2025/26マレーシアスーパーリーグ第15節 試合結果とハイライト映像<br>・クアラルンプールは敵地で勝点1、サバは主力流出で苦境が続く<br>・ヌグリ・スンビラン相手にジョホールが辛勝も主審が好試合を台無しに<br>・キム・パンゴン新監督のスランゴールは快勝で再び2位争いに参入

マレーシアスーパーリーグ第15節の5試合が1月9日から11日にかけて行われています。1月5日に開いた今季2度目のトランスファーウィンドウでは、各チームとも、前半戦で露呈した弱点を補強するため、多くの選手が去る一方で、それに代わる新戦力の加入が発表されています。その新規獲得選手がすでに今節から試合に出場しているチームもある一方で、給料未払い問題によりリーグから新規選手獲得禁止処分を受けたクランタンとPDRM、そして同様の給料未払い問題でこちらはFIFAからら新規選手獲得禁止処分を受けているクアラルンプールの3チームは現有戦力での後半戦を強いられています。

なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第15節はクチンシティの試合はありません。(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeより。)


クアラルンプールは敵地で勝点1、サバは主力流出で苦境が続く

3位のクアラルンプールは、ジョホール戦で大敗したものの、直近5試合を2勝2分1敗と勝点を積み上げてきています。一方8位のサバは、同じ過去5試合で今季初勝利を含む3勝2敗と調子を上げてきています。

そんな両チームの対戦は試合開始を1時間遅らせるほどピッチ上に水が浮く最悪のコンディションの中で行われています。短いパスをつなぐクアラルンプールのプレースタイルには適さないピッチでしたが、クアラルンプールが優勢に試合を進めます。そして50分でした。左サイドから一気にゴールライン付近まで上がったデクラン・ランバートのシュートはゴールポストに当たったものの、そのボールに詰めていたサファウィ・ラシドが押し込んでクアラルンプールがついにリードします。

しかしそれまでもクアラルンプールゴールに迫っていたアジディン・ムヤギッチとファーガス・ティアニーのコンビネーションが、ついにゴールにつなげます。87分に中央で相手DFを引き付けたムヤギッチからフリーとなっているティアニーにパスが渡ります。ティアニーのシュートはGKクインシー・カメラードが防いだものの、そのこぼれ球をムヤギッチが蹴り込んで、サバが同点に追いつきます。

クアラルンプールは合計17本(枠内9本)を放ちながら、サバGKダミエン・リムの攻守などもあり追加点は奪えず、またサバも無得点で試合は引き分けに終わっています。この結果、クアラルンプールは今節試合がなかったクチンシティを抜いて2位に浮上、一方のサバは順位を10位に下げています。

なおサバは、マレーシア代表でもプレーする左SBダニエル・ティンが現在開いているトランスファーウィンドウでタイ1部ラーチャブリーFCに移籍、そしてこの試合後にはやはりマレーシア代表のDMFスチュアート・ウィルキンのジョホール移籍濃厚の報道が出ています。(英国生まれのウィルキン選手は元はジョホールを経てマレーシアリーグ入りしています。)この他、昨年末のFAカップ決勝後には、今季途中から監督を務めたジャン=ポール・ド・マリニーも突如「仮定の理由」で辞任しています。昨季までは3季連続3位と安定していた成績を残していたサバですが、昨季途中でのオン・キムスイ監督退団以降、大きな変革期にきているようです。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第15節
2025年1月9日@リカス・スタジアム(サバ州コタキナバル)
サバ 1-1 クアラルンプール
⚽️サバ:アジディン・ムヤギッチ(87分)
⚽️クアラルンプール:サファウィ・ラシド(50分)


ヌグリ・スンビラン相手にジョホールが辛勝も主審が好試合を台無しに

今季ここまで無敗の首位ジョホールが、今季唯一の3失点を喫したのが第2節8月12日のヌグリ・スンビラン戦でした。この試合が開幕戦となったヌグリ・スンビランが2-0とリードした試合は、現在は国籍偽装疑惑で出場停止になっているジョン・イラザバルとジョアン・フィゲレイドのゴールなどで逆転されて敗れましたが、この試合はヌグリ・スンビランが昨シーズンまでとは違うチームであることを印象付ける試合でした。その後は昨季2位のスランゴールを破るなど、今季の台風の目となるかと思わせましたが、その勢いは続かず、最下位のマラッカに今季初勝利をプレゼントするなど勝ちきれない試合が続き、クアラルンプール、クチンシティ、スランゴールといった2位争いを繰り広げるチームからは徐々に話されています。

そんな中、ジョホールとの対戦が今回はヌグリ・スンビランのホームでの開催となりました。8月の試合ではフル出場し、その後もヌグリ・スンビランの中盤を支えてきたMFアレクサンダー・アギャルカワはローン期間が終わりスランゴールに戻ったものの、この試合ではJ3ガイナーレ鳥取から新加入のDF大城蛍選手、そしてパレスチナ代表MFオダイ・カロウブが先発しています。またジョホールは出場停止の2選手に加え、マレーシアの至宝アリフ・アイマンが現在はケガのため欠場する一方で、FC東京へのローン移籍を経てV・ファーレン長崎からジョホールに完全移籍したMFマルコス・ギリェルメがベンチ入りしています。

試合は開始から両方が激しいプレーを連発。しかしこのときS・ロゲスワラン主審が明確な基準を示さなかったことで、イエローカード10枚という荒れた試合になってしまいした。

それでもジョホールの19本のシュート(枠内10本)に対して、ヌグリ・スンビランはシュート数5本(枠内4本)となる中で、ヌグリ・スンビランは粘り強く守ってカウンターに活路を見出す戦法で、ジョホールの得点を許しました。

そんな中でS・ロゲスワラン主審はスロー映像で見ると、いずれも明らかにファウルに見えるジョホールのDFエディ・イスラフィロフの危険なプレーに対してファウルを取らなかったことが話題になっています。43分にはヌグリ・スンビランのFWジョセフ・エッソがゴールに向かって独走するところをペナルティエリアのすぐ外で明らかに顔面に肘打ちし倒したもののレッドどころかイエローすらなし。そして75分にもイスラフィロフ選手は、今度はヨヴァン・モティカに激しくチャージして倒すもこちらも何もなしと、疑問が残るというかまたジョホール寄りかという判定でした。しかもリーグ公式映像にもいずれのシーンも残っていません…。

この試合はアディショナルタイムに途中出場のマヌエル・イダルゴが自身初と語るバックヘッドのシュートを決めてジョホールが勝利しますが、アディショナルタイム7分と示されながら、公式記録でもイダルゴ選手のゴールが90+8分と記録されるなど、アディショナルタイムを7分を超えてとり続けたことでも、S・ロゲスワラン主審に対し、ヌグリ・スンビランサポーターを中心に批判の声が集まっています。

なおジョホールはこの試合の勝利で2024年8月から国内リーグでは破竹の31連勝、そして無敗記録は2021年4月から98試合となっています。

ヌグリ・スンビランがジョホールの連勝を止めるかと思われたこの試合では、マレーシアリーグデビューとなった大城蛍選手がジョホールのベルグソン・ダ・シウバに仕事をさせなかったこと、そしておよろケガから復帰したジョホールのCBフェロズ・バハルディンが12ヶ月ぶりに国内リーグのピッチに戻ってきたことが印象に残りました。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第15節
2025年1月9日@トゥンク・アブドル・ラーマン・スタジアム(ヌグリ・スンビラン州パロイ)
ヌグリ・スンビラン 0-1 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール:マヌエル・イダルゴ(90+8分)

ヌグリ・スンビランの佐々木匠選手は先発して78分に交代。マレーシアリーグデビューとなった大城蛍選手は先発してフル出場、そして常安澪選手は前半終了間際の45+3分から出場し、試合終了までプレーしています。


昇格組のイミグレセンが今季最高の8位浮上

今季から1部スーパーリーグでプレーするイミグレセンが、クランタンを圧倒して今季4勝目を挙げるとともに、順位を今季最高位となる8位まで上げています。

その一方でこの試合は、ベンチ入りが上限の20名を下回る19名となっており、ケガ人による選手層の厚さが心配です。前節のクアラルンプール戦でもゴールを挙げ、チームトップの6ゴールを挙げているエドゥアルド・ソーサ、そして今季4ゴールのジョアン・ペドロがケガと、今季のチーム総得点のおよそ3分の1を挙げている両選手の欠場は、給料未払いで補強がままならないクランタン相手ではなんとかなっても、次節のヌグリ・スンビラン、そして続くジョホール戦では大きな痛手となりそうです。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第15節
2025年1月10日@ペナン州立スタジアム(ペナン州バトゥ・カワン)
イミグレセン 3-0 クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズ
⚽️イミグレセン:ウィルマル・ホルタン(31分)、エドゥアルド・ソーサ(70分)、M・ラケシュ(73分OG)


キム・パンゴン新監督のスランゴールは快勝で再び2位争いに参入

前マレーシア代表監督のキム・パンゴン氏が監督に就任したスランゴールが、エースのモラエスの4発で快勝し、クチンシティ、クアラルンプールとの2位争いに復帰しています。

この試合が監督就任後初采配となったキム監督は、昨季以来の復帰となったCBサフワン・バハルディンを起用した以外は、前任のクリストファー・ギャメル監督(現スランゴール テクニカル・ディレクター)とは変わらぬ選手を起用しています。しかしその一方で、ギャメル監督時代はどちらかと言えば守備的だったMFノーア・ライネがこの試合では積極的に攻撃参加した結果、1ゴール2アシストと得点に絡んでおり、これがキム監督の今後のライネ選手の起用法となりそうな気配です。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第15節
2025年1月10日@ハサナル・ボルキア国立競技場(ブルネイ)
DPMM 2-5 スランゴール
⚽️DPMM:ハケメ・ヤジド(42分)、ミゲル・オリヴェリア(62分)
⚽️スランゴール:クリゴール・モラエス4(5分、10分、58分、90+1分)、ノーア・ライネ(48分)


トゥンク・ハズマン監督代行初勝利でトレンガヌは連敗を2で止める

昨年末にバドルル・アフザン監督を休養させ、トゥンク・ハズマン コーチを監督代行したトレンガヌ。そのトゥンク・ハズマン監督代行が就任2試合目で初勝利を挙げるとともに、チームの連敗を2で止めています。

給料未払い問題で外国籍選手が次々に退団し、チームが弱体化しているPDRMとアウェイで対戦したトレンガヌは、積極的なプレーで試合の主導権を握るものの、得点には至りません。

しかし後半から起用したハキミ・アジムが85分に、右サイドから絶妙なクロスを挙げると、これをゴール前のバキウディン・シャムスディンがダイレクトで押し込みゴール。結局これが決勝ゴールとなり、トレンガヌが虎の子の1点を守り買って連敗をを止めています。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第15節
2025年1月10日@MPSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM 0-1 トレンガヌ
⚽️トレンガヌ:バキウディン・シャムスディン(85分)


開始14分で4ゴールのペナンがマラッカに圧勝

開始からわずか14分で4ゴールを挙げたペナンが2連勝し、順位も今季最高となる9位まで上げています。一方、最下位のマラッカは前半の大量失点が響き、これで4連敗。しかもこの4試合の成績は0得点14失点、今季通算では13試合で6得点33失点となりました。

なおマラッカは、この試合からE・エラヴァラサン新監督が指揮をとっています。今季はクランタンの監督としてスタートしましたが、7試合を終えて2勝2分3敗で7位の成績を残すと解任されていました。ちなみにエラヴァラサン監督解任後のクランタンは、1勝6敗(その1勝はマラッカ戦でした)で現在は11位となっています。これまでサラワク(既に解散)やPDRMなど複数のマレーシアリーグのクラブで指揮をとり、現スランゴールのキム・パンゴン監督がマレーシア代表監督時代にはコーチを務めた経験もあるエラヴァラサン監督の経験は低迷するマラッカを救えるでしょうか。

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第15節
2025年1月11日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージタウン)
ペナン 5-0 マラッカ
⚽️ペナン:ステファノ・ブルンド2(4分、9分)、ディラン・ウェンゼル=ホールズ2(11分、14分)、フェイス・フライデー・オビロール(85分)


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第15節終了)

チーム勝点
1ジョホール1414006656142
2クアラルンプール1485126131329
3クチン138412662028
4スランゴール1491432161628
5トレンガヌ146352723421
6ヌグリ・スンビラン134542018217
7DPMM145272038-1817
8イミグレセン144372228-615
9ペナン144281826-1814
10サバ133551726-914
11クランタン143291028-1811
12マラッカ13139633-276
13PDRM1413101141-306

2025/26スーパーリーグ得点トップ10(第15節終了)

得点選手名所属
116クリゴール・モラレススランゴール
213ベルグソン・ダ・シウバジョホール
312ジャイロ・ダ・シウバジョホール
49ロナルド・ンガクチン
58サファウィ・ラシドクアラルンプール
67アリフ・アイマンジョホール
7アジディン・ムヤギッチサバ
7ディラン・ウェンゼル=ホールズペナン
76ヤン・マベラトレンガヌ
6ジョアン・フィゲイレドジョホール
6ヨヴァン・モティカヌグリ・スンビラン
6ジョセフ・エッソヌグリ・スンビラン
6チェチェ・キプレペナン
6エドゥアルド・ソーサイミグレセン

1月7日のニュース<br>・今季2度目のトランスファーウィンドウがオープン-最新移籍情報(1/7時点)

今季2度目のトランスファーウィンドウが開く-最新移籍情報(1/7時点)

今季2度目のトランスファーウィンドウが1月5日に開いてます。2月1日まで続く期間は、前半戦を終えた各チームにとって、順位を上げるためにも重要な補強を行う時期でもあります。今回は1月7日時点で明らかになっている移籍情報をお知らせします。各選手の情報は(年齢/出身/INの場合は前所属、OUTの場合は移籍先)となっています。

ジョホール(首位:13勝0分0敗、65得点5失点)

マレーシアリーグでは1クラブ最大15名の外国籍選手登録可能で、ピッチ上では同時にアジア枠1名、アセアン(東南アジア)枠2名を含めた6名がプレー可能です。(ベンチ入りは最大9名まで)、リーグ首位を快走するジョホールは、ACLエリート要員として既にこの15名を超える外国籍選手を抱えています。今回加入する3選手も、FWエンゾ・ロンバルド、DFシェーン・ローリーと同様に、国内リーグでの選手登録はなく、ACLエリートでノックアウトステージ進出を目指すための強化要員としての加入の可能性が高いです。

IN
MFネネ(30歳/ブラジル/中国1部雲南玉昆)
MFマルコス・ギリェルメ(30歳/ブラジル/J1 V・ファーレン長崎)
FWヤゴ(28歳/ブラジル/韓国1部FC安養)
OUT
イケル・ウンダバレナ(30歳/スペイン/不明)


クチン(2位:8勝4分1敗、26得点6失点)

前半戦でジョホールに敗れた1敗のみのまま後半戦に臨むクチン。アイディル・シャリン監督のもとで攻守ともバランスの良いチームになっています。ダニエル・アミルも復帰したチームは、トランスファーウィンドウでは具体的な補強ポイントに絞ってというよりも、全体的に選手層を厚くするような補強になりそうです。

IN
MFアフメド・イスワイラ(31歳/ヨルダン/PDRM)

OUT


スランゴール(4位:8勝1分4敗、27得点14失点)

喜熨斗勝史前監督が放出した2選手の復帰が明らかになったスランゴール。昨季はサフワン選手、アギャルカワ選手いずれも主力としてプレーしていただけに、個人的にはこの両選手が放出されたのかは疑問でした。今回の復帰に関して言えば、移籍先でもやはり主力として活躍していたアギャルカワ選手が抜けたヌグリ・スンビランにも大きな影響がありそうです。

ACL2用に獲得しながら、結局1試合も出場することなく退団するトニ・ドムジョニに代表されるような意図が不明な選手獲得については、トップが変わらない限り続きそうな心配があります。現在、明らかになっている新戦力は、元マリ代表でフランス1部リーグなどでもプレー経験がある身長192cmのMFマハメ・シビーだけです。

今シーズンだけで3人目の監督となるキム・パンゴン監督のサラリー(月給)が15万リンギ(およそ580万円)とも言われる中で、監督には大枚を叩いた結果、選手補強に回す分がなくなってしまっていないかが心配です。

IN
MFアレックス・アギャルカワ(25歳/ガーナ/ヌグリ・スンビランへのローン終了)
DFサフワン・バハルディン(34歳/シンガポール/シンガポール1部ライオンシティ・セイラーズへのローン終了)
MFマハメ・シビー(29歳/マリ/スウェーデン1部マルモFF)
OUT
DFケビン・ディーロムラム(28歳/タイ/ライ1部ラーチャブリーFC)
MFザック・クラフ(30歳/英国/不明)
FWウィリアン・リラ(32歳/ブラジル/ブラジル4部レトロFC)
MFトニ・ドムジョニ(27歳/コソボ/不明)


トレンガヌ(5位:5勝3分5敗、26得点23失点)

チームの成績不振を理由に昨年末にバドルル・アフザン監督を解任したトレンガヌですが、司令塔ヌリロ・トゥクタシノフの退団は後半戦に向けて大きな影響が出そうです。やはり退団したガブリエル・シウバとともにいずれも契約満了前の退団は、チームの大変革の予兆かもしれません。

IN


OUT
MFヌリロ・トゥクタシノフ(ウズベキスタン/ウズベキスタン1部ディナモ・サマルカンド)
FWガブリエル・シウバ(ブラジル/未定)


ヌグリ・スンビラン(6位:4勝5分3敗、20得点17失点)

 アヌアル・シーセイはウェールズのカーディフ生まれながら、祖母がマレーシア出身、母親はシンガポール出身、そして父親はガンビア出身というバックグラウンドを持つ選手。今季からマレーシア3部に当たるA1セミプロリーグでプレーし、今季のFAカップではジョホール相手に2ゴールを決めて注目を浴びた選手です。
 オダイ・カロウブはパレスチナ代表として46試合に出場しているMF。2024/25シーズンはクランタンでもプレーしています。ポジション的には、ローン移籍を終えてスランゴールに復帰したアレックス・アギャルカワに代わり、ニザム・ジャミル監督が中盤を任すことになりそうです。
 大城選手は、佐々木匠、常安澪の両選手に続く3人目の日本人選手となります。マレーシアで同一クラブに3人の日本人選手がプレーするのは、2021年シーズンに本山雅志、深井修平、谷川由来(現クチンシティ)がクランタン・ユナイテッド(当時、現在のクランタン)でプレーして以来です。

IN
MFアヌアル・シーセイ(23歳/英国/A1セミプロリーグUMダマンサラ)
MFオダイ・カロウブ(32歳/パレスチナ/リビア1部アル=アハリ)
DF大城蛍(25歳/日本/J3ガイナーレ鳥取)
OUT
MFアレックス・アギャルカワ(25歳/ガーナ/スランゴールからのローン終了)
DFハリズ・カマルディン(28歳/マレーシア/A1セミプロリーグのブンガラヤFCへローン移籍)


DPMM(7位:5勝2分6敗、18得点33失点)

IN
OUT
GKクリスティアン・ナウモフスキ(37歳/北マケドニア/不明)


サバ(8位:3勝4分5敗、16得点25失点)

「家庭の事情」を理由に昨年末にジャン=ポール・ド・マリニー監督が辞任したサバ。開幕からしばらくはなかなか勝てず苦しいシーズンでしたが、徐々に調子を上げてきたチームは27年ぶりにFAカップ決勝に進出していました。成績不振の中でも解任論などが出ていなかっただけに、この辞任はむしろ驚きを持って受け入れられています。オーストラリア1部のAリーグでウェスタン・シドニー・ワンダラーズ、メルボルン・ビクトリーなどのクラブで指導経験を積んだド・マリニーの退団は、チームが上向きになってきていただけに、補強云々以上に残念です。

IN
FWケルヴェン・ベルフォート(33歳/ハイチ/ネパール1部ラリトプルシティー)
OUT
DFダニエル・ティン(33歳/マレーシア/ジョホールからのローン移籍終了➡︎タイ1部ラーチャブリー)


イミグレセン(9位:3勝3分7敗、19得点28失点)

IN
OUT


ペナン(10位:3勝2分8敗、13得点26失点)

新戦力補強の前に、ワン・ロハイミ監督は自身の首筋が寒くなっているペナン。

IN
MFエリック・ブレンドン(30歳/ブラジル/スウェーデン2部エステルスンドFK)
OUT


マラッカ(12位:1勝3分8敗、6得点28失点)

12月下旬にK・デヴァン監督が辞任、その後任としてコーチから昇格させたS・スブラマニアム監督代行もわずか1試合で辞任したマラッカ。その後任には、今季開幕からクランタンを率いながら2勝2分3敗とスタートダッシュに失敗して10月に解任されたE・エラヴァラサンと元同僚でボスニア出身のムアメル・サリバシッチ コーチを起用しています。

しかし監督交代が今のチーム状況を変えるとは思えず、しかも弱いチームがやりがちなシーズン途中での外国籍選手の大幅な入れ替え(いや、予算がなければ代わりは撮ってこないかも)で、PDRMとの最下位争いはまだ続きそうです。

加入するレゾヴィッチ選手は190cmの長身CBで、トレンガヌ在籍時にマレーシア人女性と結婚、さらに5シーズン以上をマレーシアリーグでプレーしていることから、マレーシア国籍取得、そして代表入りが期待されていた選手です。膝前十字靭帯を痛めたこともあり今年5月にトレンガヌを退団していましたが、マレーシアで初めてプレーしたPDRM時代の監督だったエラヴァラサン氏の元で復帰となりそうです。

IN
DFアルグジム・レゾヴィッチ(33歳/モンテネグロ/トレンガヌ)
OUT
MFジャスティン・バース(25歳/フィリピン/不明)
FWアンデルソン・ブリト(24歳/ブラジル/不明)
DFチャールズ・ダバオ(28歳/フィリピン/不明
MFパトリック・ガマ(25歳/ブラジル/ブラジル、ガウヴェスEC)


なお現在リーグ11位のクランタンは昨季の、同13位で最下位のPDRMは今季の給料未払い問題が未解決のため、リーグを運営するマレーシアンフットボールリーグ(MFL)から今回のトランスファーウィンドウでの新規選手獲得を禁止する処分を受けています。

また現在リーグ3位のクアラルンプールは、元ゴールキーパーコーチのギリェルメ・アルメイダ、前監督のミロスラフ・クリャナツ氏、そして以前所属していたアドリアン・ルドヴィッチ氏ら3名の給与支払いを滞納していることにより、12月15日にFIFAから今後3回のトランスファーウィンドウでの新規選手獲得を禁止する処分を受けています。なおこの状況についてリスト・ヴィダコヴィッチ監督は「債務返済の期限が限られているが、完済できれば、移籍市場への参加を禁じられることはないだろう」と話す一方で、クラブの財政状況については何も知らされていないと述べて、クラブがどのような決定を下すにせよ、それを受け入れるしかないとしています。

1月6日のニュース<br>・キム・パンゴン前代表監督がスランゴール監督就任、元マリ代表MFも加入か

キム・パンゴン前代表監督がスランゴール監督就任

2022年1月から2024年7月までマレーシア代表監督を務めた韓国出身のキム・パンゴン氏が、マレーシア1部スーパーリーグで現在4位のスランゴールの監督に監督に就任したことがクラブ公式SNSで発表されています。

2024年のアジア杯では韓国代表相手に3-3と善戦するなど、代表監督としての2年半で35試合で指揮をとり、19勝7分9敗の成績を残したキム氏は監督就任についてスランゴールとの協議に入っていることは複数のメディアでも報じられていました。

またスランゴールのキャプテンを務めるファイサル・ハリムを始め、キム氏が代表監督だった際の選手たちからも歓迎の声が上がっているということです。

キム氏は、マレーシアサッカー協会(FAM)と2022年1月から2年間の監督契約を結ぶと、FIFAランキング154位だったマレーシアを一時は過去18年間で最高位となる130位まで引き上げるなど、2年間で17勝2分6敗の成績を残しました。この好成績を受けてFAMは2024年1月からの新たな2年契約をキム監督にオファーし、キム監督もこれを受けて2025年12月31日まで契約を延長していました。

しかしキム監督は昨年2024年7月に家庭の事情を理由に突如辞任してしまいます。そしてその2週間後には韓国1部蔚山HD監督就任が発表されました。これは前任のホン・ミョンボ監督が、同年2月にユルゲン・クリンスマン監督解任により空席となっていた韓国代表監督に就任したことが原因でした。しかし家庭の事情を理由に挙げながら、クラブの監督に就任したことで、当時のFAM会長からは「不誠実」と激しく批判されました。

蔚山HDでは、2024年シーズンにリーグ優勝を果たし、コリアカップでも準優勝していましたが、今季は、5試合連続未勝利、11試合白星なしなど期待された成績を残せず、またサポーターからも応援ボイコットが起こり、8月1日に解任が発表されていました。

昨年9月に解任された喜熨斗勝史監督に代わり指揮を取るクリストファー・ギャメル監督代行のもとでも、ACL2敗退、またFAカップベスト4敗退ながら、リーグ戦前半を終えて3位まで順位を上げてきているスランゴール。2020年シーズンから数えると、8人目の監督となるキム氏がスランゴールをどう立て直すのかに期待がかかります。

なおキム監督就任に伴い、喜熨斗勝史前監督解任後からこれまで指揮をとってきたギャメル監督代行は、スランゴールのテクニカルディレクターに就任することも併せて発表されています。


また公式発表はありませんが、スランゴールは元マリ代表で、身長192cmのMFマハメ・シビーが加入するとも報じられています。フランス生まれのシビー選手はスウェデン1部のマルメFFから移籍する29歳のDMFということです。

2025年6月にマルメFFに移籍する前には、フランス2部のバスティアや同1部のストラスブール、パリFCといったチームでのプレー経験もあるということです。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第14節 試合結果とハイライト映像<br>・クチンは無敗記録を11に伸ばす・<br>・クアラルンプールも1敗を守ってジョホールを追撃<br>・スランゴールはジョホールに敗れ2位争いから一歩後退

マレーシアの元旦は祝日の1日に過ぎず、翌日1月2日からは全てが平常運転です。というわけでスーパーリーグ第13節の5試合が1月2日から5日にかけて行われています。リーグは前節から既に後半戦に入っていますが、2位のクチンシティに前半戦だけで勝点差11をつけて首位を快走するジョホールのリーグ12連覇を阻止するチームは果たして現れるのか。

なおマレーシアリーグは本日1月5日から2月1日までが今季2度目のトランスファーウィンドウとなっており、各チームの補強にも注目です。日本人選手の加入も発表されていますので、逐次情報をアップデートしていきたいと思います。

なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節第14節はヌグリ・スンビランの試合はありません。(試合のハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeより。)


クチンは無敗記録を11に伸ばす-次節はいよいよジョホール戦

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第14節
2026年1月2日@スルタン・ムハマド4世スタジアム(クランタン州コタ・バル)
クランタン・ザ・リアル・ウォリアーズ 0-1 クチンシティ
⚽️クチンシティ:ダニエル・アミル(20分)
ジョホールに0−1で敗れたのが前半戦唯一の敗戦だったクチンシティ。後半戦の初戦となるこの試合ではダニエル・アミルの1発でクランタンを破り、無敗記録を11まで伸ばしています。そして次節第15節ではそのジョホール・ダルル・タジムと敵地での直接対決が控えています。
 一方、クランタンは試合を優勢に進めながらもクチンシティに先制を許すと、その後は追いつく機会が何度かあったものの、GKハジク・ナズリやCBジェイムズ・オクゥオサを中心にした前半戦12試合で6失点というクチンシティの強固な守備を崩せませんでした。なお昨季2024/25シーズンの給料未払い問題が未解決のクランタンは、本日1月5日から2月1日まで開く今季2度目のトランスファーウィンドウでの新規選手獲得禁止処分を受けており、後半戦も現有戦力での戦いとなります。
 年末にイサ海翔君が誕生してお父さんとなったクチンシティの谷川由来選手は、今季初のベンチ外でした。


DPMMは4連勝で7位に浮上

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第14節
2026年1月3日@ハサナル・ボルキア国立競技場(ブルネイ)
DPMM 3-1 PDRM
⚽️DPMM:ハケメ・ヤジド2(46分、87分)、ジョーダン・マレー(63分)
⚽️PDRM:ファクルル・アジム(85分)
ブルネイ代表でもプレーするハケメ・ヤジドが2ゴールを挙げて、DPMMが4連勝しています。22歳のハケメ選手はこの試合も含めて今季6試合出場ながら既に4ゴールとなり、チーム得点王でこの試合でもゴールを挙げたジョーダン・マレーの5ゴールに次ぐチーム2位の得点を挙げています。
 PDRMは、今季2025/26分の給料未払いについてリーグから2度の警告と罰金処分を受けるなどチーム内の士気も低いのか、ついに連敗は8となり、しかもこの8試合では3得点に対して32失点と上昇の兆しが見られません。


トレンガヌは監督交代も効果なし

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第14節
2026年1月3日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 0-2 ペナン
⚽️ペナン:チェチェ・キプレ2(69分、90分)
前半戦を5勝3分4敗で終えたトレンガヌは、前半戦終了とともにバドルル・アフザン監督を更迭しています。ジョホールに0-5の大差で敗れた後もヌグリ・スンビラン、クチンシティと引き分けが続き、さらにそれまで2勝のサバにホームで敗れるなど失速していました。この試合からはコーチのテンク・ハズマン・ラジャ・ハッサン監督代行となり指揮をとりましたが、司令塔のMFヌリロ・トゥカタシノフに加え、ヤン・マベラ、ガブリエル・シウバの両FWをいずれもケガで欠く布陣では、下位のペナン相手でも明らかに火力不足でした。
 一方のペナンは、以前トレンガヌに4シーズン在籍し56試合で21ゴールを挙げていた38歳のベテランFWチェチェ・キプレが相手のミスを逃さずに2ゴールを挙げる活躍を見せて10位に浮上しています。(しかもかつて自身を応援したトレンガヌサポーターに敬意を表してか、得点後には派手に喜ぶ仕草は見せませんでした。)また、前半戦12試合で2勝しか挙げられず、解任間近の噂も出ていたペナンのワン・ロハイミ監督にとってもその首をつなぐ重要な勝利でした。
 ペナンの鈴木ブルーノ選手はベンチ入りしましたが、出場はありませんでした。


クアラルンプールも1敗を守ってジョホールを追撃

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第14節
2026年1月4日@KLフットボールスタジアム(クアラルンプール)
クアラルンプールシティ 4-2 イミグレセン
⚽️クアラルンプール:パウロ・ジョズエ2(31分、68分)、サファウィ・ラシド(76分)、クパー・シャーマン(78分)
⚽️イミグレセン:ファズルル・ダネル(46分)、エドゥアルド・ソーサ(61分)

クアラルンプールが逆転勝利でイミグレセンを破っています。エースでもありキャプテンでもあるパウロ・ジョズエのゴールで31分に先制しますが、後半開始早々に失点すると61分にはエドゥアルド・ソーサが1人でペナルティエリアまで持ち込んでゴールを決めて逆転を許します。しかしペナルティエリアの外から一瞬の隙をついてジョズエ選手が同点ゴールを決めて、試合を振り出しに戻します。
 イミグレセンにとって痛かったのは、同点とされた直後にミオール・デニ・アルミンが2枚のイエローで退場になったこと。クアラルンプールはこの数的有利を生かして、サファウィ・ラシドが右サイドから「まさにサファウィ・ラシド」という左足からのゴールを決めると、さらに今度は同じ左足からのクロスでクパー・シャーマンのゴールをアシスト。終わってみればクアラルンプールが快勝という試合でした。


ジョホールに敗れたスランゴールは2位争いから一歩後退

マレーシアスーパーリーグ2025/26 第14節
2026年1月4日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 0-2 ジョホール・ダルル・タジム
⚽️ジョホール:リッチモンド・アンクラ(7分OG)、ベルグソン・ダ・シウバ(90+2分)

この試合は現地観戦しました。

ジョホールはどこで試合をしても集客が素晴らしいですが、この試合でも久しぶりにMBPJスタジアムが観客で埋まりました。しかし試合は開始からジョホールの猛攻にスランゴールが一方的に受け身になる展開。開始7分でのオウンゴールもまさに自陣ゴール前まで追い詰められた結果のクリアミスでした。

その後、試合は徐々に落ち着きますが、ジョホール優勢のまま進みます。中央でマヌエル・イダルゴが激しく動き回り、左右からはラヴェル・コービン=オングとオスカル・アリバスが持ち込んでクロスを挙げるなど、スランゴールは翻弄される状況が続きます。それでも、スランゴールはカウンターから数少ないチャンスを作りますが、結局前線に残っているのはクリゴール・モラエスのみ。ボールが前線に出そうなところで動き出すまわりの選手はおらず、モラエスは孤軍奮闘するもののシュートには至りません。

後半に入り、ジョホールはリーグ得点王のベルグソン・ダ・シウバを投入して追加点を狙いますが、スランゴールはベルグソンをフリーにせず、しっかりと押さえ込みます。しかし、そうすることで同点機を作れないままアディショナルタイムに入ると、スランゴールDF陣の集中が切れた一瞬をベルグソンは逃さず、ダメ押しとなるゴールを決め、ジョホールが点差以上にスランゴールを圧倒しました。

個人的には、この試合は今季見たスランゴールの試合の中でもベストマッチの一つと言えますが、そんな試合でもジョホールに勝てないのは、各ポジションでのマッチアップでスランゴールの選手が敗れ、またチームとしての連携もジョホールは意思疎通がしっかりできているように見えたのに対し、スランゴールは自分の役割を理解していないようなプレーを見せる選手もいました。

メディアでは、前マレーシア代表監督のキム・パンゴン氏がスランゴールの監督に就任するような報道が出ていますが、監督が代わってもチーム力は一朝一夕でどうにかなるものではなさそうなので、ジョホールに追いつくために必要なのは、付け焼き刃的なものではなく、腰を据えてのチーム強化だと感じました。


なお、今節予定されていたマラッカ対サバの試合は、マラッカのホーム、ハン・ジェバ・スタジアムのピッチの排水施設の修理のため、当初予定されていた1月3日から4月14日に延期されています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第13節途中)

チーム勝点
1ジョホール1313006556039
2クチン138412662028
3クアラルンプール1384125121328
4スランゴール1381427141325
5トレンガヌ135352623318
6ヌグリ・スンビラン124532017317
7DPMM135261833-1517
8サバ123451625-913
9イミグレセン133371928-912
10ペナン133281326-1311
11クランタン133281025-1511
12マラッカ12138628-226
13PDRM131391140-296

2025/26スーパーリーグ得点トップ10(第13節途中)

得点選手名所属
113ベルグソン・ダ・シウバジョホール
212ジャイロ・ダ・シウバジョホール
12クリゴール・モラエススランゴール
49ロナルド・ンガクチン
57アリフ・アイマンジョホール
7サファウィ・ラシドクチン
76ヤン・マベラトレンガヌ
6ジョアン・フィゲイレドジョホール
6ヨヴァン・モティカヌグリ・スンビラン
6ジョセフ・エッソヌグリ・スンビラン
6アジディン・ムヤギッチサバ
6チェチェ・キプレペナン

2025年のマレーシアサッカーを振り返る-ヘリテイジ帰化選手に振り回されて天国から地獄への1年、しかも地獄はまだまだ続く

国外で生まれながらマレーシアにルーツを持つヘリテイジ帰化選手による代表強化を進めてきたマレーシア。そして2025年にはブラジル、アルゼンチン、スペイン、オランダといったサッカー強豪国出身のヘリテイジ帰化選手7名が突如現れます。彼らのおかげ、東南アジアの強豪、ベトナムを11年ぶりに破るなど快進撃を続けたマレーシアは、2025年を7勝1分と無敗で終え、FIFAランキングは何と20年ぶりに110位代まで上昇するなど大躍進しました。

しかしそんなバブルが弾けたのが、その7名のヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑問題の発覚です。降って涌いたような話にはやはり裏がありました。FIFAは7選手には12ヶ月の出場停止を科し、そしてマレーシアは彼らが出場した国際Aマッチ3試合の結果はいずれもマレーシアが0-3で負けとなる処分を受け、4月から右肩上がりだったFIFAランキングが下がりました。

FIFAの裁定を不服とするマレーシアサッカー協会(FAM)は現在、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に上訴中ですが、裁定が覆る可能性は低く配色濃厚です。またCASでも上訴が却下されれば、今度はAFCによる処分が待っています。マレーシアはAFCアジア杯2027予選で既に5試合を戦いましたが、初戦のネパール戦と第2戦目のベトナム戦にはヘリテイジ帰化選手が出場していることから、この2試合も試合結果が無効となる可能性があります。アジア杯予選では首位のマレーシアですが、試合結果が無効となればベトナムに次ぐ2位に陥落します。しかしさらに怖いのは2027年大会に続く2031年大会予選出場禁止処分の可能性があること。今回と似たケースでアジア杯2019予選でブラジル出身の複数の選手に国籍を付与して出場させた東ティモールは、次大会となるAFCアジア杯2023予選への出場禁止処分をAFCから受けています。この例に倣えば、マレーシアはアジア杯2031予選への出場資格剥奪処分をAFCから受ける可能性があります。

今回はヘリテイジ帰化選手に振り回された2025年を振り返ります。

1月

1月1日:ピーター・クラモフスキー代表監督就任
前年の2024年7月に蔚山HD監督に就任するためにキム・パンゴン氏(現トンガ代表監督)が代表監督を辞任した後は、暫定監督を置いて代表戦を戦ってきたマレーシア代表。同年12月16日にマレーシアサッカー協会(FAM)がその後任としてに発表したのは前FC東京監督のピーター・クラモフスキー氏でした。

都合7年を過ごした日本のサッカーファンには、FC東京や横浜Fマリノスコーチ、清水エスパルスやモンテディオ山形の監督を歴任したことが知られていますが、英国プレミアリーグの人気が高いマレーシアのメディアでは、トットナム・ホットスパーズのアンジ・ポステコグルー監督(当時)の「右腕」と紹介されました。


2月

2月15日:FAMの新会長にモハマド・ジョハリ氏が就任
前FAM副会長だったジョハリ氏は、現職のハミディン・アミン会長が再選を目指さなかったことから、単独候補として選出され、無投票で当選しています。

2016年に会長に就任したジョホール州皇太子のトゥンク・イスマイル殿下は、マレーシア代表のFIFAランキングが過去最低となる178位まで下がった際に批判を受けると、就任からわずか1年であっさりと辞任。その後任として、当時FAM事務局長だったハミディン氏が2018年7月に会長に就任しました。ハミディン氏は2021年に再選されて、会長職2期目となり、今年2025年までが任期でした。


3月

3月18日:ガブリエル・パルメロとエクトル・ヘヴェルがマレーシア国籍取得
この日にマレーシア国籍を取得したスペイン生まれのDFパルメロ選手は3月17日に、オランダ生まれのMFヘヴェルは3月18日にそれぞれ国籍取得申請を行なったことが、後述する10月6日にFIFAが公開した報告書で明らかにされています。パルメル選手は新生の1日ごに、へヴェル選手は申請したその日のうちに国籍が付与されたことになります。

3月19日:FAMがへヴェル選手のマレーシア代表としての資格をFIFAに照会
その際にはへヴェル選手の祖父がマレーシアのマラッカ生まれであることを示す出生届のコピーも提出されました。

3月20日:FAMがパルメロ選手のマレーシア代表としての資格をFIFAに照会
その際にはパルメロ選手の祖母がマレーシアのマラッカ生まれであることを示す出生届のコピーも提出。

3月24日:FIFAがへヴェル選手にマレーシア代表としてプレーする資格ありとFAMに書簡で回答

3月25日:AFCアジア杯2027予選 マレーシア2-0ネパール
クラモフスキー監督初采配となるアジア杯2027予選の初戦はマレーシアが快勝。この試合では、前日にマレーシア代表としてのプレーが認められたへヴェル選手が早速、代表デビューを先発で飾り、先制ゴールも決めています。またパルメロ選手はベンチ外でした。


4月

4月3日:2025年第1回のFIFAランキング発表で、マレーシアは前年2024年11月の132位から131位へ上昇


5月

5月29日:国際親善試合 マレーシア 1-1 カーボベルデ
国際Aマッチとして行われた試合は、FIFAランキング132位(当時)のマレーシアが同72位(当時)と格上のカーボベルデ相手に引き分けと大検討。なおこの試合でパルメロ選手がマレーシア代表デビューを果たしています。


6月

6月3日:ジョアン・フィゲイレド、ファクンド・ガルセス、ロドリゴ・オルガド、イマノル・マチュカ、ジョン・イラザバルの5選手がマレーシア国籍取得
ブラジル生まれのFWフィゲイレド選手、いずれもアルゼンチン生まれのDFガルセス、FWオルガド、FWマチュカの3選手、そしてスペイン生まれのDFイラザバル選手は、ガルセス選手は6月1日に、他の4選手は6月3日に国籍取得申請を行ったことが後述する10月6日にFIFAが公開した報告書で明らかにされています。ガルセス選手は申請の2日後、他の4選手は申請当日に国籍が付与されるというスピードでした。

6月6日:FAMがフィゲイレド、ガルセス、オルガド、マチュカ、イラザバル各選手のマレーシア代表としての資格をFIFAに照会
その際には選手の祖父母がペナン、ジョホール、サラワク生まれであることを示す出生届のコピーも提出しています。

6月9日:FIFAが3月に照会があった5選手がマレーシア代表としてプレーする資格ありとFAMに書簡で回答

6月10日:アジア杯2027予選 マレーシア 4-0 ベトナム
マレーシアの対ベトナム戦の勝利は11年振り。この試合には今年に入ってマレーシア国籍を取得したヘリテイジ帰化選手7名全員が出場し、代表デビューとなったフィゲレイド選手が先制点、2点目は同じく初代表戦となったオルガド選手が挙げています。

6月11日:前日のベトナム戦に出場したヘリテイジ帰化選手5選手について、公式の不服申し立てをFIFAが受領
これが明らかになったのは4ヶ月後の10月7日のことでした。これを明らかにしたFIFAのホルヘ・ポラシオ控訴委員会副委員長は、前日のベトナム戦に出場したヘリテイジ帰化選手5名について、マレーシア国籍取得から代表戦出場までの期間があまりにも近いことについての不服申し立てであることは公表しましたが、その不服申し立てを行ったのは誰(あるいはどの組織)なのかは明らかにしていません。


7月

7月6日:ディオン・クールズがマレーシア人初となるJリーグデビュー
ベルギー人の父親とマレーシア人の母親を持ち、2021年から代表でもプレーするクールズ選手は、ベルギー、デンマーク、チェコなどのクラブを経て、タイリーグ王者のブリーラム・ユナイテッドに移籍すると、2023/24、2024/25と2年連続となる国内三冠達成に貢献します。そしてタイリーグ終了後の6月3日にJリーグのセレッソ大阪に完全移籍したクールズ選手のJ1デビューは、今季第23節、7月5日のガンバ大阪戦でした。72分からの途中出場でしたが、その後は出場時間を増やし、終わってみればリーグ戦19試合中14試合出場(先発10試合、途中出場4試合)と主軸として活躍しました。

7月10日:2025年第2回のFIFAランキングが発表され、前回4月の131位から125位へ上昇
6月に格上のベトナム相手に勝利していたこともあり、6ランクを大きくアップしました。マレーシアのFIFAランキングが120位代となったのは2006年5月以来19年ぶりのことです。

7月21日:東南アジアサッカー連盟(AFF)U23選手権2025で、マレーシアはグループステージ敗退
グループステージでは、この大会で準優勝を果たすフィリピンに敗れるなど、1勝1分1敗で敗退しています。


8月

8月22日:FIFAの規律委員会が第22条(書類の偽造及び改ざん)違反の疑いで、マレーシアサッカー協会(FAM)と7名のヘリテイジ帰化選手に対する懲戒手続きを正式に開始
調査の結果、7名のヘリテイジ帰化選手の祖父母全員がマレーシア国外で生まれたことを示す出生届の「原本」が「発見」されたことをFIFAの規律委員会が発表。この後、マレーシアサッカー協会(FAM)からFIFAに提出されていた7選手の祖父母の出生届については、「原本」が見つけられなかったため、マレーシア政府の国民登録局により『原本が再発行されていた』ことも明らかになりました。またFIFAはFAMに対して、9月22日を期限として、この件についての説明と回答を求めました。

8月27日:FAMのモハマド・ジョハリ会長が就任から半年で辞任
今年2月に就任したばかりのモハマド・ジョハリ会長が「個人的な理由」で突如、辞任しています。任期は2025年から2029年まででしたが、就任からわずか半年での辞任には、「見えない手」が動いたのではなどといった噂も流れましたが、真相は藪の中です。


9月

9月8日:国際親善試合 マレーシア 2-1 シンガポール
国際Aマッチとして行われたこの試合にはフィゲイレド、パルメロ、ガルセス、イラザバルの4選手が出場し、フィゲイレド選手はゴールも決めています。

9月8日:国際親善試合 マレーシア 1-0 パレスチナ
国際Aマッチとして行われたこの試合にはオルガド、フィゲイレド、パルメロの3選手が出場し、フィゲイレド選手は2戦連続となる決勝ゴールも決めています。

9月9日:AFC U23アジア杯2026予選敗退
タイ、レバノンなどと同組となった予選では、1勝2敗で4チーム中3位で敗退しています。

9月18日:2025年第3回のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回7月の125位から123位へ上昇
ここまで今季無敗のマレーシアは2ランクアップしています。

9月22日:FAMとヘリテイジ帰化選手7名がFIFAに対して公式回答と弁明書を提出
その中で各選手は、マレーシア当局が検証した文書に基づき、誠意を持って行動したと主張し、国籍偽装の意図があったことを否定しています。さらにFAMは「我々も選手たちも、FIFAに提出された文書が偽造されている可能性を全く認識していなかった。現在、偽造とされている文書は、いずれも我々が作成したものではない。」と回答したことが後に明らかになっています。

9月25日:FIFAの規律委員会がFAMと7選手に対しての処分を発表
FAMには35万スイスフラン(およそ6,900万円)の罰金、また国籍を偽装したとされるヘリテイジ帰化選手7名には、2,000スイスフラン(およそ40万円)と12ヶ月間のあらゆるサッカー活動への関与の禁止が言い渡されています。処分を受けたのは、いずれも今年に入ってマレーシア国籍を取得した7名のヘリテイジ帰化選手7選手で、FIFAの規律委員会は、FAMが提出した書類には改ざんがあり、この7選手にはマレーシア代表としての試合出場資格がないにも関わらず国際Aマッチに出場したことを処分理由としています。

9月27日:FAMは処分内容の見直しを求めて、FIFAの控訴委員会へ上訴
FAMは該当7選手がマレーシア代表としてプレーする資格があることを示すためにFIFAに提出した書類は本物であるとして、上訴を行うことを発表しています。

9月29日:FAMはFIFAに提出した書類に「形式的な誤り」があったことを認める
FAMは上訴を行うことを発表した翌日、事務局職員によるFIFAへの書類提出において「技術的なミス」を発見し、現在内部調査中であると発表しています。しかしその一方で、今回の処分対象となっている7選手は正式な手続きを経てマレーシア国籍を取得したことを、記者会見の席上でノー・アズマンFAM事務局長が説明しました。


10月

10月6日:FIFAの控訴委員会は、FAMと該当7選手が提出した書類の改ざん内容を説明する報告書を公開。
この報告書で明らかになったのは、FIFAによる調査の際に、マレーシアへの帰化手続きを行う国家登録局からの説明で「選手の祖父母の出生届の原本が国籍申請の一部として提出されたことは一度もなかった」という声明があったことでした。さらに国家登録局は「アルゼンチン、ブラジル、スペインからの文書と『二次情報』に基づいて、『新たに独自の出生届』の写しを発行した」とも説明しています。これらの説明により、FIFAはFAMがヘリテイジ帰化選手の資格についての検証プロセスが一次資料に基づいておらず、FAMのデューデリジェンス(Due Diligence、当然行われるべき注意や努力)が徹底されていないとしました。

10月7日:FAMはFIFAの報告書の内容を不正確と否定する声明発表
FAMは、7名のヘリテイジ帰化選手に関するFIFAの調査結果について、選手たちが「偽造文書を入手した、あるいは知っていた」という主張には根拠がなく、確固たる証拠も提示されていないという声明を発表しています。その上で、今回の問題は、FAMの事務局職員が誤って国家登録局発行の公式文書ではなく、選手代理人が発行した文書をアップロードした事務上のミスが原因だと説明しています。さらに今後は、マレーシア政府が発行した真正かつ検証済みの文書を用いて、「マレーシアサッカーの公正性を守る」ために異議申し立ての準備を進めているとしています。

10月9日:7選手への国籍付与は正当な手続きによるものであると担当大臣が説明
マレーシア政府のサイフディン・ナスティオン・イスマイス内務相は、7選手への国籍付与はマレーシア憲法および国内法に基づき行われたことを国会で答弁しています。その一方でマレーシア政府による国籍付与条件と、FIFAの設ける代表選手資格は全く別の問題であると指摘し、この問題はFAMとFIFAとの間で解決されるべきとも述べています。

10月9日:AFCアジア杯2027予選 マレーシア 3-0 ラオス
FIFAによる処分が発表されたヘリテイジ帰化選手7名は全員がベンチ外でした。

10月14日:AFCアジア杯2027予選 マレーシア 5-1 ラオス
FIFAによる処分が発表されたヘリテイジ帰化選手7名は全員がベンチ外でした。

10月17日:FAMが事務局長を無期限職務停止することを発表
FAMは、7選手の代表チーム出場登録申請の責任者だったノー・アズマン・ラーマン事務局長の無期限職務停止を発表しています。

しかし職務停止処分を受けた後もノー・アズマン事務局長は、11月にマレーシアを訪れたFIFAのインファンティーノ会長と談笑する様子がメディアで取り上げられ、FAMの処分の有効性に疑問の声も上がりました。

10月17日:2025年第4回のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回9月の123位から118位へ上昇
マレーシアのFIFAランキングが110位代となったのは2005年11月に116位となって以来20年ぶりのことでした。

10月27日:FAMが国籍偽装疑惑に関わる内部調査を行う独立調査委員回設置を発表
FAMは、FIFAから処分を受けたヘリテイジ帰化選手7名に関する書類問題を調査するため、ムハンマド・ラウス・シャリフ元最高裁判所長官を委員長とする独立調査委員会を設置することを発表しました。FAMはこの調査委員会が公平性と透明性を確保するため、FAM関係者の関与なく独立して運営されると説明し、徹底的かつ専門的な調査を行うとしています。


11月

11月3日:FAMによる上訴をFIFAの控訴委員会が却下

11月3日:独立調査委員会が初会合開催
ムハンマド・ラウス・シャリフ委員長は、独立委員会の他の3人のメンバーとの初会合後に記者会見し、「6週間以内に調査を完了し、FAMに報告書を提出するよう努める」と述べています。

11月18日:FIFAが第2弾となる報告書を公表
この報告書では、ニコラス・プッポ、フレデリコ・モラエス両代理人とノー・アズマンFAM事務局長が7選手の国籍偽装に使われた偽の「祖父母の出生届」作成に関与した可能性について「さらに詳細な捜査」を推奨するとともに、この7選手の母国であるブラジル、アルゼンチン、スペイン、ベルギーの捜査当局に対しても捜査を推奨しています。

11月18日:AFCアジア杯2027予選 マレーシア 1-0 ネパール
処分が発表されたヘリテイジ帰化選手7名はこの試合も全員がベンチ外。2025年の最終戦を勝利で飾ったマレーシア代表は、年間通算成績を7勝1分で終えました。

11月19日:2025年第5回のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回10月の118位から116位へ上昇
マレーシアのランキングが116位となったことで、4月の132位からは7ヶ月間で16ランクアップしていますが、これは2003年に119位から99位に上がって以来の大きな上げ幅となります。FIFAランキングの算出方法は2006年と2018年に変更されているので、過去のランキングとの単純比較はできませんが、それでも驚くべき上げ幅です。しかしこれがFIFAの規則違反のヘリテイジ帰化選手の力によるものだとすると、単純に喜べないどころか、その違反行為が逆にマレーシアのランキング下降をもたらすことも考えられます。


12月

12月8日:FAMがスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ上訴
FIFA控訴委員会への上訴が却下されたことを不服としたFAMは、さらにスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ上訴しています。なお、この記事の執筆時点ではその判決はまだ出されていません。

12月16日:独立調査委員会が調査報告を公表-FAMの手続きの問題点指摘も書類偽装者は特定できず
FAMが10月26日に設置を発表した独立調査委員会は最終報告をまとめ、これをFAMに提出しています。この報告の中で、7名のヘリテイジ帰化選手のマレーシアとのルーツを裏付けるために使用された複数の重要書類に、十分な真正性と裏付けとなる証拠が欠けていると結論付け、FAMの事務手続きに重大な欠陥があると指摘しています。また、FIFAへの提出前に書類上の問題を検出するための内部チェック体制も不十分であったと指摘しています。

さらに報告では、調査の過程で「7選手の祖父母の出生届を真正と認証した*公証人のリー・リンジー弁護士を含めた複数の人物の協力が得られず」「7選手の代理人を務めたニコラス・プッポ、フレデリコ・モラエス両氏の所在先が不明」など証人喚問や原本提出を強制する法的権限がないため、書類を偽装した首謀者を特定できなかったことも明らかにしてます。
*公証人:特に公文書および国際文書を認証し、その真正性を証明する権限を有する法的に任命された人物。

また書類の真正性が確認されておらず、出生届の原本も国家登録局から入手できなかったにもかかわらず、書類をFIFAに提出するよう指示したのはノー・アズマンFAM事務局長(現在は無期限停職処分中)であると認定し、ノー・アズマン事務局長には懲戒処分を下すべきであると勧告しています。

さらにFAMに対しては、公文書偽造疑惑はマレーシア刑法上の犯罪行為である一方で、犯罪行為を捜査する権限は独立調査委員会にはないため、本格的な刑事捜査を可能にするため、警察への報告書提出も要請しています。

この報告では、7選手に付与されたマレーシア国籍は合法と明言している一方で、マレーシア政府による7人の選手への国籍付与決定の有効性について審査、評価、あるいは疑問を呈する権限は独立調査委員会にはなく、それを判断する権限を持つのはマレーシアの裁判所と述べるなど、なんとも歯切れの悪い内容が並び、結局は時間と費用を無駄遣いしただけ、と言った声がこの報告発表後には上がりました。

12月17日:FIFAが処分を受けたヘリテイジ帰化選手が出場した国際Aマッチ3試合をいずれもマレーシアの不戦敗とすることを発表
この国際Aマッチとは、今年5月のカーボベルデ戦、同9月のシンガポール戦とパレスチナ戦のいずれも国際親善試合です。FIFAはこの3試合の結果をいずれも0−3でマレーシアの負けとすることを決定しています。

12月18日:第33回東南アジア競技大会でU22代表が銅メダル獲得
東南アジアのオリンピックとも言われる東南アジア競技大会通称シーゲームズでは、男子サッカーは各国のU22代表が対戦します。この大会でマレーシアは2017年の第29回大会での銀メダル獲得以来4大会ぶりとなるメダルを獲得しています。この大会で3位決定戦に回ったマレーシアはフィリピンを2-1で破り、銅メダルを獲得しています。A代表とは異なり、ヘリテイジ帰化選手が1人もいないU22代表が戦前の下馬評を覆しました。

12月22日:2025年最後となる第5回のFIFAランキングが発表され、マレーシアは前回11月の116位から121位へ下降
FIFAが12月17日に発表した国際Aマッチ3試合の結果が2勝1分から0勝3敗とされたことにより、ランキングを決めるポイントも剥奪(はくだつ)された結果、今年4月の132位から順調に116位まで上がってきた順位ですが、ここからは今後の処分次第でさらに加工する可能性があります。

12月22日:FAMは独立委員会の報告を公式サイトからわずか1日で突如削除
FAMが設置した独立捜査委員会の報告書は、12月21日よりFAMの公式サイト上で閲覧が可能でしたが、この日、突然削除されています。FAMのユソフ・マハディ会長代理は、報告書の公開に異議はないと述べる一方で、報告書の公開時期についてはスポーツ仲裁裁判所(CAS)で進行中の訴訟手続きに影響を与える可能性があると説明しています。なおユソフ会長代理は、法的手続きが完了次第、この報告書は再び公開されるということです。

12月14日のニュース<br>・東南アジア競技大会男子サッカー:マレーシアはベトナムに完敗も準決勝進出<br>・ヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑:代表チーム強化の中心人物イスマイル殿下がマレーシア政府の公式書類の信憑性を疑う声を牽制<br>・ヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑:FIFAがマレーシア協会に圧力?「スポーツ仲裁裁判所への控訴を阻止しようとしている」

東南アジア競技大会男子サッカー:マレーシアはベトナムに完敗も準決勝進出

12月11日にグループステージ(GS)最終戦となるベトナム戦に臨んだマレーシアは、ベトナムに完敗しましたが、GS各組2位の3チーム中、得失点差などで他の2チームを上回り、2大会ぶりの準決勝進出を果たしています。

12月11日のベトナム戦のマレーシアの先発XIは以下の通り。12月6日のラオス戦からは、1ゴール1アシストのMFハイカル・ダニシュとDFアイマン・ハキミ (いずれもスランゴールU21) 、1ゴールのFWハキミ・アジム(クアラルンプール・シティ)、DFアイサル・ハディ(ジョホールU21)、MFハジク・クティ(ペナン)の5名が外れ、代わりにDFウバイドラー・シャムスル(トレンガヌ)、DFアイマン・ユスフ(スランゴールU21)、MFムハマド・アブ・カリリ、FWアリフ・イズワン、FWラーマン・ダウド(いずれもスランゴール)が代わって先発しています。


タイのバンコクにあるラジャマンガラスタジアムで行われた試合は、開始からベトナム攻撃陣がサイドからの攻撃で躍動。グエン・ディン・バックとグエン・タイ・クオックがマレーシアゴールに迫ります。

そして開始から11分でグエン・ヒエウ・ミンのヘディングシュートでベトナムがリードを奪います。さらにグエン・ディン・バックの機敏な動きからファム・ミン・フックのゴールが決まり、22分にベトナムがリードを2点に広げると、その後もベトナムは多くのシュートでマレーシアを圧倒し続けます。

マレーシアもクラブからのリリースが遅れて今大会はこの試合から出場となったアリフ・イズワンらがシュートを放ちますが、得点には至らず、前半はベトナムが2-0とリードして終了します。

マレーシアのナフジ・ザイン監督は、ムハンマド・アブ・カリルとアイマン・ユスフを下げ、初戦のラオス戦では1ゴール1アシストを記録したハイカル・ダニッシュ(スランゴールU21)とアイサル・ハディ(ジョホールU21)を投入して、状況の打開を図ります。。

65分にはベトナムのペナルティエリア内で途中出場のロヒシャム・ハイカル(スランゴールU21)がシュートを放ちますが、相手DF陣にブロックされるなど数少ないチャンスを活かせません。その後もベトナムは先制ゴールを決めたグエン・ヒエウ・ミンとファム・リー・ドゥックを中心としたベトナムの守備を崩すことができません。

さらに試合終了間際にコーナーキックを獲得したが、そのシュートはベトナムGKトラン・チュン・クエンに見事にセーブされ、試合はそのまま終了。ベトナムのシュート8本(枠内3本)に対してマレーシアは3本(枠内0本)では流石に勝負にはなりませんでした。

この敗戦で今年1月のナフジ監督就任以来マレーシアU22/23代表の戦績は3勝1分7敗となりました。勝利したのがブルネイ、モンゴル、ラオスに対して、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムと域内のライバルには全く勝てていません。ミャンマーがインドネシアを3点に抑えてくれたおかげで、大会前の目標であった準決勝進出は果たしましたが、その準決勝で対戦するタイには、U23アジア杯予選で敗れており、厳しい試合になりそうです。

ナフジ監督への批判も聞こえてきますが、あらゆる面で支援されているA代表に比べると大会前の合宿期間の短さや、せっかくのFIFAデイズに強化試合を行わないなど、運営側の問題もあり、ナフジ監督1人に責任を取らせるのは無責任にも思えます。


なおこの試合の翌日に行われたグループステージ(GS)C組の最終第3節でインドネシアがミャンマーに3-1で勝利しましたが、B組2位のマレーシアはC組2位のインドネシアの成績を上回ったことで、GS各組2位の3チーム中、他の2チームを上回り準決勝進出を果たしています。

マレーシアとインドネシアはいずれも勝点3、得失差+1の成績で並びましたが、マレーシアの4得点に対して、インドネシアは同3点でした。ベトナムには0封されたマレーシアでしたが、ラオス戦で4得点を挙げており、フィリピン戦ではゴールを奪えずに敗れたインドネシアがC組最下位のミャンマーから3ゴールしか奪えなかった差が出た形になりました。なおA組は初戦でシンガポールを破る波乱を起こした東ティモールが2位でしたが、こちらはタイに1-6で破れて得失差-3となっています。

2大会ぶりの準決勝進出を果たしたマレーシアは、明日12月15日に開催国タイとの準決勝に臨みます。

東南アジア競技大会男子サッカー グループステージB組第3節
2025年12月11日@ラジャマンガラ・スタジアム(バンコク、タイ)
ベトナム 2-0 マレーシア
⚽️ベトナム:グエン・ヒエウ・ミン(11分)、ファム・ミン・フック(22分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナのYouTubeチャンネルより。

東南アジア競技大会男子サッカー グループステージB組最終順位

チーム勝点
1ベトナム32004136
2マレーシア31014313
3ラオス300226-40

ヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑:代表チーム強化の中心人物イスマイル殿下がマレーシア政府の公式書類の信憑性を疑う声を牽制

ジョホール州摂政でジョホール・ダルル・タジムのオーナーでもあり、さらにヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)によるマレーシア代表強化を支援するトゥンク・イスマイル・スルタン・イブラヒム殿下は、一部の人々がマレーシア政府国民登録局(NRD)の書類よりも外国の書類を信頼するのか疑問を呈しています。

現在、アジア杯2027年大会予選を戦ているマレーシア代表のヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑について語る中で、イスマイル殿下は「マレーシアの公式文書を疑うことは、マレーシアの法律の主権を損ない、間接的に他のマレーシア国民の市民権にも疑念を投げかけることになる」と発言していることをマレーシア語紙シナルハリアンが報じています。

「外国の書類には彼らの祖父が『向こう(マレーシア国外)で生まれた』と書かれている一方で、こちら(NRD)の書類には『ここ(マレーシア国内)で生まれた』と記載されている。しかし一部の人々はなぜか、『こちらの書類が間違っていて、外国の書類の方が正しい』と主張している。

「NRD の公式文書や証明書を疑うというのであれば、疑っているあなた自身もマレーシア人ではないのかも知れない」と、イスマイル殿下は Sinar Harian の取材に対して述べています。

さらにイスマイル殿下は、この国籍偽装疑惑問題が浮上したとたん、多くの人が突然「専門家」や「FIFA 会長」のように振る舞い始めたが、その多くの人々は選手の未払い給料や若い年代の選手の育成など、マレーシアサッカーの本当の問題については沈黙したままだと指摘しています。

「皆が自分の意見を主張し、皆が監督やコーチのように発言する一方で、なぜマレーシアサッカーが前に進んでいないのかについて話す人はいない。しかし、7名のヘリテイジ帰化選手に関する書類偽造の疑惑が出たとたん、皆がその話ばかりする。そして、FIFA 自身が(当初)承認したにも関わらず、後になってそれが国籍偽装疑惑問題として扱われるようになった」と語っています。


ヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑:FIFAがマレーシア協会に圧力?「スポーツ仲裁裁判所への控訴を阻止しようとしている」

ジョホール州摂政でジョホール・ダルル・タジムのオーナーでもあり、さらにヘリテイジ帰化選手(マレーシアにルーツを持つ帰化選手)によるマレーシア代表強化を支援するトゥンク・イスマイル・スルタン・イブラヒム殿下は、FIFA 内の特定の関係者がマレーシアサッカー協会(FAM)に対して、ヘリテイジ帰化選手の国籍偽装疑惑に対するFIFAの処分取り消しを求める控訴をスポーツ仲裁裁判所(CAS)に持ち込まないよう圧力を受けていた、と述べています。

イスマイル殿下は、この匿名の人物による行動は奇妙であり、正義を求める努力を妨げるだけでなく、マレーシアのサッカーの利益にも影響すると述べた。

「この人物は直接、マレーシアサッカー協会(FAM)のハミディン・アミン名誉会長に、可能ならCASに行かないようにと伝えたようだ。」

「FAM が CAS に控訴することについて、その人物が何か恐れているのか、私はわからない。これについてはハミディン・アミン名誉会長自身に聞けばわかるが。CAS に持ち込んだ場合、FAMが資格停止になるか、あるいはもっと悪いことが起こるという脅しもあったようだ。」と、イスマイル殿下はFacebook でも生配信されたファンとの質疑応答の場で述べています。

イスマイル殿下は、この人物が自らの FIFA内の立場から公に言えないため、ハミディンにそのような提案をしたのだとも述べています。さらに殿下は、今回のマレーシア代表と7名の国籍偽装疑惑問題は、「多くの人が知らない事実が背景にある」と陰謀論と言わんばかりの発言も行なっています。

なおスポーツ仲裁裁判所(CAS)は、12月9日にマレーシアサッカー協会(FAM)からの控訴を受理したことを確認したことを発表し、現在、CAS の手続き規則に従って書面を交換している段階だと報じられています。

CASへの控訴についてイスマイル殿下は、「CASへの控訴が棄却されたとしても、構わない。マレーシアのサッカーがそこで終わってしまうわけではなく、目指している究極の目標に向けて、その後も努力し続ければいい。」と発言しています。

これに先立ち、FIFA の控訴委員会は、FIFAは7名のヘリテイジ帰化選手の書類偽造疑惑に関する審理で提出された証拠を精査した結果、FAM と7選手による控訴を却下しています。この7選手は、DFガブリエル・パルメロ(この処分決定後にスペイン3部ウニオニスタス・デ・サラマンカと契約解除)、DFファクンド・ガルセス(スペイン1部アラベス)、FWロドリゴ・ホルガド(同じくコロンビア1部アメリカ・デ・カリと契約解除)、FWイマノル・マチュカ(同じくアルゼンチン1部ベレス・サルスフィエルドへのローン移籍が解除され、所属のブラジル1部フォルタレーザ帰還)、FWジョアン・フィゲイレド、DFジョン・イラサバル、MFエクトル・ヘヴェル(いずれもジョホール・ダルル・タジム)です。

この7選手はFIFA規律規定(FDC)22条(書類偽造)に基づく重大な違反があったとされ、罰金2,000スイスフラン(およそ39万円)および12か月のサッカー関連活動停止処分が下されています。またFAMにも罰金35万スイスフラン(およそ6800万円)が科されました。これを不服としたFAMと7選手は、書類内容は軽微なミスであったこと、また7名の選手は自分たちの知らないところで偽装が行われたとして、FIFAの控訴委員会に控訴しましたが、再審理の結果、全ての制裁が維持されました。そこでFAMと7名のヘリテイジ帰化選手は、今回のCASへの控訴へと踏み切りました。

12月11日のニュース<br>・東南アジア競技大会:ベトナムとの首位攻防戦に主力2名が合流<br>・ACLエリート:シュート48本を放ったジョホールはスコアレスドローに終わる<br>・ACL2:スランゴールは1分5敗でグループステージ敗退

東南アジア競技大会:ベトナムとの首位攻防戦に主力2名が合流

タイで開催中の東南アジア版オリンピックこと第33回東南アジア競技大会では、男子サッカーは各国のU22代表が対戦します。マレーシアが入る予選B組は、本日12月11日が最終第3節でマレーシアと前回大会準優勝のベトナムが対戦し、勝者が準決勝進出を果たします。

U22代表のナフジ・ザイン監督は、FIFA国際マッチデー期間外の開催となるこの大会では、複数クラブの選手の招集拒否に直面しながらも初戦のラオス戦でチームを4−1の勝利に導いています。

12月6日に行われたラオス戦の前には、いずれもA代表経験のあるDFウバイドラー・シャムスル(トレンガヌ)、FWアリフ・イズワン(スランゴール)、FWファーガス・ティアニー(サバ)の3選手が、クラブの都合で出場できませんでした。

しかしそれぞれ12月5日と7日に所属クラブの試合に出場したウバイドラー、アリフの両選手は本日のベトナム戦を前にバンコク入りしたことが報じられています。その一方で、12月14日にチームとしては27年ぶりのFAカップ決勝を控えるサバは、この決勝後でなければファーガス・ティアニーのU22代表合流は認められないとしています。

主力2選手が合流する一方で、ラオス戦でも先発したMFハジク・クティ(ペナン)はハムストリングを痛めて欠場することになりました。さらにラオス戦ではゴールも決めていたハキミ・アジム(クアラルンプール・シティ)は、12月9日に亡くなった義父の葬儀のためマレーシアに急遽帰国しています。なおハキミ選手は本日午前にバンコクに戻りチームに合流するとされていますが、深い悲しみの中、ベトナムと対戦することになりました。

ACLエリート:シュート48本を放ったジョホールはスコアレスドローに終わる

12月9日から10日にかけてACLエリート東地区リーグステージ第6節が行われ、マレーシアから出場のジョホール・ダルル・タジムは、ホームに上海海港を迎えて対戦しています。

以下は両チームの先発XIです。

中国1部スーパーリーグ3連覇を果たしたばかりの上海海港ですが、ACLエリートでは国内リーグを優先した結果、第5節を終えて1分4敗の最下位。ホームのジョホールはそんな相手から勝点3を奪うべく、試合開始から果敢に相手ゴールを狙います。

開始5分には早速、ベルグソン・ダ・シウバがシュートを放ちますが、上海海港GKチェン・ウェイがセーブ。さらにジョホールは上海海港の守備陣に襲いかかり、波状攻撃を続けますが、上海海港GKチェン・ウェイがその前に立ちはだかり好セーブを連発。6本の枠内シュートを阻止します。上海海港の4本に対してジョホールは前半だけで19本のシュートを放ったものの、いずれも得点には結びつきません。

後半が始まると、両チームは攻撃のギアを一段上げますが、依然として得点には至りません。63分にはベルグソンが絶好機を得てシュートを放つもゴールポストに阻まれ、73分にはナチョ・メンデスのシュートも同じくポストに当たってしまいます。

その後も次々とシュートを放ったジョホールでしたが、48本(枠内11本)のシュートの甲斐もなく、試合はスコアレスドローに終わっています。

2025/26ACLエリート リーグステージ第6節
2025年12月9日@スルタン・イブラヒム・スタジアム(ジョホール州イスカンダル・プテリ
ジョホール・ダルル・タジム 0-0 上海海港

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより。

ACL2:スランゴールは1分5敗でグループステージ敗退

12月9日から10日にかけてACL2グループステージG組第6節が行われ、マレーシアから出場のスランゴールは、ホームにライオンシティ・セイラーズ(シンガポール)を迎えて対戦しています。

この試合の両チームの先発XIは以下の通りです。

ノックアウトステージ進出の可能性を残すライオンシティに対して、既にグループステージ敗退が決まっているスランゴールは一矢報いたいところ。そんなスランゴールは国内リーグでは3連勝中を調子を上げていることもあってか、この試合でも立ち上がりから積極的に攻め、序盤はライオン・シティ・セーラーズと互角に渡り合います。

最初のチャンスは12分。スランゴールのFWクリゴール・モラエスが最初の決定機を迎えたが、ライオンシティGKイヴァン・スサクに阻まれます。その5分後には前回の対戦ではスランゴール相手に4ゴールを挙げている前J横浜のアンデルソン・ロペスがシュートを放ちますが、今度はスランゴールGKカラムラー・アル=ハフィズがこれを防ぎます。

徐々にギアを上げるライオンシティは23分にはツィー・ンデンゲのシュートを放ちますが、GKカラムラが好セーブでこれを止め、4分後のマキシム・レスティエンヌのフリーキックはゴールポストにあたり、得点には至りません。

前半を0−0で折り返すと後半開始5分でした。韓国出身のシンガポール代表MFソン・ウィヨンのパスを受けたンデンゲがペナルティエリア内から強烈なシュートを放つとこれが決まり、ついにライオンシティがリードを奪います。

ホームのスランゴールは同点を目指して激しく攻め続けたが、好機は作れず、アディショナルタイムにはモラエスの惜しいシュートもあったが、わずかに枠を外れて万事休す。同じ東南アジアのクラブと同組となったG組で、スランゴールは屈辱の未勝利でリーグステージ敗退となりました。

G組のもう1試合はペルシブ・バンドン(インドネシア)がバンコク・ユナイテッド(タイ)に1-0で勝利し、勝点13でG組1位でノックアウトステージ進出を決めています。。破れたバンコク・ユナイテッドはライオンシティ・セーラーズと勝点10で並びましたが、バンコク・ユナイテッドはライオンシティ・セイラーズとの直接対決で2勝しているために2位隣やはりノックアウトステージへ進出しています。

*****

今大会のスランゴールは0勝1分5敗、またいずれもG組最低の7得点15失点という成績でした。7得点は、クリゴール・モラエス4、ファイサル・ハリムとアリフ・イズワンがそれぞれ1、そしてペルシブ・バンドンのディフェンダーによるオウンゴール1でした。また6試合で15失点は、3位のライオンシティの8失点と比べても突出しています。

2025/26ACL2グループステージ
2025年12月10日@MBPJスタジアム(スランゴール州プタリン・ジャヤ)
スランゴール 0-1 ライオンシティ・セイラーズ
⚽️ライオンシティ:ツィー・ンデンゲ(50分)

この試合のハイライト映像。アストロ・アリーナの公式YouTubeチャンネルより。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第11節 試合結果とハイライト映像<br>・好調クチンの連勝がストップ<br>・スランゴールはクリゴールの3発で3連勝<br>・ナニン・ダービー勝利のマラッカが昇格9試合目で初勝利

現在タイで開催中の東南アジア版オリンピックとも言える東南アジア競技大会通称シーゲームズ。男子サッカーはU22代表が対戦しますが、昨日はフィリピンが前回大会優勝のインドネシアを破り1991年大会以来となる準決勝進出を決め、また東ティモールもシンガポールを逆転破るなどなかなか盛り上がっています。そのおかげでマレーシアも12月11日のベトナム戦に敗れても僅差であれば、前々回2021年大会以来の準決勝進出が見えてきました。

さてマレーシアスーパーリーグ第11節の5試合が12月5日から7日にかけて行われています。今節のもう1試合クアラルンプール・シティ対ジョホール・ダルル・タジム戦は、本日12月9日にACLエリート第6節でジョホールが上海海港とアウェイで対戦するため、12月17日に順延されています。

なお今季のマレーシアスーパーリーグは13チーム編成のため、今節はクランタン・ザ・リアル・ウォリアーズの試合はありません。
*ハイライト映像はマレーシアンフットボールリーグの公式YouTubeチャンネルより。

好調クチンの連勝がストップ

FAカップ準決勝ではジョホールに敗れたもの、今季はそのジョホール以外のチームには敗れていないクチン。今季無敗のリーグ首位ジョホールとの差を詰めるには、他のチーム相手に勝ち点を積み上げて、少しでも首位との差を詰めておきたいところです。

一方のトレンガヌは今季は不安定な戦いが続き、現在リーグ5位ながら4勝3分3敗で首位のジョホールまでは勝点差13、2位のクアラルンプールまで同9となっています。昨季途中から指揮を取るバドルル・アフザン監督に対して、クラブ経営陣は前半戦終了となる第13節終了時を目処に、今季の目標である「リーグ5位以内」を達成できるかどうかを基準に去就を判断するといわば最後通牒を突きつけています。

そんな勢いに差がある両チームの対戦は、前半終了間際にリードを奪ったクチンが、アディショナルタイムにトレンガヌに追いつかれる展開。その後は両チームから退場者が出たもののスコアは変わらず、引き分けに終わっています。

この試合後にはトレンガヌのバドルル・アフザン監督がチームトップの6ゴールを挙げているフランス出身FWヤン・マベラが半月板のケガの治療を理由にチームを離脱し母国に帰国、さらに今季の復帰は絶望であることを明らかにしています。10月のFAカップ準決勝1stレグを最後に出場がなかったマベラですが、その後チームはFAカップ準決勝敗退、リーグ戦も1分1敗と失速し、来月開く今季2度目のトランスファーウィンドウではFWの補強が必須となりそうです。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第11節
2025年12月5日@スルタン・ミザン・ザイナル・アビディン・スタジアム(トレンガヌ州ゴン・バダ)
トレンガヌ 1-1 クチン・シティ
⚽️トレンガヌ:ヌル・シャキル・エンク(90+5分)
⚽️クチン・シティ:ペトラス・シテムビ(45分)
MOM:ペトラス・シテムビ(クチン・シティ)
クチン・シティの谷川由来選手は先発してフル出場しています。


不適切発言で後味の悪い試合に

21年ぶりとなるFAカップ決勝進出を果たしたサバと給料未払いが続いていることが報じられているPDRMの対戦は、チームの勢いそのままにアウェイのサバがPDRMを4−1で破っています。代表FWダレン・ロックの今季初ゴールに始まり、ミゲル・シフエンテス、アジディン・ムヤギッチ、そしてタイの東南アジア大会出場中のU22代表の招集を拒否してチームに残ったファーガス・ティアニーがゴールを決めて、12月14日に控えているFAカップ決勝に弾みをつけています。

しかしこの試合後にはPDRMの元ヨルダン代表MFファディ・アワドが、サバのジャン=ポール・ド・マリニー監督から人種差別的な発言を受けたことを自身のSNS上で明らかにしています。

マレーシアリーグ4季目となるファディ選手は、これまでサバとの対戦では経験したことがないほどの敬意を欠く不適切な発言が多くの人がいる前で発せられたとして、こういった発言はクラブの品位を下げるものだと激しく非難し、またPDRMの公式SNSもファディ選手の投稿をリポストしています。なおこの記事の執筆時点では、マリニー監督からはコメントは出されていないようです。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第11節
2025年12月6日@MBSスタジアム(スランゴール州スラヤン)
PDRM 1-4 サバ
⚽️PDRM:アグレ・ノエル(74分PK)
⚽️サバ:ダレン・ロック(44分)、ミゲル・シフエンテス(54分)、アジディン・ムヤギッチ(60分)、ファーガス・ティアニー(90+4分PK)
MOM:カイルル・ファーミ(サバ)


ナニン・ダービー勝利のマラッカが昇格9試合目で初勝利

隣接するマラッカ州とヌグリ・スンビラン州のチームの対戦は2022年以来3年ぶりですが、このカードは「ナニン・ダービー」と呼ばれています。

ナニンはマラッカ州にある地域で、16世紀にヌグリ・スンビランを形成した9つの構成国の1つでした。しかし、英国が1824年にオランダと締結した英蘭協約により、当時のオランダ領マラッカと、現在はインドネシアのスマトラ島のベンクーレン(現地名ブンクル)交換しました。(ちなみにこの英蘭協約によりマラッカ海峡の東側が英国領、現在のマレーシア、西側をオランダ領、現在のインドネシアに分かれました)

英国はナニンをマラッカの一部であると主張し、マラッカで定められた規則をナニンでも適用しようとしました。しかしナニンの首長ドル・サイドと住民がこれに反発すると、英国は軍隊を送って鎮圧しようとしますが、これに失敗すると、英国はより多くの軍勢を投入し、「ナニン戦争」が1832年に勃発します。この戦いに勝利した英国が、ナニンはマラッカの領土として併合されました。

この併合により、歴史的にはヌグリ・スンビランの一部であった地域が政治的に分断され、マラッカの一部となりました。この 歴史的な経緯や、特にナニンという地域をめぐる領有権の対立が、両州のサッカーチーム間の激しいライバル意識の背景にあることからこのカードが「ナニン・ダービー」と呼ばれるようになりました。

前置きが長くなりましたが、マラッカはこの試合で1部昇格9試合目にして待望の初勝利を挙げています。

しかしこの試合も、試合後に一悶着がありました。アウェイのマラッカ州ハン・ジェバ・スタジアムに足を運んだヌグリ・スンビランのサポーターと、ニザム・ジャミル監督との間で激しい口論が起こり、その様子がSNSの投稿されています。

この後の会見に現れニザム監督は、チームのパフォーマンスについての議論については喜んで話を聞き、また批判も受けいれるが、自分の家族についての誹謗中傷については許容できないと話すなど、スタンドのサポーターの口論がサッカーとは無関係な非難であったことを明らかにしています。

開幕からの5試合を2勝2分1敗とサポーターを期待させる成績でスタートしながら、続く5試合は1勝2分2敗、特にペナンやマラッカにそれぞれ今季初勝利を提供するなどやや失速気味のチーム状況への失望が出てしまった形かもしれません。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第11節
2025年12月6日@ハン・ジェバ・スタジアム(マラッカ州マラッカ)
マラッカ 2-0 ヌグリ・スンビラン
⚽️マラッカ:フアン・ダグラス2(4分、27分)
MOM:フアン・ダグラス(マラッカ)
ヌグリ・スンビランの佐々木匠選手は先発して前半で交代、常安澪選手は佐々木選手と交代で後半から出場し、試合終了までプレーしています。


スランゴールはクリゴールの3発で3連勝

FAカップ準決勝ではサバに敗れた敗退となったスランゴール。ACL2や東南アジアクラブ選手権ショピーカップでも勝ちきれない試合が続いています。

スランゴールはピッチ外でもドタバタ劇を起こしており、ACL2に向けて獲得した元コソボ代表MFトニ・ドムジョニは、獲得直後のプルシブ・バンドン(インドネシア)戦を食中毒を理由に欠場、するとその後に双方合意の上で契約解除となり、ドムジョニ選手は加入から1試合も出場することなくスランゴールを退団しています。

それでもリーグ戦は9月にクチンに敗れて以来、4戦無敗が続いており、この試合では今季1勝、直近では3試合勝星なしのペナンを相手に前半だけで3点を挙げて圧勝しています。

ケガ人が多い中で徐々に本来の調子を取り戻しつつあるスランゴールですが、その穴を埋めるべく、昨季はキャプテンを務めながら、喜熨斗勝史監督がチームに不要だとしてライオンシティ・セイラーズにローン移籍していたシンガポール代表CBサフアン・バハルディンが復帰するとの噂もあり、後半戦に向けての立て直しが期待されます。

一方のペナンはこの試合も含めた10試合で8得点24失点の13位最下位となっており、こちらはスランゴール以上に戦力補強が急務になっています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第11節
2025年12月7日@シティ・スタジアム(ペナン州ジョージ・タウン)
ペナン 1-5 スランゴール
⚽️ペナン:ホナタン・シウバ(6分)
⚽️スランゴール:ファイサル・ハリム(26分)、ピチャ・アウトラ(45+5分)、クリゴール・モラエス3(45+12分、59分、75分)
MOM:クリゴール・モラエス(スランゴール)
ペナンの鈴木ブルーノ選手は6試合ぶりに先発して、68分に交代しています。


DPMMが今季2勝目、イミグレセンは3連勝ならず

今季からマレーシアリーグに参戦中のブルネイのDPMMが今季ホーム初勝利を挙げるとともに、今季2勝目を記録しています。

2025/26マレーシアスーパーリーグ第11節
2025年12月7日@ハスナル・ボルキア国立競技場(ブラカス、ブルネイ)
DPMM 4-2 イミグレセン
⚽️DPMM:アズワン・アリ(15分)、ハキミ・ヤジド2(21分、26分)、ミゲル・オリベイラ(86分)
⚽️イミグレセン:ウィルマル・ホルダン2(5分、71分PK)
MOM:ミゲル・オリベイラ(DPMM)


2025/26マレーシアスーパーリーグ順位表(第11節途中)

チーム勝点
1ジョホール1010005545130
2クアラ・ルンプール97201941523
3クチン106312051521
4スランゴール1061321111019
5トレンガヌ104332216615
6ヌグリ・スンビラン103431716113
7クランタン10325918-911
8サバ102441221-910
9イミグレセン102351321-89
10DPMM102561031-218
11マラッカ9135619-136
12PDRM10136931-226
13ペナン10127824-165

2025/26スーパーリーグ得点トップ10(第11節途中)

得点選手名所属
112ベルグソン・ダ・シウバジョホール
211ジャイロ・ダ・シウバジョホール
39クリゴール・モラエススランゴール
47アリフ・アイマンジョホール
7ロナルド・ンガクチン
66ヤン・マベラトレンガヌ
6ジョアン・フィゲイレドジョホール
6ヨヴァン・モティカヌグリ・スンビラン
95サファウィ・ラシドクアラルンプール
5ジョセフ・エッソヌグリ・スンビラン
5ラマダン・サイフラークチン

12月8日のニュース<br>・東南アジア競技大会男子サッカー:マレーシアはラオスに快勝でスタート<br>・東南アジア競技大会女子サッカー:マレーシアはベトナムに大敗

東南アジア競技大会男子サッカー:マレーシアはラオスに快勝でスタート

東南アジア版オリンピックとも言える東南アジア大会通称シーゲームズは、12月9日の開会式を前にいくつかの競技が始まっています。そのうちの一つ、男子サッカーも今大会の開催国であるタイのバンコクとチェンライを会場に12月3日から始まっています。

東南アジア11ヵ国の内、タイとの国境紛争問題を理由に出場を取りやめたカンボジア、そしてブルネイを除く9ヵ国が参加する男子サッカーはU22代表チームが対戦します。グループステージは、バンコクで開催されるA組に開催国タイ、シンガポール、東ティモールが入り、同じバンコクが会場となるB組にはベトナム、マレーシア、ラオス、そして北部の都市チェンライが会場となるC組には前回大会王者インドネシア、フィリピン、ミャンマーが入っています。(なおB組は当初、タイ南部の都市ソンクラでの開催予定でしたが、熱帯性低気圧「セニャール」がもたらした豪雨により洪水被害をもたらしたことから、試合会場が変更になっています。)

グループステージは1回戦総当たり方式で行われ、各組の1位3チームと、2位チーム中最高成績を収めた1チームが準決勝へ進出します。

B組は12月3日にラオス対ベトナム戦が既に行われており、この試合はベトナムがラオスを2−1で破り逆転勝利を収めています。マレーシアの初戦となった12月6日の試合はラオスが相手でした。以下はこの試合のマレーシアU22の先発XIです。

先発XIの内訳は、GKズルヒルミ・シャラニ(16)、DFアリフ・アフマド(4)、DFシャフィザン・アルサド(5)、MFダニシュ・ハキミ(6)、MFジアド・エル=バシール(12)、DFアイサル・ハディ(13、キャプテン)の6名がジョホール・ダルル・タジムU21、DF アイマン・ハキミ(2)、MFハイカル・ダニシュ(10)、DFモゼス・ラジ(20)の3名がスランゴールU21、そしてFWハキミ・アジム(7)がクアラルンプール・シティ、MFハジク・クティ(14)がペナンの所属です。

試合は立ち上がりからマレーシアがチャンスを作るも、4分には中盤でボールを奪ったラオスが速攻からDFブーンペング ・サイソムバットのシュートが決まり、マレーシアが追いかける展開となります。

マレーシアの同点弾は33分でした。左サイドからのダニシュ・ハキミからのクロスはゴール前のハキミ・アジムの頭には合わなかったものの、ボールはそのままゴール前へ。これをラオスの先制点を決めたDFブーンペング ・サイソムバットがクリアミス。そこへ詰めていたハイカル・ダニシュがこれを落ち着いて押し込みました。

1-1で前半を折り返すと、後半の59分には右サイドのハジク・クティからのグラウンダーのクロスにラオスGKが反応するも、伸ばした手に当てるのが精一杯でした。その手に当たったゴールがゴール前に転がると、それをハキミ・アジムが押し込んで、ついにマレーシアがリードを奪います。

さらにその3分後には、右コーナー付近で得たフリーキックをダニシュ・ハキミがゴール前へ上げると、飛び込んできたモゼス・ラジがラオスDFに競り勝ちヘディングシュート!これが決まって、マレーシアはリードを広げます。

さらに85分にはラオスのキャプテンのペッタヴァン・ソムサニットがこの試合2枚目のイエローで退場になると、数的優位を生かしたマレーシアは中央付近でパスを受けた途中出場のロヒシャム・ハイカルがドリブルで持ち込むと、ペナルティエリア内でラオスDFに倒されますが、そのこぼれ球をムハマド・アブドル・カリルが落ち着いて4点目となるゴールを決めます。

試合はそのまま終了し、2敗となったラオスはグループステージ敗退が決まり、マレーシアは12月11日にベトナムとのグループ1位をかけて対戦します。ラオス戦後には、A代表でもプレーするトレンガヌのCBウバイドラ・シャムスルが昨日チームに合流したことも報じられており、次戦で対戦する前回大会準優勝のベトナムと接戦を演じることができれば、たとえ破れてもマレーシアにノックアウトステージ進出の可能性が残ります。

東南アジア競技大会男子サッカー グループステージB組第2節
12月6日@ラジャマンガラ・スタジアム(バンコク、タイ)
ラオス 1-4 マレーシア
⚽️ラオス:ブーンペング ・サイソムバット(4分)
⚽️マレーシア:ハイカル・ダニシュ(4分)、ハキミ・アジム(59分)、モゼス・ラジ(62分)、ムハマド・アブ・カリル(90分)


東南アジア競技大会女子サッカー:マレーシアはベトナムに大敗

一方の女子サッカーは、タイ、インドネシア、シンガポール、カンボジアがグループステージA組、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、マレーシアが同B組に振り分けられ、1回戦総当たりで行われるグループステージ各組の1位と2位が準決勝に進出します。

マレーシアが入ったB組には、2023年に行われた女子W杯に東南アジアから出場したフィリピンとベトナムが入っていますが、マレーシアはそのベトナムと初戦の12月5日に対戦。開始4分でファム・ハイ・イェンにゴールを決められると前半だけで4失点、後半もタイ・ティ・タオにハットトリックを許すなど、終わってみれば7失点と大敗しています。

マレーシアは12月8日にミャンマーと、そして12月11日にはフィリピンと対戦しますが、

東南アジア競技大会女子サッカー グループステージB組第1節
ベトナム 7-0 マレーシア
⚽️ベトナム:ファム・ハイ・イェン(4分、26分)、グエン・ティ・ビック・トゥイ(23分)、トラン・ティ・ハイ・リン(36分)、タイ・ティ・タオ(48分、59分、78分)

12月6日のニュース<br>・マレーシア代表のサードユニフォームが発表<br>・東南アジア競技大会開幕:マレーシアは主力抜きで初戦のラオス戦へ

マレーシア代表のサードユニフォームが発表-7年ぶりに青色が採用される

マレーシアサッカー協会(FAM)は12月4日に公式SNS上で、マレーシア代表のサードユニフォームを発表しています。2007年から18年間に渡り代表ユニフォームを供給してきたナイキ社から、2025年1月にプーマ社へと乗り換えたマレーシア代表。チームの愛称であるHarimau Malaya(ハリマウ・マラヤ「マレーの虎」の意味)にちなみ、黄色主体のホーム用と黒色主体のアウェイ用は既に試合でも着用されています。

今回発表になったのはマレーシア国旗で使われている青色と赤色主体のデザインで、FAMはマレーシア語でBangkit Bersama「共に立ち上がろう、皆で力を合わせよう」をテーマとした「国民の団結と、マレーシアのサッカーへの新たな精神を祝する」ものだと説明しています。

丸首デザインのこのユニフォームは左胸にマレーシア国旗、右胸にはプーマ社のロゴ、そして生地は虎の縞模様を象徴するパターンになっています。またこのユニフォームは、白いパンツと赤いソックスと組み合わされており、ユニフォームの胸に輝くジャルル・ゲミラン「栄光のストライプ」とも呼ばれるマレーシア国旗からインスピレーションを得たものだとも説明されています。

ちなみにマレーシア代表が最後に青いユニフォームを使用したのは、2018年のアウェイユニフォーム以来で、それ以降のアウェイユニフォームは黒色主体のデザインとなっています。

なおこのサードユニフォームは既にプーマ社のオンラインストアや国内スポーツ用品店で販売が始まっており、価格は319リンギ(およそ12000円)となっています。。

東南アジア競技大会開幕:マレーシアは主力抜きで初戦のラオス戦へ

東南アジア版オリンピックとも言える東南アジア競技大会通称シーゲームズが来週12月9日にタイで開幕します。各国のU22代表が対戦する男子サッカーは、開会式前に開幕するのが通例で、今大会でも既に12月3日より競技が始まっています。

グループステージではベトナム、ラオスと共にB組に入っているマレーシアの初戦は、予定されていたタイ南部、マレーシアとの国境に近いソンクラ県のティンスラノンダ・スタジアムで本日12月6日に予定されていました。しかし熱帯性低気圧「センヤール」がこの地域に洪水などで甚大な被害を与えたため、試合会場がバンコクのラジャマンガラ・スタジアムへと変更されています。

初戦となるラオス戦を前に、サバFCはU22代表に招集されているFWファーガス・ティアニーが12月14日に予定されているマレーシアカップ決勝に出場するため、招集を拒否することを発表しています。なおサバは27年ぶりのFAカップ決勝進出を果たしています。

今回のシーゲームズはFIFA国際マッチカレンダー外であることから、クラブは招集に応じる義務はなく、所属選手の招集拒否は可能になっています。

またU22代表のナフジ・ザイン監督は、先月11月のアジア杯予選ネパール戦に向けた代表合宿にも招集されたDFウバイドラー・シャム(トレンガヌ)、FWアリフ・イズワン・ユスラン(スランゴール)もそれぞれの所属クラブが招集に応じておらず、マレーシアサッカー協会(FAM)が12月3日に発表したメンバーからは、この3選手がラオス戦には出場しないということです。(その後、12月5日にリーグ戦を終えたウバイドラー選手はベトナム戦前にチームに合流すると報じられています。)

初戦のラオス戦はともかく、次戦となる12月11日のベトナム戦もこの主力3選手を欠くメンバーで臨むことになれば、各組の1位3チームと予選最優秀成績の2位1チームが出場する準決勝進出は容易ではありません。