます。しかしロニー・フェルナンデスのキックはPDRMのGKノー・ハキム・ハミダンに止められてしまいます。チャンスは作るもののゴールに至らない、まさに今季を象徴する嫌な雰囲気の展開で、前半は0-0で終了します。

しかし後半に入り、ゴールを狙う姿勢がより積極的になったスランゴールは49分、相手DFからボールを奪ったアルヴィン・フォルテスがドリブルで一気にペナルティエリア内まで持ち込み、左足を一閃。これが先制ゴールとなり、スランゴールがリードを奪います。その後はスランゴールが追加点を奪えない中、PDRMもなかなか前線までボールが繋がらず、このまま終了かと思われた90+2分でした。途中出場のアレクサンダー・アギャルカワを起点にアリフ・イズワン・ユスラン、ダニアル・アスリ、そしてフォルテスと繋ぎ、最後はヨハンドリ・オロスコがゴール前のこぼれ球を押し込んでダメ押しのゴール。スランゴールがPDRMを突き話し、今季最終戦を勝利で飾っています。

途中交代したシンガポール代表のサフワン・バハルディンや、期待の大きさに応えられず批判を浴び続けたロニー・フェルナンデスなど、複数の主力選手がチームを去ることが予想されます。中途半端な補強では絶対王者JDTの牙城を崩すことは無理なので、来季はあえて大金をかけて目先の補強を行うよりも、喜熨斗監督のもとでノーア・ライネ、ハリス・ハイカル、ジクリ・カリリなど20代前半の選手を核にした長期的なチーム作りの第一歩を踏み出して欲しいです。

一方のPDRMは9位で今季を終了しました。開幕後は好スタートを切りながら、シーズン途中の不透明な監督解任劇などもあり、最後はしりすぼみになってしまった印象です。鈴木ブルーノ(今季6得点)、イフェダヨ・オルセグン(同8得点)、シャーレル・フィクリ(同4得点)といった攻撃陣の役者は揃っていながら、今季のゴール数は13チーム中9位、1試合平均1点強の25ゴールと、自慢の攻撃陣までボールがなかなかつながらず、FWが前線で孤立するシーンを多く見たシーズンでした。

2025年4月19日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴールFC 2-0 PDRM FC
⚽️スランゴール:アルヴィン・フォルテス(49分)、ヨハンドリ・オロスコ(90+2分)
MOM:アルヴィン・フォルテス(スランゴールFC)
PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して56分に交代しています。

4連勝でシーズンを終えたスリ・パハンはマレーシアカップ決勝に弾み

リーグ戦は今節が最終節ですが、国内サッカーは4月27日のマレーシアカップ決勝が今季最後の試合となります。3シーズン連続の国内三冠を目指すJDTとその決勝で対戦するのがスリ・パハンです。このスリ・パハンはマレーシアカップこそ決勝まで駒を進めているものの、リーグ戦では20試合を終えて3勝8分9敗の11位と低迷していました。

しかしそこから破壊チームとの対戦か続いたこともあり、この試合も含めて4連勝し、一気に8位まで順位を上げています。カザフスタンリーグ2部の得点王として加入しながら、今季ここまで1ゴールと期待を裏切ったミコラ・アハポフが18分に先制ゴールを決めたスリ・パハンは、粘るペナンに二度追いつかれたものの、アハポフノコの試合2点目となるゴールが決勝点となり、リーグ戦4連勝で来週末のマレーシアカップ決勝に弾みをつけています。

敗れたペナンは、コーチから昇格した元代表FWのアクマル・リザル監督が成績不振でシーズン半ばで解任されるなど苦しい状況が続き、最終的には10位でリーグを終えています。

2025年4月19日@MBTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンFC 3-2 ペナンFC
⚽️スリ・パハン:ミコラ・アハポフ2(18分、87分)、シャズワン・アンディック(57分)
⚽️ペナン:アリフ・イクマルリザル(48分)、ステファン・ブルンド(64分OG)
MOM:ミコラ・アハポフ(スリ・パハンFC)

3位サバは最終戦を飾れず

既に3位を確定させていたサバはホームでペラと対戦し0−1で敗れています。

ペラの守備的な布陣を崩せずにいたサバは、29分にキャプテンのラウィルソン・バトゥイルのクリアミスからオウンゴールで失点すると、42分にはR・デニシュがボールに伸ばした足がペラのダニエル・ハキミの顔に当たり、このプレーでデニシュ選手は一発レッドで退場となってしまいます。結局この1点が決勝点となり、ペラが1−0で勝利し、採取順位を7位としています。

サバは、既にこのブログでも取り上げたように前インドネシア代表FWサディル・ラムダニは、母国のプルシブ・バンドン移籍が噂されていますが、この他にもいずれも代表でプレーするMFスチュアート・ウィルキン、DFドミニク・タンの両選手のタイリーグ移籍などの話もあり、来季のチームの顔ぶれが大きく変わりそうです。

またペラは最近になって、給料の未払いが5ヶ月間に渡っていることが明らかになるなど、サッカー界に新たな激震が走っていました。ペラFCのアブドゥル・アジム会長は、ペラFCの経営陣が、近いうちに選手やコーチングスタッフと話し合いを行うということですが、未払い給料については全額支払えるかどうか、またどのような方法で支払うかはまだ確定していないということです。

さらにアブドゥル・アジム会長は、通信会社XOXが過去3年間でペラFCに3,000万リンギ(1リンギはおよそ32円)を支出してきたが、その資金は既に尽きてしまったとも説明しています。

2025年4月20日@リカススタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 0-1 ペラFC
⚽️ペラ:ラウィルソン・バトゥイル(29分OG)
MOM:ルシアーノ・ゴイコチェア(ペラFC)

連敗ストップのトレンガヌは5位でシーズンを終える

前々節のスランゴールFC、前節のPDRM FCを相手にいずれも0−1と敗れていたトレンガヌは、ホームに戻りクダ・ダルル・アマンFCを3-0で破ってシーズンを終えています。

今季チーム最多の4,281人が足を運んだ試合は、前半終了間際のゴールで先制したトレンガヌが、後半に2点を追加して勝利しています。

一方、やはり給料未払い問題を抱えるクダは、FWベネザー・アシフアがこの試合を前に本国ガーナへ帰国し、この試合では外国籍選手がついにミロス・ゴルディッチ1人となり、また、JDTからローン移籍中だった元代表FWシャフィク・アフマドもベンチ外、など戦力的には明らかに劣勢でした。

2025年4月20日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 3-0 クダ・ダルル・アマンFC
⚽️トレンガヌ:サファウィ・ラシド(45+4分)、ウバイドラー・シャムスル(75分)、ヌリロ・トゥカタシノフ(90+1分)
MOM:サファウィ・ラシド(トレンガヌFC)

クチンシティはクラブ史上最高位の4位達成

日本人所属クラブ同士の対戦となったこの試合は、谷川由来選手が所属するクチンシティFCが、佐々木匠選手のヌグリスンビランFCを相手に3−1と快勝しています。

今季のクチンシティは、就任2季目のアイディル・シャリン監督のもと、ジェイムズ・オクウォサや元代表ヌル・シャミル・イズワン、いずれもJDTからローン移籍のダニアル・アミル、ラマダン・サイフラーといった新加入組、そしてアイディル監督がクダ・ダルル・アマンFC監督時代の選手だったシャーリル・サアリ、ロニー・ケルヴィン、チェチェ・キプレらが、今季5シーズン目の谷川選手やジミー・レイモンドなどこれまでクチンシティでプレーしてきた選手らと融合し、昨季の13位(2勝6分18敗)から10勝9分5敗の4位へと大躍進を果たしています。

またヌグリスンビランは、この試合で敗れて今季は4勝4分16敗の12位となりましたが、シーズン途中に今季加入した佐々木選手との契約延長を発表しており、来季は佐々木選手を中心としたチーム編成となる可能性が高そうです。

2025年4月20日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFC 1-3 クチンシティFC
⚽️ヌグリスンビラン:A・セルヴァン(70分)
⚽️クチンシティ:ジョーダン・ミンター2(17分、90+6分)、ペトラス・シテムビ(37分OG)
MOM:ジョーダン・ミンター(クチンシティFC)
ヌグリスンビランFCの佐々木匠選手は、警告累積のため出場停止でベンチ外でした。
クチンシティFCの谷川由来選手は先発してフル出場しています。

KLシティは最終戦で大勝

最下位のクランタン・ダルル・ナイムFCをホームに迎えたKLシティFCは二度のリードを追い付かれる危うい展開だったものの、最後は地力の差を見せて突き放しています。

給料未払い問題を抱えるKLシティは、勝点6剥奪の処分を受けながら今季は6位に終わっています。なおこの試合のゴールで今季はリーグ2位の17ゴールを挙げた、キャプテンでエースのパウロ・ジョズエは、今オフでのベトナムリーグ入りが噂されており、文字通りクラブの顔が移籍となれば、予算の少ないクラブ事情からも大型補強は期待できず、来季は苦しい試合を強いられそうです。

2025年4月20日@KLフットボールスタジアム(クアラ・ルンプール)
KLシティFC 5-2 クランタン・ダルル・ナイムFC
⚽️KLシティ:ザフリ・ヤハヤ2(24分、45+1分)、パウロ・ジョズエ(71分)、ハキミ・アジム(75分)、ライアン・ランバート(86分)
⚽️クランタン:アダム・ダニアル(45分)、ファズルル・アミル(53分)
MOM:ザフリ・ヤハヤ(KLシティFC)

2024/25マレーシアスーパーリーグ最終順位表

順位チーム勝点
1JDT2470231090882
2SEL24521444441628
3SAB2440117641338
4KCH24391095382810
5TRE243598735269
6#KLC2431114940337
7PRK2430861036360
8SRP24297893539-4
9PDRM242776112536-11
10PEN242668103137-7
11*KDA242166122151-30
12NSE241644162349-26
13KDN24721211682-66
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC, SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC, KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC, PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC, KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ最終得点ランキング
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT32
2パウロ・ジョズエKLC17
3ジョーダン・ミンターKCH14
4ルシアーノ・ゴイコチェアPRK11
ロドリゴ・ディアスPEN10
ロニー・フェルナンデスSEL10
アルヴィン・フォルテスSEL10
ロメル・モラレスJDT10
9イフェダヨ・オルセグンPDRM8
クレイトンPRK8
クパー・シャーマンSRP8
11アリフ・アイマンJDT7
ヘベルチ・フェルナンデスJDT7
ステファノ・ブルンドSRP7
ジョアン・ペドロSAB7
サファウィ・ラシドTRE7
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC, KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハンFC, PRK-ペラFC、PEN-ペナンFC、SAB-サバFC、PEN-ペナンFC

4月16日のニュース<br>・マンU対アセアンオールスターズ戦のチケットは本日販売開始<br>・リーグ11連覇のジョホールがU17からU23の年代別リーグでも今季五冠達成と国内での絶対王者ぶりを発揮<br>・タン元代表監督が協会復帰-代表のテクニカル・ディレクター就任か

マンU対アセアンオールスターズ戦のチケットは本日販売開始

5月28日にクアラ・ルンプールのブキ・ジャリル国立競技場で開催が予定されている英国プレミアリーグの強豪、マンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズの試合のチケットは本日、午前11時から販売となります。チケットは2階席の50リンギ(1リンギはおよそ32円)からメインスタンドベンチ裏の1.500リンギまで7種類のチケットが用意されていますが、主催者によると即時完売を予想しているとマレーシアの通信社ブルナマが報じています。(チケットはこちらから入手可能です。)

既にベトナム代表のキム・サンシク(金相植)監督が指揮を取ることが発表されているアセアンオールスターズですが、東南アジアサッカー連盟に加盟する12カ国から選抜されるとされるそのメンバーは現時点では発表されていません。それでも一部では、マレーシアからはアリフ・アイマン(ジョホール・ダルル・タジムFC)、ディオン・クールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)が出場すると噂されている他、タイからはスファナット・ムエアンタ(ブリーラム・ユナイテッド)、ベトナムからはグエン・クアン・ハイ(ベトナム1部ハノイ公安FC)、インドネシアからはアスナウィ・マンクアラム (タイ1部ポートFC)らが出場するという報道もあります。

かつての宗主国だったことあるのか、英国プレミアリーグ(EPL)の人気はマレーシアやシンガポールでは国内リーグを遥かに超えており、自国のリーグは全く見ないし、その選手も知らないが、EPLは欠かさず見る、選手もよく知っているというサッカーファンは少なくありません。実際に新聞でもEPLの結果が写真付きでスポーツ欄のトップ、国内リーグの結果は写真なしの記事が小さく掲載されるということもよくあります。

また東南アジア全体でもこのような傾向は見られることから、このマンチェスター・ユナイテッド対アセアンオールスターズの試合は、この地域のEPLファンが観戦に訪れることが期待されています。なお、マンチェスター・ユナイテッドはクアラ・ルンプールでのアセアンオールスターズ戦後、5月30日には香港スタジアムでの香港代表戦を行い、アセアンツアーを終える予定です。


マンチェスター・ユナイテッドは2009年7月16日のプレシーズンマッチ以来のマレーシア訪問となりますが、このときはやはりブキ・ジャリル国立競技場でマレーシア選抜と対戦し(その時の映像はこちら)、マレーシアはアムリ・ヤーヤ(当時スランゴールFC、現サバFC)が前半と後半にそれぞれゴールを挙げる活躍で、ウェイン・ルーニーとナニのゴールでリードするマンUに一度は追いついたものの、このシーズンからマンUに加入したマイケル・オーウェンが途中出場から加入後初のゴールが決勝ゴールとなり、3−2で逃げ切っています。

なおこの年のマンUはマレーシア選抜との対戦後、インドネシアでインドネシアリーグのオールスターと対戦予定でしたが、7月17日にジャカルタ市内で犠牲者9名を出した自爆テロが起こったことで、この試合は中止となり、急遽、日程を変更して再度マレーシア選抜と7月20日に対戦しています。この試合ではフェデリコ・マケダ、そしてこの試合では加入後初先発となったマイケル・オーウェンが2戦連発のゴールを挙げて2−0と快勝しました。(その時の映像はこちら

リーグ11連覇のジョホールがU17からU23の年代別リーグでも今季五冠達成と絶対王者ぶりを発揮

マレーシアスーパーリーグのU23チームが対戦するリーグ戦、MFLカップは最終節が行われ、スーパーリーグ11連覇を達成したジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のU23チームであるJDT IIがペナンFCのU23チームを破り、2位のスランゴールFC IIを勝点差1で抑えて初優勝を果たしています。スランゴールFC IIはトップチームのスランゴールFC同様、JDTの後塵を拝する結果となりました。

最終節の第24節を前に首位JDT IIの勝点は50、2位のスランゴールFC IIの勝点は49となっていましたが、スランゴールはクダ・ダルル・アマンFCのU23チーム、クダ・ダルル・アマンFC Bを7−0で破ったものの、JDT IIもペナンFC IIに同じ7−0で勝利し、勝点差1を守り切って優勝を果たしています。

ペナンFC IIとの試合では、今年初めのAFF(東南アジアサッカー連盟)選手権、三菱電機カップではマレーシア代表デビューを果たしていたナジムディン・アクマルががハットトリックを決めると、今季のMFLカップではダントツのゴールマシーンぶりで得点王に輝いたガブリエル・ニーステルロイが今季通算23点目と24点目を、またマレーシア代表FWでもあるコロンビアからの帰化選手ロメル・モラレスも2ゴールを決めて、ホームのスルタン・イブラヒム・スタジアムでペナンFCを圧倒しました。

2位のスランゴールFCもエースのアブドル・ラーマン・ダウドがハットトリックを達成するなど、17分に退場者を出し10名となったクダ・ダルル・アマンFC Bを圧倒しましたが、JDT IIとの勝点差1を詰めることができませんでした。

なお昨季から始まったこのMFLカップは、2シーズン目に当たる今季限りで終了が発表されています。


トップチームがスーパーリーグで11連覇を果たしたJDTは、年代別チームも国内で無双ぶりを発揮しており、MFLカップでU23チームのJDT IIが優勝したことで、JDT IIIが優勝したU21のプレジデントカップ、JDT IVが優勝したU18のユースカップ、そしてJDTアカデミーが優勝したU17のKPM/FAMカップと5冠を達成しています。さらにマレーシアプレミアフットサルリーグでも昨季から参加したばかりのJDTは初優勝を飾っています。なおトップチームのJDTは、今季のFAカップでも優勝しており、今月4月26日に予定されているマレーシアカップ決勝で優勝すれば、2022年、2023年シーズンに続く3季連続国内三冠達成となるなど、マレーシア国内でまさに向かう所敵なしです。

タン元代表監督が協会復帰-代表のテクニカル・ディレクター就任か

マレーシアの専門サイトのスタジアム・アストロは、マレーシアサッカー協会(FAM)のユソフ・マハディ副会長が、マレーシア代表元監督タン・チェン・ホー氏がFAMに復帰することを認めたと報じています。なおタン氏は2018年から2022年までナショナルチームの監督を務めていました。

ユソフ副会長はタン氏が担う具体的な職務については詳細を明かさなかったということですが、既に1週間前からFAMで新たな仕事を始めているとされ、一部ではマレーシア代表のテクニカル・ディレクターに就任したとも伝えられています。

ユソフ副会長は「今言えるのは、タン・チェン・ホー氏がすでにマレーシア代表に関わる1人として既に活動しているということだけだ」と説明し、今年1月に就任した前FC東京監督のピーター・クラモフスキー代表監督以下、オーストラリア出身のコーチ陣が指導するマレーシア代表に、元代表監督のタン氏が関わることでチームがより強化され、代表の戦力を迅速に整える上で必要な情報をタン氏が提供できるのではないかと期待している」とも語っています。


現在56歳のタン氏は、スーパーリーグのクダFA(現クダ・ダルル・アマンFC)のコーチから、2017年に2度目となるマレーシア代表のコーチに就任すると、当時のネロ・ヴィンガダ監督が0勝7敗の成績から辞任したことを受け、暫定の代表監督に就任しました。しかし2018年に東南アジア選手権では決勝でベトナムに敗れたものの2大会ぶりとなる決勝進出準を果たし、任期が延長されましたが、2022年1月の東南アジア選手権ではベスト4進出を逃すと、代表監督として20勝4分16敗の成績を残して辞任しました。同年9月にスランゴールFCの監督に就任したタン氏は、2023年シーズンにはリーグ2位、マレーシアカップ準優勝と低迷していたスランゴールを立て直し、翌シーズンのACL2出場権を獲得に貢献しました。しかし2024/25シーズン開幕前に突如、スランゴールを退団し、自身の夢であったという国外クラブ監督就任の機会を得て、タイ1部のポリス・テロFC監督にシーズン半ばに就任しました。当時2部降格圏にいたポリス・テロFCを立て直すことが期待されたタン氏でしたが、監督就任後の11試合で2勝しかあげられなかったチームは結局、2部降格し、タン氏もそのシーズン限りで監督を辞任していました。

4月5日のニュース<br>・最新のFIFAランキングでマレーシアは1ランクアップの131位に<br>・リーグ最多ゴール新記録まであと4ゴールに迫ったベルグソンは残り2試合で新記録を作れるか<br>・給料未払いのクダFCから理学療法士が退団しインドネシアのクラブへ<br>・移籍の噂が絶えない前インドネシア代表は前KLシティFC監督が指揮を取るインドネシアクラブへ移籍か

最新のFIFAランキングでマレーシアは1ランクアップの131位に

最新のFIFAランキングが発表され、マレーシアは1ランク上がって131位となっています。マレーシアは2027年アジア杯予選F組の初戦で3月25日にネパールと対戦し2-0で勝利していますが、この勝利も含めたポイントが1,123.57となり、昨年12月から続いていた132位から1ランクアップしています。。

他の東南アジアのチームでは、前回から2ランク下げて99位のタイ、同5ランクアップ109位のベトナム、同4ランクアップの123位のインドネシアが上位3チームで、以下、131位マレーシア、146位フィリピン(4ランクアップ)、161位シンガポール(1ランクダウン)、162位ミャンマー(7ランクアップ)、181位カンボジア(1ランクダウン)、185位ブルネイ(1ランクダウン)、190位ラオス(4ランクダウン)、197位東ティモール(増減なし)と続いています。

次のFIFAランキング更新は7月10日とされていますが、その前の6月10日にマレーシアは2027年アジア杯の第2節で、109位のベトナムとホームでの対戦が控えています。

リーグ最多ゴール新記録まであと4ゴールに迫ったベルグソンは残り2試合で新記録を作れるか

今季のマレーシア1部スーパーリーグは、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)がリーグ11連覇を決めていますが、その原動力の1人がリーグ得点王争いを独走するベルグソン・ダ・シルヴァです。34歳のベルグソン選手は、3月29日のクダ・ダルル・アマンFC戦で今季4度目のハットトリックを達成するなど、リーグ戦20試合で26ゴールを挙げ、2位のパウロ・ジョズエに11ゴール差をつけ、2022年以来2度目の得点王をほぼ確定させています。

その2022年にはベルグソン選手は19試合に出場して29ゴールを挙げ、前年2021年にイフェダヨ・オルセグン(当時スランゴールFC、現在はPDRM FC)が記録した26ゴールを超える新記録を作っていますが、これが現在もスーパーリーグの最多ゴール記録となっています。今季は既に終盤に入っている中、JDTは今季残り2試合を残しており、ベルグソン選手が4ゴールを挙げて、自身の記録を書き換える新記録を作ることができるのかどうかに注目が集まっています。

JDTは4月10日にリーグ最下位のクランタン・ダルル・ナイムFCとホームで、そして4月16日に谷川由来選手が所属するクチンシティFCとのアウェイでの対戦が残っています。なおJDTと両クラブは既に1度ずつ対戦しており、クランタン・ダルル・ナイムFCとは昨年9月22日に対戦した際には、ベルグソン選手は今季3度目のハットトリックを達成しています。またクチンシティFCとは昨年9月27日に対戦し、ベルグソン選手はこの試合でも1ゴールを挙げています。

給料未払いのクダFCから理学療法士が退団しインドネシアのクラブへ

クダ・ダルル・アマンFCの理学療法士を務めていたエルベ・ヒシャルジ氏がインドネシア1部のPSSスレマンへ移籍したことが報じられています。ブラジル出身のヒシャルジ氏は、過去8年に渡りフェルダ・ユナイテッド(既に解散)、スランゴールなどでも理学療法士を務め、2023年に当時のナフジ・ザイン監督(現マレーシアU23代表監督)に請われて2年契約でクダ・ダルル・アマンFCに移籍していました。

ヒシャルジ氏は、昨年12月に契約解除をクラブとの間で合意したものの、過去8ヶ月に渡り給料が未払いとなっていることも明らかにしており、PSSスレマンへの移籍もこれが原因の一つと考えられています。

ヒシャルジ氏が移籍したPSSスレマンは、現在7勝4分16敗と1部リーグのリガ1で最下位に位置しています。なお、このPSSスレマンには、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と今季開幕前に契約したものの、先発のポジションを掴めなかった元イタリアU20代表やタイ1部ブリーラム・ユナイテッドでもプレー経験があるFWニコラオ・ドゥミトル・カルドーソがローン移籍中です。

移籍の噂が絶えない前インドネシア代表は前KLシティFC監督が指揮を取るインドネシアクラブへ移籍か

マレーシアやインドネシアのトランスファーウィンドウが開くたびに移籍の噂が浮上する前インドネシア代表のFWサディル・ラムダニですが、既に今季残り数試合となったマレーシア1部スーパーリーグ終了を前に、様々な噂が飛び交っています。

U19やU23など年代別代表で活躍し、18歳でインドネシア代表デビューを果たしたサディル選手は通算26試合で2ゴールの成績ですが、シン・テヨン前代表監督との関係が悪化した以降は、公式戦は2023年11月21日のW杯予選フィリピン戦(この試合はフル出場)から代表招集されておらず、親善試合も2024年1月5日のリビア線(出場10分)を最後に代表に呼ばれていません。

2021年からスーパーリーグのサバFCではウィングでプレーするサディル選手の評価は高く、来季に向けてスランゴールFCなど複数のクラブが獲得に動いていると噂されている中、インドネシア1部で昨季優勝を果たしたプルシブ・バンドンが26歳のサディル選手獲得に動いているという噂も浮上しています。

前KLシティFC監督のボヤン・ホダック監督が就任して10シーズンぶりの優勝を果たしたブルシブ・バンドンは、今季残り7試合で2位に勝点差8をつけて首位を快走していますが、その一方で来月5月の今季終了後に複数の主力選手が退団すると言われており、サディル選手がそれらの選手に代わる補強選手としてリストアップされているということです。KLシティFC監督時代からサディル選手を見ているホダック監督ならば、スーパーリーグでは86試合に出場し、22ゴール29アシストの記録を残しているサディル選手の起用法なども熟知しているとされ、今回は移籍が濃厚とも言われています。

インドネシア王者として今季はACL2に出場しながら、1勝2分3敗でグループステージ最下位に終わったプルシブ・バンドンは、来季のACL2に向けたチーム強化の一環としてCBリスキ・リド(プルシジャ・ジャカルタ)、DMFアルフェアンドラ・デワンガ(PSISスマラン)といずれも23歳のインドネシア代表コンビも獲得を目指しているとされています。

4月4日のニュース<br>・一時帰国中のミャンマー代表が地震で未だ出国できず、今節のスーパーリーグ出場が微妙に<br>・ビーチサッカー代表から戻ったMリーガーはチームの最下位脱出を目指す<br>・W杯予選から戻ったヨルダン代表DFはスランゴールでも輝けるか

一時帰国中のミャンマー代表が地震で未だ出国できず、今節のスーパーリーグ出場が微妙に

先月28日に起きたミャンマー中部を震源とした地震は、国内で全権を握る国軍が死者が3000名超、負傷者も4500名超であることを発表しています。一部では現在も救助作業は難航しており、被害は拡大しそうですが、マレーシアリーグでプレーするミャンマー代表選手の1人がこの自身の影響で現在も出国できず、今週末から再開するスーパーリーグの試合への出場が危ぶまれています。

現在、国内で足止めに合っているのはスランゴールFCからのローン移籍で、今季はヌグリスンビランFCでプレーするハイン・テット・アウンです。テット・アウン選手は3月25日にヤンゴンのトゥウンナYTCスタジアムで行われた2027年アジア杯予選のミャンマー代表対アフガニスタン代表の試合に出場するために、同じスーパーリーグのPDRM FCでプレーするチョー・ミン・ウー選手とともに帰国していました。

3月25日の試合では、ミン・ウー選手は先発してフル出場、テット・アウン選手は59分から出場し、試合終了までプレーし、ミャンマー代表はアフガニスタン代表に2−1と快勝しています。そして出国の手続きのための書類が発行されるのを待っている間に件の大地震が起こったということです。

テット・アウン選手の出身地は南部のべゴーという都市で、今回の地震の震源とされるミャンマー中部からは離れていたため、家族や友人に被害はなかったということです。しかし、地震で被害を受けた地域は非常に困難な状況にあり、とにかく助けが必要な状況だと説明しています。またミャンマーの各省庁は地震後の対策に追われているということで、テット・アウン選手は出国するために必要な書類を待っているものの、その審査がいつ終わるのかわからない状況であると、マレーシア国内のスポーツ・メディア、アストロ・アリーナの取材に答えています。

現在、12位のヌグリスンビランFCは第24戦となる4月5日に9位のペナンFCとホームで対戦予定で、この状況が続けば今週土曜日の試合にテット・アウン選手が出場できる可能性が非常に低くなります。なお、この記事ではミン・ウー選手についての詳しい情報は伝えていません。

ビーチサッカー代表から戻ったMリーガーはチームの最下位脱出を目指す

3月20日から30日までタイのパタヤで開催された2025年AFCビーチサッカーアジアカップは、イランが前回2023年大会に続きイランの連覇で幕を閉じました。4回目の出場となったマレーシアは、グループステージでは最終的に準優勝したオマーンの他、バーレーン、ベトナムと同組になり、初戦のバーレーン戦は3-4、続くオマーン戦も3−6といずれも敗れ、最終戦となったベトナム戦では3−1と勝利し、1勝2敗でグループステージ敗退となりました。

この大会でマレーシアの全9ゴール中5ゴールを挙げたのが、ハフィザル・アリアスです。しかしこのハフィザル選手はビーチサッカーが本職ではなく、国内1部のスーパーリーグでプレーし、しかも所属するクランタン・ダルル・ナイムFCではDFとしてプレーしている選手です。

マレーシア東海岸に面するトレンガヌ州の海岸近くで育ったハフィザル選手は、子供の頃からビーチサッカーをプレーしており、かつて所属したトレンガヌFC時代から、何度かビーチサッカーのマレーシア代表入りを打診されていたということですが、その当時はクラブから代表入りを認められていなかったということです。また今回、クランタン・ダルル・ナイムFCが代表入りを承認し、初出場した大会ではチームではトップの5ゴールを挙げるなど、そこでの経験は貴重だったとハフィザル選手は話しています

32歳のハフィザル選手は、今季ここまで2勝1分18敗でリーグ最下位のクランタン・ダルル・ナイムFCでは10試合に出場(7試合先発)しており、プロデビューを果たした2017年からのマレーシアリーグ(Mリーグ)の通算成績はリーグ戦、カップ戦含めて57試合出場で0ゴール1アシストという成績を残しています。

所属するクランタン・ダルル・ナイムFCは、Mリーグに複数ある給料未払い問題を抱えるクラブの一つで、外国籍選手はほぼ全員がシーズン半ばでチームを去り、現在はクラブのU23やU20の選手が主力として試合に出場している状況です。

経営陣は未払い給料問題解決に取り組んでいるので、選手はプロとして試合に出続ける必要があると英字紙スターの取材に答えたハフィザル選手は、今月4月末までには未払い給料が支払われると聞いており、状況は改善していると考えているとも話しています。

クランタン・ダルル・ナイムFCの次の試合は、国内の絶対王者ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)との対戦が4月10日に予定されています。12位のヌグリスンビランFCとは勝点差6と最下位脱出も可能な位置にいるだけに、ビーチサッカーでリフレッシュしたハフィザル選手を含めたチームが残り3試合で一矢報いることができるかどうかに注目です。なお今季のMリーグは4月末に閉幕します。

W杯予選から戻ったヨルダン代表DFはスランゴールでも輝けるか

イスラム教の断食明けの祝祭ハリラヤも終わり、今週末から再開するマレーシアスーパーリーグの選手の中で唯一、3月のW杯3次予選に出場したのが、スランゴールFCでプレーするヨルダン代表DFモハマド・アブアルナディです。

アメリカ出身のアブアナルディ選手は今季途中の昨年9月にスランゴールに加入したものの、喜熨斗勝史監督の信頼を得られていないのか、今季はここまで先発2試合、途中出場2試合、出場時間は合計259分と外国籍選手としては少々心許ない成績です。

しかし24歳のアブアナルディ選手は3月のW杯3次予選では、3月20日のパレスチナ戦、3月25日の韓国戦のいずれにも先発してフル出場し、1勝1分という成績に貢献しています。しかもアブアナルディ選手は、この2試合を含めたW杯3次予選では過去5試合に連続して先発フル出場し、この間のヨルダン代表は2勝3分で9得点3失点という成績を残し、現在はW杯出場権が得られる2位につけています。

そんなアブアナルディ選手が戻ってくるスランゴールは、今季2試合を残し、既に2位を確定させるとともに、来季のACL2の出場権も得ています。しかし今週末4月5日に対戦するトレンガヌFCは、ASEAN東南アジアクラブカップ出場権がかかる3位まで勝点4差となっており、この試合ではスランゴール以上に勝利への目的が明確です。

トレンガヌ戦に向け、アブアナルディ選手は自分たちの試合に集中することが重要だと述べ、既に順位は決まっているもののプロとして勝点3を取ることを最優先としたいと述べています。

MFノー・アル=ラワブデは膝前十字靱帯断裂から回復せず、FWアリ・オルワンは3月8日のクランタン・ダルル・ナイムFCで膝を痛めて途中退場と、ヨルダン代表トリオが揃って出場する機会はありませんが、W杯予選では状態が良く、そのプレーぶりに評価も高まっているアブアナルディ選手をまずは喜熨斗勝史が起用し、それに答えてスランゴールでも輝くことができれば、トレンガヌそして最終戦のPDRM戦と連勝で今季を終えることもできそうですが、果たしてどうなるでしょう。

3月28日のニュース<br>・クラブは抜け穴を利用して不正にクラブライセンスを取得?<br>・海外在住のマレーシア出身選手7名がマレーシア代表に合流予定-イスマイル殿下<br>・2026年女子アジア杯予選組合せ決定-マレーシアは強豪北朝鮮と同組に

マレーシア1部スーパーリーグは今季2024/25シーズンもあと2節を残すのみ。FIFAデイズが終わり、さてまた国内リーグ、となるところですが次節となる第24節は来週末の4月4日から6日の開催となっています。今週末に試合がないのは、イスラム教の断食月ラマダンが3月31日に終了し、週明けにはマレーシア最大の祝日「ハリ・ラヤ」となるからです。日本で言えばお盆や年末のような帰省ラッシュもあり、サッカーどころではありません。金曜日はイスラム教の礼拝日で、午前中に仕事を終え、昼の礼拝後には帰省というムスリム(イスラム教徒)も多そうです。また国内の主要高速道路は今日と明日は50%オフとなることが発表されており、帰省ラッシュが始まる反面、地方出身者が多い首都のクアラ・ルンプールは静かな週末になりそうです。

クラブが抜け穴を利用して不正にクラブライセンスを取得?

このブログでも繰り返し取り上げてきましたが、マレーシアリーグの「闇」の一つに給料未払い問題があります。今季開幕前にはクランタンFC(クランタン・ダルル・ナイムFCとは別のクラブです)が給料問題未解決を理由にクラブライセンスを発給されなかった結果、今季のスーパーリーグが13チーム編成になってしまいました。また開幕後には、クダ・ダルル・アマンFCとKLシティFCがやはり問題未解決を理由にいずれも勝点剥奪の処分を受けています。この他、処分対象とはなっていないものの、クランタン・ダルル・ナイムFCやサバFCなど他のクラブでも数ヶ月に及ぶ給料の「遅配」が発生していたことが報じられています。

そんな中、英字紙ニューストレイツタイムズは、「給与未払い問題を起こすようなクラブが、なぜ国内クラブライセンスを取得できるのか」という見出しの記事を掲載しています。

この記事では、その問いの答えとして「給料未払い問題を起こすクラブが『抜け穴』を利用しているからだ」とするサッカー法務アドバイザーのザフリ・アミヌラシッド氏のコメントを掲載しています。

ザフリ氏によると、近年、国内リーグでは給与未払いの報告が相次いでおり、さらにクラブライセンス発行に関する不正や、ライセンス交付を目的とした文書偽造の疑いも浮上しているということです。

さらにザフリ氏は、これらのクラブは負債を分割払いで清算することをリーグ主催者のマレーシアンフットボールリーグ(MFL)や、クラブライセンス交付を行う独立機関の第一次審査機関(FIB)に約束するだけで、国内クラブライセンスを取得できてしまうと指摘し、この抜け穴が繰り返し利用されているのが現状であると説明しています。

「FIBがクラブライセンス交付において、その審査に透明性を欠いている場合、アジアサッカー連盟(AFC)に苦情を申し立てることができる。さらにAFCが公平性の欠如を確認すれば、FIBの権限を取り消し、AFCがライセンス発行のプロセスを引き継ぐことも可能である」とザフリ氏は説明しています。

先週には、パフォーマンスアナリストのハズワン・ニザム・ファズィル氏とブラジル人理学療法士のヘルバー・リチャード氏が、クダ・ダルル・アマンFCから数カ月間の未払い給与があると訴えたことが報じられています。また首都圏の某クラブがライセンスが交付されるよう文書偽造を行ったとの疑いも報じられています。

アジアサッカー連盟(AFC)のウィンザー・ポール事務局長は、不正にクラブライセンスを取得したクラブへの対応はマレーシアサッカー協会(FAM)およびMFLの責任であると述べ、AFCが介入するのは誤った種類のライセンスが交付された場合のみであると説明しています。

ちなみに2025/26シーズンの国内クラブライセンス交付のための書類の提出期限は4月30日、ACLエリートやACL2に出場するのに必要なAFCクラブライセンスの申請書類提出の期限は3月31日となっています。

またこのクラブライセンス不正交付について、MFLのシャズリ・シャイク・モハマド暫定CEOはニューストレイツタイムズからの問い合わせに対して「その件については確認が必要であり、今ははっきりとは分からないので、確認する」と答え、同様の質問に対し、FAMのノール・アズマン・ラーマン事務局長は、「FAMに何か意見が届き、それがクラブライセンスに関するものであれば、MFLに対応を求める。もしMFLから回答がない場合のみ、FAMが対応し、(FAMの)懲戒委員会に持ち込まれる可能性もある」と互いに責任を逃れるような対応だったということです。

この記事の最後では、この官僚的な責任の押し付け合いが起こっている間、選手、コーチ、チームスタッフは給料未払いにより苦しみ続けていると述べ、FAMとMFLが責任を押し付け合い続けるなら、マレーシアサッカーを救うのは一体誰の役目なのだろうか?と締め括っています。


これに関連して、国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)のシャズリ・シャイク暫定CEOは、財政難に直面しているクラブを含めた全クラブと連絡を取り合い、クラブライセンス制度に必要な書類の提出を促しているとニューストレイツタイムズは別の記事で報じています。

「各クラブは(クラブライセンス申請書類提出期限の)4月30日までに全てのライセンス交付要件を満たすために努力する必要がある」と、最近行われたMFLのメディア向けイフタール(断食明けの食事)イベントで語っています。

このブログでは既に報じていますが、先週、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のオーナーでジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下は、JDTファンとの会合で、スリ・パハンFCとクダ・ダルル・アマンFCが来季のスーパーリーグに出場しない可能性が高いと驚きの発言をしています。

この他、今季はシンガポール1部プレミアリーグに参戦中のブルネイDPMM FCがスーパーリーグに復帰する、といううわさについて問われると、シャズリCEOは今後、正式に発表があるだろうと述べ、完全否定はしなかったということです。

このブルネイDPMM FCは、1979年からマレーシアリーグに参戦していたブルネイ代表と交代するする形で2005/06シーズンに当時の2部プレミアリーグに参戦すると、翌2006/07シーズンには1部スーパーリーグへ昇格するとそのシーズンには3位となり、翌2007/08シーズンには10位となりました。しかしその年、ブルネイサッカー協会(ブルネイFA)がブルネイ政府の下した判断により正式スポーツ団体としての資格を失うと、マレーシアサッカー協会(FAM)はブルネイDPPM FCのマレーシアリーグ参加を認めず、わずか3シーズンでマレーシアから撤退することになりました。(その後FIFAは2009年にブルネイサッカー協会に対して、政府の介入を理由に資格停止処分を下します。)

なおシャズリ氏は、FIFAが承認すれば、MFLは外国チームのMリーグ参加に前向きであると語っています。しかし、2017年にはこのDPMM FCが当時参戦していたシンガポールリーグからマレーシアリーグへの復帰を図った際、MFL(当時の名称はFMLLP)が、ブルネイ人選手は外国籍選手としてのみ登録可能で、それ以外はマレーシア人でチームを編成すること、またホームの試合はマレーシア国内で行うことなどの条件を出しました。この結果、DPMMは復帰を見送った経緯があるため、今回、再参戦となればMFLがリーグ参加に際してDPMMにどのような条件を提示するのかが気になります。

海外在住のマレーシア出身選手7名がマレーシア代表に合流予定-イスマイル殿下

先日の2027年アジア杯3次予選では、代表合流からわずか数日のヘクター・へベルの活躍でネパールに勝利したマレーシア代表。オランダ出身のヘクター・ヘヴェルとスペイン出身のガブリエル・パルメロの両選手がマレーシアにルーツ持つ帰化選手として今回の試合前の合宿に参加しましたが、ネパール戦に先発したヘベル選手は先制点を決め、さらにはMOMにも選ばれるほどの活躍でした。

次戦となるのは6月のベトナム戦ですが、東南アジアNo. 2、FIFAランキング114位は同132位のマレーシアにとっては厳しい相手です。そんな中で代表チーム強化に積極的に関わるジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下は、自身のSNSで海外在住のマレーシア出身選手7名が加わる見通しであると投稿しています。

今季の優勝を含めリーグ11連覇を果たしたジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)のオーナーでもあるイスマイル殿下は、3月25日に行われた2027年アジア杯予選でのネパール戦の後に投稿し、海外在住のマレーシア出身選手7名の加入が、代表チームの質をさらに向上させだろうと述べています。

「まだ道のりは長いが、(帰化選手による代表強化策によって)全ての面で継続的な進歩と向上が見られるだろうと確信している。今後さらに7名の海外在住のマレーシア人選手が加わることで、チームの質が向上するだろう。重要なのは、我々の代表チームが主要な国際大会で戦い、尊敬を得ることだ。この目標を達成するためには、団結し、忍耐強くあることが必要だ。」と投稿したイスマイル殿下は、大切なのは代表チーム強化のスピードではなく、目指す方向であるとも、Xに投稿しています。


へヴェル選手はこれまでの代表チームにわずか1試合で「変化」をもたらした選手で、同様の質の高い帰化選手が今後、ハリマウ・マラヤ(マレーシア代表の愛称「マラヤの虎」の意味)に加わることは、過去10年以上、勝利したことがないベトナムとの対戦にも希望が湧いてきます。その一方で気になるのは、この新たな帰化選手の情報が、代表チームを運営している(はずの)マレーシアサッカー協会(FAM)からではなく、前FAM会長とはいえ、現在は協会内の人間でない、いわば一個人のイスマイル殿下から漏れてくること。国外のサッカー関係者とのネットワークは誰よりも広く、強力なのは事実で、ピーター・クラモフスキー監督は、イスマイル殿下の「個人的なアドバイザー」のティム・ケイヒル氏と同郷のオーストラリア出身で、チーム帯同のスポーツ医療専門家のクレイグ・ダンカン氏もやはりオーストラリア出身であることから、イスマイル殿下はこれらの人選に関与していそうです。以前はマレーシア代表チームをマレーシアサッカー協会(FAM)から完全に独立させて「民営化」する案なども披露したイスマイル殿下ですが、できれば是非ともFAMに戻り、内部から改革を進めて欲しいと思っているのは私だけではないように思います。

2026年女子アジア杯予選組合せ決定-マレーシアは強豪北朝鮮と同組に

3月27日に2026年女子アジア杯予選の組合せ抽選がマレーシアのクアラ・ルンプールにあるAFCハウスで行われ、1995年以来の本大会出場を目指すマレーシア女子代表はH組に入り、予選開催国となるタジキスタン、パレスチナ、そして過去3度の優勝経験を持つ北朝鮮と同組に入っています。

この日の抽選では、5チームで編成されるA組とB組、4チームで編成されるC組からH組が決定し、各組とも6月23日から7月5日にかけて行われる予選を戦います。来年3月1日から21日までオーストラリアのシドニー、パース、ゴールドコーストの3都市で開催される本大会へは予選各組の首位のみが出場します。

グループ別対戦チーム

A組:イラン、ヨルダン(開催国)、レバノン、シンガポール、ブータン
B組:タイ(開催国)、インド、モンゴル、東ティモール、イラク
C組:ミャンマー(開催国)、バーレーン、バングラデシュ、トルクメニスタン
D組:チャイニーズタイペイ、インドネシア(開催国)、キルギス、パキスタン
E組:ベトナム(開催国)、グアム、アラブ首長国連邦、モルディブ
F組:ウズベキスタン(開催国)、ネパール、ラオス、スリランカ
G組:フィリピン、香港、中国、カンボジア(開催国)、サウジアラビア
H組:北朝鮮、マレーシア、パレスチナ、タジキスタン(開催国)

2026年女子アジア杯は、2022年にインドで開催された前回大会から出場チームが4チーム増えて12チームとなっています。既に出場が決まっているのは開催国のオーストラリア、前回大会のチャンピオンで過去9回の優勝経験を持つ中華人民共和国、そして同じく前回大会準優勝の日本、同3位の韓国の4チームで、ここに予選を突破した8チームが加わります。なお、この大会の上位6チームには、2027年FIFA女子W杯2027(ブラジル)の出場権が与えられます。


マレーシアが最後に女子アジア杯に出場したのは1995年で、このときの大会がマレーシアのコタ・キナバルで開催されたことから、開催国枠での出場でした。またマレーシア女子代表がこの大会で残した過去最高成績は、1983年にタイで開催された大会での3位入賞です。

3月26日のニュース:アジア杯予選開幕-クラモフスキー新監督のマレーシアは白星スタート

日本や韓国などアジアの強豪2026年W杯3次予選に臨む中、2次予選で敗れた他国はこの日から始まった2027年アジア杯予選に臨んでいます。前FC東京監督のピーター・クラモフスキー監督が就任したマレーシアは、予選F組の初戦でネパールと対戦して2-0と勝利し、好発進を果たしています。

クラモフスキー監督はこの試合に3バックを採用し、左右SBにシャルル・サアドとマット・ディヴィーズのJDTコンビを起用、CBに代表戦7試合目となるハリス・ハイカル(スランゴールFC)を配置しています。中盤は前任のキム・パンゴン監督時代にはCBで起用され続けたディオン・クールズが、所属するタイ1部ブリーラム・ユナイテッドでプレーする右WBに入り、左WBがラヴェル・コービン=オング、中央にはこの試合が代表デビューとなるオランダ出身のヘクター・ヘヴェル(ポルトガル2部ポルティモネンセSC)とノーア・ライネ(スランゴールFC)が並びます。前線には左からエンドリック・ドス・サントス(ベトナム1部ホーチミンシティ)、ロメル・モラレス(JDT)、そしてマレーシアの至宝アリフ・アイマン(JDT)という3-4-3の布陣です。(以下はこの試合の先発XIとベンチ入りの選手)

日本人の笠原寛貴が主審を務めたこの試合は、クアラ・ルンプールから300km以上離れたマレー半島南端のジョホール州で行われたため、ストリーミング配信で観戦しました。試合は開始から自陣で引き気味にプレーするネパールに対し、マレーシアが試合をコントロールします。しかし、ペナルティエリア付近まではボールは運ぶものの、エンドリックやアリフ・アイマンの放ったシュートが枠外に外れるなど、ゴールまでには至りません。マレーシアが一方的に攻める場面が続く中、配信が突然中断。そして再開した時には、初代表初先発となった28歳のヘクター・ハヴェルがペナルティエリアの外から放ったシュートがゴールとなり、既にマレーシアが先制していました。(笑)中断は機材トラブルが原因だったようですが、下にも添付したハイライト映像でもわかるように、ゴールの瞬間はピッチ全体を映した映像も、ゴールの瞬間のはっきりした映像も映っていません。(このフィールドレベルのカメラの映像も試合配信中には見ることができませんでした。)また中継ではシュートの角度が変わった結果のゴールであると実況されており、映像を見る限りではゴールポストに当たったシュートがうまく弾んでゴールとなったようです。

とは言え、ホームのマレーシアが先制すると、このゴールで目が覚めたのか、映像が再開した際にはネパールも積極的に攻めている様子が見られ、ついに35分にこの試合初のPKを得ます。しかし直接ゴールを狙ったシュートはゴールの上を大きく超えていきます。前半はともにそれ以上のゴールは挙げられず、マレーシアが1点をリードして、前半を折り返します。

後半に入っても、決定的なチャンスを得られないマレーシアでしたが、70分に相手ペナルティエリアの左外でPKを得ます。エンドリックがこのPKを蹴る前に、アリフ・アイマンが左サイドに走ります。これにつられてネパールDFが左に動くと、エンドリックは逆に右にいたクター・へヴェルへパスを出します。これをヘヴェル選手がノールックで左のアリフ選手へパスすると、今度はアリフ選手がカットバック気味にファーサイドへボールを送ります。するとそこにはフリーのラベル・コービン・オングが待ち構えており、このボールを難なく蹴り込みゴール!練習通りにコンビネーションがぴたりと決まったプレーでマレーシアが追加点を奪います。奇しくも2019年6月2日のネパール戦が代表デビューだったコービン=オング選手の代表戦41試合目にして通算5ゴール目で、マレーシアはリードを広げます。

74分にはほぼ1年ぶりに代表復帰となったファイサル・ハリムが登場して、観衆は代表戦としては寂しい7,895名が最大の盛り上がりを見せた試合は、そのままマレーシアが逃げ切って、2大会連続出場を目指す2027年アジア杯へ向けて白星スタートを切りました。


代表デビュー戦でゴールを決めたヘクター・ヘヴェルは、TranfermarktではAMFとなっていますが、この試合ではむしろ下がり気味でDMF的なプレーを見せていましたが、これについて前スランゴールFC監督のニザム・ジャミル氏は、ヘヴェル選手が後方にいることで、左右のウイングバックがより高い位置に上がることができ、マレーシアの攻撃の組み立てが円滑になると説明しています。実際に左のラヴェル・コービン=オング、右のディオン・クールズがオーバーラップする場面は何度も見られましたし、ディオン・クールズは右WBが適正なポジションなのだろうことも伝わってきました。さらにヘヴェル選手は「ディープ・ライイング・プレーメーカー(後方から攻撃を組み立てる司令塔)」としての役割を果たしていたということで、攻撃の組み立てと創造性の中心となるような、まさにマレーシア代表が待ち望んでいた選手と言えそうです。

2027年アジア杯3次予選F組第1節
2025年3月25日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
マレーシア 1-0 ネパール
⚽️マレーシア:ヘクター・へベル(29分)、ラヴェル・コービン=オング(70分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

なおF組のもう1試合はベトナムがグエン・バイ・ヴィの2ゴールやエースのグエン・クアン・ハイらのゴールでラオスに5-0と大勝しています。

6月11日のF組第2節ではマレーシアがホームにベトナムを迎えます。各組1位のチームのみが本戦出場となるこの3次予選では、マレーシアはベトナムに勝利しない限り本戦出場はあり得ませんが、そのベトナムとは2014年の東南アジアサッカー連盟選手権での勝利を最後に、現在は引き分けを挟んで7連敗中です。またこの間は3得点15失点(8試合)と圧倒されており、パク・ハンソ監督がベトナム代表を率いていた時代は手も足も出ませんでした。昨年就任したキム・サンシク監督となってからは、マレーシアはまだベトナムと対戦はありませんが、6月には10年ぶりの勝利を期待したいところです。

2027年アジア杯3次予選F組 順位表(第1節終了)

順位勝点
1ベトナム11005053
2マレーシア10102023
3ネパール101002-21
4ラオス100105-50

3月25日のニュース:2027年アジア杯3次予選ネパール対マレーシア戦試合前日会見

2027年アジア杯3次予選がいよいよ本日から始まります。来年2026年3月までと12ヶ月の長丁場ですが、F組でベトナム、ラオス、ネパールと同組になっているマレーシアは、アジア杯2大会連続出場を果たすためには、マレーシアはこの組を突破する最有力候補のベトナム戦以外の全試合に勝つことが大前提となります。

またこの試合は、今年1月1日付で就任したピーター・クラモフスキー監督が初めて指揮を取る試合でもある他、オランダ生まれのAMFエクトル・へベル(29歳、ポルトガル2部ポルティモネンセ)と、スペイン生まれで左SBを得意とするガブリエル・パルメロ(23歳、スペイン4部CDテネリフェB)の両帰化選手も代表合宿に合流しており、この試合で新監督と新戦力がマレーシア代表サポーターをがっちりと掴めるかどうかに注目が集まります。

その一方でこの試合は、マレーシア代表のホームで、首都クアラ・ルンプールにあるブキ・ジャリル国立競技場ではなく、ジョホール・ダルル・タジムFCの本拠地、ジョホール州にあるスルタン・イブラヒム・スタジアムでの開催となっています。またイスラム教の断食月ラマダン中ということもあり、午後10時のキックオフとなっていることもあってか、昨日3月24日の夜9時の時点では、マレーシアサッカー協会の発表によると、これまでに売れたチケットの枚数が2,374枚と代表戦としてかなり寂しい数字になっています。

FIFAランキングは指標にならない-クラモフスキー監督

2027年アジアカップ3次予選の初戦でFIFAランキング132位のマレーシアは、同175位のネパールと対戦します。この試合が就任後初の対外試合となるピーター・クラモフスキー監督は、ランキングの差をチーム力の差を示す指標として考えるべきではないと強調しています。

オーストラリア出身のクラモフスキー監督は、同じオーストラリア出身のマシュー・ロス監督率いるネパール代表との初戦を勝利で飾ることを目指し、良い結果とともに良いパフォーマンスを見せたいと、試合前会見で述べています。

クラモフスキー監督は、マレーシア代表の選手たちには戦術やサッカー哲学を理解するだけでなく、勝者のメンタリティを築くことが求められていると述べています。。

「勝者のメンタリティは、日々の取り組みの中で一貫性を保つことが重要である。これまで良い日々を積み重ねてきたが、その勢いを維持し続ける必要がある。だからこそ、明日(3月25日)の試合では良いスタートを切り、強いチームとしての姿勢を見せたいと考えている。そして、その後も勝者のメンタリティを築き、トップチームの一員として自らの地位を確立していきたい」と述べています。

自身初の代表監督就任でもあり、試合に向けたプレッシャーについて質問された際、クラモフスキー監督は、「プレッシャーは私の辞書にはない。またネパール戦は私個人に関することではなく、マレーシア代表に関することであり、マレーシア国民に誇りを持ってもらえるような魅力的なサッカーを目指している。」と述べ、またサポーターからの評価も高かった前任のキム・パンゴン監督(現蔚山HD監督)との比較も気にしていないと語っています。

ファイサル・ハリムには物語がある-クラモフスキー監督

またピーター・クラモフスキー監督は、代表に復帰したファイサル・ハリムについて会見で問われると「相手を混乱させるほどの攻撃的なプレーができる俊敏な選手」だと評価し、代表復帰は非常にふさわしいとも述べています。

「彼が代表チームに戻ってきたのは本当に素晴らしいことだ。彼は優れたウィングで、相手に大きな脅威を与えられる選手である。彼のプレーには明確な意図と激しい攻撃のリズムがあり、今が代表復帰に最適なタイミングだと考えている。」

「彼はそのチャンスにふさわしい選手であり、彼には語るべき物語がある。その物語は、彼のさらなる成長とともに続いていくだろう」とも述べたクラモフスキー監督は、ファイサル選手のチームへの適応力を高く評価した上で、(代表合宿が始まってからの)8日間の合宿で全選手が良い反応を示していると説明しています。

「彼は非常にうまくチームに溶け込んでおり、それは他の選手たちも同様です。選手たちのフィジカル面にはとても満足している。」

「重要なのは、選手一人ひとりをどう成長させられるかです。合宿は8日間でしたが、私たちの焦点はその期間だけではありません。現在の代表メンバー以外の選手に対しても、合宿以外の場面でフィジカル強化に取り組むための戦略があります」と語った。

2024年は、1月アジア杯韓国戦でゴールを挙げるなどの活躍を見せたファイサル選手は、同年5月5日にスランゴール州内のショッピングモールで何者かに酸をかけられ、身体の一部に第4度のやけどを負い、約10日間集中治療室(ICU)で治療を受けました。その後のW杯予選なども出場できず、今回が酸攻撃以来初めての代表合宿参加となる。

なおファイサル選手自身は、は3月8日のスーパーリーグ、セランゴールFC対ケランタン・ダルル・ナイムFC戦ではハットトリックを決め、さらに復帰後初となるフル出場を果たすなど、完全復活を印象付けるような活躍もしています。

ネパールを侮ってはいけない-マレーシア代表キャプテン

試合前会見に出席したDFマット・ディヴィーズは、ネパール戦は、非常に厳しい試合になるだろうと語っています。

ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)所属の右SBであるディヴィーズは、昨年3月15日に行われた非公開の親善試合でマレーシアがネパールに5-1で勝利したものの、その結果は参考にならないと強調しています。

今回の試合でキャプテンを務めるディヴィーズ選手は、今回のネパール代表は、マシュー・ロス監督の下で数名の新戦力が加わり、チームがより強化されていると指摘しています。ネパールは先週金曜日の国際親善試合で格上のシンガポールに1-0で勝利しています。

「ネパールは新監督の戦術に慣れてきており、戦術面での成長が見られる。そのため、我々は警戒して戦わなければなりません。ネパールの選手たちの実力を過小評価することはできない。同時に、私たちも戦術プランに沿って安定したプレーをし、プレッシャーを感じることなく良い結果を目指して試合に臨みたい」とディヴィーズ選手は語っています。


このディヴィーズ選手は1995年にオーストラリア生まれましたが、母親がマレーシア人であることからマレーシア国籍を取得し、2015年に代表デビユーを果たしています。このディヴィーズ選手は会見の冒頭で、代表チームに練習施設を提供したジョホール州摂政で、自身が所属するJDTのオーナーでもあるトゥンク・イスマイル殿下に対してマレーシア語で感謝の意を表明しています。この会見映像がSNSで広がると、ディヴィーズ選手のマレーシア語が非常に流暢だったこともあり、「これこそ帰化選手のあるべき姿だ」とあちこちで称賛の声が上がっています。

マレーシア戦は新たなスタートになる-ネパール代表監督

一方、ネパール代表のマシュー・ロス監督は、マレーシア戦に向けた戦術を問われると、引き分けを狙うつもりはないと語っています。

「今回のマレーシア戦は、ネパールサッカーにとって新たな章の始まりである。我々はアジア杯予選でどのチームとも戦える実力があることを証明したいと考えている。シンガポール戦での1-0の勝利は、マレーシアとの試合に向けての自信につながっている。」と話したロス監督は、「最初から引き分け狙いの姿勢では結局負けてしまうので、明日の試合は前向きな結果を目指して臨みたい。選手たちはトレーニングで非常に真剣に取り組んでおり、これが現実的な目標だと確信している。」とロス監督は自身を見せています。

「シンガポールでの親善試合後、短期間のリカバリーと戦術分析を行い、各ポジションをさらに強化するための対策を講じた。あとは選手たちが再び100%のコンディションに戻れるように努めているところである」と語っています。

ピーター・クラモフスキー監督が就任して初の対外試合となるマレーシア代表のプレースタイルを分析するのは難しいとも述べたロス監督は、その理由として、新たな帰化選手たちがチームに加わっていることも理由に挙げています。

「マレーシア代表に加わった帰化選手自体にについては特にコメントはない。カタールやUAEのような国々でも同様のことが行われており、それば全て規定に基づいたものです。一方、ネパール代表の選手は全員がネパールで生まれ育った選手だけで構成されており、帰化選手は一人もいない。そして我々はそのことに誇りを持ってい」とロス監督は語っています。

集中してベストを尽くしたい-ネパール代表キャプテン

またネパール代表のキャプテン、キラン・クマール・リンブは、昨年キム・パン・ゴン監督率いるマレーシアに1-5で敗れた過去にはこだわらず、その悔しさを糧にして明日の試合に臨むと意気込みを語っています。

「もちろん、前回の試合の敗戦は我々にとって痛手だったが、それを教訓にして立ち直った。過去の出来事は忘れ、マレーシア戦に集中してベストを尽くしたいと考えている。」

「確かに、我々は厳しいグループに入っている。マレーシアだけでなく、ラオスやベトナムとも対戦しなければならず、これら3チームに対してどれだけ戦えるかが私たちの試練となるだろう」とリンブ選手は語っています。

なおマレーシアとネパールはこれまで過去8試合対戦しており、その結果はマレーシアの6勝2分となっています。

1983年9月19日 – マレーシア 7-0 ネパール
1985年3月16日 – ネパール 0-0 マレーシア
1985年3月31日 – マレーシア 5-0 ネパール
1989年5月23日 – マレーシア 2-0 ネパール
1989年6月7日 – マレーシア 3-0 ネパール
2008年10月15日 – マレーシア 4-0 ネパール
2019年6月2日 – マレーシア 2-2 ネパール
2024年3月15日(非公開試合)- マレーシア 5-1 ネパール

3月24日のニュース<br>・2024/25ナショナルフットボールアウォーズ各賞の候補者が発表<br>・首都圏のクラブが書類偽造問題でリーグ除名の危機に<br>・来季のU23リーグが廃止に-各クラブの財政圧迫が原因

2024/25ナショナルフットボールアウォーズ各賞の候補者が発表

ニュースと言うほど新しい話題ではないですが、今季2024/25シーズンのナショナルフットボールアウォーズ(マレーシア語での呼称はABK24/25)の各賞の最終候補が発表になっています。

日本で言えばJリーグアウォーズにあたるナショナルフットボールアウォーズは、2-24/25シーズンのマレーシア国内リーグ(Mリーグ)において活躍した選手や監督を中心に、今季のマレーシアサッカー界に貢献したさまざまな関係者の功績を称えるために開催されます。

2023年にはU23チームが争うMFLカップが創設されましたが、ABK24では、このMFLカップ出場選手を表彰する「MFL最優秀選手」や「MFLカップ得点王」という2つの新しいカテゴリーを含めて16部門と、2019年シーズン以来となる復活した「最優秀サポーター」を合わせた以下の全17分門が表彰対象となります。

 1)最優秀ゴールキーパー
 2)最優秀ディフェンダ
 3)最優秀ミッドフィルダー
 4)最優秀フォワード
 5)最優秀監督
 6)最優秀外国人選手
 7)最優秀若手選手
 8)最優秀MFLカップ選手
 9)最優秀選手 (MVP)
10)フェアプレー賞
11)最優秀チーム
12)ベストゴール賞
13)FAN XI(サポーターが選んだベストXI)
14)ゴールデンブーツ賞 – MFLカップ部門
15)ゴールデンブーツ賞 – スーパーリーグ (マレーシア人選手)
16)ゴールデンブーツ賞 – スーパーリーグ
17)最優秀サポーター賞

最終選考を前に今季のMリーグでプレーした合計498名の選手の中からABK24/25選考委員会によって各部門のトップ10選手が既に選ばれています。なお各選手は、それぞれのクラブが登録したポジションに基づいて選出されています。各賞の受賞者はマレーシア1部スーパーリーグ13クラブの監督、キャプテン、MFL出場13クラブの監督、キャプテン、そして26名のメディア関係者の投票により決定されます。なお以下は8部門のトップ10選手のリストです。

1)最優秀ゴールキーパー
アズリ・ガニ (クアラルンプール・シティFC)
ブライアン・シー (PDRM FC)
ダミアン・リム (サバFC)
ハジク・ナズリ (ペラFC)
カラムラ・アル=ハフィズ (セランゴールFC)
シャリル・サアリ (クチン・シティFC)
シーク・イズハン (ペナンFC)
シーハン・ハズミ (ジョホール・ダルル・タジムFC)
ワン・シャズミン (ケダ・ダルル・アマンFC)
ザリフ・イルファン (スリ・パハンFC)

2)最優秀ディフェンダー
アダム・ノー・アズリン (スリ・パハンFC)
ダニエル・ティン (サバFC)
ドミニク・タン (サバFC)
フェロズ・バハルディン (ジョホール・ダルル・タジムFC)
ハリス・ハイカル (セランゴールFC)
イブラヒム・マヌシ (スリ・パハンFC)
ジミー・レイモンド (クチン・シティFC)
クエンティン・チェン (セランゴールFC)
シャルル・ニザム (トレンガヌFC)
ウバイドゥラー (トレンガヌFC)

3)最優秀ミッドフィルダー
アキヤ・ラシド (トレンガヌFC)
サファウィ・ラシド (トレンガヌFC)
アミルル・ヒシャム (ケダ・ダルル・アマンFC)
アリフ・アイマン (ジョホール・ダルル・タジムFC)
ダニアル・アミル (クチン・シティFC)
ファズルル・アミル (ケランタン・ダルル・ナイムFC)
ノーア・ライネ (セランゴールFC)
スチュアート・ウィルキン (サバFC)
シャミル・クティ (ペナンFC)
ワン・ザック・ハイカル (ペラFC)

4)最優秀フォワード
ダレン・ロック (サバFC)
ジャフリ・フィルダウス・チュウ(サバFC)
パウロ・ジョズエ (クアラルンプール・シティFC)
ハキミ・アジム (クアラルンプール・シティFC)
ガブリエル・ニーステルロイ(ジョホール・ダルル・タジムFCII-MFLカップ)
ロメル・モラレス (ジョホール・ダルル・タジムFC)
シャフィク・アフマド (ケダ・ダルル・アマンFC)
ラマダン・サイフラー (クチン・シティFC)
シャーレル・フィクリ (PDRM FC)
エセキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)

5)最優秀監督
エクトル・ビドリオ (ジョホール・ダルル・タジムFC)
アブディ・ハサン (セランゴールFC-MFLカップ)
P・マニアム (PDRM FC)
ミラスロフ・クリヤナッチ (KLシティFC)
バドロル・アフザン・ラザリ (トレンガヌFC)
ヴィクター・アンドラン (ケダ・ダルル・アマンFC)
ユスリ・チェ・ラー (ペラFC)
ファンディ・アフマド(スリ・パハンFC)
アイディル・シャリン (クチン・シティFC)
喜熨斗勝史 (Selangor FC)

6)最優秀外国人選手
ベルグソン・ダ・シルヴァ (ジョホール・ダルル・タジムFC)
ヘベルチ・フェルナンデス(ジョホール・ダルル・タジムFC)
フアン・ムニス(ジョホール・ダルル・タジムFC)
アリ・オルワン(スランゴールFC)
ヨハンドリ・オロスコ(スランゴールFC)
アルヴィン・フォルテス(スランゴールFC)
ジャンカルロ・ガリフオコ(KLシティFC)
クパー・シャーマン(スリ・パハンFC)
マヌエル・イダルゴ(スリ・パハンFC)
ルチアーノ・ゴイコチェア(ペラFC)

7)最優秀若手選手
アダム・ダニアル(クランタン・ダルル・ナイムFC)
アリフ・イズワン(セランゴールFC)
ハイカル・ダニッシュ(セランゴールFC)
ラーマン・ダウド(セランゴールFC)
アズハド・ハラズ(サバFC)
ダニエル・ハキミ(ペラFC)
G. パヴィスラン(ジョホール・ダルル・タジムFCII-MFLカップ)
ナジムディン・アクマル(ジョホール・ダルル・タジムFCII-MFLカップ)
ハキミ・アジム(KLシティFC)
ウバイドゥッラー・シャムスル(トレンガヌFC)

8)最優秀MFLカップ選手
アフィーク・イクマル(ケダー・ダルル・アマンFC B)
アフィク・ヒルマン(KLシティ・エクステンション)
アイリエル・ザフラン(スリ・パハンFC)
アスラフ・アリフディン(クランタン・ダルル・ナイムFC)
ガブリエル・ニステルローイ(ジョホール・ダルル・タジムII)
ハリー・ダニッシュ(セランゴールFC)
ハイカル・ダニッシュ(セランゴールFC)
ラーマン・ダウド(セランゴールFC)
ロヒシャム・ハイカル(セランゴールFC)
S. ビマル・ナイル(ヌグリ・スンビランFC)

なお以上の候補を選んだABK24-25 選考委員会メンバーは以下の通りです。
ナフジ・ザイン -マレーシア U23代表監督
ラズマン・ロスラン – マレーシアプロサッカー選手協会(PFAM)副会長
スレイマン・フシン – マレーシアプロサッカーコーチ協会(PJBM)役員
フィルダウス・ハシム – マレーシアスポーツ記者協会(SAM)役員
イズワン・モハド・ノール – マレーシアリーグ公式放送代表(HB)

首都圏のクラブが書類偽造問題でリーグ除名の危機に

クアラルンプールからスランゴール州にかけての首都圏一体はその地域を流れる川に因んでクラン渓谷とも呼ばれていますが、マレーシアのメディア、マジョリティはこのクラン渓谷に本拠地を持つあるサッカークラブが、クラブライセンス取得のための文書手続きを簡略化しようとした結果、リーグから除名されるリスクに直面していると報じています。なおクラン渓谷に本拠地を持つクラブはスランゴールFC、KLシティFC、そしてPDRM FCの3つのクラブです。

この記事の中でスポーツ関連を専門とするザフリ・アミヌラシッド弁護士は、文書偽造は刑法に基づく重大な違反行為であると指摘している他、この問題はマレーシアサッカー協会(FAM)の規定に基づく処分を受ける恐れがありとしています。FAMの懲戒規定第64条によると、文書偽造に関与した個人には罰金および12カ月以上のサッカー活動停止処分が科される可能性があり、さらに、関与したクラブはリーグ除名などの厳しい処分を受けるリスクがあるということです。

ザフリ弁護士の説明によると「FAMの懲戒委員会が調査を行い、必要に応じて処分を決定する。警察に報告された場合、当局が追加調査を行い、十分な証拠がそろい起訴が許可されれば、加害者は裁判にかけられる可能性もある」と述べ、さらに文書偽造の問題は、関与したクラブだけでなく、マレーシアリーグ全体の評判にも悪影響を及ぼすこともあるとして、罪を犯したクラブはライセンスの取り消し、罰金、勝点の減点、出場停止処分などさまざまな制裁を受ける可能性があるとも話しています。また、FAMがこの問題を放置すれば、国際サッカー連盟(FIFA)から制裁を受ける恐れもあるとも警告しています。

以前、このマジョリティは、スーパーリーグのクラブがクラブライセンスおよびアジアサッカー連盟(AFC)ライセンス申請の際、文書を偽造したと報時ています。またこのクラブのサポーターの間でもこの問題は話題になっており、その一部がクラブオーナーに直接、質問する場面も見られました。しかし、クラブオーナーはこの件についての情報を持っておらず、サポーターからはクラブ運営の透明性に対する不信感が高まっています。

また、マジョリティの取材に対して、国内リーグを運営するマレーシアンサッカーリーグ(MFL)のモハド・シャズリ・シャイク・モハドCEO代行は、この件について調査を進めると述べたと言うことです。

来季のU23リーグが廃止に-各クラブの財政圧迫が原因


国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は3月24日に、来季2025/26シーズンのMFLカップの廃止が決定したことを発表しています。なおこの決定は、2月19日に行われた国内1部スーパーリーグの13クラブとMFLとの協議を経て決定されたと言うことです。

若手選手の育成を目的として、スーパーリーグ参加クラブのU23チーム同士のリーグ戦として2023年に創設されたMFLカップは、国内クラブライセンス取得要件の一つとなっており、それまでU23チームを持たなかったクラブも含めた全13クラブはMFLカップに出場するU23チームを編成することが求められました。

しかし2023年、2024/25年と2シーズンを経た結果、MFLは、選手の給与や移動費などの運営費が各クラブにとって大きな負担となり、MFLカップの運用費用だけで全クラブの総費用が2800万リンギ(およそ9億5000万円)に達していたことを明らかにしています。この結果、全13クラブの意見を踏まえた上で、MFLはクラブの財政状況を強化し、安定させるためにMFLカップの廃止を決断する必要があると考えました。

さらに、MFLは、MFLカップに出場していた20歳から23歳の選手は年齢制限のある大会に出場するよりも、トップチームでのポジション争いに挑む時期であるとの認識で一致したと、MFLの公式サイトでは発表されています。

来季2025/26シーズンからMFLカップは行われなくなりますが、若手選手の育成は引き続き重要視されており、20歳以下の「プレジデントカップ」および18歳以下の「ユースカップ」は引き続き開催されるとしています。ただしこのプレジデントカップとユースカップは、MFLではなくマレーシアサッカー協会(FAM)が主催し、しかもプレジデントカップは1985年から、ユースカップは2007年から開催されているリーグ戦であり、MFLカップ廃止とは全く無関係に行われる大会です。

なおMFLは、23歳以下のリーグであるMFLカップが廃止となる一方で、スーパーリーグの強化に引き続き取り組んでいくとしていますが、国内クラブの民営化に伴い、2015年に発足したマレーシアンフットボールリーグは、2部プレミアリーグの廃止も行なっており、これをMFLが主張する通り各クラブの財政の健全化のための産みの苦しみと見るのか、目先の利益と引き換えに将来につながる若手世代育成を切り捨てる悪手なのかは、今後明らかになるでしょう。