11月18日のニュース<br>・前代未聞!?ジョホールの3選手がACL出場を理由に代表離脱<br>・Mリーグのコーチにも来季からAFCプロライセンス取得が義務付けられる<br>・FAMは元オーストラリア代表のティム・ケーヒルと接触も詳細は明かさず

11月15日のインドネシア代表対日本代表の試合は、2026年W杯アジア3次予選に東南アジアから唯一残っているインドネシアが、オーストラリア戦の引き分けはあったものの、ここまで圧倒的な強さを誇ってきた日本にどのくらい太刀打ちできるのかに注目しました。しかし結果は4-0、しかも内容はスコア以上の完敗でした。この試合では、改めて日本代表の強さを知らされたと同時に、次々と外国生まれの選手を帰化させて強化を図り、東南アジアではその地位を上昇させているたインドネシア代表の限界を見せつけられたような気がします。サウジアラビアやオーストラリアと引き分けた際には、予選C組の台風の目になるかと思いましたが、各チームとの対戦を一通り終えた前半戦は3分2敗で6チーム中最下位となっています。明日11月19日のホーム、サウジアラビア戦で勝てばプレーオフへ向けて首の皮一枚で可能性を残しますが、果たしてどうなるでしょう。

前代未聞!?ジョホールの3選手がACL出場を理由に代表離脱

今月のFIFA国際マッチカレンダーでマレーシア代表はラオス、インド両代表との試合を組んでいます。ラオス代表とは既に11月14日に対戦し、3−0で勝利を収めており、次戦は本日11月18日にインドのハイデラバードでインド代表と対戦します。

しかし、このインド戦を前に驚くようなニュースが流れました。マレーシアサッカー協会(FAM)は、ラオス代表戦が行われたバンコクからハイデラボードへ移動するのは26名中23名で、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)に所属するMFアリフ・アイマン、DFフェロズ・バハルディン、DFマシュー・デイヴィーズはインドへ移動せずマレーシアへ帰国することを発表しました。

その後、JDTからは公式声明が出されています。これによると、11月26日に行われるACLエリート東地区第5節の山東泰山対JDT戦に向けて、JDTは11月21日に試合が開催される中国山東省の済南市入りする予定ということです。その一方で今日のインド代表戦を終えたマレーシア代表は11月20日に帰国予定となっていることから、帰国から中国出発までの時間がないことから、FAMやマレーシア代表のパウ・マルティ監督の同意を得た上で、JDTの3選手はインド代表戦に先だって帰国が可能となったと説明ししています。

また今回のインド代表戦にはJDTからはGKシーハン・ハズミも選ばれていますが、今季のACLエリートでは、JDTは全試合でスペイン出身のアンドニ・スビアウレが先発GKと起用されていることから、シーハン選手は3選手とは別に代表チームに帯同してインド入りするということです。

さらにこの声明では、JDTがACLエリートに向けて多額の投資を行なっていることや、JDTがACLエリートで好成績を収めることはクラブだけの利益ではなく、AFCクラブランキングの押し上げにもつながり、その結果、国内の他のクラブにも恩恵があると説明しています。また声明では、FAMとマルティ監督に対して今回の3選手の早期帰国を認めたことを感謝し、さらにJDTとして2027アジアカップ予選については協力を惜しまないとも述べています。

なんともスッキリしないJDTの声明発表ですが、実はJDTの発表の前にはFAMも声明を発表しており、そこではJDTの3選手の早期帰国については11月20日に行われるマレーシアカップ1回戦KLローヴァーズ対JDTに3選手が出場するために早期帰国を求める要望があったことを明らかにし、これに応じるかたちて帰国を認めるとしていました。しかしJDTの声明はこのFAMの発表とは異なることから、国内サッカーファンからは様々な反応が出ています。

さらにFAMのノー・アズマン事務局長は、FAM、マルティ監督、JDTの間で意見の相違があったのではというメディアからの問いに対しては、それを否定する一方で、これが他のMリーグクラブにも適用される前例とはならないと苦しい弁明を行なっています。

代表選手がクラブの試合を優先し、さらに代表を運営するサッカー協会がこれを認めて代表チーム離脱を許可するという異常な事態は、国内リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)による日程の発表が遅れたことも原因の一つとなっています。11月1日から3日にかけて行われた今季第15節から2週間近く空いた11月13日になって発表された第16節以降のリーグ日程と今月から始まるマレーシアカップの1回戦日程により、第15節と第16節の間が3週間近く空いた一方で、12月から始まる東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電気カップ」ど同時期に国内リーグを行うという謎の過密日程になってしまいました。

前述したようにノー・アズマンFAM事務局長は、今回のJDTの要求を受け入れたことは前例とはならないと述べていますが、変則のホームアンドアウェイ方式で行われる三菱電機カップでは、グループステージ初戦となる12月8日のアウェイのカンボジア代表戦と同じ日にマレーシアスーパーリーグ第16節の12月8日にはジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)対KLシティFC、翌9日にはヌグリスンビランFC対スランゴールFCが組まれており、さすがにこの4チームの選手はカンボジア戦出場は不可能でしょう。なお11月14日のラオス代表戦先発XIには、JDT3名、KLシティ2名、スランゴール2名の計7名がいました。

またグループステージ最大のライバルであるタイとの試合の前後にはマレーシアカップ準々決勝1stレグが組まれています。国内リーグの上位8チームが順当にベスト8に進めば、今回の代表メンバー全26名中、18名がこの上位8チームのいずれかに所属しており、マレーシアカップを理由に各クラブが所属選手の代表招集を拒めば、東南アジアでFIFAランキングがトップのタイ代表との試合にベストメンバーが揃わないという事態も起こり得ます。(以下は12月のマレーシア代表戦、国内戦、マレーシアのクラブが出場するACLの日程)

12月三菱電機カップマレーシアカップリーグ戦ACLEACL2
1日1回戦2ndレグ
2日
3日ブリーラムU
4日第16節
5日セブFC
6日
7日
8日カンボジア(A)*第16節
9日*第16節
10日
11日東ティモール(H)
12日準々決勝1stレグ
13日準々決勝1stレグ
14日タイ(A)
15日準々決勝1stレグ
16日
17日第17節
18日第17節
19日
20日シンガポール(H)
21日準々決勝2ndレグ

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今回はJDT3選手の離脱が注目されていますが、側から見ているとFAMとMFLの対応の遅さやまずさ、準備不足が招いた「事故」のように思えます。例えばFAMで言えば、インド代表戦終了後、FAM自らがこの3選手を直接、中国へ移動させる航空券の手配をすれば、マレーシアから移動するチーム本体よりも先に中国入りすることができ、日程を理由に代表離脱を求めたJDTの要求を突っぱねることもできたはず。さらに言えば、FAMが今月のFIFAデイズは代表戦を行わないことを決め、MFLが国内リーグ開催を優先し、第16節と第17節、さらにはマレーシアカップの準々決勝までを11月中に終える日程を作成していれば、そもそもJDTからの無謀な要求も出なかったでしょうし、三菱電機カップ中にリーグ戦やカップ戦を行う必要もなかったでしょう。

なおFAMは今回のFIFAデイズに向けて26名の代表メンバーを発表していましたが、代表に召集されていたいずれもJDTのMFナチョ・インサとFWロメル・モラレス両選手も「ケガ」のため代表招集を辞退していました。しかし11月17日にJDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムで行われたシンガポール1部ライオン・シティ・セイラーズとの練習試合で、インサ選手はキャプテンとして先発しています。この試合にはモラレス選手も出場しており、両選手の「突然の回復」に対してそもそもの代表辞退を疑問視する声や、ACLエリートに間に合ってよかった、と言った賛否の声がSNS上に上がっています。

Mリーグのコーチにも来季からAFCプロライセンス取得が義務付けられる

現在はマレーシア1部スーパーリーグの監督にのみ取得が義務付けられているプロAライセンス(AFCプロライセンス相当)について、来季2025/26シーズンより監督だけでなくコーチにもその取得が義務付けられることになると、マレーシアの通信社ブルナマが報じています。

サバFC監督でマレーシアプロサッカー指導者協会(FCAM)会長でスーパーリーグのサバFC監督でもあるオン・キムスイ会長は、マレーシアサッカー協会(FAM)の技術委員会とプロAライセンス取得義務化について協議を行なったことを明らかにし、次のFAM理事会で決定される見通しだということです。この決定が下されると、スーパーリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)が規約を改正して、Mリーグの試合でベンチ入りするコーチにもプロAライセンスの所持が義務付けられることになります。なおマレーシア国内リーグでは、2020年以降、チームの監督にのみプロAライセンスの所持が義務付けられています。

この記事によると現在、FCAMにはプロAライセンスを持つ62名の指導者が登録しているということです。

なおこれらの発言は、11月15日から16ににかけてFCAMが開催した国際コーチングセミナー開会時の会見でなされたものです。このセミナーには、FAMのテクニカル・ディレクター(TD)のスコット・オドネル氏や、国内エリートアカデミーのモクタル・ダハリ・アカデミーのオスカル・ゴンザレスTDの他、日本サッカー協会(JFA)の影山雅永技術委員長も参加しています。

FAMは元オーストラリア代表のティム・ケーヒルと接触も詳細は明かさず

マレーシア政府から1500万リンギ(およそ5億2000万円)の支援を受けることが発表されたマレーシアサッカー協会(FAM)は、その支援の条件となっている代表チーム強化のための特別部署を設立することを発表していますが、その部署の責任者の候補の1人として、元オーストラリア代表で、現在はカタールサッカー協会のテクニカル・ディレクター(TD)と接触したことが明らかになっています。

年代別代表も含めカタール代表を多く輩出するアスパイア・アカデミーのCSO(チーフ・スポーツ・オフィサー)も務めるカーヒル氏は、FAMとの会談を前に、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)で、オーナーでジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下や、同じオーストラリア出身のアリスター・エドワーズCEO、そしてアンワル・イブラヒム首相とも会談したことを、イスマイル殿下が自身のSNSで明らかにしています。

マレーシア代表チーム改革を唱える先鋒でもあるイスマイル殿下とも会談したことで、カーヒル氏がFAMが新設を予定してる代表とU23代表の運営部署に関わる可能性が噂さていますが、FAMのノー・アズマン事務局長は、これについての問い合わせに回答せず、新たな部署については12月に入ってから発表するとしています。

11月16日のニュース<br>・3選手の代表デビュー以外にラオス戦勝利で得たものはなし<br>・MFLが12月以降の日程発表:三菱電機カップ開催中もリーグ戦継続

11月10に行われたペラFC対ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)の試合中、接触プレーからあわや乱闘となりかけたペラのトミー・マワトとJDTのアリフ・アイマン。お互いに掴みかかるなど、両選手ともに1発レッドで退場かという場面でしたが、結局はそれぞれにイエローカードが出されて終わりました。しかし試合後に両チームサポーターやメディアなどからは、ラズラン・ジョフリ主審、そして今季からマレーシアリーグに導入されたVARとしてこの試合を担当したアフマド・ズハディ審判に批判の声が上がりました。

これに対してはマレーシアサッカー協会(FAM)審判委員会の委員長でもあるS・シヴァスンダラムFAM副会長が「追加の処分や更なる措置が取られる可能性がある」と批判の火消しを図るコメントを出していましたが、結局、ラズラン・ジョフリ主審とアフマド・ズハディVAR審判に対して、FAMは2試合の「休養」処分を科すことを発表しています。

JDT以外のサポーターからは、国内リーグでの審判の判定はJDTに有利であるという主張はこれまで何度も繰り返されており、今回も先に手を出したアリフ・アイマンには口頭注意となる一方で、トミー・マワトには出場停止と罰金処分となるだろうと揶揄するSNS投稿が多くみられます。またマレーシアの先住民族でもあるマワト選手に対しては、人種差別的な内容のSNSが投稿されたことも報じられており、JDTサポーター対残る12クラブのサポーターという図式が明らかになった格好になりました。

マレーシアスーパーリーグの審判がJDTに「甘い」ことは、特定クラブのサポーター以外のサッカーファンも感じていることであり、時間がある時にこれについても詳しく取り上げる予定です。

3選手の代表デビュー以外にラオス戦勝利で得たものはなし

11月のFIFA国際マッチカレンダーでマレーシア代表の初戦となったラオス代表戦が一昨日11月14日にタイのバンコクで行われました。ラオス代表は11月17日にタイ代表と対戦予定であることから、ラオス代表の主催試合という形でおこなわました。

下はこの試合の先発XI。これまで代表に呼ばれてはいたものの出場機会がなかったMFザフリ・ヤーヤ(KLシティFC)が待望の代表デビューを飾っています。またFWシャフィク・アフマド(クダ・ダルル・アマンFC)の先発は2022年9月26日のキングズカップ(タイ)のタジキスタン代表戦以来となりました。

試合前から降る雨でピッチには水溜りができている状態で強行されたこの試合は、開始から何度か得点のチャンスを作っていたマレーシアが先制します。6分に左コーナーキックからDFハリス・ハイカル(スランゴールFC)が頭で合わせてゴール!代表戦出場2戦目となる22歳が代表初ゴールを決めて、マレーシアがリードを奪います。その後も追加点のチャンスは得るものの、ゴールには至らないマレーシアに対しラオスが同点に追いつきます。33分に自陣に蹴り込まれたロングボールに対してクリアに行ったDFマシュー・デイヴィーズ(JDT)が足を滑らせたところに走り込んできたキダボン・スワニー (ラオス1部ヤングエレファントFC)に奪われると、そのまま落ち着いてゴールを決められ、前半は1−1で折り返します。

後半に入り、ピッチの状況が徐々に改善すると、マレーシアが優勢となり、ラオスのペナルティエリア内までボールが持ち込まれるようになります。64分には途中交代のMFスチュアート・ウィルキン(サバFC)が、83分にはMFエセキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)がいずれもペナルティエリア内で倒されて得たPKを決めたマレーシアが3−1でラオスを振り切って勝利しています。

対ラオス戦8連勝となったマレーシアは、11月18日にインドのハイデラバードで行われるインド代表戦に向けてインドへ移動します。

2024年11月14日@PATスタジアム(タイ、バンコク)
ラオス 1-3 マレーシア
⚽️マレーシア:ハリス・ハイカル(8分)、スチュアート・ウィルキン(64分)、エセキエル・アグエロ(83分)
⚽️ラオス:キダボン・スワニー (33分)

リーグが12月以降の日程発表:三菱電機カップ開催中もリーグ戦継続

国内リーグのマレーシアスーパーリーグ(MSL)とカップ戦のマレーシアカップを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は第16節以降の日程を発表しています。これによると、MSLとマレーシアカップの試合は、来月12月8日に開幕する東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」開幕後も継続して行われることが明らかになっています。

東南アジアチャンピオンを決める域内最大の大会の横で国内リーグが進行する試合日程には疑問しかありませんが、MFLによると、各クラブの選手との契約が来年4月末までとなっており、国内試合日程がこの4月末までに全て終了するためにはやむを得ない措置であると説明しています。

またMFLは、マレーシアサッカー協会(FAM)とも協議を行い、マレーシア代表の三菱電機カップに向けた準備の妨げにならないよう配慮した結果であるとも説明しています。また今季はFIFA国際マッチカレンダーの他にも、ACLエリート、ACL2、アセアン(東南アジア)クラブカップ「ショッピーカップ」などの日程も考慮せざるを得ない中での試合日程作成となっているとも述べています。

また年末にかけては複数のスタジアムで改修工事が行われることも決まっており、PDRM FCのホーム、MPSスタジアムは11月から12月まで、クランタン・ダルル・ナイムFCのホーム、スルタン・ムハマド4世スタジアムは9月から12月まで、ペラFCのホーム、ペラ・スタジアムは11月から来年5月まで、そしてサバFCが使用するリカス・スタジアムは11月から12月と使用できない期間があることも今回の日程作成に影響を及ぼしたとしています。

以下は12月1日から3週間の試合日程です。三菱電機カップのグループステージ初戦のカンボジア戦と同時期に行われるMSL第16節は、ACLエリート出場中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)とACL2に出場中のスランゴールFCに配慮し、12月8日にはジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)対KLシティFC、翌9日にはヌグリスンビランFC対スランゴールFCが行われます。この4チームの選手はカンボジア戦出場は不可能だと考えられますが、ちなみに一昨日のラオス戦に先発した11名の内、この4チームに所属している選手はJDT3名、KLシティ2名、スランゴール2名の計7名もいます。

またグループステージ最大のライバルであるタイとの試合の前後にはマレーシアカップ準々決勝1stレグが組まれています。1回戦で3部セミプロA1リーグのKLローヴァーズと対戦するJDTは当然ベスト8に進出するでしょうし、同じ3部のPTアスレティックFCやマラッカFCと対戦するサバFCやトレンガヌFCも準々決勝に駒を進めることが予想されます。となればラオス戦のメンバー26名中、サバFC所属の3名、トレンガヌFC所属の5名も代表に招集されない可能性があります。この結果JDTやスランゴールの選手も含めると、ラオス戦に招集された全26名中、18名について所属クラブが国内戦を理由に代表への招集を拒む事態も考えられます。

そうでなくともFIFAデイズ外での開催となる三菱電機カップは、これまでもJDTのオーナーで現在はジョホール州摂政のトゥンク・イスマイル殿下が自チームの選手の招集を拒否したこともあり、せめてこの大会期間中はタイのようにリーグ中断という決断を下してもよかったように思います。前述したようにMFLは日程消化に不安を抱えていることを理由としていますが、その一方で5月10日に開幕した今季のMSLは、5月に3節、6月に1節、7月に3節、8月に2節、9月に3節、10月に2節、そして11月はここまで1節とスカスカな日程で進んできています。11月から1月にかけてモンスーンシーズンを迎えることなども考えると6月には1節のみ、8月も2節のみの開催というのは明らかに計画不足な印象です。

12月三菱電機カップマレーシアカップリーグ戦ACLEACL2
1日1回戦2ndレグ
2日
3日ブリーラムU
4日第16節
5日セブFC
6日
7日
8日カンボジア(A)*第16節
9日*第16節
10日
11日東ティモール(H)
12日準々決勝1stレグ
13日準々決勝1stレグ
14日タイ(A)
15日準々決勝1stレグ
16日
17日第17節
18日第17節
19日
20日シンガポール(H)
21日準々決勝2ndレグ

この日程が発表されたのはラオス戦の前でしたが、ここで気になるのがパウ・マルティ監督代行の考えです。監督代行として三菱電機カップまでチームの指揮を取ることは決まっていますが、それ以降についてはFAMは、三菱電機カップまでのチーム状況を見て判断する方針を明らかにしており、もしマルティ氏が正式監督就任を望むのであれば、この三菱電機カップでグループステージ2位以上となり準決勝進出が最低ラインになることが予想されます。しかしラオス戦の先発XIは三菱電機カップでは、前述した通り大会には招集できなそうな選手を中心に起用しています。

リーグの考えも監督代行の考えも全く不明ですが、そもそも三菱電機カップ自体に勝つことに意義を見出していないのだとしたら、全て腑に落ちます。さらに今月のFIFAデイズは、来年から始まる2027年アジアカップ予選につながるような選手としてファーガス・ティエニー(タイ2部チョンブリーFC)やファズルル・アミル(クランタン・ダルル・ナイムFC)といった新顔を今回招集したことの筋は通りそうです。

11月14日のニュース<br>・今日はラオスとの代表戦-ファーガス・ティアニーやザフリ・ヤーヤが代表デビューを果たすか<br>・ペナンFCの新監督にKLシティFCコーチのワン・ロハイミ氏が就任へ

今日はラオスとの代表戦-ファーガス・ティアニーやザフリ・ヤーヤが代表デビューを果たすか

今月のFIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)では、ラオス、インドの両代表との対戦が控えるマレーシアは、本日11月14日にタイのバンコクにあるPATスタジアムでまずラオスと対戦します。来月から始まる東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ』までは指揮を取ることが決まっているパウ・マルティ暫定監督は、今月の代表戦に向けて26名を招集しましたが、そこからはケガなどを理由にMFムカイリ・アジマル(スランゴールFC)、MFナチョ・インサ、FWロメル・モラレス(いずれもジョホール・ダルル・タジムFC、JDT)の3名が辞退し、代わりにMFザフリ・ヤーヤ(KLシティFC)、FWファズルル・アミル(クランタン・ダルル・ナイムFC)、FWファーガス・ティアニー(タイ2部チョンブリーFC)の3名が加わっています。また先月10月のニュージーランド代表戦には「家庭の事情」で出場しなかったキャプテンのDFディオン・コールズ(タイ1部ブリーラム・ユナイテッド)も復帰しています。

マレーシア代表は今年に入ってから、12月に行われるAFCアジアカップ2027年大会の予選組み合わせ抽選で強豪との対戦を避けるため、予選参加上位8チームが入るポット1入りを目指してきましたが、マレーシアサッカー協会(FAM)のマッチメークの手際の悪さや、当の代表チームが思うような成績を上げることができず、結局、ポット2で抽選を迎えることになりました。

また来月12月8日に開幕する三菱電機カップが開催されるのはFIFAデイズではない上、12月3日にはACLエリートでJDTがブリーラム・ユナイテッドと、12月5日にはACL2でスランゴールFCがダイナミック・ハーブ・セブFC(フィリピン)とそれぞれ対戦するため、両チームが三菱電機カップへの選手招集を拒否する可能性が高いと考えられています。

そういった状況下でパウ・マルティ暫定監督が、その結果次第で正式に監督となれるのか否かが決まる三菱電機カップにどのように望むのかに注目してみたいと思います。先月のFIFAデイズではFIFAランキング91位と格上のニュージーランド代表に0−4で敗れている同133位のマレーシア代表が今日のラオス戦にどのような布陣で臨むかがですが、ラオスのFIFAランキングが187位ということもあり、代表でのプレー経験が少ない選手が多く起用される可能性があります。先月のニュージーランド戦では、ディオン・コールズ不在だったこともありますが、22歳のDFハリス・ハイカル(スランゴールFC)が代表デビューを果たすとともに先発してフル出場しており、マルティ監督はラオス戦で、今回が代表初招集となったファーガス・ティアニーやファズルル・アミル、そしてこれまで何度か招集されながら未だ出場機会のないザフリ・ヤーヤ起用起用する可能性が高そうです。

個人的な期待を込めて、一列目には21歳のファーガス・ティアニー、同じく21歳のハキミ・アジム(KLシティFC)、そしてマレーシアの至宝、22歳のアリフ・アイマン(JDT)の時代を担うトリオが揃って先発するのを見てみたいです。中盤はアディブ・ラオプ(ペナンFC)とザフリ・ヤーヤを左右のサイドハーフ、中央にはスチュアート・ウィルキン(サバFC)と久しぶりに代表復帰のエセキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)、そして左右のサイドバックにはダニエル・ティン(サバFC)と今季成長著しいクエンティン・チェン(スランゴールFC)、センターバックにはハリス・ハイカルと20歳のウバイドラー・シャムスル(トレンガヌFC)といった選手たちを起用し、過去8戦8勝と相性の良いラオスを相手に連勝記録を伸ばすことができれば、三菱電機カップにも備えた布陣となると思うのでしょうが、果たしてどうなるか。ラオス戦はマレーシア時間で午後8時30分キックオフとなっています。

ペナンFCの新監督にKLシティFCコーチのワン・ロハイミ氏が就任へ

ペナンFCは、新監督として今季は同じマレーシアスーパーリーグのKLシティFCでコーチを務めていたワン・ロハイミ氏の監督就任が濃厚だと、スポーツメディアのスタジアム・アストロが伝えています。

今季のペナンFCは、昨季までU23チームの監督を務めた元マレーシア代表FWのアクマル・リザル氏がトップチームの新監督に就任しました。開幕から3試合連続で引き分けて今季をスタートしましたが、第14節を終えて2勝5分6敗の11位に低迷すると、アクマル監督の「休養」が発表されました。

第15節はテクニカル・ディレクターで、かつてはペナンFCサポーターから「グレート・メルズ」と呼ばれて愛されたモロッコ出身のアブデラザク・メルザグア氏が監督代行で指揮を取っています。その後ペナンFCは新監督の候補者をリストアップ中という発表がありましたが、最終的にはワン・ロハイミ氏に決まったようです。

ワン・ロハイミ氏は2021年から2022年の途中まではPDRM FCの監督を務めた経験もあり、2021年には2部プレミアリーグで8位、翌2022年にはプレミアリーグ6位とチームの成績を改善しましたが、シーズン終了後には契約が延長されず、昨シーズンはKLシティFCのU23チームを指揮し、今季からトップチームのコーチに就任していました。

11月13日のニュース<br>・マレーシアカップ第98回大会の1回戦組み合わせが決定<br>・開幕から就労ビザなしでプレーし続けた韓国選手らの代理人がクラブをFIFAに提訴

マレーシアカップ第98回大会の1回戦組み合わせが決定

1921年(大正10年)に第1回大会が行われたマレーシアカップ(当時はマラヤカップ)は、今季が第98回大会の伝統ある大会で、同じ1921年から続く天皇杯全日本サッカー選手権大会とともにアジア最古のカップ戦の一つです。そのマレーシアカップの1回戦組み合わせ抽選が行われています。なお今大会はマレーシアの通信事業企業のUnifi(ユニファイ)が冠スポンサーとなり「ユニファイ・マレーシアカップ」という名称になっています。

マレーシアカップはこれまでトップリーグの16チームにのみ開かれた大会でしたが、1部リーグにあたるマレーシアスーパーリーグが今季は13チーム編成となっていることから、今大会は3部にあたるセミプロA1リーグからの3チームを加えた計16チームが、今月11月20日から始まる1回戦をホームアンドアウェイ方式で戦います。

大会2連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、1回戦では3部セミプロA1リーグのKLローヴァーズとの対戦となっており、ベスト8進出は問題ないでしょう。また2021年大会優勝のKLシティFCの1回戦の相手は過去5回優勝のクダ・ダルル・アマンFCで、この試合の勝者がベスト8でJDTと対戦します。

また大会最多の33回優勝を誇るスランゴールFCは、過去4回優勝のスリ・パハンFCと、またスランゴールFCに次ぐ優勝回数8回のペラFCは、クランタン・ダルル・ナイムFCとそれぞれ1回戦で対戦します。

また過去3回優勝のヌグリスンビランFCはPDRM FCと対戦しますが、この1回戦では佐々木匠選手と鈴木ブルーノ選手の対決でもあります。また谷川由来選手が所属するクチンシティFCは、1回戦では過去4回優勝のペナンFCとの対戦が決まっています。

セミプロA1リーグから参加する他の2チームでは、現在セミプロA1リーグ首位のマラッカFCは過去1回優勝のトレンガヌFCと、また同3位のPTアントラーFCは、過去3回優勝のサバFCと対戦します。

マレーシアカップは、11月20日から始まる1回戦から準々決勝、そして準決勝までは全てがホームアンドアウェイ方式で行われ、来年2025年4月に予定されている決勝戦のみが一発勝負となります。また1回戦で敗退した8チームは、この8チームのためのミニカップ戦であるMFLチャレンジカップに回ります。

開幕から就労ビザなしでプレーし続けた韓国人選手の代理人が所属クラブをFIFAに提訴

国外で居住や就職する場合には滞在国のビザの取得が最優先事項ですが、マレーシアスーパーリーグで今年5月の開幕から現在までプレーする韓国出身の選手やコーチが就労ビザなしの、言わば「不法就労」状態が続いているとして、彼らの代理人が所属チームを国際サッカー連盟FIFAに正式に提訴したことが明らかになっています。

韓国出身の代理人のチョン・ミョンホ氏は、現在リーグ12位のクランタン・ダルル・ナイムFCが雇用主として就労ビザ取得の努力を怠ったまま、自身が代理人を務める韓国出身のコーチにチームの指揮を取らせ、韓国出身の選手を試合に起用し続けたとして、クランタン・ダルル・ナイムFCをFIFAに提訴したと、スポーツメディアのアストロ・アリーナが報じています。なおこの記事では、就労ビザの問題に加え、3ヶ月分の給料の未払いとなっていることも併せてFIFAに通報されたとしています。

チョン氏はこれまでクラブと何度か話し合いを重ね、ビザ取得や給料未払いの問題解決のために時間的な猶予を与えたと説明し、クラブ側は速やかな対応を約束する一方で、その後も状況が一向に変わらないことに業を煮やした結果、FIFAへの提訴となったとしています。

チョン氏は既に韓国出身のMFジャン・ビョンジュとボリビア出身のFWダビド・リベラの両選手が「不法就労者」として国外退去処分を受け、マレーシアに再入国できなくなっていることも明らかにしています。

クランタン・ダルル・ナイムFCに対しては、チョン氏はこれまでもSNSなどを通じて自身が代理人を務めている、元韓国代表のパク・ジェホン監督や、FWベ・キョンワン、MFク・アオイ、DFキム・リグァンの就労ビザ取得を求め続けていることを明らかにしていた他、今季途中から加入したミャンマー代表MFのアウン・カウン・マンについても同様の状況にあるしています。またビザ問題に加えて、過去3ヶ月分の給料が未払いになっている他、契約に盛り込まれている住居や自動車の手当ても支払われておらず、当初住んでいた家から退去させられる事態になっていることも今回の提訴の理由の一つであると説明しています。

さらにチョン氏は就労ビザがないため、同じマレーシア国内ながら外国人の場合は空港でパスポートの提示が求められるボルネオ島のサバ州やサラワク州へは移動できないことも明らかにしています。なお、今季のクランタン・ダルル・ナイムFCはサバ州に本拠地を持つサバFC、サラワク州に本拠地を持つクチンシティFCとはいずれもアウェイで対戦しましたが、チョン氏の主張を裏付けるように上記の韓国籍3選手やアウン・カウン・マン選手については両試合ともベンチ入りもしていません。

このチョン氏の提訴についてクランタン・ダルル・ナイムFC会長でクランタン州議会議員でもあるロジ・モハマド氏は、この問題を認識しているとした上で、就労ビザ取得が遅れていることについては、クラブが直面している「技術的な問題と申請手続き」についてチョン氏に誤解があるとして、近々解決する見通しであると説明しています。

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私自身もマレーシアでは外国人であることからビザの重要性はよく理解しています。現在のマレーシアの就労ビザ(正式にはemployment pass、就労許可証)は、入国前に申請を行い、申請が認められてビザ発給が決まった段階で入国する仕組みになっているるはずです。我々一般人であれば6ヶ月間もビザなし就労、つまり違法就労すれば間違いなく国外退去処分となり、雇用主にも罰金処分が下るはずですが、それを隠すことなく堂々と選手を試合に出場させ続けたクラブに対しては、マレーシア政府の入国管理局だけでなく、マレーシアリーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)からも重い処分が下されることになりそうです。

11月12日のニュース<br>・ラオス戦とインド戦に向けたマレーシア代表26名が発表-38歳のナチョ・インサが選ばれるも「ケガ」を理由に途中離脱

 マレーシア気象局は長期予報を発表し、その中で北東モンスーン期が始まり。来年3月までに大雨が5回から7回発生することを予想しています。この大雨が発生する可能性が高い地域として、11月から12月にかけてはマレー半島東海岸沿いのクランタン、トレンガヌ、パハン、そしてジョホールの各州とボルネオ島にあるサバ、サラワクの両州を挙げています。また年明けの1月から北東モンスーン期の終盤となる3月にかけては、引き続きパハン、ジョホール、サバ、サラワクで大雨となる可能性がある一方で、マレー半島北部で降雨量が減少し、暑く乾燥した天候となり熱波が発生する可能性を挙げています。

 春秋制を採用していたマレーシアリーグは、これまで年末から年始にかけてはシーズンオフでしたが、今季2024/25シーズンから2シーズンかけて秋春制の移行するため、今季は5月開幕、来年4月閉幕となっており、この北東モンスーン期にも試合が予定されています。マレーシアでは多くのスタジアムで採用されているカウグラス(アカツメクサ)のピッチは水捌けが悪い上、ピッチの排水設備が不十分であるスタジアムもあり、今月から来年の初頭にかけては、国内リーグでは豪雨のため延期になる試合が頻発する可能性があります。

ラオス戦とインド戦に向けたマレーシア代表26名が発表-38歳のナチョ・インサも選ばれるるも「ケガ」を理由に途中離脱

11月のFIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)で明後日14日にラオス代表、そしてその4日後の18日にはインド代表と対戦するマレーシア代表の合宿が11月10日から始まっています。今回の合宿参加者26名中、先月10月のFIFAデイズではニュージーランド代表戦で招集された26名中20名を再び招集したパウ・マルティ監督は、残る6名にGKハジク・ナズリ(ペラFC)、DFウバイドラー・シャムスル(トレンガヌFC)、MFムカイリ・アジマル(セランゴールFC)、MFエセキエル・アグエロ(スリ・パハンFC)、MFナチョ・インサ(ジョホール・ダルル・タジムFC、JDT)、そして先月は「家庭の事情」で招集を辞退したキャプテンのディオン・クールス(タイ1部ブリラム・ユナイテッドFC)を選びました。

今回注目されたのは、今年1月以来の代表招集となったナチョ・インサでした。2018年3月を最後に代表に招集されることがなかったインサ選手をキム・パンゴン前監督は、今年1月のアジアカップ20223年大会メンバーに選出し、グループステージのバーレーン代表戦で、JDTのチームメートでもあるMFシャマー・クティに代えて後半から起用しました。しかし前半で良いプレーを見せていたシャマー選手とは対照的なプレーを見せたインサ選手、そして「謎の」交代を行なったキム監督にも批判が集まりました。

今回、インサ選手が選出されたのは、今季のACLエリートで見せている安定したプレーが理由です。今季加入した同じDMFのイケル・ウンダバレナとのコンビで中盤をコントロールし、ここまでのACLエリート4試合で4失点は、ヴィッセル神戸の1失点、川崎フロンターレの4失点に次ぐ少ない失点に推させており、38歳と言う年齢を感じさせないプレーを見せていました。

と一昨日この記事を書いたところで、マレーシアサッカー協会(FAM)がこのインサ選手とムカイリ・アジマル両選手がケガのため代表合宿を離脱することを発表しました。インサ選手は11月5日のACLエリート、蔚山HD FC戦、ムカイリ選手は11月7日のACL2、全北現代モーターズFC戦でそれぞれケガを負ったと言うことです。またFAMはこの両選手に代わりMFザフリ・ヤーヤ(KLシティFC)とFWファズルル・アミル(クランタン・ダルル・ナイムFC)が代表チームに合流することも発表しています。ファズルル選手にとっては、今回が初の代表入りとなっています。

マレーシア代表は本日11月12日にはラオス代表戦が行われるPATスタジアムがあるバンコクへ向けて出発します。

氏名年齢所属
GKシーハン・ハズミ28JDT
アズリ・アブドル・ガニ25KLC
ハジク・ナズリ26PRK
DFマシュー・デイヴィーズ29JDT
フェロズ・バハルディン24JDT
サフワン・マズラン22TER
アザム・アズミ23TER
ウバイドラー・シャムスル21TER
ハリス・ハイカル22SEL
ドミニク・タン27SAB
ダニエル・ティン32SAB
ディオン・28BRU
MFアリフ・アイマン22JDT
^ナチョ・インサ38JDT
ノーア・レイン22SEL
^ムカイリ・アジマル23SEL
スチュアート・ウィルキン26SAB
シャマー・クティ27PEN
エゼキエル・アグエロ30SRP
*ザフリ・ヤーヤ30KLC
FWロメル・モラレス27JDT
サファウィ・ラシド27TER
アキヤ・ラシド25TER
パウロ・35KLC
ハキミ・アジム21KLC
アディブ・ラオプ 25PEN
シャフィク・アフマド29KDA
ディオン・クールズ28BRU
*ファズルル・アミル24KDN

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第9節の結果とハイライト映像(2)<br>・ベルグソンの今季4度目のハットトリックなどでジョホールがペラに大勝

既に第15節まで終えているマレーシアスーパーリーグ(MSL)ですが、未消化だった第9節の1試合が行われ、ジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)がベルグソン・ダ・シルヴァの今季4度目のハットトリックなどで5ゴールを挙げてペラFCに大勝しています。

この試合は、もともと8月17日にペラのホーム、ペラ・スタジアム(ペラ州イポー)で予定されていましたが、豪雨によるピッチコンデション悪化のため、10月5日に延期されていました。ペラ・スタジアムの排水設備改修のため10月5日の試合は同じペラ州のマンジュンにあるMBMスタジアムで行われるはずでしたが、この日もまた大雨により延期となりました。さらに人気チームJDTの試合ということで多くのサポーターが駆けつけ、雨天による延期が発表された際には混乱状態となったことから、MSLを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)は、ペラFCに対してMBMスタジアム以外の試合会場を用意するよう求めました。

このMFLの要求に対してペラFCは、代替会場が用意できないとしてJDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムでの開催を対案し、MFL、JDTともこれを受け入れ、この日の試合開催にこぎ着けました。

試合はロメル・モラレスが21分にゴールを決めてJDTが先制します。さらにその2分後にはベルグソン・ダ・シルヴァが、そして36分にはモラレス選手がこの試合2点目のゴールを決めると、アディショナルタイムにはベルグソン選手もこの試合2点目のゴールとなるPKを決め、前半だけでJDTが4点をリードします。ベルグソン選手は後半の89分にもゴールを決めて、7月26日の第6節トレンガヌFC戦、8月9日の第8節クダ・ダルル・アマンFC戦、9月22日の第11節クランタン・ダルル・ナイムFC戦に続く今季4度目のハットトリックを記録しています。

ACLエリートでは、エクトル・ビドリオ監督が今季から加入したホルへ・オブレゴンを先発で起用し続けているため、側からは不遇な扱いを受けているように見えるベルグソン選手ですが、今季のMSLでは無双しており、この日の3ゴールで今季通算ゴールを19とし、得点王争い2位のパウロ・ジョズエ(KLシティFC)に9ゴール差をつけて独走しています。また、この試合の2ゴールで、今期通算5ゴールとなったマレーシア代表FWnoロメル・モラレスに至ってはACLエリートではここまで全試合ベンチ入りも出場がありません。ACLエリートの鬱憤を晴らすかのような活躍を見せた両選手が、ACLエリートでも是非、活躍してほしいです。

なお本来はペラFCのホーム開催だった試合が、対戦相手であるJDTのホーム、スルタン・イブラヒム・スタジアムでの開催となったことから、ペラFCは500キロ以上の移動を強いられる観戦希望のサポーターのために無料の送迎バスを運行するなどの対応を行いました。しかし中立地での開催ではなく、JDTのホームでの開催を自ら求めたペラFCの経営陣に対しては、「チームの尊厳を蔑ろにした」としてペラFCサポーターグループは当初、試合観戦ボイコットを呼びかける声が挙がりました。

しかもペラFCが公式声明を発表する前にスルタン・イブラヒム・スタジアムでの開催決定のニュースが報じられると、サポーターグループは経営陣に対してさらに不信感を持つ事態となりました。サポーターグループは、チームの応援が最優先として、結局、ボイコットは行われませんでしたが、そういったサポーター感情を理解しない人々がペラFCを運営していることが図らずも明らかになった形となりました。

2024年11月10日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ペラFC 0−5 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ジョホール:ロメル・モラレス2(21分、36分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ3(23分、45+3分PK、89分)
MOM:ベルグソン・ダ・シルヴァ

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。


2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第15節終了)

順位チーム勝点
1JDT1440131053647
2SEL1429923231211
3SAB1426824302010
4TRE142156318153
5KCH131846318180
6PDRM14184641519-4
7PRK14175272025-5
8SRP13153641619-3
9#KLC131462523176
10*KDA14134461226-14
11PEN14112571325-12
12KDN14721111135-24
13NSE1361391330-17
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第15節終了)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT19
2パウロ・ジョズエKLC10
3ロニー・フェルナンデスSEL8
ルシアーノ・ゴイコチェアPRK8
5ヘベルチ・フェルナンデスJDT6
ジョアン・ペドロSAB6
7ジョーダン・ミンターKCH5
イフェダヨ・オルセグンPDRM5
クパー・シャーマンSRP5
ロドリゴ・ディアスPEN5
ロメル・モラレスJDT5
11アリフ・アイマン他7名JDT4
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハンFC
PRK-ペラFC、PEN-ペナンFC、NSE-ヌグリスンビランFC

11月8日のニュース<br>・ACL2第4節-スランゴールは敵地で全北現代に惜敗<br>・全北現代戦でスランゴールサポーターが抗議の横断幕を掲げる

2024/25シーズンACL2のH組第4節が行われ、マレーシアから出場しているスランゴールFCはアウェイで全北現代モーターズFCと対戦し、0−1で敗れています。

この試合の両チームの先発XIは以下の通り。先月末に突如、辞任したニザム・ジャミル監督に代わり指揮を取るアブディ・ハサン監督代行にとっては初のACL2の試合になります。スランゴールはホームで行われた同じカードとなった前節第3節の終了間際にレッドカードで退場となった司令塔MFヨハンドリ・オロスコがこの試合は出場停止となっている他、キャプテンのDFサフワン・バハルディンがインフルエンザ、アフロことDFシャルル・ナジームが大腿四頭筋を痛めてベンチ外となっています。またニザム・ジャミル前監督が指揮を取った前節ではベンチ外だったロニー・フェルナンデスが先発に復帰しています。一方の全北現代も第3節のスランゴール戦では「Bチーム」で望んだものの、ホーム開催となった今節はチーム得点王で「韓国のメッシ」ことFWイ・スンウや、MFビスマルク・アジェイ・ボアテング、FWティアゴ・オロボら外国籍選手が先発するなど前節とは本気度が違うメンバーです。


2週間前の対戦では1−2と敗れている全北限代ですが、この試合では先制します。22分にクォン・チャンフンが蹴った右コーナーキックをティアゴ・オロボが頭で押し込んで、全北現代が1-0とリードします。この場面はハイライト映像で見ましたが、ゴール前ではオロボ選手だけでなく、ク・ジャリョンもフリーで飛んでおり、スランゴールはマーキングが全く機能していませんでした。(試合のインタビューでは、GKのアジム・アル=アミンもセットピース対策が不十分だったことは認める発言をしていました。)それでもセランゴールは35分に相手DFをかわしたアリ・オルワンがシュートを放ちますが、GKキム・ジョンフンに弾かれるなど、全くチャンスがなかったわけではありませんが、前半はこのまま全北現代が1点リードで終了します。

後半にはスランゴールも徐々にペースを掴み始め、60分にロニー・フェルナンデスが同点ゴールを決めるチャンスがありましたが、ゴールポスト直撃で好機を逃すなど、優勢になりかけた流れを生かすことができずに無得点で終了し、全北限代が1−0で逃げ切っています。

この勝利により、全北現代は4試合を終えて勝点9でスランゴールと入れ替わりでH組の首位に浮上し、スランゴールは勝点7のまま2位に後退しています。ACL2の次節第5節は11月28日にスランゴールのホーム、MBPJスタジアムでムアントン・ユナイテッド(タイ)との対戦が予定されています。勝点差2でスランゴールを追うムアントンとの対戦に勝利すれば、ノックアウトステージ進出が決まるだけに、アブディ監督代行がどのようにチームを仕上げるかに注目です。

2024年11月7日@全州ワールドカップ・スタジアム(韓国、全州市)
全北現代モーターズFC 1-0 スランゴールFC
⚽️全北現代:ティアゴ・オロボ(22分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。

なおH組第4節のもう1試合は、アウェイのムアントン・ユナイテッドFCがダイナミック・ハーブ・セブFCを相手に9−2と大勝しています。

2024年11月7日@リザル・メモリアル・スタジアム(フィリピン、マニラ)
ダイナミック・ハーブ・セブFC 2-9 ムアントン・ユナイテッドFC
⚽️セブ:ガイトー・マイランド2(20分、23分)
⚽️ムアントン:フェリシオ・ブラウン2(7分、45分)、ポラメット・アヴィライ3(13分、45+5分、51分)、カカナ・カミョク2(37分、39分)、プラチェット・トサニット(65分)、ソンウット・クライクルアン(82分)
ダイナミック・ハーブ・セブFCの冨樫凌央選手は先発してフル出場、小林雅弥選手は41分から交代出場し、最後までプレーしています。また濱琳太郎選手はベンチ外でした。

2024/25ACL2 H組順位表(第4節終了)

得点失点得失差
全北現代430112399
スランゴール42114317
ムアントンU412113945
セブ4013418-141

H組の今後の試合日程(左側のチームがホーム)
第5節(11月28日)
 全北現代モーターズFC対ダイナミック・ハーブ・セブFC
 スランゴールFC対ムアントン・ユナイテッドFC
第6節(12月5日)
 ムアントン・ユナイテッドFC対全北現代モーターズFC
 ダイナミック・ハーブ・セブFC対スランゴールFC

全北現代戦でスランゴールサポーターが抗議の横断幕を掲げる

全北現代戦に駆けつけたスランゴールサポーターが掲げた横断幕の内容が注目を集めています。

これを報じたスポーツメディアのスタジアム・アストロの記事によると「6シーズンで5人の監督。で、この後は?」と書かれたこの横断幕は、全北現代モーターズFC対スランゴールFCの試合が行われた全州ワールドカップ・スタジアムでスランゴールサポーターによって掲げられたものです。

今季開幕から指揮を取ったニザム・ジャミル監督が、先月末に突如、辞任したスタンゴールは、この試合では前スランゴールU23監督のアブディ・ハサン監督代行が指揮をとっています。

2018年から2020年まで監督を務め、8位、3位、5位という成績を残したB・サティアナタン氏が解任されると、浦和レッズでもコーチを務めたドイツ出身のカルステン・ナイチェル氏が2021年シーズンには指揮を取りますが、このシーズンも5位に終わると、翌2022年シーズンは当時のテクニカル・ディレクターだったやはりドイツ出身のミヒャエル・ファイヒテンバイナー氏が新監督に就任します。しかしこのシーズン途中には、ファイヒテンバイナー氏に代わり、前マレーシア代表監督のタン・チェンホー氏が監督に就任します。2022年シーズンはまたも5位に終わったものの、開幕からタン監督が指揮をとった昨季2023年は2位にとなりました。しかし今期開幕前にタン氏がタイ2部のポリス・テロFC監督就任のために辞任し、すでにプレシーズンが始まっていた中、コーチだったニザム・ジャミル氏が急遽監督に就任するという事態になっていました。 

この間、監督が目まぐるしく代わる一方で、任命責任を果たすべき経営陣は誰1人として交代していないことがサポーターの間では不満となっており、その責任の所在を求めて抗議活動に出たようです。実際に選手獲得についてもスタッツ的には良いものの、スランゴールというチーム内での役割が明確になっていないという指摘もあり、リーグ10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFCに追いつくどころからさらに離されていっている現状は、現場だけの責任とは言い切れないという批判もあります。今回のニザム氏の辞任についても、戦術的な問題や選手起用の問題などから辞任は当然というサポーターの声がある一方で、ニザム監督との対話不足や不十分な支援など無能なフロントの犠牲になったと擁護する声もあり、今回の横断幕は現状に対する経営陣の回答を求めているものと思われます。

掲げられた横断幕。musimはシーズン、jurulatihは監督の意味のマレーシア語。(写真はアストロ・アリーナのウェブサイトより)

11月6日のニュース<br>・ACLエリート東地区第4節:ジョホールがKリーグ王者蔚山HDに完勝

ACLエリート(ACLE)東地区グループリーグA組は第4節が行われ、マレーシアリーグで10連覇中のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)が、11月1日にKリーグ3連覇を果たしたばかりの蔚山HD(韓国)をホームのスルタン・イブラヒム・スタジアムに迎えています。

今季のACLEで蔚山HDは、第1節(H)では川崎フロンターレに0−1、第2節(A)では横浜Fマリノスに0−4、第3節(H)ではヴィッセル神戸に0-2とJリーグクラブ相手に0勝3敗、得点0失点7と見事な負けっぷり。しかしこれはKリーグ終盤の優勝争いの最中だったこともあり、ACLEよりも国内タイトルを優先したことによるものでしょう。となると、蔚山HDがACLEに集中できるのが今節のJDT戦からということになります。

なおJDTと蔚山HDは、2022年、23023年と過去2シーズンいずれもACLグループリーグで同組になっており(当時は前身の蔚山現代)、コロナ禍の影響からマレーシアでの集中開催となった2022年シーズンは2度の対戦でいずれも2−1でJDTが勝利しています。また昨季2023年シーズンは蔚山がホームで3-1、JDTがホームで2−1とそれぞれ勝利し、通算成績はJDTの3勝、蔚山HDの1勝、得点はJDT7に対して蔚山6となっています。

3シーズンで5度目となる今季の対戦ですが、今回はさらに「因縁」がありました。2021年シーズンから蔚山HDの指揮をとっていたホン・ミョンボ氏は、今年2月のアジアカップ後に解任されたユルゲン・クリンスマン氏に代わる韓国代表監督とし7月に韓国サッカー協会に引き抜かれました。シーズン途中でチームを投げ出したホン前監督には批判の声も多かったと聞いていますが、空席となった監督の座には、チームOBでもあるキム・パンゴン氏が就任しました。そのキム氏は2022年1月からマレーシア代表の監督を務めていましたが、今年7月に「個人的な理由」から2025年12月まで残っていた契約を破棄して突如辞任し、そのおよそ2週間後に蔚山HDの監督就任が発表されました。就任時にはFIFAランキング147位だったマレーシア代表を一時は16年ぶりとなる130位まで押し上げたキム監督が、その契約期間を17ヶ月も残してチームを投げ出したことに対して、マレーシア国内では大いに失望されました。しかし就任当時は4位だった蔚山HDを今季のKリーグ優勝に導いたキム監督にとって、今回のJDTとの対戦はいわば「凱旋」と考えられていました。

試合前日に行われた公式会見でも、4ヶ月ぶりにマレーシアの地を踏んだキム監督は終始笑顔を絶やさず、その口調も滑らかでした。マレーシア代表の主力選手の大半がJDTの選手であることもあり、勝手知ったる他人の家とも言わんばかりの余裕で、アリフ・アイマンの名前を出して称賛するなどのリップサービスを見せた一方で、ここまでのACLEでは0勝3敗、しかも3試合連続0封負けのチームに初勝利を期待していると話しました。

「私はマレーシアに戻ってこられたことにワクワクしている。また久しぶりにマレーシア代表で一緒だった大好きな選手たちとも再会できた。しかし今回は勝利を目指してここにいる。皆さんにエキサイティングなシアを披露できるよう、チームはホームのJDTに対して引き下がることなく、激しくプレーするだろう。」と試合前の抱負を語ったキム監督はさらに「JDTがどれほど強いチームかということは十分知っている。しかもJDTのホームでの試合はどのアウェイチームにとっても容易ではない。厳しい試合になることは十分承知している。」と話しています。

下はこの試合の両チームの先発XI。国内リーグ日程にも選手層にも余裕があるJDTですが、前節第3節で1−3と敗れた光州FC戦からは3バックの左で失点につながるミスを犯したDFフェロズ・バハルディンに代わりDFシェーン・ローリーが入った以外は変更はありません。一方の蔚山現代は4日前の江原FCとの試合の先発XIからFWカン・ユング、MFコ・スンボム、Dイ・ミョンジェがベンチ外、MFイ・チョンヨンがベンチスタートと、ケガ人を抱える中で選択された布陣でした。


試合はホームのJDTが開始から積極的に攻め、早くも4分には蔚山HDのGKチョ・ヒョヌのクリアミスからペナルティエリアでアリフ・アイマンがボールを奪うとホルヘ・おブレゴンへパス。しかしこれを決めることができず、JDTは先制の機会を逃します。しかしその3分後には、再びアリフ・アイマンが相手DFキム・ヨングォンからボールを奪うと、そのままドリブルでペナルティエリアに入り右足を一閃。シュートがゴール左隅に決まり、あっという間にJDTがリードを奪います。これに呼応するようにペースを上げた蔚山HDは、21分にはペナルティエリア内でダリヤン・ボヤニッチががシュートを放つも、これをエディ・イスラフィロフがブロックしてことなきを得ます。

後半に入ると蔚山HDは50分にキム・ミヌのクロスが途中出場のイ・チョンヨンに直接わたりますが、そのシュートはJDTのGKアンドニ・ズビウーレが反応できなかったものの、ゴールポストを超えてしまいます。逆にJDTは68分、右サイドを上がったオスカル・アリバスがペナルティーエリアの外からシュートを放ち、これがボヤニッチの足に当たって高く上がると、GKチョ・ヒョヌの頭絵の上を超えてゴールインし、JDTはリードを広げます。

そして88分には、途中出場のアフィク・ファザイルが中央でフリーになっていたやはり途中出場のベルクソン・ダ・シルバへ絶妙なパスを送ると、ベルグソンは強烈なボールを蹴り込み、自身の今季ACLE初ゴールを決めます。この3点目で蔚山HDを突き放したJDTが勝利し、チームは2勝1分で勝点7となり東地区3位に浮上しています。一方の蔚山はACLE4連敗、しかも全て0封負け、総失点は10で12チーム中の12位のままです。

中国リーグ王者の上海海港と引き分けていたJDTは、韓国リーグ王者の蔚山HDも撃破したことになります。残念ながらグループリーグではJリーグのクラブとの対戦はありませんが、ノックアウトステージでの対戦も期待できることから、まずは次戦となる11月26日の山東泰山で勝点を積み重ねて、グループリーグ突破に近づきたいところです。

2024年11月5日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ)
ジョホール・ダルル・タジムFC 3-0 蔚山HD FC
⚽️ジョホール:アリフ・アイマン(8分)、オスカル・アリバス(67分)、ベルグソン・ダ・シルヴァ(88分)
蔚山HDの江坂任選手は先発してフル出場しています。

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。

2024/25シーズンマレーシアスーパーリーグ第15節の結果とハイライト映像<br>・ジョホールが今季7度目のクリーンシートでヌグリスンビランに快勝<br>・監督交代のスランゴールはクダに辛勝<br>・3位のサバは4連勝で2位スランゴールを追走

マレーシアスーパーリーグ(MSL)の第15節が11月1日から3日にかけて行われています。前節の首位攻防戦を制したジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)は、今節は佐々木匠選手が所属するヌグリスンビランFCに完勝、一方、その首位攻防戦に敗れたスランゴールFCはニザム・ジャミル監督辞任後、初の試合でクダ・ダルル・アマンFCに辛勝も2位を維持しています。

また今節予定されていたスリ・パハンFC対クチンシティFCは、開始から30分で豪雨によるピッチコンディション悪化のため中止となっています。この時期のパハン州やトレンガヌ州、クアンタン州などがあるマレー半島東海岸はモンスーンの季節となり、毎年、各地で洪水の被害が報告され、沿岸のリゾートなどは閉鎖になるような気候です。これまで春秋制だったマレーシアスーパーリーグは、この時期にはほぼリーグ戦が終わっており、モンスーンの影響を受けることはありませんでしたが、秋春制以降を目指す今季は今月、そして来月12月もリーグ戦やマレーシアカップが開催されることから、今後も悪天候による試合日程の混乱が起こりそうです。

なお次節第16節以降の日程は、今週はACLエリートに出場しているJDTはKリーグ1部優勝を決めたばかりのHD蔚山と、ACL2に出場しているスランゴールが全北現代それぞれホームとアウェイで試合があるためか、未だ発表されておらず、これまで既に2度順延されている第9節のペラ対JDTが11月10日に予定されているのみです。
(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグのYouTubeチャンネルより。)

首位JDTが今季7度目のクリーンシートでヌグリスンビランに快勝

前半戦ではアウェイながらJDTを相手に1−3と接戦を繰り広げたヌグリスンビラン。今季2度目の対戦となった今節は、ホームにJDTを迎えて行われましたが、試合開始からJDTが圧倒し、15分には相手ゴール正面で得たフリーキックを3試合振りに先発となったヘベルチ・フェルナンデスが直接ゴールして先制すると、その6分後には再びヘベルチが今度は豪快にミドルシュートを決めて、JDTがリードを2点に広げます。

後半に入ってもJDT主導で試合が進み、アリフ・アイマンのゴールや途中出場のホルヘ・オブレゴンのPKなどで追加点を挙げたJDTが、その後も危なげない試合運びで完勝しています。

2024年11月1日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリスンビラン州パロイ)
ヌグリスンビランFC 0-4 ジョホール・ダルル・タジムFC
⚽️ジョホール:ヘベルチ・フェルナンデス2(15分、21分)、アリフ・アイマン(48分)、ホルヘ・オブレゴン(90分PK)
MOM:ヘベルチ・フェルナンデス(サバFC)
ヌグリスンビランFCの佐々木匠選手は先発してフル出場しています。

監督交代チーム同士の対戦はトレンガヌに軍配

6試合勝利がないトレンガヌと4連敗中のペナンは、いずれも今季既に監督が交代しており、現在はいずれも暫定監督が指揮を取るチーム。そんなチーム同士の対戦は、トミスラフ・シュタインブリュックナー監督交代から4試合目のトレンガヌが、先週正式にアクマル・リザル監督の「休養」を発表したペナンを破って7試合ぶりの勝利を挙げています。この試合唯一のゴールは、昨季のU23リーグのMFLカップで最優秀選手賞を獲得し、マレーシアU23代表でもプレーする21歳のウバイドラー・シャムスルの今季初ゴールでした。

2024年11月1日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌFC 1-0 ペナンFC
⚽️ウバイドラー・シャムスル(27分)
MOM:ウバイドラー・シャムスル(トレンガヌFC)

スリ・パハン対クチンシティ戦は開始30分で中断し延期決定

前述した通り、この試合は開始30分で豪雨によるピッチコンディション悪化のため試合続行不可能となり、別日へ延期となっています。この試合では谷川由来選手が今季2点目となるゴールを14分にヘディングで決めていました。さらに試合中の発表が遅れたことからサポーターからはリーグに対して不満の声が出ています。(以下は非公式の試合記録です。またこの試合のハイライト映像はありません。)

2024年11月2日@MBTスタジアム(パハン州テメルロー)
スリ・パハンFC 0-1 クチンシティFC
⚽️クチンシティ:谷川由来(14分)
MOM:なし

PDRMは4試合連続引き分け

前節は2位スランゴールを相手にロスタイムの同点ゴールで引き分けに持ち込んだ6位のPDRMでしたが、今節は7位のペラとも引き分けています。PDRMはこれでトレンガヌやスランゴールなど上位チームとの対戦が続いたこともあり3試合連続引き分け、しかも全て1−1というスコアです。

エースのイフェダヨ・オルセグンやミャンマー代表DMFチョー・ミンー・ウーら主力を欠いたPDRMは、第13節スランゴール戦で劇的な同点ゴールを決め、前節第14節クダ戦でもゴールを決めているアレム・ティモシーが3試合連続となるゴールを決めて、PDRMが4試合ぶりに先制します。明らからにPDRMより多くのチャンスを得ていたものの、得点に至らなかったペラは68分にゴールほぼ正面でフリーキックを得ると、これをルチアーノ・ゴイコチェアがゴール左隅を狙いすましたキックでゴールを挙げ、ペラが同点に追いつきます。その後は両チームとも得点なく、PDRMは4試合連続、ペラは2試合連続の引き分けで終了しています。

2024年11月2日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM FC 1-1 ペラFC
⚽️PDRM:アレム・ティモシー(56分)
⚽️ペラ:ルチアーノ・ゴイコチェア(68分)
PDRM FCの鈴木ブルーノ選手は先発して、90+3分に交代しています。

監督交代の2位スランゴールはクダに辛勝

ニザム・ジャミル監督が辞任し、この試合からアバディ・ハッサン監督代行が指揮を取るスランゴールは、ファイサル・ハリムが今季初先発、またケガから復帰のムカイリ・アジマル、サフワン・バハルディンらも先発に名を連ねる一方で、チーム得点王のロニー・フェルナンデスが前節に続きベンチ外でした。

前半を0−0で終えると、アバディ監督代行はファイサル・ハリムに代わり20歳のアリフ・イズワンを投入。すると47分には左サイドのジクリ・カリリからのクロスをアリフ選手が押し込み、22歳と20歳のコンビの連携でスランゴールが先制します。この後、クダはキャプテンのソニー・ノルデを中心に反撃を試み、63分にはそのソニー・ノルデのシュートを23歳のGKアジム・アル=アミンが反応良く防ぐなど、ニザム前監督が起用し続けた若い選手らの活躍で、前節のJDT戦での配線を払拭する貴重な勝利を挙げています。

2024年11月2日@ダルル・アマン・スタジアム(クダ州アロー・スター)
クダ・ダルル・アマンFC 0-1 スランゴールFC
⚽️スランゴール:アリフ・イズワン(47分)
MOM:ジクリ・カリリ(スランゴールFC)

3位のサバは4連勝でスランゴールを追走

ジョアン・ペドロが前節のクダ戦に続き2戦連続2ゴールを挙げ、サバが4連勝を飾っています。退団したラモン・マチャド(アゼルバイジャン1部アラズ・ナシュシュバンPFKへ移籍)と入れ替わる形で後半戦から加入し、前節までの5試合では3ゴールを挙げていたジョアン・ペドロは、17分にヘディングシュートを決めると、さらに45分にはスチュアート・ウィルキンのフリーキックを再び頭で合わせてこの試合2点目のゴールを挙げています。1度はミスから同点に追いつかれたサバでしたが、12位のクランタンを相手に実力の差を見せつけるようにあっさり逆転すると、ガブリエル・ペレスのゴールなどで完勝しています。

2024年11月3日@リカス・スタジアム(サバ州コタ・キナバル)
サバFC 4-1 クランタン・ダルル・ナイムFC
⚽️サバ:ジョアン・ペドロ2(17分、45分)、ファルハン・ロスラン(28分)、ガブリエル・ペレス(60分)
⚽️クランタン:ファズルル・アミル(27分)
MOM:ジョアン・ペドロ(サバFC)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeより。
2024/25マレーシアスーパーリーグ順位表(第15節終了)
順位チーム勝点
1JDT1337121048642
2SEL1429923231211
3SAB1426824302010
4TRE142156318153
5KCH131846318180
6PDRM14184641519-4
7PRK131752620200
8SRP13153641619-3
9#KLC131462523176
10*KDA14134461226-14
11PEN14112571325-12
12KDN14721111135-24
13NSE1361391330-17
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
SAB-サバFC、TREートレンガヌFC、SRP-スリ・パハンFC
KLC-KLシティFC、KDA-クダ・ダルル・アマンFC、PEN-ペナンFC
PRK-ペラFC、PDRM-PDRM FC、NSE-ヌグリスンビランFC
KDN-クランタン・ダルル・ナイムFC、KCH-クチンシティFC
*クダ・ダルル・アマンFCは勝点3剥奪処分を受けています
#KLシティFCは勝点6剥奪処分を受けています。
2024/25マレーシアスーパーリーグ得点ランキング(第15節終了)
氏名所属ゴール
1ベルグソン・ダ・シルヴァJDT16
2パウロ・ジョズエKLC10
3ロニー・フェルナンデスSEL8
ルシアーノ・ゴイコチェアPRK8
5ヘベルチ・フェルナンデスJDT6
ジョアン・ペドロSAB6
7ジョーダン・ミンターKCH5
イフェダヨ・オルセグンPDRM5
クパー・シャーマンSRP5
ロドリゴ・ディアスPEN5
11アリフ・アイマン他7名JDT4
チーム名:JDT-ジョホール・ダルル・タジムFC、SELースランゴールFC
KLC-KLシティFC、KCH-クチンシティFC、SRP-スリ・パハンFC
PRK-ペラFC、PEN-ペナンFC、NSE-ヌグリスンビランFC

11月1日のニュース<br>・今月のFIFAデイズでマレーシアはラオス、インドと対戦<br>・U17アジアカップ予選:ラオスと引き分けたマレーシアは未勝利のまま予選敗退<br>・リーグ2位スランゴールのニザム・ジャミル監督が辞任

今月のFIFAデイズでマレーシアはラオス、インドと対戦

マレーシアサッカー協会(FAM)は今月11月10日から18日までのFIFA国際マッチカレンダー(FIFAデイズ)で、マレーシア代表が既に発表されていたインド代表戦に加え、ラオス代表とも対戦することを発表しています。

10月のFIFAデイズでは、ニュージーランド代表との対戦の他は、他のオセアニア連盟所属の他国代表とは試合を組むことができず、結局、前浦和レッズの酒井宏樹選手が所属するオーストラリア1部リーグに所属するオークランドFCと練習試合を行なっています。

11月のFIFAデイズは、インドとの対戦は9月下旬に発表されるなど早々と決まっていたものの、年末に控える東南アジアサッカー連盟(AFF)選手権「三菱電機カップ」前の最後の代表戦実施機会は、モルディブ、アフガニスタン、ブータンなどの代表チームが対戦相手して名前が挙がっては消え、結局、同じAFF所属のラオスとの対戦に落ち着いています。

なお、この試合は11月14日にラオスサッカー協会主催で行われますが、ラオスの首都ビエンチャンにあるニュー・ラオス国立競技場ではその日に2026W杯アジア3次予選の朝鮮民主主義人民共和国対イランの会場として使用されること、またラオスは11月17日にタイのタマサート・スタジアムでタイ代表との対戦が控えていることから、試合会場はタイのバンコクにあるPATスタジアムで行われます。

またインド戦は当初は11月19日に予定されていましたが、FAMは1日早まり11月18日にテランガーナ州ハイデラバードのガンティ・モハナ・チャンドラ・バラヨギ・アスレチック・スタジアム(長い!)で開催されることも発表されています。マレーシア代表はタイでのラオス戦後、直接、インド入りするということです。

先週の10月24日に発表された最新のFIFAランキングでは、マレーシアが133位であるのに対し、インドは125位、ラオスは187位となっています。

U17アジアカップ予選:ラオスと引き分けたマレーシアは未勝利で予選敗退

AFC U17アジアカップ2025年大会予選H組の最終節がラオスのビエンチェンにあるニュー・ラオス国立競技場で行われ、マレーシアU16代表はラオスU16代表と対戦して2−2で引き分けて、通算成績を1分1敗とし、予選敗退が決まっています。

レバノンU16代表が出場を辞退し、アラブ首長国連邦(UAE)、マレーシア、ラオスの3ヵ国の対戦となったH組は、初戦でUAEがマレーシアを2−0で破り首位に立つと、続くラオス戦でも5−2と勝利して、早々と予選突破を決めていました。そしていずれも1敗同士の対戦となったマレーシア対ラオス戦は、各組の2位チームのうち、成績上位5チームに与えられる出場資格を賭けての争いとなるはずでした。

試合は11分にアラヤン・ハキーム(ジョホール・ダルル・タジムFC U19)のゴールでマレーシアが先制するも、21分にはPalindeth Phettakounh(ラオス1部マスター7FC U18)、33分にはPhayak Siphanom(タイ2部チャイナート・ホーンビルFC U18)にそれぞれゴールを許して逆転されてしまいます。そして後半の66分にナキフ・フィルハド(モクタル・ダハリ・アカデミー)のゴールで追いつくのが精一杯。ラオスと勝点1を分け合ったマレーシアは予選敗退が決定しています。

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マレーシアの直近の年代別大会の予選および本選の結果は以下の通りです。
U23アジアカップ2024年大会:本大会出場(0勝3敗でグループステージ敗退)
U20アジアカップ2025年大会:予選敗退(最終戦でスリランカと引き分けで出場を逃す)
U17アジアカップ2025年大会:予選敗退
なお、同じ東南アジアサッカー連盟(AFF)所属のタイ、インドネシアは上記の3大会全てで本選に出場、ベトナムはU23とU17アジアカップに出場を決めています。年代別代表がなかなか結果を出せない中で、A代表に帰化選手を増やして強化しようというFAMは、マレーシア以上に帰化選手でA代表を強化しているインドネシア代表が年代別代表でも全て本選出場を果たしている事実から学ぶことが大いにありそうです。

リーグ2位スランゴールのニザム・ジャミル監督が辞任

スランゴールFCは10月30日にクラブ公式SNS上でニザム・ジャミル監督の即時辞任を発表しています。後任にはアブディ・ハサン コーチが暫定監督となることも発表されています。

44歳のニザム前監督は今季開幕前にタイのクラブ監督就任を理由に辞任したタン・チェンホー氏の後任として、今季からスランゴールの指揮を取り、11勝1分で首位を走るジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)に次ぐ8勝2分3敗のリーグ2位に付けています。また今季最初のカップ戦、マレーシアFAカップでは決勝に進出し、そこではJDTに0−5で大敗しています。また今季出場しているACL2では、ここまで2勝1分で予選グループ首位となってます。

その一方で10月27日に行われたマレーシアスーパーリーグ第14節では首位のジョホール・ダルル・タジムFC(JDT)と対戦して0−3で敗れ勝点差が8と開き、FAカップ決勝と合わせて2敗している他、第13節ではPDRM FCと引き分けるなど、不安定な戦いから、一部サポーターからは退陣要求の声も出ており、ニザム・ジャミル監督のイニシャルを使った「ハッシュタグ#NJOUT」も拡散し始めていました。

なおその後任には外国籍監督の招聘が有力とされており、一部では前ベトナム代表監督のパク・ハンソ氏も候補に上がっているとの報道もあります。

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マレーシアスーパーリーグ第13節では、アディショナルタイムに失点してPDRM FCと引き分ける一方で、主力組ではないとしながらも、ムアントン・ユナイテッド(タイ)とセブFC(フィリピン)に大勝した全北現代モーターズを破り、その後はまたJDTに乾杯するなど、アップダウンの激しいシーズンを送っているスランゴールFC。タン前監督の突然の辞任を受け、開幕前に急遽就任したニザム氏は、若い選手を育てながらも、リーグ2位を維持している点はもっと評価されても良かったはず。もしスランゴールFCの経営陣が2位に満足せず、今季優勝を狙うつもりでいたのだとしたら、それは明らかに人選ミス。ニザム氏にそもそも監督をさせるべきではなかったし、監督として実績のある人物を据えれば良かった。しかし敢えてニザム氏に監督要請し、しかも4シーズン連続でキャプテンを務めていたブレンダン・ガンまで放出したということは、今季は若いチームへと刷新し、来季以降にJDTにチャレンジできるチームづくりをする方針と私は捉えていました。そしてこの仮定が正しいとすれば、ニザム氏への批判の声が上がっても、クラブが矢面に立って擁護すれば、ニザム氏は辞任しなかったでしょう。しかし。おそらくはクラブにはニザム監督を支援する姿勢がなかった、少なくともニザム監督にはそれが感じられなかったことからの辞任、ということなのでしょう。

方針を明確に示せないトップでは万が一、パク・ハンソ氏が監督になったとしても、何も変わらないでしょう。これがスランゴールFCを暗黒時代に引き戻すきっかけにならないことを祈りたいです。